ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:スペース

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ひなた&ふなむし心理学談義 in スペース

1.はじめに

最近心理学関係のスペース(Twitter のラジオのようなもの)を聞いていないなあと思ったので、時間が空いたので自分たちでやってみることにしました。相手は昔から仲良しの駆け出し心理職ふなむしちゃんです。

2.内容

ふなむし:ひなたさんの心理職としての始まりを聞きたいんですけど

僕:すごく生意気だった。新卒なのにバイザー(自分で選べない。官製でつけられてしまう)に英語と仏語と独語で面接計画書とか書いたり…それで当然バイザーから文句が出ると「外国語も読めないんですか?」と言ったり。半年で13 ケースしか持たせてくれなかった。

ふ:13 ケースなら結構多いんじゃ

僕:いや、ほとんど1回か2回で面接終わってたから。あとバイザーが見るともなく給与明細見ていて「頑張ればこのぐらいは稼げるんだぞ」と言ったら鼻で笑って「そんな給料で良く食べられますね」と言ったり、どうせそこの職場辞めてすぐ大学に戻ろうと思っていたから(実際そういう人も多い)もうね、他の心理職から嫌われてさ、やめろやめろの大合唱。

別の心理職の人に胸倉つかまれて大喧嘩になりそうだったけどなんとかそれはケンカしないで済んだw

ところが僕自身が変わったのはバイザーが変わってからかなあ。定年寸前の女の人で、心理面接の技術を教えるというよりも畑に連れて行かれたwもうね、ジャングルみたいなところできゅうりとかすごくでかくて土に触れてだいぶ変わったなあって。

ふ:あーあるある、そういうところって。土に触れて治すっていう方法はすごくあるかも

僕:どちらかっていうと福祉がそういうの多いかな。でさ、なんかこの仕事続けてもいいかなって思ってたら東京の中央に呼ばれて、仕事だけは早かったから、こういうこと言うから嫌われるんだけどさ、行政の事務仕事やらされて、始発で仕事行って終電で帰って、また家に帰ると仕事、9時4時まで仕事してたw(午前9時から午前4時)

ふ:それはちょっと・・・

僕:何年かそんな仕事してて、ああ、もうだめだ、辞めようと思って辞めちゃった。フランス留学とかエサを目の前にぶらさげられたけど「あ、ここにいるともう死ぬ」と思ってやめちゃった。

それから心理の仕事やらなくてもいいやと思って営業の仕事したりしてそこでなぜか成績上げられたから、その技術を生かしてもう電話営業してね、求人も何も出してないクリニックに電話しまくったw。それでたまたま「あ、今探してたんだよね」ってところに就職して、その時無資格だったから、まあ取っておくか、と思って臨床心理士資格取った。あの時資格取ってなかったら心理職やってなかったかも。普通は求人とか探すよね。

ふ:えと、どうやって心理職が仕事探すかってすごく難しいですよね。私の周りは紹介で仕事したり…あと私は心理と関係ない仕事やったり、心理と心理でない仕事の中間の仕事やったり(社会養護?)ああ、やっぱり心理の仕事は好きなのかなあって。イルツラ仕事(「居るのは辛いよ。」居るだけの仕事をしている、デイケアや就労移行施設の指導員など)も面白かった。

僕:そうそう。僕も短期間だけイルツラ仕事やったけど面白かった。あとね、うん、なんかね、コロナの前は学会出ると児童領域の人と仲良くなって飲みに行ったりしてたけど、児童の人ってなんか明るいよね。すごい環境で育った子どもを見ている人でも明るい。子どもって将来があるからかな。すごくエネルギッシュに感じた。

でも心理の仕事にこだわらなくてもいいんじゃない。学部ですごく選別されてGPA(成績評価値)で落とされたりすることも多いみたいだし。

ふ:あー、そうそう、私なんか結構いいかげんに受験資格とれちゃったけど、今学部で選抜されて厳しい GPA 通っても実習行って半分ぐらいは公認心理師なるの辞めて IT系の企業行くとか決めたり・・・

僕:いいんじゃない?その方が。心理の仕事やりたくない人が無理やり心理の仕事やってカウンセリングやったらクライエントさんも大変だし。その方が本人(学生)にとってはよっぽど幸せな人生。心理の仕事はやろうと思えばいつでも戻れる

ふ:あー、そうですよね。で、ひなたさん、若い人に望むことは

僕:持論なんだけどさ、公認心理師に 143 点で受かろうが 200点で受かろうが関係ないワケ。学校のテストだと順位がついて成績がつくけどこれは資格試験だから。だから資格取ってからが勝負。そこからどんどん若い人は頑張って欲しい。若いうちは思い切り体を使って遊戯療法をやったり、特に子どもにかかわって欲しいなあ。

これも僕の持論なんだけどさ。ベテランで一生懸命勉強して仕事をしている人>若くて体当たりするぐらい熱心な人>ベテランで勉強しない人、だと思うんだよね。ベテランだと勉強していなくてもそれなりに仕事はできちゃうんだけどね。だからがむしゃらに一生懸命やって欲しいと思うよ。

ふ:今日はありがとうございました。

僕:また機会があればやろうねえ

3.おわりに

何をしゃべったか、特にふなちゃんがいろいろ話していましたがかなり忘れています。ただ、駆け出しの心理職の人が何を考えているのか、それに触れてかなり僕自身も勉強になった1時間でした。

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◯ 公認心理師上位資格よりも大切なコンピテンシー・新人育成

1.はじめに

2021.8.9Twitterのスペースで「公認心理師上位資格制度」について語らせていただきました。放送直前に本ブログブレーン、S女史とすり合わせをしていたのですが、2人で話していたのはキャリアポートフォリオを描くことよりもまずは新人育成に力を入れて欲しいということでした。

2.内容

⑴ そもそもコンピテンシーとは

コンピテンシーというのはビジネスでも使われる用語です。ぼうっとしてただ朝早く来て夜遅く帰るだけで何もしない仕事のやり方はコンピテンシーが低い、反対にとても忙しく定時内で仕事をしていればそれはコンピテンシーの高い働き方と言えるのです。

心理職のコンピテンシーとしても同じ。「なんの授業を何時間受けたのか」よりもどの程度密度の濃い学習をして何を身につけたのか、が大切になるわけです。

基盤コンピテンシー(心理職と持たなければならない態度)は
・専門家としての姿勢
・反省的実践
←ここ大事
・科学的知識と方法
・治療関係 
(における基本的な能力)
・倫理・法的基準と政策
・文化的ダイバーシティ
・多職種協働


があります。(斜体項目は現任者テキストから抜粋)これらの基盤コンピテンシーは継時的なものではなく、専門家が同時に身につけなければならないもの。(後ほど「機能コンピテンシー」についても語らせていただきます。)

⑵ 新人研修問題

院を卒業しました。さて現場に出ます。これほど新人にとってプレッシャーのかかることはないでしょう。僕は公認心理師上位資格よりもこの新人研修の方が大切だと思うのです。僕なんぞも心理1人職場ですが、これが卒後まもなくだったらどれだけ心細いだろうかと思います。

給料が低い。それでもSVを受けなければならない。一回一万円SVを受けるのに毎週は受けられないから月一にする。これでは新人は育ちません。研究会も自腹です。

この上位資格を作った人たちは大学の先生が多いのでしょうけれどもいきなり新卒後年収500万円ぐらいないとできないことを強要される。「なんだかなあ」と思うわけです。

お金がある団体なのですから(日本公認心理師協会)入会したらSVを新人に無料または破格値で受けられるようにすればいい、そうやってSVデータベースを作ること。基盤コンピテンシーを身につける前にどうやって自分のスキルを高めていくかわからずにうろうろ何年もしてしまうのが現場です。

これらの問題を解決するのが「機能的コンピテンシー」につながると思うのです。

機能的コンピテンシー(能力・できること)はもう少し継時的な視点が取り入れられているような気がします。(斜体は現任者講習テキストから)

・心理アセスメント
・介入
・コンサルテーション
・研究と評価
・スーパーヴィジョン
(をする能力)
・管理・運営
・アドボカシー


さあそこでアセスメント、介入、コンサルテーション、研究…能力etcを誰もから教わらないで行うことができるのか?これは大変難しいことです。全部に力を入れて高いコンピテンシー能力を身につけるのは大変難しいことです。そもそも何に力を置いて身につけるかは上位資格よりも各個人の研鑽によるものだと考えています。

⑶ プラクティショナー制度

一番引き合いに出すべきは看護師だと思います。看護師は卒後教育がとてもしっかりとしていて、看護協会に所属していなくてもみっちりとeラーニングとOJT(オンザジョブトレーニング・現場で教わること)体系がしっかりとしています。

医師や自職種内でも批判があるのは重々承知の上ですが、僻地で医師が行かないような場所に看護師が赴任する。そこで簡単な風邪についての診断名・投薬まではナースがやってもいいという(ナース・プラクティショナーNP)制度は看護師側から提案されていて実際には医師団体の猛烈な反対に遭って実現しないでいる。

公認心理師も試験では薬物動態学を含めて薬理学にも詳しくなる。心身症にはある程度薬物に関する権限を持たせてもいいと思うのです。

もしサイコロジカル・プラクティショナーが簡単な診断・投薬へのアドバイスを行うことができればずいぶん日本の医療は変わるのではないでしょうか。

⑷ 上位資格よりも前に考えるべきこと

上記のことを踏まえて総花的な資格を作っても意味がないし、管轄団体である当の厚生労働省が「知らない」資格を作るよりは、医療保険点数にかかわるような大きな転換点を作って欲しいものだと職能団体に対しては思います。

だいたいお前ら分裂していないで統一して意見を言えるようになれよとも思うわけです。

3.終わりに

キャリアポートフォリオ(心理職としての履歴書)は誰か上位者が決めて勝手に書くものではない。なぜならば自分のキャリアは自分が一番よく知っているからです。

こうやって心理職能団体が分裂して好き勝手なことをやっているといずれ医師団体が上位資格決めちゃいますよ?と思うわけです。

せめて日精協のような医師団体が間に入ってくれて調停役を引き受けて欲しいとも思うのですが、まだまだ問題は山積しているようです。

Twitterスペースは情報発信源としては大変意義のあるものです。今後は「聞き流し公認心理師受験対策」でも流そうかと思っています。

(以上抜粋)
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