ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:ブループリント

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公認心理師試験 令和3年度ブループリント新用語

1. 序

ブループリント令和3年度版が4月16日付けで出ましたが、これらについて見てみたいと思います。ブループリントに記載された小項目はあくまで「例」であり、「出題は、この出題基準に記載された事項に限定された事項に限定されたものではない。例えば、法律、政省令等に記載される事項、厚生労働白書などの公刊物に記載されている事項などからも出題される。」と記述されていますので、今回小項目に新たに加わった用語は「この中から出題される可能性もある」ということで必ず出題されるわけではありません。

他方、小項目から意図的に削られた項目については出題される可能性はない(類縁の分野から出題される可能性は十分にありますが)と言っていいのだと思います。新しい用語のうちいくつかを簡単に書いておきます。

2. 各小項目

(1) 「心理職のコンピテンシー」が加わりましたが、コンピテンシーという概念は、ただ単に授業を受けたとか、実習に参加したということを示すのではなくて、その結果としてどのような能力を獲得し、成果を出すことができるのかを説明する概念です。

現任者講習会テキストではコンピテンシーCompetencyを「基盤コンピテンシー」という、いわば心理職としての基礎的・必須の能力、反省的実践を中核とする領域について記述されていて、機能コンピテンシーは、いかによく心理職として機能できるかの心理職としての成長を示しています。コンピテンシーは基盤コンピテンシーと機能コンピテンシーだけに分かれるのではなく、立方体モデルになっています。

すなわち、心理職としての発達段階が示されており、2つのコンピテンシーを心理職の専門性の発達という観点から見ています。

現任者講習テキストに比較すると僕の説明は舌足らずなところがありますが、要するにコンピテンシーというのは「個人特性」によって能力を獲得できるかどうかにかかわってくるものだと言えるでしょう。

心理職にとっては大切なこのコンピテンシー概念がなぜこれまで公認心理師試験に出なかったのかは不思議に思っていました。

(2) アドバンス・ケア・プランニング

「人生会議」とも呼ばれている終末期の医療をどのようにして欲しいかという患者さん本人を含めたケアプランです。医療との話し合いが不可欠になります。例えば、人工呼吸器をつけて ADL が大幅に下がってもまだ延命措置をして欲しいか、それとも延命措置を停止して欲しいか事前指示書を書いておきます。

多くの人が亡くなる前にこういった事前指示書は作っておかず、患者さんが意識不明、回復の余地がない場合に「心停止したら気管切開して酸素を入れますか?肋骨が折れるかもしれませんが心臓マッサージをしますか?」と医師に聞かれますが、家族には答えることは難しいでしょう。

(3) 乳児に対する実験・選好注視法、馴化・脱馴化・期待違反法

選好注視法は、乳児が何に興味を持つか、例えば左右に図形を交互に呈示し、より好ましいものを選ばせるというものです。

馴化・脱馴化法は、乳児に対して同じ刺激をずっと呈示しているとやがて注視しなくなるのに対し、例えば赤い丸の図形が動いていると乳児が飽きて見なくなるのに対し(馴化)今度は青い四角の図形が動いているのを見ると注視して見るようになります(脱馴化)。

選好注視法は、乳児の前にさまざまな刺激を呈示し、どれが好ましいものとして注視時間が長いか確かめるというものです。

期待違反法は、例えば青い三角の図形3つにシャッターを下ろす。シャッターが開いた時には青い三角の図形3つが目前にあるはずですが実際にはその中に黄色い丸が一番左側にひとつだけあると注視する時間がながくなるというものです。

高齢者に対して蔑視、偏見を伴うような言葉がエイジズム、「どうせじいちゃんなんだから」という言葉以外に老人福祉施設で職員が高齢者に「◯ちゃん」と呼んだり、赤ちゃん言葉を使うのもこれに入ります。

認知症の周辺症状BPSD Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia(認知症の行動と心理的症状=周辺症状)は主として知覚、感情障害で幻覚妄想、焦燥感、攻撃性、怒り出して暴力を振るう、抑うつ状態、睡眠障害、徘徊などです。

軽度認知障害(MCI)は65歳以上の約4分の1に見受けられる記憶の障害、見当識の軽度な障害でアルツハイマー型だとそのまま進行します。

学習方略は(既出用語ですが強調されているので)学習のための戦略とも言うべきもので、認知的方略としては数学や物理の公式を丸暗記するのではなくきちんと理解すること。
メタ認知方略は学習方法全般が自分の学力を向上させるのに役立っているのかどうかを俯瞰する、外部リソース方略(リソース管理方略)は外部の道具や他者を利用するというものです。

アクティブラーニングは生徒が座学でじっと聞いているのではなくより主体的に実習などにかかわりなから覚えていくことで、学習指導要領にも記載されています。

成年後見制度の利用の促進に関する法律は、解説が
行政書士栗原誠オフィス

のものがわかりやすいです。

厚生労働省の解説

も一読しておきましょう。

働き方改革は相当な数のパンフレットやリーフレットが出ています。(ブループリント用語には出ていませんが、傾向を見ると出題可能性は高いと思います。)

厚生労働省パンフレットの一例

残業時間制限、ワーク・ライフ・バランス、有給年5日以上取得の促進、働き方による差別撤廃などです。

「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
は最近の法改正でパワハラ防止と中途採用率公表が義務付けられました。
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速報・令和3年度公認心理師試験ブループリント発表

ブループリント

が発表されました。
精査していきたいと思います。

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◯ 公認心理師試験はブループリント非準拠か?(医学分野対策)

1.序

第3回公認心理師試験では特に医学分野で「なんだこんなもんブループリントに書いてねえよ」と思われた方も多かったでしょう。そして多分これは第4回試験でも出題傾向としてそう思われる問題が多く出題されるものと思われます。

それは小項目を見た際、小項目用語だけ、過去問だけを見るとそこだけが出題範囲と思ってしまうからです。

悪評が高かった薬物動態学は小項目にも載っているものでしたが院やテキストで重点的に学んだ人はおそらく少なかったと思います。

それでは他の問題は?

今回は医学分野についてのみ見てみます。

小項目だけから出題しなければいけないと決まっているわけではなく、小項目はあくまで「具体例」で、ここから出題されるのはあくまでもサービス問題とぐらいに出題委員は考えているのかもしれません。

そうすると遺伝カウンセリングすらサービス問題になってしまいます。

2.大項目・中項目とは?

大項目は到達目標、そして中項目も到達目標を細分化したものです。

今回難問とされた医学問題は大項目16「健康・医療に関する心理学」⑴ストレスと心身の疾病との関係に属するもの、大項目21「人体の構造と機能及び疾病」

から出題されていました。中項目⑴心身機能、身体構造及びさまざまな疾病と障害、小項目解剖学、生理学も範囲となっています。

したがって上の分野の大項目の中からならば何を出題してもいいということになります。

すなわち、出題側にとってはどんな出題をしてもこれに関連する物であればブループリントに沿っていることになります。

3.振り返り

第3回試験から振り返るとグレリン、レプチン(生理学)、過敏性腸症候群(心身症)、慢性疲労症候群(心身症)、むずむず足症候群(メンタルに多大な影響を与える疾患)、これらはブループリントを逸脱しているとは言い難いわけです。糖尿病も頻出ですが小項目には生活習慣病についても出題されています。

4.さて、そこで今後出題されそうな医学分野について予想してみます。

心身症としては

全身疼痛を伴う線維筋痛症(慢性疲労症候群との合併が多い)

疼痛.jp

機能性ディスペプシア

SOIKEN

また、アトピー、気管支喘息、本能性高血圧、狭心症、心筋梗塞、不整脈、胃・十二指腸潰瘍
、緊張型頭痛、偏頭痛、痙性斜頸、書痙、自律神経失調症、慢性蕁麻疹、円形脱毛症、頸肩腕症候群、腰痛症、慢性関節リウマチ、月経前症候群(PMS)月経異常、更年期障害も心身症として含まれます。

難病としては生活に大幅な制限を加えられることから

潰瘍性大腸炎(UC)

IBDステーション

クローン病

IBDライフ

などさまざまな疾患があります。

難病は何か、がんにはどういった種類があってどんな治療法をするかについては

MSDプロフェッショナル がかなり役立ち、僕も受験の時にはよく読んでいたものです。

精神疾患にも詳しいですが診断基準については必ずポケット版で構わないのでDSM-5は覚え込んでください。

それから思いつくままに書くのですがどんな薬がどんな作用をするのかということについては、抗精神薬の中でもベンゾジアゼピン系の依存性、SDA、パーシャルアゴニスタ、三環系抗うつ剤、気分安定剤(ムードスタビライザー)、双極性障害に保険適用となる抗精神薬(アリピプラゾール、オランザピン等)、副作用としてはセロトニン症候群、高プロラクチン血症、悪性症候群、セロトニン症候群も出るかもしれません。

薬剤性精神病もステロイド、薬剤とせん妄の関係なども出るかもしれません。

(以上、全疾患や薬剤、副作用等を網羅しているものではありません。)

4.結語

ブループリントの小項目だけをやってみる、過去問に出た疾患だけをやってみるということだと今後の公認心理師試験に十分に回答できない可能性は高いです。

医学分野についてだけ見てみましたが、大量の知識を流し込むように覚えて見ていかなければならない試験だというのは痛感しています。受験生のみなさんは大変でしょう。要するに「ブループリントは大項目の範囲内なら何を出してもいい」というものだと思っていただければと考えています。

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公認心理師試験対策

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日本心理研修センターに対して第4回公認心理師試験ブループリントの公表時期について問い合わせてみました。

僕:ブループリント発表の時期は?

担当者:少々お待ちくださいませ…4月中にはなんとかと考えています。

僕それでは例えば今日、明日とか今週中とかはない?

担:ええ、申し訳ありません。もう少しお待ちいただければと考えております。

以上

※ ものものしく

ホームページには赤字で記載されていますが

それほど大きな変化はないのではないか、また、第3回試験がブループリントに準拠しているかどうかの議論もありましたが、受験生の方々は自分で使っているテキスト、公認心理師現任者講習会テキスト等で学習を進めて行くしかないと思います。

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ɪ ᴊᴜsᴛ ᴡɪsʜ.
娘が手をかざす先に希望の未来があるようにと。

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◯ ブループリント比較 第2回公認心理師試験と第3回試験

1.総論

本日日本心理研修センターから発表されたブループリントを見てみましたが、大枠で変わりがなく、公認心理師試験の出題範囲そのものは固まったという感じを受けました。

2.各論

消えた用語、加わった用語もあります。

大項目「7 知覚及び認知」

中項目「(2)人の認知・思考の機序及
   びその障害」

小項目「潜在記憶、プライミング」

が加わりました。

ただし、プライミングという用語は第2回試験問8で過去出題されていますのて、明文化しただけかもしれません。

記憶を学習する上では潜在記憶もプライミングも大事な概念で、記憶に関する出題は必ず毎年あります。

必須学習領域ということでしょう。

大項目「8 学習及び言語」

中項目「(2)言語の習得における機序」

小項目「会話」

会話をどのように心理学の概念に入れるのか理解に苦しむところです。

検索したら「心理学を使ったモテる会話術」しか出てこないのでGoogle scholar様を使ったところ論文が多領域でよくわかりませんでした。

大項目「9 感情及び人格」

中項目「(1)感情に関する理論と感 情喚起の機序」

小項目「感情に関する神経科学」

から「(扁桃体、視床下 部、島皮質、前頭前野腹内側部、低次回 路、高次回路)」が抜けました。

ただし脳神経科学を「出さない」と言っているわけではなく「⑩脳・神経の働き方」から出る可能性が高いです。

「個別の感情」も抜けました。

大項目「12 発達」

中項目「(3)生涯における発達と各発達段階での特徴」

小項目「生涯発達の遺伝的基盤」

から遺伝、環境の相互作用、行動遺伝学、進化発達心理学、 エピジェネティクスが消えました。

進化発達心理学やエピジェネティクスは確かにあまり心理学的な領域とは思えなかったのですが。

DOHaD仮説も抜けました。

知っておいても損はない概念と思いますが。

大項目「18 教育に関する心理学」

中項目「 (1)教育現場において生じ る問題とその背景」

小項目「学力」が加わりました。

教育心理学は網羅したいという意気込みを感じますので教員採用試験用の教育心理学書を読んでおくといいかもしれません。

同じくこの中項目中に加わった小項目は「学習方略」、「進路指導、キャリアガイダンス」です。

「プログラム学習」「発見学習」は除かれています。

大項目「16 健康・医療 に関する心理学」

中項目「(3)保健活動における心理的支援」

小項目「職場復帰支援」(New!)

大項目「20 産業・組織 に関する心理学」

中項目「(1)職場における問題に対 して必要な心理的支援」

小項目「労務管理でのコンサルテーション 職場のメンタルヘルス対策」New!


大項目「23 公認心理師 に関係する制 度(続き)」

中項目「(5)産業・労働分野に関す る法律、制度」

小項目「心理的負担による精神障害の認定基準」NEW!



(見落としがあったらご指摘ください)

3.総括

さて、第2回試験を解いてみて思ったのですが、「ブループリントって役に立ったの?」というところが実感です。

第1回試験、第2回試験に比べて変更点は少なく、このブループリントがスタンダードになると思われますが、ご参考までに。

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