ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:アダルトチルドレン

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◯ アダルトチルドレンと依存をめぐる諸問題

アダルトチルドレンを生み出す機能不全家庭は物質依存だけにその問題はとどまっているわけではありません。

解決がとても難しいのは対人関係にかかわる関係依存、これが子どもをめぐる問題をより複雑にします。

依存症になる親、そしてそれを容認するもう片方の親、両方とも子どもをアダルトチルドレンとして育てることに加担しています。

片方の親がもう片方の親のすることを消極的に容認してしまったのは10歳の心愛ちゃんが亡くなった事案でも同じです。

父のすることを母親は怖くて何も言えないでいました。

母がもっと積極的に「私がいなくちゃこの人はダメになってしまうから」という救世主、メサイアコンプレックスに陥った家庭の中の子どもは悲惨です。

「ごめんよ、俺はなんとか立ち直るよ」という父に対して泣き合って抱きしめあって理解を表面上して解決をする夫婦、この時妻はイネイブラー、依存のエネルギーのガソリンタンクとして機能しています。

さて、この時に子どもはどこに置き去られているのでしょうか。

果てしなく繰り返される恐怖の家庭の中で何も希望も変化もなくなっていく毎日です。

夫婦の共依存状態、不健全な関係性への依存と置き去りにされた子どもです。

PTSDがDSM-5になってその特徴として、不機嫌な感情とその爆発性が特徴として示されるようになりました。

加害者が父親とは限りません。

母親であってもアダルトチルドレンとして育った母親が食卓をひっくり返し、皿を投げつける、そしてその感情をどうすることもできなくて自ら嘆き泣きじゃくることはAC連鎖家庭の中では珍しくありません。

アダルトチルドレンはある意味サバイバルゲームに似ています。

その場から離脱しないと心身の健全さは保てません。

しかし力ない子どもがいったいどうやって抜け出したらいいのでしょうか。

アダルトチルドレンはいつもいい子であり続けようとします。

毒親には満点の成績のテストを持ち帰り、学校では笑顔の仮面を保ち続けなければなりません。

自分を嫌いになったACの子どもは大人になっても自らを罰し続けていないとならなくなってしまいます。

過食で健康を失う、無謀な運転で命を危険に晒す、どれも自分への罰です。

成功を禁じられているので家庭という鎖を離れたら、ある時を境として学校、あるいは仕事からスピンアウトします。

何もできない、何もしないという果てしない気分障害のうつ状態の中で過ごします。

女性であれば彼女はいい結婚もパートナーも選びません。

魅力的な彼女に言い寄ってくる紳士的でいい人に対して「ふさわしくない」と断ってしまいます。

彼女は自分が幸せになることを許すことができません。

いつも笑顔で性格もよく人当たりのいい彼女をとらえるのはストーカーまがいの男性です。

「交際するまでつきまとってやる。酷い目にあわせてやる。居座ってやる」

彼女は「そこまで思いつめて私を必要としてくれるならば」と不幸な対人依存を選びます。

こうやってまたアダルトチルドレンと依存の連鎖は始まっていくのです。

今回に限らず一連の児童をめぐる事案にはアダルトチルドレンの問題が背後にあったとしても決しておかしくはないでしょう。

果てしない孤独感、そしてそれをどうにもできないもどかしさ、過剰な努力、落ち込み、空虚感、苛立ち、これらはアダルトチルドレンの人々に共通した負の感情です。

何が起こっていたのか、そして自分は何なのか、ACの人々はまず自己認識をはっきりとさせておかないと次の癒しのステップに進むことは困難です。
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アダルトチルドレンの人とはどういう人のことを指すかというと、アダルトであり、しかもチルドレンでもあるという言葉のとおり、大人であることを強制された子ども、つまり自分が常にいい子でなければならないと苦しんでいる人のことです。

アダルトチルドレンの人は他者からの評価に敏感です。

他者から批評批判されているのではないかとびくびくしながら生活し、自分を必要以上に良く見せようとします。

本当はやりたいことや自分の意見があってもそれを表明することができません。

そういった自由な生き方や発言をすると誰かから罰を受けるのではないかという、根拠のない恐怖にいつも怯えています。

アダルトチルドレンの人たちとは全く反対に、自由闊達に自分の意見をはきはきと思ったままに言い、人生を楽しんで深く考えず、反省もせず、気楽に生きている、いわゆるフリーチャイルド的な人を見るとがっくりと落ち込んでしまいます。

アダルトチルドレンの人にはそういう生き方はできません。

親、上司、学校の先生から素直でいい子で勉強や仕事を熱心に行い、高い評価を受け続けていないと不安になります。

いつも真面目に生きているので高い業績を上げてることも多いのですが、決して喜んでその状態を保っているわけではありません。

一種の強迫観念のように、やり続けていないとどんな目に遭わされるかわからないという怖さから止めることができないでいます。

フリーチャイルドの人はユーモアがあるので適当に生きていても愛嬌があって好かれます。

アダルトチルドレンの人はいつも萎縮しているので、いい実績を残してもあまり人から好かれることもなく、便利に使われ、文句も言わないので評価を人に奪われてしまうことも多いのです。

どうしてアダルトチルドレンの人が生まれてしまうのかというと、幼少期の育てられ方に一番の原因があります。

心身の虐待を受けてアダルトチルドレンになった人が多いのです。

同年代の子どもたちが外で遊んでいる時に家の中で閉じ込められて勉強をさせられる、できなければ叩かれたり怒鳴られたりします。

学校のテストで90点を取って持ち帰ると、なぜ満点じゃなかったのかと責められて何時間でも土日でも遊びに出してもらえません。

いい子に振る舞わないと処罰されます。

優しい顔をして親は近づいてきます。

「もっと気楽にしていいのよ」と言われ、安心して無邪気に親に抱きついたりすると「何やってるの!」と叩かれたりします。

これは2つの矛盾したメッセージを同時に送られるダブルバインドという現象です。

ダブルバインドの立場に置かれると子どもは何をしていいのかわからなくなり固まってしまいます。

そうするとまたなぜ何もしないでいるのかと責め苛まされます。

アダルトチルドレンの人たちは、こういった親に気ままに育てられたせいで心に深い傷を負って、それが癒されないからアダルトチルドレンになってしまったのです。

積極的な虐待でなくてもネグレクトという虐待の形式もアダルトチルドレンを生み出します。

放置されて面倒を親から見てもらえなくて育った子ども、きょうだいの長子は、下の子どもの面倒を見なければいけません。

自分が親代わりになって小さい子の世話焼きをしなければならず、失敗するとまた親から怒られてしまうのです。

こういった、いわゆる毒になる親から育てられるとアダルトチルドレンは生まれるのです。

アダルトチルドレンの人は何に悩んでいるかというと、まずは自分が自由に生きられていないということです。

いつも窮屈な思いをして人から最高に褒められるような完璧な努力をしなければならない、絶対に失敗は許されないと思いながら生活しています。

通常の生活をしていて学業や仕事で褒められることは少ないものです。しかもよくできて当たり前だと考えながらアダルトチルドレンの人々は生きています。

幼少期から努力ばかりしていたので、いい成績を残し、いい会社に入って仕事をしている人たちも多いのですが、そういった場所ではみんなが優等生です。

その中で落ちこぼれないようにしなければならないので必死です。

そしてアダルトチルドレンの人たちは人に利用されることが多いでしょう。

おだてられて頑張って成果を出すと横取りされます。

褒められた体験が少ないのでちょっとしたことでもいい評価を受けると同性にも異性にもいいように食い物にされます。

恋人を作っても吸い取られて捨てられてしまいます。

プライドはズタズタです。

もしアダルトチルドレンの人が親になれたとしたらそこでもまた悩むことになります。

自分が虐待されて育てられたので、まともな子育ての仕方を知らないのです。

どうやって子育てをしたらいいのかわからないと厳しくばかりして、またアダルトチルドレンの子どもを作り出しかねません。

子どもに優しくしたい、でもやり方がわからないから厳しくしか育てられないので、自分の子どものころの苦しさを自分の子どもにまた与えているような感覚に陥って苦しむのです。

この連鎖から抜け出すのには相当な努力と苦労が必要ですが、いい親になっているアダルトチルドレンの人も多いものです。

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1 知ることから始まる

元々は1970年代から、社会心理学者で依存症の問題に取り組み、研究をしていたクラウディア・ブラックによってこのアダルトチルドレンという概念は提唱されました。

日本でもトラウマ・サバイバーズ・ユニオンがACと深いかかわりを持っています。

クラウディア・ブラックのトラウマ理論はその治療方法とも深いかかわりがあります。(後述)

繰り返しトラウマ記憶を想起して述べることはインナーチャイルドの成長に役立つと言います。

アダルトチルドレン、ACの概念は社会福祉から始まったもので、精神医学、臨床心理学の立場からは決して正式な疾患単位として認められることはありませんでした。

しかしあまりの症例数の多さに精神医療現場でもアダルトチルドレンの存在を無視することができなくなり、カルテの表表紙や症例研究にもACと書かれるようになってきました。

しかしACそのものの名前を疾患単位として保険制度の中に認めることは今後もないでしょう。

アダルトチルドレンという概念は確かに存在しています。

そしてそのために苦しんでいる人々も確実にいるにもかかわらず現代精神医学の中では黒子のような存在として扱われ、他の病名で精神医療を受けています。

ACの人たちはその生育歴からストレスへの脆弱性を抱えることになります。

遺伝子病と言われている統合失調症、双極性障害も遺伝子を持っていても、発症しないこともあるでしょう。

また、PTSDの教科書でももはや服薬治療が必要なくなった精神的遺伝子疾患の存在が語られていますり

痛めつけられた経験はさまざまな疾患を引き起こします。

心身症、自らの体の痛みを言語化できないアレキシサイミアは弱体化させられたレジリエンス(打たれ強さ)の中で発症しやすくなるでしょう。

ACもPTSDも身体にフラッシュバックを起こし、さまざまな痛みを引き起こすことがあります。

虐待を家庭の中で受けて育った年月だけその 人は弱っていくのにもかかわらず、子どもには到底自立は望めません。

元々持っていたはずの高い能力や資質をへし折られることによって引きこもりになることすらあります。

社会性やコミュニケーション能力という芽すら摘み取られてしまいます。


2.逃れることも大事

さて、アダルトチルドレンの人たちが発達して原家庭の軛から逃れたとき、恋愛をしようとすると、DVモラルハラスメントの相手に捕まって酷い目に遭う事も多いわけですり

だいたいにおいてこういった相手はアルコールなど物質依存、ギャンブルの行動問題を抱えていたり、ACの人は強引な相手に絡め取られてしまう。

そうすると恋愛そのものが機能不全の連鎖となり、共依存を引き起こしやすい。

いい人たちは強引でもなければ無理もしない。

ACの人たちは抑え付けられた分だけ従順になっている。

心理学の教科書に載っている症例では、いつもニコニコしていて美人の受付嬢AさんがDV男に無理やり交際を迫られて受け入れざるを得なかったという例がありました。

いい人は紳士的だから、すぐに引き下がる。

この事例ではDV男が交際してくれなかったら死ぬとAさんを脅していました。

3.自信回復過程

ACの人たちは自信を喪失しているから、いい人にはふさわしくないと思って交際を申し込まれても断ってしまいます。

だから強引な相手が有利になるのです。

この負のエネルギーにACの人が巻き込まれないためには、まずは自分がAC、アダルトチルドレンと自覚するということが一番でしょう。

弱さを知っているから巻き込まれないように防衛することができればそれは何よりの強みになります。

自分がACということに無自覚な人たちはあまりにも弱く、また機能不全家庭を作り上げていかなければ気が済まないのです。

傷つきの裏にはアダルトチルドレンの人たちが自分のインナーチャイルドとの対話を必要としているという事実があります。

幼いころの自分、虐げられて育った自分に対して優しい言葉を果たしてかけてあげられるでしょうか。

もうそんなに苦しまなくていいんだよ、大人の自分がインナーチャイルドを優しく抱きしめて頭を撫でてあげて慰めることは可能でしょうか。

それが可能となった時、アダルトチルドレンの人は自分の未来への可能性を信じることができるでしょう。

暖かくて包まれた安心感の中で優しいパートナーに恵まれて恋愛をし、結婚をして機能不全の家庭を自分はもう作らなくて済むようになります。

子どもに優しくできて、粗暴なパートナーから弱い存在を守らなければならない必要性にも迫られないわけです。

4.回復のためのプロセス

翻ってカウンセラーはACの患者さんに何をすることがきるでしょうか。

小さくてまだ幼いインナーチャイルドと対話して、徐々に育てていくことはカウンセリングの中で可能です。

小さなあなたは幸せになる権利があるんだよと繰り返し伝えていうことが基本で、そして何より必要性が高い事柄でもあります。

カウンセリングルームの中は安全だと保証すること、ここではいくら泣いても大丈夫だということ。

インナーチャイルドの成長と癒しのためには催眠が有効な場合があります。

インナーチャイルドを成長させていくのは精神療法家とクライエントとの協働作業となります。

催眠でなくともACということを受け入れてくれる場所、自助グループへ参加できる人々はまだ僥倖でしょう。

外に出られない、自助グループが存在しない地域に居住する人々もたくさんいます。

だからこそネットでの繋がりも大切なものとなってきているのが実情なのです。


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