
「メンヘラせんばい」等オンラインカウンセリングについて考えてみた
某社でサービスを提供している「メンヘラせんぱい」がネットのニュースになっています。
恋愛のことや仕事のことなどを女性限定のクライエントさんがチャットでできる相談サービスです。
相談するのもされるのも女性ということですが、この相談サービス事業はどうかと思っています。「キャバ嬢せんぱい」という現在または過去3カ月以内にキャバクラで働いていた女性が相談に乗ります。
まあこれだけだと「あー、また無資格カウンセラーが幅をきかせているのかあ」で済むのですが(よくないとは思います。)メンヘラせんぱい」はキャバ嬢せんばいのほかに臨床心理士、公認心理師も募集しているということです。
えと、キャバ嬢せんぱいにこういうサービスをするのはまあ自由と言えば自由?なのかなとも思わないのですが、さらに臨床心理士、公認心理師も募集しているということに結構空いた口が塞がらない思いをしてしまったわけです。
こういったサービスを提供している会社の常として、ばーっと「利用者の声」がサイト内に網羅されて書かれています。
おかゆ先生(岡村優希先生)がYouTubeで話していたとおり、こういったクライエントの声が掲載されているカウンセラーは危ない、と僕もそう思います。
元々クライエントさんが相談した内容というのは守秘の義務があって明らかにするようなものではないわけですし、たとえクライエントさんの同意を得られていたとしても「その倫理性に問題がないのか?」と考えます。
恋愛や仕事の相談がほとんどなわけですが、臨床心理士、公認心理師とキャバ嬢3カ月の経験と並べられてしまう、こういうサイトに登録して相談者になるというのは君たちは大学院
で何を学んできてそのスキルを生かすために何をどうしたいのかね?」と思ってしまうわけです。
2018年に運営会社は大学生起業家によって起業されて、なぜこの時期にまたニュースになったかというと、スペシャルサービスとして、これまではチャットで聞きっ放しだったのが、具体的なアドバイスもしてくれるというスペシャルサービスもしてくれるようになったというわけです。
ここのカウンセラーとなるためには模擬チャットやロールプレイングを受けなければならないわけで、このあたりは通常のオンラインカウンセリングでの研修と同じかもしれません。
確認してみたところ、実際に登録している「心理士」が数人ぐらいいるようで、キャバ嬢と並べられるのはなんだかなあ、と思ったわけです。
キャバ嬢がキャバ嬢の仕事をしている分には別に誰もなんとも思わないわけで、キャバ嬢がカウンセリングの仕事をしているというというと?と思うのですが、そこにさらに臨床心理士が加わるとさらに??と思います。
オンラインカウンセリングシステムというのは僕も経験があるのですが、立ち上げ作業というのは実に難しいもので、カウンセリングをやる技能がある、というだけではなくクライエントさんの秘密を守れるようなシステム作りもしなくてはならないです。
オンライン各社がしのぎを削る中、僕も「これからカウンセリングの会社始めたいんだけど」という全く異業種の人たちからの相談を受けることがありました。
「カウンセリング」という響きはなんだか格好良さそうだと思って始めたいと思っても立ち上げの時点で何をどうしていいのかわからないのでとん挫してしまったようです。
また、実際にオンラインカウンセリングをしたこともあり、そこは1往復5千円でした。が到底それだけで食べられるようなものではありませんでした。某大手企業の付加価値サービスとしてのメンタルヘルス相談に登録しましたが全く相談のニーズがなく、結局相談が来なかったのでサービスをやめてしまったわけです。
文部科学省もLINEによる青少年向けの相談事業を行っており、こちらの方は年間1万件の相談が来ていたということで、SNS活用による相談を官の側が主導的に行った成功例だと思っています。
オンラインカウンセリングには各社が参入していて、果たしてうまくいくのか、行っていないかの実際の稼働状況や利益が上がっているかどうかについてはわかりません。
システムを構築しながら実際のオンラインカウンセリングを行っていくというのは結構大変な作業で、そこまでこの「メンヘラ先輩」がしっかりとした事業構築をしているかどうかはわかりません。
恋愛経験が(多分)豊富であろう勤務歴3カ月のキャバ嬢と同格に並べられて心理士(師)の仕事をやるということは一体どうなのかなあと思います。
確かに心理職には仕事はない、あっても給料は安い、のないない尽くしなのですが、自分の仕事は専門性が高い、素人とは違ったものであるという自負と矜持を持って仕事を選んでやって欲しいなあと思った次第です。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
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