ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

タグ:こころJOB

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「精神系のくすり」メディカ出版書評 公認心理師受験生、現職心理職、医療職、福祉職の方々へ

メディカ出版、こころJOB BOOKSから「心のケアにたずさわる人が知っておきたい精神系のくすり」が発売されました。僕は本を読む時、表紙、目次、著者を見てから中身を読むというあまのじゃくで、そこで面白そうだったら手に取って読んでみるという人なのですが、まずその段階からひどく興味をそそりました。


現場で働く看護師さんが薬のことに詳しくないとならないのはもちろんですが、表紙に書いてあるとおり、心理職・精神保健福祉士にも役立つ一冊でしょう。これから臨床心理士試験・公認心理師試験を受ける受験生にも役立つ内容だと思います。

メディカ出版「精神系のくすり」には最新の知識が書かれています。僕も仕事柄何冊か精神薬理学の本は持っているのですが、この本にはイラスト入りでなぜこの薬が効くのかがわかりやすく書いてあります。

序文に書いてあるように臨床心理士・公認心理師が「なぜ薬の本を読まなくてはいけないの?」と思いがちなところもあるかもしれませんが、僕は患者さんに投与されている薬を知ることで目の前にいる患者さんに対する医師の「思想」を知ることができるからだと思っているのです。

つまり医師がどのようにその患者さんの病態を見ているかがわかるわけです。また、忙しい医師が3分診療をせざるを得なかった時、遠慮深い患者さんは何もかも「はい」と答えてしまう傾向があります。

カウンセリングの時に「実は○○という副作用があって、先生(医師)には言いにくかったのですが…」ということがありきちんと患者さんを医師に再診してもらうのも心理職の大切な仕事です。

そこで「看護師&心理職などが知っておきたい副作用」のコラムにはひとつひとつの薬について書いてあるのです。

さて、この本は第1章「精神系のくすりの役割を知ろう!」で向精神薬はなぜ患者さんに処方されるのか、第2章では「くすりの処方行動における心の交流」が書いてあります。

よく知られていることですが、患者さんの心の状態は医師の処方する薬と医師との信頼関係にかかってきていることがあり、第2章では患者さんと薬の交互作用と言ってもいい、そのあたりも丁寧に説明されているのです。

第3章「よく処方される精神系の薬について知ろう!」がこの書籍の醍醐味と言っていいでしょう。

かなり多彩な薬剤について記述されています。抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗不安薬、睡眠薬だけでなく、公認心理師試験にも出題された抗認知症薬、漢方薬、アルコール使用障害治療薬(僕はこのあたりが次の試験に出るかもしれないとヤマかけをしています。)について記述されています。

また、第4章「精神系のくすりと併用されやすいくすりを知ろう!」では向精神薬と併用されることがある、向精神薬の副作用止めに使用されることが多い制吐剤、便秘薬、胃薬、抗パーキンソン病薬、精神にも大きな影響を与えるむずむず脚症候群治療薬に関しても書かれています。

精神系の薬の開発は日進月歩です。したがって5年前の薬の知識だと現場では役に立ちません。知識ををバージョンアップする必要があるのです。

実際、公認心理師試験は薬剤に限らず法律、制度、診断名の最新知識が出題されているのですが薬剤についても同様です。もちろんこの書籍は最新の薬剤知識が記述されています。

公認心理師試験は商品名ではなく薬剤名で出題されるのですが(例;クロルプロマジン塩酸塩=コントミン、ウィンタミン)そのあたりもしっかりと書かれています。

薬の本だけあってひとつひとつの薬について作用機序(何故その薬が効くのか)、また予想される副作用が書いてあり、かなり丁寧です。また、症例が書いてあることも役立つのです。

副作用の記述はかなり詳細に説明してある本と言えるでしょう。

薬の本というと、何故その薬を出すのか、というそっけない書き方をされていることが多いのですが、症例集を読んでいると〜という症状が出て○という薬を出したが効かなかった、だからこの薬を処方したら効いた、ということもわかりやすく説明されています。

付録についている資料のQRコードも便利で、薬剤名、どんな用途で使われるか、副作用についても書いてあり、受験生の方や心理職の方も覚え込むのに、また患者さんのためにさっと調べて答えることができるのです。

公認心理師受験生から「どうやって薬剤とその副作用を知ればいいの?」と聞かれることがあるのですが、これはわかりやすく、いい本と出会ってそれをきちんと読み込むことしかありません。ここまでこの記事を読んできて、公認心理師試験の過去問に多くこれらの知識が出題されてきていることがわかります。

現場の心理職でも「投薬は医師の仕事だから」と薬剤やその副作用についておざなりにしてしまうことが多いのですが、上記のさまざまな理由から、それではきちんとしたカウンセリング、安全なカウンセリングができないことは自明でしょう。

そういった意味ではこの「精神系のくすり」はとても良書と言えるのでぜひ手に取って読むことをおすすめしたいのです。

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こころJOB自己採点システム開始

こころJOB自己採点システム

では下記のような試みを毎年しています。

メディカ出版「こころJOB」では、2021年9月19日(日)試験後にご利用いただける
『みんなが選択した答えがわかる!自己採点システム』を実施いたします。

第4回公認心理師試験で選択した解答を入力すると、入力した方全員の選択率がわかります。

入力期間終了後、採点し、予想得点をメールでご連絡いたします。また、予想得点とあわせて選択率もお知らせいたします。

予想得点のご連絡は、2021年10月5日(火)14時頃を予定しております。
◆入力期間:2021年10月4日(月)23:59まで

ご利用を希望される方は、下記よりメールアドレスのご登録をお願い申し上げます。
自動返信メールにて利用方法をご連絡いたします。


興味のある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

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公認心理師試験合格速報予想サイト

1.和光大学青年心理学研究室

2.プロロゴス

3.IPSA

こころJOB自己採点システム

※ 例年この辺りから合格速報が出ています。

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生きる上でストレスという負荷を避けて通ることは難しいよね。過度なものは心を患ってしまうけれど、かと言って全くそれがないと、のれんを腕押しするかの如く味気の無いものになってしまう気がする。ほどよい摩擦があることで歯車は噛み合い前へ進むのかも。でもやっぱり…ストレスフリーがいいよね。


◯ 各分野で働く公認心理師・臨床心理士のキャリア形成

1.序
「またかい」と思われるかもしれませんが、メディカ出版の公認心理師向けのインターネットサイト「こころJOB」さんのエア取材記事です。ちなみになぜ僕がメディカ出版のこころJOBさんのコンテンツばかり取り上げているかというと、中の人が公認心理師制度の発展にとても理解があり、電話をするといろいろと親切に教えてくれるからです。それだけではなくて、コンテンツが他サイトとより充実しているのがわかるからです。

僕は電凸ブロガーとして(迷惑にならない程度に(と自分では思っている))取材を試みているのですが、こういった理解ある熱心な担当者と話ができるのは楽しいです。こういったオアシスのような人がいなければ気の弱いウサギハートの僕は恐怖に打ち震えて死んでしまうかもしれません。

さて、実際のところ、公認心理師がどこでどんな働き方をしているのか同サイトを見て僕なりの感想を述べてみます。

2各領域における心理職の活躍

⑴医療領域
この領域においてはやはりCOVID-19へのメンタルヘルス対策が重要になってきています。この感染症の受入れ病院でもある総合病院では、ストレスが高まっている患者さんも多く、相談件数は増えているとのことです。感染症対策で家族と会えない、COVID-19が怖くて病室からも出られない患者さんに対して作業療法のようなことをして安心感を与えるという試みをしている心理士(師)の方(あいいろこっこさん)もいます。

⑵ 産業領域
産業領域ではダイハツ工業の春藤行敏さんがインタビューに答えています。保健センターで働く春藤さんは60人の医療スタッフの一員として働いています。

彼は保健センターの一員としてまずCOVID-19のことを知り、そのためのメンタルヘルス施策を担当しています。あくまで「組織の一員」としてメンタルヘルスにかかわっているわけで、COVID-19に関する基礎知識がないと対応できない、という観点から、疾患への理解を経てその後にメンタルヘルスを考えていくという、大変効果的なカウンセリング体制を構築しています。

⑶ 教育領域
教育では学生相談所に勤める管藤美穂さんが学生たちの不安について書いています。授業が始まらない、またオンライン授業で行っている。不安な学生の相談へのニーズは大きい、そこで電話、メール、オンラインでこの事態に対処しています。

スクールカウンセラーとしては神井知子さんがやはりCOVID-19という特殊状況下で生徒のプライバシーに配慮しながら、自粛で閉塞感を味わっている生徒のために守秘義務に関して注意をしながら仕事をしている様子を記述していました。

福祉領域で働く永山唯さんは福祉施設で働く人々、介護職のストレス低減にかかわり、介護職の人々が生きがいを持って働けるような工夫をしています。

この連載は心理職の働き方を考える上でとても大切な何かをいつも伝えてくれています。

司法領域を含めて心理職はさまざまなところで働いています。

こころJOBは心理職としての働き方は何か、そしてどのようにキャリア形成し、そしてキャリアアップしていくにはどのように仕事を探していくのかを紹介しています。

これから公認心理師試験を受験する上で役立つ情報、公認心理師クイズもありますが、いつも僕が感心しているのは求人情報の多彩さです。

随時非公開求人を含め、心理職としては条件がいい求人があり、「こんな求人があります。あとは勝手に応募してね。」という求人形態ではなく、きちんと応募者のニーズを聞き、面接に通るためのキャリア形成を支援していく、面接、履歴書作成の支援を行うというのは優れたシステムだなあと思います。

心理職としての働き方、仕事の探し方を考えてみるヒントになります。こういったサイトに登録しておくと声がかかかることもあるでしょう。積極的にさまざまな資源を使って公認心理師の活躍の場を広げることは公認心理師全体の地位を向上させるためにも必要だと思うのです。

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2019年11月27日、こころJOBのWEBサイトに厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課 風間信之公認心理師制度推進室長にインタビューした記事が掲載されていたので紹介させていただきます。

こころJOBさんはやはりGルートの現任者公認心理師についてさまざまな意見があることを承知した上でしょう。

以下の質問をしています。

「現任者の方の受験区分では臨床心理士以外の方も多く受験されていますが、多職種の方の受験についてはどのように感じていますか。」

これに対し

「現任者の方の受験区分については、特定の職種が受験資格として認められているのではなく、5年以上、心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うなど、公認心理師法第2条第1号から第3号に定められている行為を行うことを業とする方、または業としていた方が該当します。」

(風間公認心理師制度推進室長)

と回答しています。

僕はこれは字義通り、臨床心理士だけを優遇して合格させる、ということではなく、受験者が臨床心理業務として何をしていたのか、ということが受験資格要件で、厚生労働省は特定資格者優遇をよしとしているのではなく、公認心理師試験はあくまで心理業務をしていた受験者の得点で合否を決めるという、シンプル、公平な基準で行っていく姿勢なのだと感じました。

この記事には公認心理師が資格を取得した後のキャリアアップをどのようにすればいいか、公認心理師の職能や権限の拡大を期待するかのような風間室長からの発言もあり、公認心理師制度をかなりエンパワーメント、力を入れていくという意欲があることがわかります。

公認心理師の職務状況の把握が大切だということを繰り返して風間室長が述べておられることから、現在公認心理師が現場でどのように活躍して運用されているのかが将来に向けて大切になってくるのだとも読み取れます。

リワーク(復職訓練)における期待等についても風間室長が言及しています。

インタビュアーの方がかなり鋭い質問をしていることと、それに対する風間公認心理師制度推進室長の明確な見解が示されていることから、かなり僕は面白く読みました。

こころJOBさんの厚生労働省公認心理師制度推進室へのインタビューは2回目になるので併せて読むと厚生労働省の意図、試験の目的等も透けて見えると思います。

読者の方には原記事やこころJOBさん独自で行っている心理職の転職支援活動など幅広い記事を読んでいただきたいと思ったのであえてトップページのリンクを貼りますが(http://cocoro-job.jp/)、興味深い記事を読ませていただきましたのでこのブログでも紹介させていただきました。

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