ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:ノー勉

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〇 ノー勉で臨む公認心理師試験

1.序

新院卒受験生はみなさんプレッシャーに押し潰されそう、周囲はリンシ、公認とすっかり受験ムード、Gルートで次々回が最後の受験のチャンス、これまで僕は「さあ受験しましょう、そのために頑張りましょう」という内容のブログ内容ばかり書いています。ノー勉で受験をした場合にどうなるか?ノー勉で受験に臨む意味は?と思うかもしれませんが、これはそれなりの意味があることだと思います。以下、その意味合いについて書いていきます。

2.なぜノー勉になってしまうか?

(1) 時間がない
 
時間がない。これは決定的な事柄です。時間がなければ勉強できるはずなんぞない。当然のことです。ですので、もうどうにもならなければあきらめるしかないです。僕は時間は金でいいから買えという主義主張の人ですが、いろんな事情でそれがうまく行かない人もいるでしょう。ということは必然的にノー勉になってしまいます。これは致し方ないことです。今年はあきらめて翌年に伸ばしましょう。今年は受験するだけ受験する。試験場の雰囲気と試験の難しさだけ味わって帰宅しましょう。

リベンジ組の人も時間がなければ合格する可能性は薄くなります。というかリベンジ組の人は合格可能性はかなり薄くなってしまいます。Eルート新卒の人は心理を勉強していたのでひょっとしたら合格するかもしれません。Gルートでまだ心理のことは何も知らないという人はまず壊滅的にダメだと思います。これは本当の記念受験になります。この試験に「もしも」はありません。

(2) 勉強するという習慣がない。

わりと上と似ています。勉強することを知らずに今まですいすいと来てしまった人、学校の授業をぼうっとしながら聞いていたけれども一流大学院まで進んでしまった人、この人たちは合格するかもしれません。心理の素養がある程度できているからです。しかしGルートの人はゼロから積み重ねていくわけですから、これも合格可能性はほとんどないと思います。社会福祉、医療の基礎知識がある程度あっても他の領域は勉強しておいて知らなければどうにもなりません。

(3) 意欲がない、もしくは現在進行形でメンブレている。

実は僕は全くノー勉のまま臨床心理士に臨んで合格しました。「まあ落ちてもいいや」ぐらいの気持ちで受験しましたが、それに至るまではあちこちで後輩に勉強を教えていて、学生時代にはあらゆる本をがむしゃらに読んでいた、院試も公務員試験もむちゃくちゃに勉強していたという過去があったので、過去問を見ても不合格になる気がしなかったから、という非常にイヤなヤツです。しかしここで不合格だったら後がないという事情があったので、落ちていたら全く別の仕事に就いていた可能性は高いです。

あと、メンブレていれば何がどうあがいても勉強どころではない人も多いでしょう。受験できないかもしれません。メンブレながら、あるいは意欲ゼロでも記念受験として受験する意義はひょっとしたらあるかもしれませんしないかもしれません、と言っておきます。ただし、こんな僕でも試験と仕事の大変さに大きくメンブレながら勉強をして公認心理師試験は受験しました。

「来年になったら本気出す」という考え方の人たち、これはこれで人生の選択なのでそれを否定するつもりはありません。しかしGルートの人にとってはそうすると来年だけがワンチャンです。他ルートの人もそうですが、来年だけを頼りにしていたら今年は何もしないことになります。

果たして来年やる気になるのか?これもさあ、それはわかりません、というしかありません。やる気になるかもしれませんしならないかもしれません。ならない可能性の方が高いだろうということは付け加えておきます。

3.隠れノー勉の人たち

大変耳の痛いことを書きます。テキストは揃えた。予備校の教材も手に入れている。過去問もある、模試も受けた、しかし何ら復習をしていない、この人たちは「そろえた、やってみた」だけで何かを身につけているわけではありません。したがって合格可能性は非常に薄いでしょう。リベンジ組の人たちも「今までの蓄積があるからノー勉でもなんとかなるかもしれない」いやどうにもなりません。

不合格だった要因を分析していない、もしくは分析していてもそれを何とかしようとしていないからです。しかもこれまで勉強した知識はどんどん薄れていきます。したがってこれからの限られた期間、何もしなければそれだけ合格可能性は低くなります。

4.結語

この記事の中で僕が何を書きたかったかというと、公認心理師は以前触れたようにノー勉でセンスだけで偶然合格できる試験ではないということです。それでもいい、来年に賭けてみるからその時は必死になって勉強するから、という確かな意欲と覚悟が十分にあればそれでいいでしょう。人間、自分の人生ですから、何をどう選択するかは自由です。

しかし不合格になってよりメンブレてしまうならばなんとかして勉強してみてください。ダメだったら諦める、これができるのかどうか、どちらが自分の人生にとって得なのか真剣に考えて欲しいのです。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_

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◯ ノー勉から始める公認心理師試験対策

公認心理師試験、今まだノー勉だと相当に危機感を抱いている方も多いのではないでしょうか。

心理大学院卒、これからも受験チャンスがある人でも何回も不合格だったらイヤになること請け合いです。Gルートは今回含めてあと3回のチャンスです。

この試験は学部大学院含めて6年間の知識を要するレベルが高い試験です。そこで「これからやれば絶対受かる」試験対策は書けません。そんな保証はできないからです。ただし、少しでも得点を上げるためにできることはあるはずです。

1点1点を積み重ねて138点になるように頑張ってみましょう。

1.法律分野

⑴ 公認心理師法

絶対に落とせないし必出です。しかも得点が稼げます。法律というものは一度覚えてしまえば絶対に忘れません。テキストはやはり「公認心理師試験 『これ1冊で!最後の肢別ドリル』」辰已法律研究所が法律分野ではいいようです。これだけで公認心理師法8〜9割取れます。

今回の注意点は、法改正で被後見人、被保佐人でも公認心理師になれて資格を維持できるということです(業務を遂行できるかどうかは別として)。

第3条第1号は

「心身の故障により公認心理師の業務を適正に行うことができない者として文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの」と変更になりました。

⑵ 法律や専門用語をWikipediaで概観

思い返してみるとずいぶんと僕はこの勉強をしたような気がします。医療分野心理職が医療法に詳しいわけではありません。

福祉職も以前に資格を取得していればその知識は忘れていますし、法律も変わっています。精神保健福祉法、医療観察制度、医療法、医療事故、児童福祉法、健康増進法、発達障害者支援法、障害者総合支援法などは法律というものは、法律だけ読み込んでもなにがなにやらわかりません。

法律の条文の一語一句にこだわっていたら勉強は終わりません。したがって木を見るより森を見るためにはWikipediaを活用して、法律や制度の全容を俯瞰しましょう。法律だけでなく、司法面接とかストレスチェック制度などブループリントでわからない用語はとりあえずWikipediaやweblioで調べてしまいます。

3.頻出分野

過去問を見てWikipediaに載っていない、わからないところがあれば参考書、あるいはネットでも深掘りすればいいのです。試験本番までとにかく時間がありません。第1回試験ではサイコロジカルファーストエイドPFAやD-PATに関する問題が目白押しでした。まず被災者には水や食料、ライフラインが大切で、間違っても心理師が記者会見に出たりすることなく、すぐに心理検査やカウンセリングもすることなく、正確な情報を把握して共有することが正解、と覚えておくといいでしょう。

それからPTSDは必ず毎回形を変えて出ています。ちょっと前に記事をまとめてみたので再復習のために参考にしてみてください。
http://hinata.website/archives/23947898.html

頻出は他にもあります。絶対次に出るということではないのですが、エリクソンErik Homburger Eriksonの8つの発達段階、ピアジェJean Piagetの発達段階理論は覚えておきましょう。

あと、基本のキとして精神科5つの入院形態
http://hinata.website/archives/23695182.html
や少年院種別についても覚えておかないといけません。

4.DSM-5診断基準を頭に叩き込む

どの参考書でもDSM-5の診断基準そのものを掲載してある参考書は希有だと思います。なぜならばDSM-5は非常に版権が厳しく制限されていて、診断基準は図表と同じ扱いになっています。図表は著作権による保護の対象になりますので、勝手に引用すれば膨大な使用料を支払わなければならない羽目になりかねません。

ところが診断基準そのものを知らないと解答できない問題が多いです。ここは何としてもDSM-5をポケット版でもいいので買い求めてください。これも読んでみて何が何やらということもあるので、わからないところを参考書や、DSM-5について書いてある「臨床家のためのDSM-5虎の巻」日本評論社1,720円税込や「DSM-5精神疾患診断のエッセンス」医学書院3,520円で補強します。両方とも読みやすいと思います。

繰り返し繰り返しですが、

パーソナリティ障害

A群(奇妙で風変わりなタイプ)
妄想性パーソナリティ障害 (広範な不信感や猜疑心が特徴)
統合失調質パーソナリティ障害 (非社交的で他者への関心が乏しいことが特徴)
統合失調型パーソナリティ障害(会話が風変わりで感情の幅が狭く、しばしば適切さを欠くことが特徴)
B群 (感情的で移り気なタイプ)
境界性パーソナリティ障害 (感情や対人関係の不安定さ、衝動行為が特徴)
自己愛性パーソナリティ障害* (傲慢・尊大な態度を見せ自己評価に強くこだわるのが特徴)
反[非]社会性パーソナリティ障害 (反社会的で衝動的、向こうみずの行動が特徴)
演技性パーソナリティ障害 (他者の注目を集める派手な外見や演技的行動が特徴)
C群 (不安で内向的であることが特徴)
依存性パーソナリティ障害 (他者への過度の依存、孤独に耐えられないことが特徴)
強迫性パーソナリティ障害 (融通性がなく、一定の秩序を保つことへの固執(こだわり)が特徴)
回避性[不安性]パーソナリティ障害 (自己にまつわる不安や緊張が生じやすいことが特徴)

※ 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」のクラスター分けは覚えておきましょう。

統合失調症スペクトラムがDSM-5のディメンションシステム診断によって統合失調症>統合失調症様障害>短期精神病障害>妄想性障害>失調型障害となっていることも特徴です。

「何歳」「6カ月」という年齢や症状継続期間も出題されています。

5.心理テスト

心理テストはどんなテストをどんな目的で取るのか、ということが大切です。

WAIS-Ⅳ、WPPSI、K-ABCII、田中ビネー、PFスタディ、HDS-R、MMSE、発達検査Vineland-Ⅱ、新版S-M社会能力検査、ベンダーゲシュタルトテスト、発達障害検査としてCAARS、CARDID、AQ日本語版、性格検査としてMMPI、MAS、STAI、トラウマ検査のIES-Rは押さえておきたいものです。

6.総括

心理学大学院卒知識を問う試験なのでこれから3カ月しかない、今までノー勉だった人が過去問を解いても合格点に達しない。それでも合格したいのならば世間に出回っている模試やその他のツールを使って過去問全問正解を目指しましょう。

時間との闘いです。非常勤の人は仕事をやめてしまう、家庭人なら家事育児は全てパートナーに丸投げして家族サービスは試験後にするのが賢い選択でしょう。

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