ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:サイコロジカルプラクティショナー

6582124D-4310-4D7C-A4EF-1771FC6B83B6

photo & lyric are by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
ʙʟᴀᴄᴋ'
個性の正体は真似ごとの集合体であり、その組み合わせ方に依って色合いが決まる。時にそれは相まって真似ごとの域を超え、眩い光を放つ。そんな、まことしやかに頭の中で木霊する言葉もまた、真似ごとの寄せ集めだから、と。
#coregraphy

○ 公認心理師は医行為ができる医学専門家になったの?

1. 序

さて、医師は医行為の一環として「特定疾患医療管理指導」ができるのですが、公認心理師試験、特に第3回試験の中ではめちゃくちゃ多くの身体疾患が出ていて、それに関する知識が問われています。厚生労働省運用基準では「服薬指導はしてはならない」とありますが、運用基準はあくまでも運用基準、法の下にあるものです。

何が医師しかできない専権の「医行為」か、そうでない業務なのかは線引きが難しいです。医師法第17条(医行為の定義)にも健康指導のことは書かれていません。元々保健師も健康管理指導を行うことができなければ業務になりませんから健康指導は医行為ではないはずです。

生物一心理―社会的な相談は全て医行為に当たるというのであれば、誰も相談業務を行うことができなくなってしまいます。

さて、これまでの試験を振り返ってみます(一部抜粋)。

第1回試験
問24 パーキンソン症状
問33 せん妄
問55 向精神薬とその副作用
問104 アカシジア
問133 Ⅱ型糖尿病

北海道追試
問36特定妊婦
問57 SSRI 副作用
問77 非定型精神業薬、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、SSRI からの選択
問103 抗精神病薬の錐体外路症状

第2回試験
問31 オピオイド副作用
問56 女性更年期
(選択肢エストロゲン分泌、ゴナトドロン等)
問70
※ なかなか医学用語満載
炎症マーカー亢進及びクレアチンキナーゼ(CK)亢進、尿暗赤褐色
選択肢 熱中症、悪性症候群、急性ジストニア、セロトニン症候群、単純ヘルペス脳炎
問115
糖尿病リスク
うつ病、認知症、勃起不全症、肥満とI型、II型
問116
ベンゾジアゼピン系受容体作動薬副作用

第3回試験
問13みなさんから評判が悪かった摂食行動制御、亢進分子グレリン、レプチン
問19 IBS(過敏性腸症候群)
問29 糖尿病
問30 甲状腺機能低下症
問31 抗精神病薬の副作用
問41 睡眠薬副作用
問51 インシデントレポートの作成者
問94 遺伝カウンセリング
(なかなか選択肢が難しい。「経験的再発危険率」が最も重要な疾患としてあげられているのが統合失調症、ダウン症候群、Huntington 病、家族性Alzheimer、筋緊張性ジストロフィー症。)
問106 薬物動態学
問120慢性疲労症候群
問131 むずむず脚症候群(レストレッグ症候群)
問133 高齢者に副作用が少ない睡眠薬(2選択)
(選択肢、バルツビール系薬剤、フェノチアジン系薬剤、オレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬)、ベンゾジアゼピン受容体作動薬

さて、ここまで読んできて、特に第3回試験では「とてもマニアックな」(某看護師談) 医学系問題が出ていたわけですけれども、果たしてこれらの知識がカウンセリングを行う公認心理師に逆に「身についちゃっていいワケ?つけちゃっていいワケ?」と僕は思うのです。

例えば「ああ、ハロペリドール飲んでるんですね、それでアカシジアが出た。アカシジアはレストレッグス症候群でもありますから、足がつっぱって眠れなかったり、さぞ苦しいことでしょう。アカシジアは定型精神病薬でも非定型精神病薬にも出ますからね。抗パーキンソン剤でアキネトンが出る場合もありますけれども、うーん、使わないべきだっていう教科書もありますけど、どうしたらいいんでしょうね」とか、

「いやいや、バルツビール系は昔は使われていましたけれども、どちらかっていうと麻酔効果が強いからなか今い使わないんですよ。CP換算値でも強めに出ることがあるフェノチアジン系のクエチアピンはどうなんだろう?ベンゾジアゼピン系は依存性や耐性が心配だし、そうそう、最近はオレキシン拮抗体作動薬スポレキサントとかメラトニン受容体作動薬のロゼレムなんかは侵襲性が低いんですよね」

とか、そんなことを面接中に話しちゃっていいんでしょうか?まあ僕なんかは話すこともある人なのですが「ラツーダのアカシジアが辛くて抗パ剤が効かないんですね?」等患者さんに言っても別に「服薬指導」ではありません。

ま、むしろそういう情報をカウンセリングの中で拾って医師に伝えて欲しいのかもしれませんがこれまでのカウンセリング理論にはそういうやり取りは含まれていませんでした。

服薬指導はダメなら運動指導や生活習慣改善指導ならいいわけならいいのでしょうか?レストレッグス症候群に運動を勧めるのも水分補給を勧めてもいいわけなのでしょうか?

もっと言うなら、生活習慣病や心身症についての医学知識を話してもいいわけだと思います。

そういった行為は「医行為」や業務独占行為とばかり思っていたのですが、疾病の原因は何にあるか、人口の何パーセントがこの病気を持っているか、男女比は、診断基準は(診断はしない。)、治療法は、などと患者さんに話してもいいわけなんでしょうか。

とある薬を飲んで副作用が出た、薬物動態学的にだいたいいつぐらいに薬が抜けるだろうかということを、別に医療関係の公認心理師でなくともほか 4 領域、意図的に隠された領域の私設開業領域の公認心理師だってこれらの知識があれば積極的に話題にしてもいいことになるでしょう。

さて、上記僕の主張した内容の選択肢を試験で選んだら誤答(すなわち逆の選択肢を選んだら正答)となるわけです。

心理の方が医療のイニシアティブを取るという点で医療領域に勤務している心理職は、患者さんがかかっている医療機関が「向いてない」と思うと変えさせたことはありませんか?僕はあります。

たとえば PTSD や発達障害、この疾患、障害を正確に見立てて(せめて患者さんの妄想だろうと決めつけないで現在の状態を見て的確に投薬ができる)共感してくれる医師や心理職がいる医療機関は地方に行くとなんと少ないことか。

結局患者さんが7~8カ所ドクターショッピングをする、ということが何例かありました。

ドクターショッピング大いに結構、クライエントさんにはカウンセラーショッピングをする権利もあります。「これは医療の領域だから口に出さないでおこう」と躊躇をすることはないと思います。

僕の勤務している産業医療領域の小さな診療所で精神科医が常駐していない、次の受診期間まで時間が離れているとか、幻覚妄想状態に陥っていて暴れて周囲が困り果てていて拒薬している患者さんに薬を飲んでもらって沈静化させるという行為は間違っているとは思っていません。

せっかく公認心理師試験が心理職に診断知識を覚えなければならない機会まで与えてくれているのですから、どんどんその知識を使って「プレ診断」的行為を行ってもいいと思うのですがいかがでしょうか。

このまま医学問題が公認心理師試験の中で増えていけば、医師の権限を一部行うことができる「サイコロジカルプラクティショナー制度」創設も可能になるかと期待していいかもしれません。

B83795A1-70D9-4054-965D-79EAADE5B0B6

photo&lyric by SORA (@Skylit_Blue)
晴天の陽をうける幾何学模様が好き。


○ サイコロジカルプラクティショナー制度 

1.序 

ナースプラクティショナー制度は、アメリカでは実現されています。患者さんにプライマリーケアを提供、医師がいないへき地では医師のかわりに常駐、診断、治療などを独自で行うことができます。

そのためには通常の看護師よりも高等教育を受けなければならないという制度です。州によってさまざまな取扱いで、簡単な診断、投薬などを行うことができます。

さて、アメリカの臨床心理士は博士号取得必須、基礎心理学中心の出題になっていますが、合格率 50 パーセント、州によっては投薬治療もできる場合があります。

本格的なナースプラクティショナー制度は日本では医師会の猛反対に遭って実現していません。

2. サイコロジカルプラクショナー

さて、標題に書いたサイコロジカルプラクショナーについては、実は第1回公認心理師カリキュラム等検討会(2016年9月20日)でも話題に出ていました。盟友うさネズミさんが、公認心理師に関する情熱が感じられてとても迫力があっ
たということなので、僕も再読してみたわけですが、多職種連携、医学知識、文系理系の問題、子安構成員、石隈構成員(双方とも心理・子安委員は日本心理士会。石隈委員はスクールカウンセラー団体代表)によるプラクティショナー制度に言及しています。

また、その後に開催された 2016年11月4日第1回公認心理師カリキュラム等検討会ワーキングチームでは日本臨床心理士資格認定協会評議員吉川構成員は、公認心理師制度について、きちんと制度が施行されたところで、待遇面はどうなのかということについて資格の重みづけについて述べていました。

各々立場は違うものの、医師の構成員からは出ていなかったサイコロジカウプラクティショナー制度について心理の立場から言及があったことについてはこの 2016年という初期の検討会で話があったことが大切だと思います。北沢座長(内科医師)は公認心理師が多職種連携をする上で、医学一生物学的な知識なしで文系の心理師が医療の世界で多職種連携はできない、現状で心理職に対して医学的知識を持って欲しいと述べていることから、公認心理師試験は医師団体のその意を受けて医学的な知識が相当に重要視される試験となったのでしょう。

脳神経系解剖学、神経心理学、一般医学、医療知識、医療関係法しかり、どれも公認心理師という横断的な「5領域」を標榜するのに必要な知識として扱われています。司法で言えば家庭裁判所調査官の上司は当該家庭裁判所所長である裁判官、矯正で言えば同じ心理職や行政職の施設所長が上司となり、精神医学的な知識が必要となることはあっても、詳細な身体系医学の知識は不要なわけです。

しかしながら横断的資格としては「公認心理師」という資格所持者は一定の医学的知識があり、医療にも対応できるし基礎心理学にも通暁しているという高レベルの知識が要求されているわけです。

医療における公認心理師の立場は医学的知識を持っていても心理職としての立場が臨床心理士よりも劇的に高くなるということはないわけです。

そしてアメリカのようにナースプラクティショナー、大学院レベルの医療知識を持っていたとしても、看護師はたとえ感冒であっても診断、投薬はできません。

公認心理師が専門的医療知識を要するというだけでも従来の心理職とは毛色が変わった資格になっており、そこはきちんとした評価の対象になるべきですし、ここに至るまでは多くの医師団体の意見を取り入れ、試験委員にも多くの医師が入っています。 

医師団体がかなり出題に医療的な色彩を入れたことによって、公認心理師そのものの現状での制度がプラクティショナー的な色彩を持っていると僕は考えます。確かに医行為はできなくとも、集団精神療法や医療機関におけるペアレントトレーニングは医師の関与がなくても実施可能なわけですし、医師が行った場合のカウンセリングと、公認心理師が行った場合のカウンセリングの保険点数にも差異がなくてもいいわけです。

公認心理師上位資格には僕は首尾一貫して反対しています。学会認定資格であろうが、権限はない、ただ専門性が高いぞ、お前ら取っておかないと就職に不利になるぞというような赤貧を洗うがごとくの心理師から資格商法で金を巻き上げようとするよりも「権限を与えます。そしてそれに対する対価も払います。そのためにはきちんと勉強してください。そのための試験(学歴)はこうです。」

と言われれば、それはただの二階建て資格ではなく、新たな資格として認められると思います。特に災害時のサイコロジカルファーストエイドについては、大規模災害の際にはD-PATチームを指揮できる公認心理師の有資格者を養成してもいいと思うのです。

精神科医における精神保健指定医と同じような制度です。さて、果たして医師団体がそれに対して賛同してくれるか、ですが、医学部定員増員に対しても医師会は既得権益擁護のために反対 し、明らかに国民の利益になるはずのナースプラクティショナー制度にも反対しているので、サイコロジカルプラクティショナー制度を打ち上げようとしたら猛反対されることは間違いないでしょう。


↑このページのトップヘ