ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:カウンセラー

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どうしてカウンセラーが恋愛感情をクライエントに持っちゃいけないの?

昨日の記事の続きです。結論から言えば倫理的には持ってもギリギリ構わないかもしれませんがもうそれはカウンセリングではありません。クライエントさんに対していい結果を及ぼすことは何もありません。むしろ有害なカウンセリングになる可能性が高いでしょう。

誰かが昔ツイートしていましたが、経験の浅い心理職の男性がふわっとした華やかでニコニコ笑っているいい匂いのする 20代の美しいクライエントが目の前にやってきて、そのうち「私だけが知っている私の苦しさや私の秘密」をカウンセリングなので当然話し始める。

それがカウンセラーだけに縋り付いてきたらその男性は恋愛感情を持たずに済むでしょうか、というものです。

目の前にいるクライエントさんが生まれて初めて信頼できる人を見つけて、全身全霊をあげてカウンセラーにすがりついてきます。あなたはまるで白馬に乗った王子様のように見られています。そのクライエントさんはあなたのことを神格化していて、まるで教祖様のように信じ込んでいるわけで、あなたに気に入られるためならば何もかも投げ出したいと思っています。

たとえそれが自分の貞操であったとしてもです。ここでその男性カウンセラーが誘惑に負けて彼女を(心的にでも)好きになってしまったら、そこで真っ当な関係性は終わりです。

彼女はカウンセラーを翻弄したくて誘惑しているわけではないのです。今まで生きてきた不遇な環境、または彼女の病理性そのものがそうさせているとしたら?カウンセラーがそれに乗ってしまったらそれはカウンセラーとして失格です。

そのカウンセリングにおいて「キレイなクライエントだよね」ぐらい思うことはあるかもしれませんがそれを超えた感情を持ってしまうと、まともなカウンセリングにはもうなりません。

彼にとってはカウンセリングという行為そのものが彼女との間だけの密やかな愉しみになります。

彼はカウンセリングをしていない間、彼女のことばかり考えていて、とても胸が締め付けられるような思いをしています。あの子は大丈夫だろうか、苦しんでいないだろうか。こちらから連絡をしてみようか。

実際にしてみることもあり、その結果彼女が彼を好き好き大好きにならないと恨みさえ感じるようになります。

こうなったらまともなカウンセリング関係は終わりです。

この「告白命題」について駆け出しの心理職から「ひなたさんだったらどうするの?」と聞かれました。

1.自分がクライエントのことを好きになってしまったら?

カウンセリングを他の人に交替してもらいます。

2.自分がスーパーバイザー(指導者)でスーパーバイジー(被指導者)が「好きになってしまった」と言われたら?

そこは正直さを買うでしょう。ただしケース担当は交替してもらいます。カウンセラーとクライエントさんを守るためです。

3.自分ががもう告白してしまったら?

心理職を辞めます。世の中には心理以外にも生きていく方法はたくさんあります。心理の仕事をやる資格はないと考えます。その結果がフラれたとしてもです。

4.「告白した」とスーパーバイジーから言われたら?

ここは冷たく「心理の仕事はやめなさい。君には心理の仕事をする資格はない」と言います。見放す、ではなく見捨てます。

追い詰められたクライエントさんはカウンセラーに何もかもを与えようとします。もし彼がそのまま心理職を続けたとします。彼はまた素敵な人が目の前に現れてまた彼を神格化したら好きになってしまうのでしょうか?なるかもしれませんね。彼にとって倫理というものは紙のように軽いのですから。

理想化の次にクライエントさんが行うのは激しい価値下げです。彼はカウンセリングをしていない時は普通の人間です。完璧ではありません。彼女はカウンセリングルームにいる時のような完全体の彼を求めているのです。

彼女からの激しいこき下ろしが始まります。(例え境界性パーソナリティ障害の患者さんでなくともそのようにカウンセラーから追い込まれてしまった)この理想化とこき下ろしは境界性パーソナリティ障害を持つ人に起こりやすいのですが、カウンセリングのやり方によっては全てのクライエントさんが境界例的になり、持たなくてもいい病理性を現出させることになってしまいます。そうやって彼は彼女の病態を悪化させてしまうわけです。

彼はやがて見捨てられ、彼女は他の男のところに行く可能性もあります。その時にはきっと向いていない心理職は辞める、辞めさせられていてマイナスの資産しか残っていないことになるでしょう。

考えてもみてください。この彼の前に座ってにこにことしている可愛らしいクライエントの女性はいわばかなり経験を積んで虐げられた過去を持っていたり、病気に苦しめられていた人で、それは彼のカウンセリングの経験年数をはるかに超えています。

そこで彼が真正面から勝手に翻弄されて「好き」になってしまったら彼女に凌牙されてしまうだけです。

例えば境界性パーソナリティ障害の人は他人を操作することに長けている、だから気をつけなければいけない、とまるで患者さんを悪者にするかのような言説がありますが、患者さんは自分を守るためにそうしたスタイルのコミュニケーションスタイルを必死になって身につけざるを得なかっただけです。

なんにせよ恋愛感情を持ち、それを口にして実行すること、そこで行われてきた営みはもうすでにカウンセリングではなかったでしょう。

この「告白命題」は多くの人がこんなことはあり得ないということを言っています。それは心理職の人でなくてもです。心理職が一線を踏み越えてしまう事は他の心理職が連綿として築き上げてきた臨床心理の倫理と専門性を踏みにじる行為だということも知っておいて欲しいのです。

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心理士とクライエントとの恋愛

カウンセリング関係終結時に、男性カウンセラーが女性クライエントに恋愛感情を抱いているという告白を行った、彼女はそれを嬉しそうに女友達に話す。「こんなことって許されないんじゃないの?」というツイートがあり、驚きとともにこの男性カウンセラーに対してかなりの反発意見が出ていました。

僕のように心理職経験がそれなりに長くなってきて、人間的にもいわば心理の垢のようなものがついて人格が擦れてくると言うか、こういった「あり得ないだろう」話は本当にあり得ないのか、というと残念ながら実際にこうした非違行為が多いという(みなさんも聞いたことがあるかもしれません。)話が実際にあることも知っています。

日本臨床心理士資格認定協会が出している「臨床心理士報」を見ると毎回数人ぐらいが資格剥奪されたり、3年ぐらいの資格停止、厳重注意処分をされた臨床心理士の実名が掲載されています。文字だけ読んでいると何が起こったのかはわかりませんが、この3万数千人という心理職の小さな町の中にいると何が起こったのかという噂は素早く広まります。

とあるアメリカの統計では、男性精神科医師・心理カウンセラーが女性のクライエントと性的多重関係を結んだ経験があるのは約10 パーセントという結果が出ていたと思います。その程度にはありふれていて、そして決してあり得てはならないものなのですが、カウンセラーが男性だろうが女性だろうが、クライエントさんから恋愛感情を告白されたり、一緒にどこかに出かけようと言われた経験がある人は多いのではないかと思います。

「そういうカウンセリングの仕方をするから悪いんだ」という説もありそうですが、カウンセリングというのはまず受容から入り、相手の人間性を尊重するという構えから始まります。冷たい、決して人を寄せ付けないカウンセリングというのはあり得ません。クライエントさんというのは幼少期から誰にもわかってもらえなかったという思いが強く、少しでも暖かな言葉をかけられるとそれが激しい恋愛的転移的な感情となって奔流のようにその人を巻き込むということはよくあることです。

カウンセラーという人は人間性も優れている方がいいに越したことはありません。しかしながらプライベートな人間性があまりよろしくなくても仕事中はきちんとしたカウンセリングができる人もいます。

まあぶっちゃけ、女癖が悪いカウンセラーがおねえちゃんがいるお店に行ったり、(相手が既婚でなければ)どんな恋愛をしても自由です。

ただし、それがクライエントさん、ということになると話は別です。クライエントさんをナンパしてはいけません。言うならば、カウンセラーとクライエントさんというのは、ある意味道をすれ違う他人よりももっと他人の関係にあるからです。

アメリカ心理学会(APA) の倫理規定が厳しいのかゆるいのかわかりませんが、かつてカウンセラー・クライエント間の関係にあった者同士が婚姻等をする場合には2年間期間が経っていること、そして現在は利益相反関係にない証明書などをAPA に出さなければならないことになっています(試験では「2年経っていればよい」にマルをしても誤答として扱われそうですが。)。

僕も心理職の端くれとしてクライエントさん、患者さんにはまずは無条件で暖かく接するようにはしていますが、それを行いながら完全に相手の(恋愛性) 転移感情を完全に防ぐということはとても難しいことです。

多重関係に陥らないように陥らないようにと心理職が心を砕いているのは、何よりも「患者さんを傷つけない」という目的のためです。 僕はカウンセリングルームの中でクライエントさんを受容し、人間性を尊重します。カウンセリングルームを出たら尊重しないというわけではないのですが、心理職にも家庭があったり、家庭がなくても心傷ついた人が寄りかかってきたら、その人の人生を丸ごと引き受けて 24 時間カウンセラーをすることは可能でしょうか。不可能です。

クライエントさんと個人的な関係を結ぶというのは、できないことを引き受けようと安請け合いするのと同じことです。「自分ができることはここまで。これ以上はできないし引き受けられない」という限界設定はクライエントさんへの優しさです。ですのでたとえ冷たいと思われてもクライエントさんから告白されたら断らなければならないですし、それを自ら相手に告白するカウンセラーというのは言語道断です。

相手が同性でも例えば「先生に素敵な時計を贈りたい」と言われたら断ります。同様に金品を贈られそうになって「先生のために親子で選んだものですから受け取ってください」と言われてすごく断るのに苦労した覚えもあります。まず「とてもそういった気持ちは嬉しいし、ありがとう」という枕詞は本心から言えたのですが。

以前読んだ記述でとても危なっかしい、というか明らかなルール違反と思ったのは、カウンセリングをしている以外にもクライエントさんが手芸が得意な人で、材料代も手間賃も払わずに(払ってもダメですが)カウンセラーが「先生のために編んだ作品」を次々に受け取っていたというもので、これもすでに踏み越えた関係性を作ってしまっています。

かように人の心を扱うという仕事は相手との関係性を考え、傷つけないこと、そして中途半端なことをして最後に見捨ててしまうのならば、きちんと領海侵犯をしないようにするのは心理職の義務だとも考えます。恋愛性転移や過剰な転移感情を向けられると、とてつもなく苦労してもう一回限界設定をし直さなければならないですし「自分のどこが悪かったのだろうか」と悩みます。だからといって初めからサディスティックにクライエントさんに接することもできません。

公認心理師のテキストに書いてあったのですが、カウンセラーがカウンセリングではなく、自分のことを話すと多重関係に陥る可能性は高くなると言われています。「俺、年齢イコール彼女いない歴でさあ、モテないんだよね」等非常に危険な発言でしょう。

自分でこういった事態を招くのは自業自得とも言えますが、絶対に恋愛性転移感情を防ぐということは不可能です。精神療法の大家、成田善弘先生の「青年期境界例」でも恋愛性転移の扱いにとても苦労した話が書いてありました。

クライエントさんからの「好き」な気持ちについて精神分析家ならばそれを元に転移分析をしていくのでしょうけれども、やはりそう言われたら分析プロパーも大変だと思います。

「好きです」と言われたらどうやって断ればいいか、教科書では「なぜそのように思うのですか?」とか「治療者のことを好きになるというのは治療関係がうまく行っているということだから素晴らしい」などと言うことになっているのですが、そんなことではクライエントさんは決して満足しません。

その度に僕は自分の答えをその人に合わせて変えて断っていると思います。冷たいと思われて治療関係が終結してしまうことがあったとしても、です。

Twitterのそういう話を見ると、さもありなんと思いながら、ほとんど大多数の心理職はそういう感情が生まれないように、もし自分の中にそういう気持ちが起こってしまうことも人間なので有り得る、それを防ぐために禁欲原則に従っている、とても苦労してカウンセリングを行っているという事実を知って欲しいと思うのです。

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◯ 公認心理師・臨床心理士vs無資格カウンセラー

公認心理師、臨床心理士とタイトルに書きましたが、学校心理士、臨床発達心理士、特別支援教育士、キャリアコンサルタントなど専門性が高く、倫理規程がしっかりしている資格は他にもあります。

ちょっとした講習や通信教育でも取得できる民間心理カウンセラー資格もあります。

また、資格なんかないよ、なんにも持ってないけどお客さんいっぱいくるし儲かってるから大丈夫、という無資格心理カウンセラーもいます。

本業の心理職の人は高校生のころ、あるいは大学入学後専攻を決める際やゼミを選択する時に臨床心理学を選びます。

臨床心理を専攻しても一般企業に就職する学部生もいるので、みな臨床心理を仕事にするという思い切った決断をしています。

大学院で臨床心理を専攻した途端に一般就職はできないという、引き返せない列車に乗ってしまいます。

高度な教育を受けた心理職の人たちは、教育コストがほとんどかかっていない、専門性も薄い心理カウンセラーを見ると、なんだこいつはという不愉快な気持ちになるのはわかります。

ただ、どんなに立派な技法を持っていてカウンセリングが上手でも、ひっそりとマンションの一室に事務所を構えていたら誰もお客さんは来ません。

集客が上手なカウンセラーはたくさんの人に利用されます。

ボランティア電話カウンセリングも多いですが無料は最強です。

無料ボランティアで腕を鍛えて有料カウンセラーになろうという人もいます。

いろいろと無資格カウンセラーのサイトなどを見ていると、そういったカウンセラーが特に悪意を持って仕事をやっているわけではありません。

専門性の質や内容が本職の心理職とは異なっている、ただそれだけです。

無資格カウンセラーは時として院卒カウンセラーよりも人気があります。

多々そういうことがあります。

なぜかというと、そういったカウンセラーはクライエントさんにとって耳ざわりなことは決して言いませんので侵襲性も低い場合が多いです。

クライエントさんの機嫌を悪くしたらリピーターにならなくなってしまいます。

続けて利用してもらわないとお金になりません。

というわけでこういったカウンセラーはお客さんが言われたいと望むことしか言わない。その方針で成り立っていることが多いのです。

某カウンセリング会社は、クライエントさんの中からカウンセラーを志望する人をピックアップ、カウンセラー養成講座に入学させて教育料金を取ります。

そして実際に有料カウンセラーとして働かせます。

そうやって養成したカウンセラーをどんどん売り出します。

特に営業成績がいいカウンセラーはイチオシカウンセラーとして売り出されます。

これは営業会社の基本のキですが実に利にかなっています。

売り上げを伸ばせる営業マンはどんな逆境に置かれても売ることができる、ならば売れ行きがいい有能なカウンセラーを現場に投入すればより売れっ子になって会社に利益をもたらすことができるという原理です。

なんだか民間無資格カウンセラーばかりを僕が推しているようですが、有資格心理職の人にはその専門性を生かして頑張って欲しいと思っています。

社労士の友人は土日は無料で講演会、集客のために平日昼間は営業、夜になってから本業の書類仕事をしていました。

有資格カウンセラーはしっかりとした倫理、クライエントさんへのインフォームドコンセント、専門技能など多くの特技やメリットを持っていますし、公認心理師には法的にできることも多くなりました。

業務独占資格ではない公認心理師は、他の医療相談職だけでなく、こういった、倫理規定がない民間カウンセラーもライバルとなります。

せっかく高度な専門性を持っている公認心理師、臨床心理士等の方々には、矜持を保ち、自信を持って仕事をして欲しいものだと思います。

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