ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:スクールカウンセラー

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スクールカウンセラーは不登校を減らせるか?S女史と対談

1.はじめに

スクールカウンセラー制度導入後不登校数が減っていないというニュースを受け、当ブログのブレーンでもある切れ者S女史と話してみました。

2.会話

S女史:週1、場合によってはそれ以下の間隔という構造だとSC一人でなにかするというのは全く現実的でないような気がするわね。

それこそ、SCはコンサルテーションという形で動いた方が機能しやすいと思う。けどその場合、コンサルティーとなる教諭側の理解や能力、対応活動時間が…

というわけで、チーム学校は最初から破綻している絵に描いた餅な気も…それぞれの現場では各々精一杯頑張っているだろうけど、無理して精一杯やらないとどうにかできないなら、制度や体制に瑕疵があるんじゃ?

例えばね、医療の話をするとさ、英国NICEでは破綻しているけどさ、段階的ケアモデル、stepped cere modelに基づいてうつ病等メンタルヘルスの支援体制を築いている。

日本でも緩和ケアの方にも基本的緩和ケア、つまり主治医や看護師によるプライマリーな緩和ケアと専門的緩和ケア、緩和ケア医や麻酔医、サイコオンコロジスト等の専門家と専門支援チーム、緩和ケア病棟と分けて、基本的緩和ケアについての普及を狙っている。

学校においても、児童生徒の心理的問題について、全ての教諭がもう少し知識な対応能力を身に着けて、基本的支援をできるようになると、コンサルタントとしてのSCも機能するのではないかと。

僕:例えば常勤のスチューデントカウンセラー、そしてスクールカウンセラーは博士号を持つような専門家が地区を統括するという考え方もあるよね。

日常的な児童生徒のケアはスチューデントカウンセラーがやる。そして学校全体の体制作りは上位のSCがやってそれぞれの役割を分担する。スチューデントカウンセラーは健康な生徒の一次予防に努める。student mental counselerのような。アメリカのスクールカウンセラーは大抵校長、副校長と同格の管理職。

そういった外部性を明確にした上位のスクールカウンセラーがいじめや虐待など児童生徒の生命にかかわる問題について主導的にかかわっていく。

もっと話を広げれば、児童生徒の健康に直接関わっている養護教諭やスクールソーシャルワーカー、SSWにももっと権限を持たせないとどうにもならない。日本でも養護教諭が校長に登用されることはあるけれどもごく少ない。

心身の健康管理責任者としての養護教諭の役割は大きい。大家族で上の子が下の子を育てるヤングケアラーの問題なんかは子どもに直接接することができる養護教諭、SSW、SCが独立機関として、校内にいても外部性や第三者性をもっと持たせないとダメだね。

そうやってチーム学校の概念を変えていかないと不登校は減らない。僕はチーム学校概念を大幅に変革していかないと、Sが言うように医療モデルを取り入れていってもいい。

S女史:そうできるのが一番良いのかもね。何でもかんでも教諭に任せすぎ。だから例えばスチューデントカウンセラーが基本的支援から担っていき、スクールカウンセラーはマネジメントやコンサルテーションを行う。ティーチャーはメンタルヘルス知識を持ちつつもティーチャーとしての役割をまっとうすることも大事。

そうでないと専門性がケンカして争いあって結局は不登校は減らないということになるのでは?

僕:日本でのスクールカウンセラーは行政職一5級で、地方部局によっては黒塗りの車で送り迎え待遇。それは形式上だけでチーム学校概念の中では教員と同格に位置づけられている。待遇と実情と制度が交錯しているのは混乱と言ってもいい。

3.おわりに

僕は以前からチーム学校制度には反対しています。チーム学校では外部性を持つSCやSSWは管理職ではない教員と同格に位置づけられていて、管理職の指揮下にあることになっています。

どうせチームを編成するのならば、管理職への報告はするとしても、養護教諭health teacherにもっと権限を持たせ、SCや SSWとの連携をまず行い、不登校児童生徒の心身の状態、環境を把握して担任教員とも十分に情報交換を行い、方針を決めることができないとならないのではないでしょうか。

A君が学校に来なくなった。管理職はそれを把握している、それに対して何の有効な介入も専門家に対してさせていない。

これが日本の不登校の現状です。いくら専門家を投入したとしても専門家には権限がなく、介入の力もひどく弱いということでは不登校が減らないというのは当たり前という気がします。

実際、僕も小中学校約30校のSCをやりましたが、学校による温度差はものすごいもので、管理職がカウンセリングアレルギーのような学校も実際にありました。

ただし、ほとんどの学校は養護教諭、SSW、担任との連携はよく取れたので、もっと情報交換をしながら実際に介入するべきチーム編成は現在のチーム学校とは違ったチーム形態になると思うのです。

かなり僕の考え方も偏っていることはわかるのですが、ひとつの話題提供としてこの記事を書いてみました。

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○ スクールカウンセラーは不登校を減らせるか?

1.はじめに

スクールカウンセラー(SC)が全校配置されているにもかかわらず不登校、いじめの数が増加していることが話題になっています。確かにSC配置は不登校、いじめ対策の一環として導入されたという経緯はあるのですが今「果たしてスクールカウンセラーは不登校を減らせるのか?」という大きな命題を突きつけられています。

2.不登校の構造

不登校にはさまざまな要因が輻輳して絡んでいるものと思います。はっきりとした統計を取った数値ではないのですが、僕がSCをしていた時の経験からすると「環境因」は大きかったような気がします。

学業不振、知的・発達の障害(特別支援学級に入れれば登校できることは多いですが親が猛反対している)、虐待による登校禁止、ヤングケアラー(子だくさん家庭で下の子の面倒を見なければならない)、貧困(お風呂に入れない→恥ずかしくて学校に来られない)、いじめ、学級崩壊による不適応感、部活での孤立感etc…です。

3.SCの役割

僕ら心理職は児童生徒、保護者のメンタルヘルス状態をカウンセリングをすることによって安定化を図ります。そして教員から相談があれば不登校児童生徒を登校させるためのコンサルテーションを行うことになっています。

しかしながらこういった不登校対策は教員が抱え込まなければならないことがとても多いです。

これに関しては教員もかわいそうだなあと思うのは、校長を頂点とした管理職からせっつかれていて、管理職も教育委員会からのプレッシャーがあって、日常的に児童生徒を見ていると言っても数十人の子どもたちを抱えている教員は部活顧問を土日に行いながら青息吐息で子どもの家庭訪問をしています。

週イチSC、名古屋市では常勤化したというものの、SCがこういった環境に介入していくことはとても難しいことです。

僕の私見ですけれどこれは何が悪いのかというと「チーム学校」の概念が相当に関連しているような気がします。SCは学校というチームの一員です。ただし管理職、校長、教頭、主幹、事務長の下に位置づけられています。

学級経営を実際に行っている担任や学年主任、特別支援コーディネーター、相談担当教諭と学校の中の役割分担は複雑多岐に絡まり合っています。

アメリカのようにSCが大きな権限を持つ独立機関として場合によっては校長に命じることはできないですし、公認心理師試験に出て来るような、SCが主導的になってプロジェクトチームを作る、というような事は現実には行われていません。

カウンセリングで個人に介入することはできたとしてもSCは環境を変えることはできないのです。

学級に入れない子どもを実際に教室復帰させたことはSCとして働いていた僕にも経験があります。

家庭訪問を何度も続けて相談室登校、保健室登校から教室復帰と丹念に計画を立てながら何人か教室復帰をさせてきまましたが、それはその子の登校に向かう心的準備体制が十分にできていたからで、決して僕1人の力で行えたとは思いません。

あと、学校から離れた場所にある、教室に入れない子たちの支援教室に足しげく通って、不登校である自分に対して強い劣等感を持つ子どもたちのありのままを認めて励ましに行っていました。

結局、学級不適応を起こしていた子どもたちはそういった支援学級を通じて無事高校に進学できた場合が多かった、不登校から引きこもりという子たちは支援学級に来ていた子たちにはいなかったと思います。

学校が怖いからということで夕方から夜にかけて登校してくる子どもと長い間雑談したりと、SCは僕にとっては生の子どもたちの本音を聞ける、とても貴重な体験でした。

だから僕はツイートもしたのですがSCが持っている役割は子どもを学校に来させるためでなく、子どもと保護者の心情を安定化させるためだと思うのです。

SCが期待されている役割としてはいじめや非行に関する対応もあります。いじめる側といじめられる側両方の相談対応をしなければならないことになるのでしょうけれども、まずいじめられた側は「言いつけた」「弱い自分を認めなければならない」ということでの抵抗があります。

そしていじめた側といじめられた側双方のカウンセリングを行うことは弁護士で言う「双方代理」になり、両方からの信頼を損ねることになりかねません。

4.おわりに

ないないできないとSCの側に立って言い訳ばかりをしているように読み取れる記事になってしまいましたが、SCにとっては教職員との協働協業はとても大切なことです。

僕の個人的な見解としてはチーム学校概念ができてから不登校が増加していて、不登校要因はSCにある、とかSCは役に立たない、と結論づけるのではなく、SCの持つ理念である「外部性」を重視しながらの協業体制を作ることが大切と思えるのです。

文部科学省の見解については何が不登校やいじめの要因になっているのかという分析をしっかりとして欲しい、その上でSCの運用、活用の計画をしっかりと立てて欲しいと思います。

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○ 福島大学教職員スクールカウンセラーわいせつ行為疑惑

2021.8.22日曜日付で

スクールカウンセラーの福島大教職員わいせつか 18歳未満の少女に

というタイトルでの記事が掲載されていました。こういったニュースが掲載されるたびに、真面目に仕事をしている心理職が、ごく一部のこういった輩のために信用を落としていくのは非常に残念と思います。

全国で教職員が児童生徒に対して行ったとされているわいせつ事案は確かにその母数からしてみれば多く、時々ニュースになるわけですが、比較して「ほら、母数が多いからスクールカウンセラーは少ないから大したことないでしょ?」という問題ではありません。

スクールカウンセラーは児童生徒から全幅の信頼を受けてカウンセリングを行っています。

こういった事案が生起すると、児童生徒保護者からの信頼もガタ落ちですし、そもそもが「スクールカウンセリング」というものは何をやっているの?という目で見られます。自らの職務に矜持を持って正しくカウンセリングという行為を行って欲しいと思います。

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◯ スクールカウンセラー常勤化の理念と実態

公立学校スクールカウンセラー研究事業は平成7年から始まり、最初はあくまで「研究」だったのですが、平成18年には14の自治体では90パーセント(中学校)配置終了。

平成25年度には「スクールカウンセラー等活用事業実施要領」となり、研究事業から一応予算化された正式な事業となったと考えています。

さて、スクールカウンセラー導入当初から課題、というか日本臨床心理士会の悲願だったのがスクールカウンセラーの常勤化です。

一部の私立学校ではどんどん常勤のスクールカウンセラーを採用、主にその学校の卒業生から名門大学、大学院に進学した候補者を選んでいました(落ちこぼれて不登校になったり中退したぐらいの人がいいと個人的には思ったのですが)。

現在もほぼスクールカウンセラーの主流は非常勤、例外は名古屋市です。平成26年「なごや子ども応援委員会」が発足し、任期付きながら毎日出勤するというスクールカウンセラー制度が導入されました。

もし理論的にですが、毎日スクールカウンセラーを月〜金曜まで非常勤かけもちで行うとことができたら理論的には年収700万円(実際にはそんなに毎日勤務できるわけではないのでありえないのですが)、ところが名古屋市については常勤年収800万円を基準とするという、ワープア心理職としては画期的な制度です。

「理念と実態」という大仰な事を書きましたが、常勤化の理念が実態としてどうなるかは、学校という有機体、特に校長教頭という管理職がスクールカウンセラーという存在をどうとらえているか、そして当該スクールカウンセラーがどういう働き方をしているのかということが実態として反映されているのだと思います。

文部科学省のスクールカウンセラー活用事業では教職員のカウンセリングをすること、というのは重要課題としてあげられていました。教職員のうつ病発生率などが喫緊の課題となっていたからです。

スクールカウンセラーの「外部性」というのは大切なことながら、疎かにされがちです。ある日出勤したら「おーい、◯◯先生が病気で休職したからひなたさんの携帯番号教えておいたよ」と、ひきつった思いをしたのですが、外部性と内部性はSCにおいては大変不分明なところです。

学校の定期の飲み会に学校で誘われたらどうするのか?さしつさされつ宴席で平静でいるのは難しいです。スクールカウンセラーが常勤化されると職員室に机があって毎日先生方と雑談しながら外部性を保っていくのはなかなか難しい課題です。

外部性を貫いているSCの方には申し訳ないのですが、僕のところに「家族の悩み」として子どもの悩みを話してきた人には、担任に話してみようか、信頼できるとしたら副担任?部活の顧問、もしじっくりと話を聞いて欲しかったらスクールカウンセラーもいいですよ。そしてスクールカウンセラーに相談したら自動的に校長まで話が伝わるからいいですよ。

という、カウンセリングに行っても守秘義務なんかないよ、というSCにとっては情け容赦ない話し方をしています。

実際、カウンセリングというのは自分の秘密を守ってくれる、という子どもも心理カウンセリングに対する期待を当然のごとくしていますが、相談した翌日に保護者校長教頭、コーディネーターを含んで会議が行われることが度々あり、子どもから「スクールカウンセラーは秘密を守らない」という不信感につながっていることはとても多いです。

所詮スクールカウンセラーは週イチで数時間しか来ない、どこかにいるかいないか、しかも何をしているのかわけのわからないおじさんお姉さんなのです。

家永理論の「チーム学校」は子どものころからカウンセリングに対する不信感を醸成するということを余儀なくさせています。

バレンタインデーに「友だちだと思っていたAちゃんから友チョコもらえなかったよ、うわーん」という相談室に来た女の子の話をきちんと担任に伝えて、担任がしっかりとした人だったらそれとなくAちゃんとの仲を取り持つようにしてくれますし、担任はそういう情報を伝えてくれたSCに感謝します。

ところがどうでしょう。解決したといってもこのSCとしての不全感は。いくらなごや子ども応援委員会にSCは所属していて、校長の配下にないという形態であっても子どもはそうは見ませんし、SCも校長もそう考えてはいません。朝礼に出ない、とかカウンセラー室に詰めている、としても内部の人です。

終身雇用制ではなく、任期制ということで、なごや子ども応援委員会にSCは首根っこを掴まれているも同然なので、きっと学校からクレームが行けば次の年の採用はない。とSCは思って仕事をしています。

これは名古屋ではないのですが、とあるSCと校長との、生徒の守秘義務をめぐっての激しい軋轢に県教委がより激しく校長を諫めて不愉快な校長が定年するまでSCは安泰に勤められたという例外もありました。

結論:チーム学校は理念そのものは間違いはない。ただし、校長が頂点となったチーム学校の中の最下位にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが置かれるのはおかしい。スクールカウンセラーは外部性、というよりも外部機関として任期なしでの常勤化をされていかないと学校の相談機能はSCにはできなくなるだろう。ということです。

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◯ 揺らぐスクールカウンセラー体制

さて、色々な自治体がスクールカウンセラーの募集要領に、以前は任用資格の中に臨床心理士かトップでしたが、今年度募集要領から、公認心理師がトップになりました。そのため、スクールカウンセラー採用有資格者数が跳ね上がったことは想像に難くありません。

それでは公認心理師と臨床心理士の両資格を持っている人が採用に有利かというと、どうも全然そういうことはない事態になって来ているようです。

教員経験者、教育相談経験者で現場経験が長い人たちが優先的に採用されているのではないか?と思うのです。

大都市やその周辺の自治体だと毎年採用試験を行って、そこで採否を決めます。自治体によっては応募者の中から「A中学校のスクールカウンセラーやってくれません?」と直接電話でハンティングされるという、書類審査だけのところもあります。

今回、今までスクールカウンセラーを毎年受験して合格し続けていた人が落ちているのを散見します。試験ですから公正に行った、と言われればそれだけですが、果たしてそれだけでしょうか。

スクールカウンセラー採用のパイは少子化の影響で、増えることはないでしょう。ところが公認心理師が一気に増えました。ここから先は僕の想像、というか邪推になってしまうのですが、とある自治体ではスクールカウンセラーが週一行くほかに◯◯相談員として学校から相談業務に興味がある相談員を雇用していました。

時給千円行かなかったぐらいの待遇で、「スクールカウンセラーは時給か高くていいわねえ」と何十回言われたかわかりません。

中学校教員は朝早く夜遅く土日もなく、大変ハードです。そこで途中で学校を退職して◯◯相談員として残る人もいます。

子どもが好きというのは素晴らしいことです。そして学校教員時のは年々採用試験が難化していて、僕がスクールカウンセラーとして働いていた時の教員たちはもれなく頭がいい人たちでした。教員経験者、現役教員でも公認心理師取得した方々は多かったでしょう。

臨床心理士として他の日は老健施設で働いていますとか、女性の職業観とアイデンティティの研究をしていますとか、採用する側の学校にとってはで、それが一体なんなの?と思われてしまう可能性が高いです。

かつて某自治体では臨床心理士半分、ヤメ教員半分のスクールカウンセラーの募集を行っていました。ヤメ校長がスクールカウンセラーの大半を占めていて、自分が元いた勤務校に配置してされ、誰も相談にこなかったとか。

そりゃそうでしょう。一日中カウンセラー室にこもってお茶を飲んでいるのではなく、スクールカウンセラーはフットワーク軽くきちんと学校のニーズを聞き出し、家庭訪問に何度も行って、特別支援学級や不登校支援学級に行って、不登校支援学校や教育相談相談所にも行って、つなぐという、僕のイメージはそんなものです。
(異論は認めます。)

スクールカウンセラーはその「外部性」が大事だと文部科学省も何度も言い続けてきました。外部の専門家がチーム学校(という概念はキライですが仕方ない)の中で管理職が仕事をしやすく補助するというものです。

ところが公認心理師を今回取得した中にはヤメ教員やヤメ校長、無資格だった教育相談経験者も相当数いるのではないのかな?と思うのです。

採用試験を行う側では「◯◯さん、一生懸命やってるけど資格がなくてお給料安くて大変だなあ」とか「あ、元校長の△△先生だ、これは絶対に落とせないなあ」「この前まで一緒に仕事してた@先生だな」人間、人情があるのでどうしても知り合いに肩入れしがちなものです。

子どもたちから「どうやったらスクールカウンセラーになれるの?」と聞かれてそれはそれで嬉しかったのを覚えていますが「えっと、まず教員採用試験に受かって20年ぐらいやってから退職して」というような夢をぶち壊すようなことは言えません。

今の学部生でも院生でもスクールカウンセラーになりたい、という人たちが多いのは知っていますが「ちょっと待って、その選択は正しいの?」と思ってしまいます。

中高生でスクールカウンセラーを目指したい人の夢を壊すのも忍びないのですが、公認心理師制度導入によって、スクールカウンセラーの「外部性」はまた再び揺らいでいるように感じています。

校長、教頭、主幹などの管理職が心理の専門家としてのスクールカウンセラーから専門的意見を聴取してそれを学校運営に役立てるのであればそれはチーム学校に役立つのでしょうけれども、そこでねじれを起こしてヤメ校長あたりが現校長に批判的な態度を心理学的な見解を混ぜながら言うと外部性も内部性もごちゃごちゃになります。

このあたりは大変難しい問題です。公認心理師資格を持った教育現場経験者が外部性を絶対に持てないわけではありません。そしてこのスクールカウンセラーの外部性は教育現場からの批判にさらされ続けてきました。「心理の見方は現場を知らない」「スクールカウンセラーは全部子どもの相談を秘密にして甘やかしているだけ」

僕が勤務した某中学では子どもは昼休みだろうが放課後だろうがスクールカウンセラーに相談する時には担任の許可を得て、スクールカウンセラーはその相談結果をレポートにしてまとめなさいと言われて息が詰まる思いをしました。

まあそこは極端で、ほぼほぼ全ての学校ではとても楽しく仕事をさせてもらっていました。学校は集団守秘義務があるから子どもの話したことをきちんとチーム学校では連携して共有しなさいというのがスクールカウンセリングの建前です。

そのためにスクールカウンセラーにしか話したことがない事実がだだ漏れになり児童生徒が二度とカウンセリングに来なくなることも今でも事実として多々あります。これから外部性が揺らいでいくと学校のカウンセリング体制はどうなるのか、大元の文部科学省にも各自治体に対し、教育経験者を雇ってはいけないとは言いませんが、どうやったら外部性を担保できるのか、チーム学校のあり方を見直してみたら?と思うのです。(公認心理師試験ではそういう考え方をしてはいけません。)

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