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人生に絶対はない
あるとすれば
命には限りがあるということ

だからきょうも時を抱きしめて ໒꒱⋆゚


◯ ケース検討会と個人情報inspired by第39回心理臨床学会

※ この記事は学会にインスパイアされて自分自身の経験を語っているものであり、学会内容について触れているものではありません。

1.そもそも論・インフォームドコンセントと個人情報保護

心理職、あるいは精神科医でもそうですが、インフォームドコンセントIC概念はかなり行き渡っています。他機関に勤める心理職が参集して個人を匿名化、特定したとして配布資料を回収したとしてもケース検討会にケースを出していいのかどうかということです。

確かに個人情報保護法の観点からはクライエントさん、患者さん個人の了解は得なくても高度な匿名化がされていれば事例研究会はできます。さて、こういったケース検討会が日常的に行われていることについて、当事者である方々の納得がいくものかどうかということについてです。

学会発表や論文の場合には説明書を渡して同意書にサインをしてもらう。これは最低限の倫理として当たり前のことですが、ケース検討会の場合、事前にレジュメを見せて患者さんに了解を得ていますか?

レジュメに

1.終始否定的な態度を取り敵意を持つクライエントへの接し方 

2.境界性パーソナリティと診断されているが本人がそれを医師から知らされていない場合の介入のあり方

について検討をお願いします。

⬆️
と書いていてクライエントさんが見たら、1発でクライエントさんが激怒して❌です。もう来ないでしょう。

一般的に院内で多職種で患者さんへのかかわり方を考えていくためには情報共有は必要です。

公認心理師試験だと「患者Aが『お医者さんにはクスリを飲んでないことを黙っていて欲しい』と懇願されたので秘密保持義務の観点から誰にも報告しなかった」(こんな意地悪な問題は出ないと思いますが)→❌です。

多分治療契約時に院内なのできちんと主治医には伝えると言ってから始めるのですがこちらは50分、医師は3分だとどんどんこちらの秘密がたまっていきます。

で、困って病院、教育、司法などさまざまな人たちが集まるケース検討会にケース提供したいのはわかります。

クライエントさんの了解は必要なんでしょうか?困っている事例ほど検討会には出したいものです。

それはきちんとクライエントさんの理解を得ていますか。

ここは問題提起にとどめておきます。僕にも明解な答えはありません。

2.ケース検討会の厳しさ

⑴ とかく厳しい

僕の初任はSVもいて心理職複数職場のなかなか大所帯の職場でした。

SVは職場で決められるのですが僕は独語仏語が読めんのかとか、SVにしては給料安いじゃないですかととかく生意気。

ケース検討会も厳しく、レジュメをSVに読んでもらって配った後にSVが「こいつの言ってることは違います」と背後から機関銃を浴びせられる。

いつも辞めろ辞めろと言われる。飲み会では熱い焼酎をかけられると粗暴極まりない。わりかしそういう検討会が多く、終わったら忘れて明日から普通に仕事をしようかというと余計ギスギスしたのを覚えています。

SVが「ケース検討は殺し合いです。始めましょう」(本当)と宣言したので多分そこの職場の風土+僕の個性ですがその後も自己主張をするバイジーはとてつもない目に遭っていました。

今そういう職場は多分ないでしょうけれども潰し合い目的を職場の人間関係そのまま持ち込むのはどうかと思います。

⑵ 普通に厳しい

「厳しい」というよりは介入がもっと必要なのにしなかった。間違った介入をしている。

明らかに見立てがそもそも違う。というかカウンセリングではなくて別の専門家の対象だろう。

福祉や医療や行政・弁護士がからんでいて別機関が全く別の見地からアドバイスをしていて今もうこんがらがっているのにお前がカウンセリングするとかそれやめとけ。   

おまそれ医者の仕事。

そんなに依存させてどうすんの?

↗︎まあこれはわかります。

僕は結構人に対して厳しいと思います。

・何の意図があって介入しているのか?
・中・長期的な視点は?
・提供者がこの事例で行った治療契約と同盟は何か?終結への見通しは?

結構キツイらしいです。

3.心理職はケース検討運営が凄まじく下手

毎回毎回感じていることです。ちな他職種のことはよくわかりませんが医師同士は多忙で下手なケース検討会の運営自体や提供者に厳しく指摘をされる。これは十分アリだと思います。

1時間のケース検討会に20ページの資料を持ってきて、読み上げていたら検討時間5分、ケース提供者はアホかと。

資料は2時間でも簡潔にA4、12ポイント4枚、要するにA3表裏で発表者が補足説明しながら質問受け付けすればええやん。要点をきちんと簡潔にわかるように書けばいい。

なぜごちゃまぜの生の情報を全部出すのか。整理してから事例提供しろ。それともお前の頭の中はこんなにごちゃごちゃのままカウンセリング何の見立てもないまま行ってるのか。それじゃ確かに要約できないわな。

要約しすぎるとわけわからなくなるのも事実です。有名ですが、Amazon社はパワーポイントを禁止しています。あとで何を言ったのか記録が残らなくなるからです。ケース検討会はパワーポイントのプレゼンほど省略しなくてもいいです。ケース検討会は医療安全委員会ではないし、事故調査委員会でもありませんので詳細である必要性はありません。

あと、ケース検討会で、キミは博識なのか?ということはわかるのですが、残された30分の自由討議の時間の中で15分持論を喋っている奴はバカモノと思っていますがそういう心理職の人は多いです。お前だけが喋りたかったら外で講演会やれ。

あと輪番制のケース検討会で「順番なので特に検討して欲しい事項もないのですが」と言われると最初は脱力しますがそういう人の出したケースに限って指摘される箇所は多いです。生半可な姿勢はスタートから厳しい目で見られます。  

受容から始まる心理職は思ったことをあまり言わないからなのでしょうがイラッと来ます。

4.優しいケース検討会

⑴ ピカジップ法?もどき

この形式のケース検討会に出たこともありますが僕には合っていないと思いました。

ケース概要は短冊1枚程度に箇条書き。メモ禁止批判禁止。情報量が足りないので質問だけで時間が終わりです。

それか?と思うのはセンシティブで人からの意見も検討も批判もされたくもない人が提出しているような印象を受けています。

だったら事例出さなきゃいいのにと思うやり方が、それとも司会者が稚拙なのか思いました。

⑵ 真に優しいケース検討会  

スクールカウンセラー時代、こじんまりした地域で数人ぐらいで集まってケース検討会、というよりはケースはきっかけで、A中学の教頭は厳しい、とか今度転勤があるようだ、とか、土地や地域の情報を和気あいあいと情報交換の会は大変楽しかったです。

誰かが今度博士課程に進むんだあと言うと、おおと言って拍手したり、いろいろアドバイスが飛びかったりと、あのケース検討会はお互い癒しの場だった。同じ目線の仲間だなあと実感しました。

5.総括  

僕は正式な形でバイジーを持ったことはありません。せいぜい雑談でその組織の特質やその組織のあなたが不満を言った人はあーじゃないかこーじゃないか、お前大変だなあ気落ちするのはわかる。

いつでも連絡よこせと言うだけ、と思っていたのが命の恩人めいたことを言われて驚くことがあります。逆に離れていった人は僕を嫌っているのかもしれません。

誰かのアドバイスは欲しい、ケースフォーミュレーション(マネジメントのようなもの)をうまくこなしていきたい。というためにはまずかっちりと自分の足元を固めていきたい。

心理職がお互いに参加しているケース検討会がどれだけその役に立っているのだろうと思うのです。

僕はちな、ケース検討会前後の心理職のかかわりが大事なのかなと思っています。休憩中の雑談とか、その後の個人的な感想の交換が一番楽しいし実があると思っています。

みなさんそこまでは考えていないのかもしれないのですが臨床哲学の交換をケース検討会前後のやり取りで共有できているような気がします。