ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:オンラインカウンセリング

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「メンヘラせんばい」等オンラインカウンセリングについて考えてみた

某社でサービスを提供している「メンヘラせんぱい」がネットのニュースになっています。

恋愛のことや仕事のことなどを女性限定のクライエントさんがチャットでできる相談サービスです。

相談するのもされるのも女性ということですが、この相談サービス事業はどうかと思っています。「キャバ嬢せんぱい」という現在または過去3カ月以内にキャバクラで働いていた女性が相談に乗ります。

まあこれだけだと「あー、また無資格カウンセラーが幅をきかせているのかあ」で済むのですが(よくないとは思います。)メンヘラせんぱい」はキャバ嬢せんばいのほかに臨床心理士、公認心理師も募集しているということです。

えと、キャバ嬢せんぱいにこういうサービスをするのはまあ自由と言えば自由?なのかなとも思わないのですが、さらに臨床心理士、公認心理師も募集しているということに結構空いた口が塞がらない思いをしてしまったわけです。

こういったサービスを提供している会社の常として、ばーっと「利用者の声」がサイト内に網羅されて書かれています。

おかゆ先生(岡村優希先生)がYouTubeで話していたとおり、こういったクライエントの声が掲載されているカウンセラーは危ない、と僕もそう思います。

元々クライエントさんが相談した内容というのは守秘の義務があって明らかにするようなものではないわけですし、たとえクライエントさんの同意を得られていたとしても「その倫理性に問題がないのか?」と考えます。

恋愛や仕事の相談がほとんどなわけですが、臨床心理士、公認心理師とキャバ嬢3カ月の経験と並べられてしまう、こういうサイトに登録して相談者になるというのは君たちは大学院
で何を学んできてそのスキルを生かすために何をどうしたいのかね?」
と思ってしまうわけです。

2018年に運営会社は大学生起業家によって起業されて、なぜこの時期にまたニュースになったかというと、スペシャルサービスとして、これまではチャットで聞きっ放しだったのが、具体的なアドバイスもしてくれるというスペシャルサービスもしてくれるようになったというわけです。

ここのカウンセラーとなるためには模擬チャットやロールプレイングを受けなければならないわけで、このあたりは通常のオンラインカウンセリングでの研修と同じかもしれません。

確認してみたところ、実際に登録している「心理士」が数人ぐらいいるようで、キャバ嬢と並べられるのはなんだかなあ、と思ったわけです。

キャバ嬢がキャバ嬢の仕事をしている分には別に誰もなんとも思わないわけで、キャバ嬢がカウンセリングの仕事をしているというというとと思うのですが、そこにさらに臨床心理士が加わるとさらに??と思います。

オンラインカウンセリングシステムというのは僕も経験があるのですが、立ち上げ作業というのは実に難しいもので、カウンセリングをやる技能がある、というだけではなくクライエントさんの秘密を守れるようなシステム作りもしなくてはならないです。

オンライン各社がしのぎを削る中、僕も「これからカウンセリングの会社始めたいんだけど」という全く異業種の人たちからの相談を受けることがありました。

「カウンセリング」という響きはなんだか格好良さそうだと思って始めたいと思っても立ち上げの時点で何をどうしていいのかわからないのでとん挫してしまったようです。

また、実際にオンラインカウンセリングをしたこともあり、そこは1往復5千円でした。が到底それだけで食べられるようなものではありませんでした。某大手企業の付加価値サービスとしてのメンタルヘルス相談に登録しましたが全く相談のニーズがなく、結局相談が来なかったのでサービスをやめてしまったわけです。

文部科学省もLINEによる青少年向けの相談事業を行っており、こちらの方は年間1万件の相談が来ていたということで、SNS活用による相談を官の側が主導的に行った成功例だと思っています。

オンラインカウンセリングには各社が参入していて、果たしてうまくいくのか、行っていないかの実際の稼働状況や利益が上がっているかどうかについてはわかりません。

システムを構築しながら実際のオンラインカウンセリングを行っていくというのは結構大変な作業で、そこまでこの「メンヘラ先輩」がしっかりとした事業構築をしているかどうかはわかりません。

恋愛経験が(多分)豊富であろう勤務歴3カ月のキャバ嬢と同格に並べられて心理士(師)の仕事をやるということは一体どうなのかなあと思います。

確かに心理職には仕事はない、あっても給料は安い、のないない尽くしなのですが、自分の仕事は専門性が高い、素人とは違ったものであるという自負と矜持を持って仕事を選んでやって欲しいなあと思った次第です。

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cotree事案の被害者はクライエントとカウンセラー

※ 元々は「1番の被害者は」というタイトルでしたが、この度ご指摘をいただき、また自分自身でもしごくもっともだという考えから、2021. 5.24午後1時49分に「1番の」を抜いて校正させていただきました。

この度のcotree事案(性被害加害者鈴木悠平氏をかばう発言)に対して不適切発言を行った櫻本真理氏についての非難が集中しています。

それについてのツイッターDM(ダイレクトメッセージ)や公開メールアドレスには複数の不安定になったクライエントさんからのメッセージが来ていますが、それは「今後カウンセリングが受けられなくなるのではないか、cotreeが潰れてしまうのではないか」という不安です。

考えてみればこれは当たり前のことで、僕らカウンセラーはクライエントさんとは特別な精神的な結びつきを持っています。

僕のブログに対する「カウンセリング全体への不信感」を表明したコメントを紹介します。

1. ななしさん
2021年05月15日 23:16
事業そのものよりも代表の一発言をもとにキャンセルカルチャーが働くことを健康だとみなしている心理士のカウンセリングなど受けたくもないですね。


以下はcotreeとは全く別の記事に対するコメントです。(原文ママ)

2021/5月13日 18:57
私の以前通っていた精神科クリニックのカウンセラーも偽物でした。
公認心理士の名札をつけておりましたが、資格は無いとのことでした。そのクリニックを立ち上げた某医療法人の奥様でしたのでクリニック側も承知の上でした。
カウンセリング中は居眠りしているか、時計を見ながらため息や上の空で居ることが多く、看護師からも暴言を吐かれたため転院したいと伝えても転院させてもらえず、最後は揉めて医師からは恫喝されて、泣きながらクリニックを去りました。市の医療相談窓口や福祉課にも伝えましたが全く改善されておりません。
真面目に精神科治療や勉強をされている方には本当に感謝していますし、今後も活躍し続けて欲しいです。


上記「カウンセリングそのものに対する不信感が今人々の心の中に根差しているのです。

cotreeがカウンセラー採用に当たって厳しい審査を行っていることは知っています。しかしクライエントさんが揺れればカウンセラーとて人間、必ず揺れるものでいいカウンセリングはできなくなってきます。

企業不祥事に関する対応は人心刷新、これしかないと僕は個人的には思っています。

例えばガス爆発を起こしたガスコンロ会社が「うちは部品を交換して直したからもう安心していいよ」という宣伝をしたとしても誰も信頼してその社の製品を購入しないでしょう。

必要なのは信頼回復のためにカウンセラーの雇用を保証すること、カウンセリングを相変わらず同じカウンセラーで受けられる保証です。

そしてクライエントさんが多少揺れて不安定にっても杓子定規に「規約」にクライエントさんを当てはめないで緩めること、カウンセラーにその分の保証をするなどいろいろな手段が考えられます。

cotree規約

クライエントさんが不安定になった際の受入れ、それに対するcotree側のカウンセリングの一方的な中断等への保障。

ところがcotreeが行っているのは不祥事以降の宣伝行為です(ツリーあり)

ここに紹介されているカウンセラーの方の誹謗中傷をするつもりはありません。

しかしこういった宣伝が逆効果になっていると僕は苦々しく思っています。誰よりも被害を受けたクライエントさん、そして実際にクライエントさんを抱えていて自分の信念と現在のクライエントさんへの責任があるカウンセラーです。

カウンセラーというのは実に身分が不安定なものです。沈みかけた船から逃げ出そうとしても無理はありません。

今後cotreeがどうなっていくかはわかりませんが、クライエントさんとカウンセラーの密接な関係を壊さないで物事が進んで行くように祈るばかりです。

※当方の「一番」という表現が不適切ということにことについてお詫び申し上げます。



ツリーになっているので前後お読みください。

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◯ オンラインカウンセリングってどう?無料or and有料カウンセリングはどっちがいいの?その可能性と利用法

コロナウイルス電話相談を厚生労働省や各保健所で行っていると書いたばかりですが、その人が今一番心配なことを聞くことがカウンセリングの本旨だと思います。心理カウンセリングだけでなく広く「相談」は多くの人に必要とされています。

さて、オンラインでカウンセリングをしますよ、とLINE、Skype、ZOOMなどさまざまなツールを利用してカウンセリングをしていますよ、というサイトが公認心理師、臨床心理士、なかなかの経歴がある旧帝大院卒者等も参入しているのを散見します。

という話を知人の精神科医に話したら「そんな時代になったんですねえ、ひなたさんはどうです、やりますか?」僕:「うーん」という会話を最近しました。

以前書いた元乃木坂の中元日芽香さんも予約制のSkypeカウンセリングを行っています。こういったオンラインカウンセリングで満足度が高ければそれはそれでクライエントさんは構わないのですが、オンラインカウンセリングは臨床心理士、公認心理師以外のいわゆる無資格カウンセラーも多い。

さて、これをどう解釈するべきでしょうか?対面カウンセリングでも同じですが、僕はカウンセリングのクオリティを

1.いいカウンセリング、2.毒にも薬にもならないカウンセリング、3.クライエントさんが不満を抱いてドロップアウトしていくカウンセリング4.有害でクライエントが除反応を起こしてもケアできないカウンセリング。5.自分を神格化して信奉させるカウンセリング

の序列なのではないかと思っています。「2.毒にも薬にもならないカウンセリング」はクライエントさんが「こんなものかあ」と思いながら通い続けていて、「3.」に移行してドロップアウトするかもしれません。それはそれでいいのです。クライエントさんには自己治癒能力があります。

さて、対面でも起こりうる「4.」「5.」の激しい抵抗や神社を作り上げるような、いわば有害事象をオンラインカウンセリングでは防ぐことはできるでしょうか?どんなクライエントさんでもトラウマを負ったPTSDの人はどんな精神療法でも除反応を起こすことがあります。僕はPTSD、あるいは適応障害の患者さんでも目の前で激しい除反応を起こすのを見たことが何度かあります。

元々そういうクライエントさんが多く来る機関で勤務していたからでしょう。泣きながら土下座したり床を叩いて転げ回ったりと壮絶なものですが、僕のカウンセリングを知っている他職種勤務員は慣れっこで「またか」と思っているのですが、除反応が起きると途中で慌ててセルシンを静注してもらうのは下策と僕は考えます。

除反応が起こったら徹底して除反応を出し切らないとトラウマ体験が不全感を持ったまま残ります(現代催眠原論)。除反応は出し切った方がいいのです。オンラインカウンセリングでEMDRをおこなう心理職はさすがにいないでしょう。催眠はどうやって解催眠をすればいいのでしょうか。

自我状態療法は?ブレインスポッティングは?ブレインジムは?ソマティックエクスペリエンスは?どの心理療法もトラウマ処理にはかなりの高い専門性があり、除反応が起こってもおかしくないです。

それならばトラウマ処理には認知行動療法を暴露療法として刺激の洪水、フラッディングを使おう、とか、トラウマが隠されている主訴の人にフォーカシングを行ってみようとすると実はとんでもない侵襲性があって、それをオンラインだと処理し切れないことが十分に考えられますし除反応も起こりえます。

オンラインカウンセリングで可能なのは「1.よいカウンセリング」は、クライエントさんが話ができてよかったなあという満足感を得られるもの。誰かに聞いて欲しかったから聞いてもらった。これはスッキリしたという意味ではいいカウンセリングです。

実際多くの有資格者や無資格者でもこういった電話カウンセリングは頼りにされていますが、クライエントさんからのクレームも多く「勝手に決めつけられた」「入院しろと言われた」など腹を立ててドロップアウトするのならばまだマシなカウンセリングと言えます。

怖いのは侵襲性があってもそのケアができないカウンセリングです。また、カウンセラーを信奉したクライエントさんが「私が全てあなたを助けてあげましょう」と困窮して藁にでもすがりたいところにそう言われると頭の奥が麻痺したようになり、カウンセラーを絶対視するようになります。

こういったことはトレーニングをきちんと受けた有資格者はやりません。しかしながらオンラインカウンセリングでも悪意を持ったカウンセラーがやろうと思えばできるでしょう。電話カウンセリングでもできるかもしれません。

とここまでオンラインや非対面カウンセリングについてネガティブな意見を書いてきてしまいました。しかし遠隔地、僻地居住でなんとかカウンセリングを受けたいと希望しているクライエントさんはいます。そういった方になんのチャンスも与えられないというのは酷だと思うのです。

無資格者を含んだオンラインカウンセリングには何のガイドラインもありません。有資格者についてもオンラインカウンセリングをしてはいけないというルールもないのです。せめて有資格者についてはプライバシーポリシーやガイドライン、コンプライアンスやインフォームドコンセントをしっかりと整備した上で掲載し、カウンセリングを行なって欲しいとも思います。

カウンセリングを受けられる環境にいない、または心身の不調で外に出ることができない方々の潜在的なカウンセリングのニーズは高いものと思います。

日本臨床心理士会では実は無料カウンセリングを行っています。

http://www.jsccp.jp/about/tel.php

また、各地方公認心理師協会でも無料で電話カウンセリングを行うことがあります。

官公庁や企業では従業員支援プログラム、EAPの一環として24時間体制で産業カウンセラーも含めた電話カウンセリングを行っている事業所も多いです。

今後SNSカウンセリングやオンラインカウンセリングはかなりの地歩を占めていく可能性があります。

メールカウンセリング、電話カウンセリングなど対面でないカウンセリングも多いので、望む人が専門的なサービスをできれば安価、もしくは生活困窮者の方には無料で受けられるようなシステムを作り上げて欲しいと思います。

ご存知でしょうか。東京都には年間7万2千円までカウンセリングを無理で受けられる制度があります。他自治体でも多く行っているようです。

警察庁では性的虐待へのカウンセリングを含めた性被害への全般的な支援を行っています。

https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/shien_soudan.pdf

ワンストップ支援センターも全国展開しています。

http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html

全国市区町村役場や社会福祉協議会(社協)、無料相談窓口の案内は都道府県精神保健福祉センターでも行っています。無料カウンセリングはSNSでの青少年相談は今も行われています。

無料カウンセリングを僕が力技で押しているわけではなく、例えばこうしたカウンセリングの公的支援サービス機関として私的カウンセリングオフィスはその任を行っていることも多いです。ボランティアでこういった方々への無料カウンセリングを医師や心理職が行っているカウンセリングオフィスもクリニックもあります。医療者や心理職の責務は社会貢献なので、利用したい方々はどんどん問い合わせて欲しいと思います。

医療機関における、本来保険診療外カウンセリングも地域貢献、社会貢献が母体となる団体が無料化して行っている場合があります。(済生会はほぼ満員状態だそうです。by知人。ですが問い合わせてみる価値はあるでしょう。)

支援を必要としている人がカウンセリング受けたいという要望が多ければ、それは僕らのような心理職にとってもそれだけの社会的ニーズがあるという追い風になります。

元々カウンセラーとクライエントさんは対等で、二人三脚でカウンセリングという構造を作り上げていくものだと思っています。

さまざまなカウンセリングの形態や価格を現代社会は選択肢を提供しています。臨床心理経済学的にクライエントさんがコスパの良いものを選ぼうとすることは心理職にとってもより洗練される機会を与えられることになるのです。

カウンセリングする側は経験を積み、技を磨き、クライエントさんはどんどん自分の思うままに快い選択をして欲しいと思うのです。

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