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「自称カウンセラー」の危うさ

大阪市内で47歳のアルバイト男性、自称カウンセラーが「カウンセリング」と称して女性の体に触ったり、性的行為をしたということで「準強制わいせつ」で逮捕されました。

この行為は一昨年行われたもので、女性が友人に相談したことで発覚したというものです。なぜこういった行為が強制わいせつでなく「準」という接頭語がつくかというと、例えば酔って(酔わせて)被害者の意志能力が朦朧としているところにつけこんでわいせつ行為を行ったような行為を示すためです。

(刑法第178条第1項(準強制わいせつ)人の心身喪失若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をしたものは、第百七十六条の例による。)
※第176条は暴行強迫による強制わいせつ※

さて、こういった事案は昔から多数起こっており、報道されていない暗数もかなり多いと思うわけですが、気になるのは、なぜカウンセリング中にこういった事案が起こり、それを心神喪失や抗拒不能にさせたということに認定するか、そしてたいていの場合、事案が起こってからしばらく時間が経過してから被害届が出されるかということです。

これは悩んできたクライエントさんが藁にもすがるような気持ちで相談に来たのに乗じ、いわゆる「マインドコントロール」をした結果、しばらくしないと被害者が気づかない、あるいはこういった犯罪は被害者が申し出て被害届を出さないと犯罪として立件されない「親告罪」なので、被害者が相当に悩んだ挙句に被害届を出すということがあるのでしょう。

この例を見て思い出すのが 2000 年代前半、某国立大学教授の準強制わいせつ事件で、カウンセリングに来た被害者について「育て直し」と称して一緒に入浴したり、体を触ったりして余罪多数、結局実刑2年判決を受けて、大学も懲戒解雇になったというものです。元教授は微生物等生物学研究者だったのですが、ひょんなことからでしょうか。愛着理論に基づいたカウンセリング理論を思いつき、その実践を通じてわいせつ行為を行ったというものです。

この教授は心理資格を持っているどころか、自己流で心理学を学んだ、というよりも「編み出した」というべきとてもいい加減なもので、それでもわかりやすい文章でぐいっと人をひきつけるようなことを書いていたので、当時はベストセラーまで出していました。

手元に「現代催眠原論」(金剛出版)があるのですが、人をしてその相手が望まない金員を出させたり、こういった身体的自由を奪うような行為は必ず露呈して、当該「催眠療法家」は必ず失脚すると記されています。

これは当たり前と言えば当たり前のことで、催眠というのは一生かかっているわけではなく、覚醒することも含めて催眠の流れであって、その中途に本人が望まないことを治療家が行わせていたら、当然相手は気づくわけです。

つまり、催眠は本人がリラックスしたい、とか困っている症状があるのでそれを何とかしたい等本人が希望することがなければかかることはあり得ないわけです。

無資格カウンセラーでも、よくわからない資格を持っているカウンセラーでも自分なりの倫理観をそれなりに持ってカウンセリングを行っている人はいるのかもしれませんが、それはクライエントさんにとっては玉石混交の中から誰が正しいのか見抜くことは、はっきりとした「カウンセラー選択術」があるわけでもなく、大変難しいわけですし、そういったカウンセラーにはだいたいにおいて心理学的なバックボーンは何もありません。

したがって、こういった大学教授であろうが、ベストセラーを出していようが、独学カウンセラーの危うさがあります。有名なメンタルヘルスサービス会社でカウンセリングを業として行っている企業がありますが、聞いてみると「クライエントさんが言われたがっている望む回答を言う」ことがどうやら人気の秘訣になっているようです。

こうなってくると、その「カウンセラー」にリピーターがつくのは当たり前のことで、いつカウンセリングを受けても耳ざわりのいい言葉しか言われなかったら、クライエントさんの自己肯定感は高まっていくばかりですが、通常のカウンセリングに期待されるような洞察や自己成長能力の涵養は何もないと思います。

反対に素人カウンセラーが変な自己流の理論を持ち出してクライエントさんにダメ出しばかりしてdisってマインドコントロールをしていく場合もあります。これもかなり危険なカウンセリングで、クライエントさんの心に傷を残すばかりになってしまう可能性は高いでしょう。

カウンセリングに関する資格はさまざまにあります。
その中でも心理学を基礎から学んでいないと資格取得ができない臨床心理士・公認心理師はそれなりにトレーニングや倫理観に関する知識を持っていることが期待されるわけで、それなしには資格剥奪という厳しい処分もあり得るわけです。

臨床心理士・公認心理師有資格者だから絶対に正しい、というわけでもないのですが、少なくともかなりの安全性を担保することにはなりますし、無手勝流に適当にカウンセリングをやっていればいいというわけではないという、カウンセリングマインドやセンスは身に付けていることが前提となっています。

以上、カウンセラーが持つ資格による相違点、危険性について考えてみたのですが、有力資格を持つカウンセラーはそれだけの期待をクライエントさんからされていて、公認心理師に至っては「国民」の心の健康保持増進に寄与しなければならないという義務があるという自覚をしっかりと持って欲しいと僕も思うのです。

photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_