ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:ギャンブル依存症

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◯ 公認心理師医療保険適用正式決定可能性濃厚・ギャンブル依存症対策

厚生労働省は12月11日、ギャンブル依存を保険点数化することを発表、保険点数340点(3400円)集団精神療法の対象とすることに決定しました。

元々国営カジノ運営にかかわるIR法(統合型リゾート法)について「ほら、僕らはきちんとギャンブル依存症対策やっているものね。」

というアリバイ作りのマッチポンプにしか思えないなあというのは下世話で余計なお節介で、以前からギャンブル依存症対策に公認心理師もかかわらせることは政策としては決定済みでした。

医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士若しくは公認心理師がかかわると保険点数になるわけですが、

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00056.html
(参照)

○外来医療(その3)について
p57

p61には薬物依存治療について公認心理師の関与を保険点数化することが認められています。

拙ブログでも一度記事にしているのですが

http://hinata.website/archives/17773858.html

首相官邸が鳴り物入りで作成したこの ギャンブル等依存症対策推進基本計画(案)

は、競馬対策に農林水産省、モーターボートレースに国土交通省、相談拠点設置に厚生労働省、総務省、依存症家族支援のために厚生労働省・消費 者庁・警察庁・金融庁・総務省・法務省・文部科学省・農林水産省・経済産業省・国土交通省、多重債務相談窓口の相談体制の強化【金融庁】とおよそほとんどの省庁、大臣がかかわっているわけです。

青少年教育には文部科学省のギャンブル依存教育、多重債務者には財務省と至れり尽くせりです。

金融庁もギャンブル依存対策に「心を砕いて」いるように見せようとしてか、ギャンブル依存症の患者さんが借金しに来るのを銀行員が食い止めるという荒技をするようにと勧奨しています。

お金を借りに来る人がギャンブル依存かどうかのアセスメントはどうするの?

新しくギャンブル依存度テストを作るの?

本人が嘘をついていたらどうやって見抜くの?

銀行員にも公認心理師が配置しなければならず、公認心理師活躍の場、第6領域として金融分野にも職域が広がるのではないか?

と思った次第です。

そんなにIR推進法(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)を通したいのか内閣府、首相官邸と思うわけですが、

建設に5兆の内需、運営に2兆円の利益が見込めるとあらば、日本経済が相当に潤うことは間違いありません。

観光、カジノ売上げ、雇用促進といい事づくめに錯覚させる本法案は、実際にはギャンブル依存症の貧困家庭を生み出すでしょう。

そうすると当然児童虐待は増加すると思います。

いくら心理職が頑張って治療に取り組んでも依存症は増えるわ虐待家庭やDVも増加して、果たしない作業になってしまう事を危惧しています。

そうは言っても以前から依存症治療に真面目に取り組んで来た医療機関はきちんと対応せざるを得ないです。

全国にあまねく配置されていなくとも、国立久里浜医療センターや他私立病院でも依存症対策に熱心に取り組んでいる著名な機関は数多いです。

また自助グループもありますが、一気に依存症患者が増えたらお手上げでしょう。

専門医療機関でなくてもやって来た依存症患者さんの治療に四苦八苦しながら当たらざるを得ないです。

そして一番の問題は依存症は病識がない人が多い事です。

「もう10万円ぶっこめばこれまでの負けを取り返せるぜい」と湯水のように諭吉さんがマシーンに吸い込まれていく様子が目にみえるようです。

また、問題は依存症治療機関と国営カジノが近ければいいのですが、治療を受けたい、受けさせたい人が治療機関からとても遠くに住んでいる場合です。

どんな依存でも自分の意志だけでどうにかなるのはほぼほぼ不可能です。

そして心理職は良く知っている事ですが、依存症の人は他の精神疾患を併発している場合も多いという事です。

依存症の人は何にでも依存しやすいので複数の依存を抱えている場合があります。

双極性障害の人は躁転した時には金遣いが荒くなり依存の問題が出やすいですし、希死念慮が高い様々な疾患の人はうつ病や適応障害、PTSDを含めて依存を断ち切れない人もいるでしょう。

ベースラインとなる基礎疾患があり、それに加えて治療者が依存の問題を取り扱っていくのはとても困難な事に思えます。

依存症は効き目のある投薬治療ができず、心理職の出番が多い疾患です。

中央社会保険医療協議会(中医協)440回で定められた依存性対策は薬物依存もターゲットにしていますが、国家として様々な依存症対策に取り組んでいるよ、というアリバイ作りにしか思えないのは果たして僕だけでしょうか。

既存のぱちんこ(平仮名にすると可愛いのか?といつも思う。)依存、薬物依存治療は付け足しで、そこに隠れた意図を見てしまうのです。

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(一面の芝桜)

◯ ぱちんこ店に公認心理師が配属される時

ギャンブル等依存症対策推進基本計画2019.4.19が本格的に施行される決定が出ました。(pdf資料)

パブリックコメント(政府案に対する意見聴取)(pdf資料)と修正意見を読んで、かなり興味をひかれたので今日はそれについて書きます。

中でも「なるほど」と思ったのは「いっそのことぱちんこ店に依存症対策者を常駐させたらどう?」という意見でした。

確かに、事件は現場で起きているのですし、「ひなたパーラー依存症対策専門官 公認心理師室長」がいてもいいではないですか。

そもそもこの計画の設置部員は
(設置根拠)

一 国家公安委員会委員長
二 内閣府設置法
(平成十一年法律第八十九号)第十
一条の特命担当大臣
三 内閣府設置法第十一条の二の特命
担当大臣
四 総務大臣
五 法務大臣
六 文部科学大臣
七 厚生労働大臣
八 農林水産大臣
九 経済産業大臣
十 国土交通大臣

とそれにまつわる行政担当者の面々で、もうこうなると日本国家がオールスター総出演、肝入りで対策本部を作っているわけです。

金融庁がギャンブル依存症患者には銀行は金を貸すなというガイドラインがあることを僕も記事にしましたが、消費者金融の無人対応機もあるのでテキトーっぽい。

なぜ政府がこの時期にいきなりこういった計画を推進するかというと、巷の噂ではどうもIR実施法(公営カジノ法)が2018年4月18日に成立し、内外から莫大なお金を吸い上げるのに、「ほら、政府はこんなに依存症対策もしてるじゃん、だから公営カジノも安全なんだよね

という実に頭が痛い意図が透けて見えるわけです。

そうすると僕はやっぱり
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(総製作時間10秒)

と思うわけですが、国家予算が枯渇している中で外国人をカジノに誘致できる大型施設は政府にとってはかなり魅力的ですし、日本人も多く利用することになるでしょう。

「健全で/家族連れで楽しめて /上限が来たらやめて/賭け金額をあらかじめ決めておいて/負けても取り戻そうとしないで/最新鋭の射幸心を煽る楽しげな機器に別れをさっと告げ/気持ちのいいゴージャスな空間から抜けられる」

そういったギャンブラーが日本人外国人問わずたくさんたくさん公営カジノ(たぶん2022年以降開始)に来て欲しいわけです。

心理職としての良心から言わせていただきますが、人を依存状態にさせて依存症被害者を出すことは簡単です。

さて、多くの小児性愛加害者は加害者一人当たり数百人以上の被害者を出しています。

なぜなら彼らにとっては日常的な行動の一環で、相手は子どもならだれでもいいからです。

ところが一回の被害を受けた被害者のケアのためにどのぐらいの医療機関関係者がどれほどの努力をして回復させるか、場合によれば数十年がかりです。

行動依存加害者のせいで医療を受けないで自ら命を絶つ人も多いのです。

国家がわざわざ依存症を敷衍していく、犠牲者を多く出す、そのエクスキューズ(言い訳)のためにこの施策を行っているように感じられてなりません。

パブリックコメントの中にギャンブルを廃止しろ、という意見は多々あったと思いますが掲載はされていません。

医療、医師も含めて公認心理師も関係医療従事者も確かにコマの一つでしかありません。

医師をはじめとした医療者も心理職も与えられた環境の中で必死にやります。

GAギャンブル・アノニマス(自助グループ)の参加への情報提供もします。

カウンセリングも必死にやりますが、やはり生きることをやめてしまう人も多い、心理職にとっては依存に対するたたかいは大きな課題です。

なお、このパブリックコメントの中には明らかに心理職団体の意見として、臨床心理士を含む心理職を医療で活用して保険点数化すること、矯正施設、教育場面でも活用することというものがありました。

僕としては作業療法士がこのギャンブル依存症にパブリックコメントを経て関与させることができるようになったのは大きな収穫だと思いました。

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◯ 首相官邸が公認心理師をギャンブル依存症防止対策施策に活用決定

政府は4月19日に第2回ギャンブル等依存症対策推進本部会を開催し、喫緊の課題としてギャンブル等依存症対策推進基本計画案を了承し、同計画を閣議決定しました。(pdf資料)
ギャンブル等依存症対策推進基本計画には、医学部における教育の充実、保健師、助産師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉らを養成していく、この専門職集団の中に公認心理師も併記されていたのをご存知だったでしょうか。
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p103には
「3 保健師、助産師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師及び作業 療法士の養成 【厚生労働省】」

が表題に明記されていて、

本文には

「公認心理師については、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、心理に関する支援を要する者やその関係者に対し、指導や援助を行っている。ギャンブル等依存症からの回復支援には、心理的な側面からのアプローチを可能とする専門職を養成する必要があるため、公認心理師試験出題基準において、「依存症(薬物、アルコール、ギャンブル等)」の項目等を盛り込んでいる。」

とも記されています。

閣議決定されたことで、公認心理師もギャンブル依存症対策に駆り出されることが正式に決まったというところでしょう。

この項に臨床心理士、臨床心理技術者といった文言は一切ありません。

(p109には「○ 矯正研修所(支所を含む。)において、平成33年度までに、集合研修で医師 や心理療法士等の知見を踏まえた研修(スーパービジョン)を開始。」と法務省のかかわりが明記されていますが。)

ちなみに案の段階での概要はこんな感じです。(配布資料1)
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予防プログラムの策定、啓発活動における講演、ギャンブル依存症の研究、またそれに付随する児童虐待への対応や研究などが記載されていて、この辺りは確かに心理師の職務領域と言えそうです。

公営ギャンブルに対するカウンセリング、e-カウンセリングを可能にする、精神科医の関与、回復プログラムの実施など一大国家事業です。

さて、ここでみなさまが思っているだろうことですが、東大法学部卒業者が高給を求めて就職するJRA、中央競馬会は年収平均1千万とも言われています。

また、子どもを蒸し焼きにすることで有名な「ぱちんこ」屋さんはクルマのガラス窓を叩き割ったり託児所を作ったりとイメージを良くすることに心を砕いています。

「ぱちんこ」ひらがなにするとすこしかわいいのでしょうか?

「あいてぃー」確かに少しゆるい印象ですが別に中身が簡単になったわけではありません。これでいいのか?

そして今度は公営カジノ構想です。

「街を全裸の女性がたくさん歩くので行政や医療、心理福祉職は悪いことが起こらないように未然に防ぐこと」と言われているような気持になります。

まず入り口段階から何とかしろと思う人々は多いでしょう。

しかし難しいのは利権が絡むことだけでなく、公的なものを禁止すると非合法的に地下に潜り込むというアメリカ禁酒法時代からの伝統があります。

日本でも大人の事情だけでなく、抑圧すると沈潜化してもっと状況が悪くなることもあると思います。

戻ります。

「僕らはキレイに遊べる大人のたしなみを提供するから、ちょっと(できればたくさん)お金を落として行ってね、ハマるような面白さを追求するけどね」「でも社会問題化したら僕らが悪口言われたらヤダ」

という限りなく恐ろしいダブルバインドかつ間歇強化で「たまに出るから面白い」という、ラットでも証明されている無茶なことをなぜ人体実験をし続けるのかと思うのです。

僕も何人ものギャンブル依存症の人と面接して「新車が買えたほど損した」「新築一戸建てが買えた」と聞いたことがあります。

こういう人たちは平日の仕事はまじめにやっています。

でもなぜ土日の一番クギの締まりがキツイ店で遊ぶ?と普通に聞いちゃっています。

僕はギャンブルはやらないのですが、依存症の人たちは本当は自助グループに行って欲しい、でもなかなか時間が取れない、日常生活では家族や職場から責めに責められてしかも自分をクズだと認識していてもう死にたいと思っています。

だからカウンセラーがここで責めたら逆効果ですが、事実確認もします。

パチで勝とうとしたら平日開店ダッシュで出玉が出る台狙って走っていかないと。

そして1日12時間打って月収30万円行けばすごくラッキーなんだよ。

で、いくら借金したの?

結構お互いにキツイカウンセリングになります。

借金の額でいちばん多い答えは「わからない」です。

借金100万はある、でも考えてみれば数十万かも、え、でもなんだか請求が来ている、開けてない封筒がたくさん、そう言えば電話はコワイから片っ端から切ってる、特別送達とか恐ろしい郵便が来たら困る。

やっぱりもうわけがわからなくなっています。

20代で今の金融情勢では500〜600万円は借りられますのでだいたいそこまで借りている人がほとんどかもしれません。

上場企業社員や公務員は消費者金融もクレカ会社も枠いっぱいまで貸してくれます。

さてそこで僕のところに来るまでに追い詰められている人は「もう死ぬしかない」と精神的に追い詰められています。

「え、死ぬ理由はないですよー。」

特定調停、債務整理、その先の自己破産をしたとしても公務員だろうが失職する理由にはならないのです。

もちろん僕は法律の専門家ではないので関係機関を紹介したのちにまたカウンセリングをします。

僕はギャンブル依存症専門病院にはいないのでできるだけ多く、専門病院や自助グループなどの社会資源を提供します。

「また僕のところに相談したかったらそれでもいいけど、ここの病院は君のことをまるごと面倒見てくれるならね」

と「えいやっ!」と押し出すとそっちの自助グループやプログラムに適応してくれるのでほっとしています。

(リファー先でのフォローも心配なので地元精神保健福祉医療機関とも連携を取ります。会社がかかわっていたら企業から連絡がきます。(いずれにせよ本人の了解を取ります。))

ギャンブル等依存症対策基本法も制定され、あとは入れ物の問題です。

公営カジノはマイナンバー管理にして時間と回数で入場制限をするとか、政策はタバコで言うなら「1日7本だけね?」という中途半端な制限なのです。

政府には申し訳ないのですが、依存症に関しては戦っている患者さんのためにはオールオアナッシングで、全てを失いたくないのならば全てを捨ててくださいとしか言いようがありません。

ギャンブルとうまく付き合ってほどほどに楽しむということは依存症の人には絶対にできないのですから。

付記:このころとは考えが違っています。依存性患者はslipすることを前提として考えていかないとならないものだと思っています。と思いながら上の文章をあえて残しておきます。


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