心理カウンセラー・ひなたあきらからのメッセージ

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:カウンセリング

◯ ひどいカウンセリング

上手なカウンセリング、素晴らしいカウンセリングをする先輩カウンセラーがいる反面、思わず顔をしかめたくなるようなカウンセリングの話を聞くこともあります。

カウンセラー本人が自慢げに話したり、クライエントさんからひどいカウンセリングをされたと聞くことがあります。

こんなひどいカウンセリングを受けたら悪化してしまうのではないか、クライエントさんの情報が特定されない範囲で少し書いておきます。

これまでカウンセリングを受けた人の中でこれに近い経験をした人はいなかったでしょうか。

1.講演会での話

とある施設に慰問、講演に行ったカウンセラーがいました。
その施設は社会的ハンディキャップを背負った人がいる場所で、みんな大変な思いをしている子どもたちが入所している施設、

カウンセラーは

「私たちはあなたたちのことを理解したい、していきたい。そのためだったらきちんとあなたたちのいるところまで下りていくから」

と言ったのですが、子どもたちや施設職員はどんな気持ちで聞いたのかなあと。

2.個別カウンセリング

枚挙にいとまがないぐらいカウンセリング被害の話はあると思います。

ドクターハラスメントがあるようにカウンセリングハラスメントもあるわけです。

例えば児童虐待ではとてつもなくひどい虐待が行われていた場合がある。

これはカウンセラーだけでなく、ドクターがもっと悪いわけですが、患者さんの受けた虐待を「妄想」と決めつけてしまう。

挙げ句の果てに妄想かどうか確認するために虐待者の家族を患者に無断で呼びつけて話をして(権限はあるかもしれませんが信頼関係はなくなってしまうでしょう)妄想と断定、カウンセラーにも妄想として扱うように言うわけです。

確かにドクターの言うことにカウンセラーは逆らえないという構造はありますが、「僕は自分が体験したことがないことには共感できないから」とカウンセラーは言い捨てた。

ドクターの言うことに従わざるを得なくても、患者へのハラスメントを行っていいわけでもなく、カウンセラーとしての矜持はないのかと。

3.心理検査

いわゆる投影法の心理検査に詳しいカウンセラーはクライエントさんの奥深くまで分析して見ることができます。

曰く「あなたの傷はあまりにも深い、わたしにはどうにもできない」

ここまでは言い方が悪かったんだろうなあと思います。

自分のカウンセリングの力量を超えた根深いトラウマを負ったクライエントさんが来ることはそのカウンセラーにとってはおかしくはなかった。

「どうにもできない」まではわかります。

だからどうすればいいのか、次はどこの機関に行けばいいのかと紹介(リファー)しなければクライエントさんを見捨てるだけになってしまいます。

4.心理療法の流派

以前から思っていることです。

エビデンス(証拠)がある心理療法として、認知行動療法があります。

嫌悪刺激に暴露する、それがうまくいけば症状は乗り越えられます。

きちんとした認知行動療法家は暴露がうまく行かなかった時の2番目、3番目の手段を考えて治療構造から脱落させないようにしていると思います。

ただし、論文を読んでいるときちんとしたデザインで施行されているものもたくさんありますが、脱落例をどう扱ったのかが不文明な論文もあります。

人間はモルモットではない。

認知行動療法に限らず全ての流派の心理療法に共通することです。

「この人のカウンセリングにはこの流派は合わない」と来られなくなった際に次に行くべき場所を最初から提示しておく必要があります。

患者さんにとってのセーフティネットとインフォームドコンセントを初回から十分に提示しているカウンセラーはどれだけいるのだろうかと思うのです。


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フラッシュバックもPTSDの主症状で、何もしていない日中に外傷記憶が想起され侵入してきます。

悪夢でうなされることもしばしばで、休むこともできません。

解離が激しく起こるこの疾患では、人格が分裂する多重人格になることも多く、20ぐらいの人格が交代して出現し、人格分裂によってトラウマ記憶を分散させて自殺を免れているようです。

ただし、攻撃的人格や自殺に向かう人格が出現することもあるし、元々の主人格から第2人格への交替が何年も続くことがあります。

EMDRや催眠を併用されます。

仁木医師が入院病棟を作ってこの治療に当たっています。


多重人格の治療目的は全ての人格の統合ではありません。

もしトラウマ記憶を統一してしまったらその患者は死んでしまうかもしれないのです。

余分な人格は統合、それぞれの人格が助け合って生きていくことが治療目標になります。

子どものPTSD研究の権威である杉山登志郎先生は、4セットの簡易EMDRでも徐反応という、発作様のトラウマ想起、暴れるといった症状が再燃するといった研究を発表しています。

僕もPTSDのカウンセリングに当たっていると、泣きながら頭を床や壁に打ち付けながら転げ回るような激しい徐反応に接することがあります。

ただし、徐反応は全て出し切ることが大切で、中途半端にストップすると自殺念慮が出現しかねません。

徐反応が終わったあとの患者さんはけろっとしていて、あれ?と言うが、カタルシス効果のせいか晴れ晴れとしています。

PTSDの人は感情コントロールが難しくなっていて怒りの発作が出やすいが、徐反応を通じて解消することができます。

PTSDの中でもCPTSDと言われている複雑性慢性型PTSDはかなり治療困難で、年単位、それこそ10年以上の治療を覚悟しないとならないことがあります。

CPTSDは幼少期から長年の虐待や犯罪被害で起こります。

虐待によるCPTSDの生育史は悲惨なもので、性的虐待、暴力による制裁、経済的肉体的搾取が何十年も続いた症例もあります。

アメリカのように専門機関が確立していたらもっと日本も救われるのになと思います。

対人関係療法(IPT)はシンプルPTSDには効くかもしれません。

病人は休まなければならないという病者の役割をPTSD患者に付与して、恐怖が汎化してしまい、対人過敏状態になって何もかもに怒りをぶつけることを周囲が理解して対応します。

理屈は簡単ですが、CPTSDにはIPT全16回のセッションは少な過ぎると思います。

EMDRと併用されている自我状態療法はかなりの有効性を認められています。

自己と自己の対話です。

また、身体イメージに注目するソマティック ・エクスペリエンスはPTSDという病が身体へのフラッシュバックも引き起こし、激しい痛みを伴うこともあるので、やはり有効でしょう。

禅やヨガ、瞑想といった療法も価値を認めることができます。

こう書いているとPTSDの治療法は百花繚乱のように思われるかもしれませんが、PTSD症状の多彩さに比してあまりに打つ手が少ないのが現状で、患者数に比べて専門治療機関はあまりにも少ないです。

PTSDはあらゆる他の疾患や障害との誤診の可能性が高いのです。

もちろんPTSDの元となる刺激体験でレジリエンス(打たれ強さ)が弱体化しているので、他の疾病や障害を併発していることも多いでしょう。

あまりにも信じがたい虐待経験を妄想と片付けて、家庭に戻そうとする藪医者や藪臨床心理士に引っかかったら自殺の危険性さえあります。

過覚醒は双極性障害の躁状態で不眠になっているのかと誤診されます。

損なわれたコミュニケーション能力は発達障害と誤解されます。

致死的な思考と激しい情動の揺れ動きは境界性人格障害という誤診もあります。

PTSD患者の抱えている感情は悲壮で、その辛さを思うだに同情を禁じ得ないのが通常の医療者です。

共感ができない治療者は失格だと思います。

PTSD治療で注意しておかなければならないのはその外傷の二次受傷があり得るということです。

トラウマ記憶の話を読む、聞くことが治療者を傷つけ、一説ではPTSD治療専門家は5年間が平均バーンアウト(燃え尽き)期間と言われています。

東日本大震災のとき、テレビが津波の映像を繰り返し流していて、気持ち悪くなった人も多いでしょう。

あれも二次受傷です。

根掘り葉掘りトラウマ記憶を話したくもないのに聞き出そうとするのは危険です。

ただ、患者さんが話したくなったとき、そばに寄り添ってくれる人がいるということはどれほど心強いかとも思うのです。

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