ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: 公認心理師試験制度

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第4回公認心理師試験もそれ以降も難易度は高いという予測

1. 承前

(1) G ルート創設の経緯

初めに書いておきますが、本記事は G ルート受験者を disる目的で書いているものではなく、あくまで今後の試験難易度に G ルートの在り方が大きく絡むという意図で書いているものです。今さらですが、G ルートの創設はカリキュラム検討委員会が決めたものです。

表向きは例えば相談業務を週1回、主婦などがスクールカウンセラーや精神科クリニックで働いている場合の現任者、あるいは大学教員が教員としての業務を主として行っていて、カウンセリング業務は週1回程度行っている場合を仮定してGルートと認めるというとことになっていました。

これは臨床心理士の現職者を仮定して(正確に言うとまるで仮定していたかのように)述べていたものと思います。ところが実際フタを開けてみると教員、看護師、福祉士など近縁多職種の受験者が多かったわけで、これはカリキュラム検討委員会が予想していたことでしょうか。僕はある程度以上予測していたものと考えています。

2 資格1法案の時は医師団体が医療心理師は大卒を資格要件としていた、または専門学校卒でも可能として、結果臨床心理士団体からの猛反対にあって法案が廃案になったものです。そういった経緯がこれまでにありました。

今回公認心理師制度が成立するに当たっても、各学会や心理関係団体から専門学校卒は要件にしないで欲しいと強力な要請がありましたが、G ルートが認められたことで学歴要件はうやむやになりました。以前書いたのですが、実際、Gルート受験の場合には卒業証明書は不要ということを受験の手引きを見てかなり驚いた覚えがあります。

(2) 医師団体は公認心理師資格の価値を切り下げようとしたのではないか

日本心理研修センターは第 1 回試験の際に受験者が持っている資格として、看護師、教員免状、精神保健福祉士などをアンケートの際に仮定していました。初めから他職種が受験することを想定していたわけです。また、厚生労働省公認心理師制度推進室はある時点で(今はわからないですが)Gルートの専門性に疑問を投げかけたEルート学生向けに「Gルートはいずれなくなるので安心してください」という趣旨の回答をしていました。

公認心理師制度推進室(制度発足後活動)や日本心理研修センター(試験機関)がGルートを創設したわけではなく、カリキュラム検討委員会が決定したものです。結果として G ルートは専門学校卒でも高卒でも受験できる資格となったわけです。

医療心理師よりも受験資格が甘くなったと言えます。カリキュラム検討委員会が当初から上記非常勤心理職や大学教員を想定していたわけではなく、こういった事態、他職種組の多数の参入を考えていたのではないかと思います。

多分、ですが公認心理師資格の価値は医師団体と心理団体の綱引き合戦で「5年間はGルートを認める。その替わり心理団体の主張を受け入れて 2024 年からは学部から公認心理師課程だけを履修した純粋培養組が受験することになります。

2.本論

(1) 第5回、第6回試験難易度

以前から書いていることですが、G ルートの合格者増加を公認心理師制度推進室も日本心理研修センターも快く思っているわけではないと思います。だからこそ試験難易度を上げているのだという仮説が仮説 A です。

そして、他職種を含めて実働心理職、公認心理師数は5万人程度(第1回~第3回合格者合計 43,720 人)、その中で実働者は多分現在臨床心理士と同様の3万2千人程度は必要だろうという目算(カリキュラム委員会)があるからこそ最後に人数の帳尻合わせをするために試験難易度を上げているのだという仮説が仮説 B です。ということで第4回試験、第5回試験は平易になるわけではないと思っています。

第5回試験が終了するのは 2022 年、Gルート受験の最終チャンスです。そして2023 年の第 6回試験(純粋培養組が出てくるまでのつなぎ試験?)純粋培養組が初めて受験する第7回試験が始まります。

しかしその間に D ルート、E ルート、F ルート不合格再チャレンジ組の滞留者がたまって来ているわけですから、いきなりレベルを落として全員合格させるわけでもなく、難易度としては同じだと考えるのです。GPA で学部から選抜されてきた優秀な学生なので、純粋培養組に対する当局の合格率予想は 8割を目指しているのではないかと思っていますが、試験問題そのものは相当にレベルの高いものになるでしょう。

厳しい言い方をすると、前回、前々回と試験に合格できなかった人たちはこれからかなりの覚悟をして勉強に、取り組まないと合格はできないと思うのです。

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ᴇʏᴇs ᴏɴ.
僕らは見たいものを見たいようにこの瞳に映している。だからこの世界に真実なんて在って無いようなもの。だとすればあとは何を信じたいか。ただそれだけなんだ。

公認心理師試験に基礎心理学や統計が必要な理由とは?

公認心理師試験を受験した人、また、今勉強中の人、「なんでこんなに統計やら知覚とか必要なんじゃ、カウンセリングの事例問題だけでええやろ」と思った人もいるかもしれません。

さて、そこでまた本ブログ一昨日の記事にコメントをいただいたふみさんのコメントを引用します。
(※注 自分で記事を書くのが面倒という理由で文字数稼ぎをまするためではありません。)

2回もわたしのコメントをモチーフにブログを書いて下さり光栄です💦
さて、今日、わたしの出身大学のパンフレットを手にしてびっくりしたのは、基礎心理学をメインで教えている文学部で公認心理師のサポートプログラムは無し。臨床心理学メインで教えている国際人間科学部で公認心理師サポートプログラム有りと知り、ちょっとびっくりしています。まぁ、国際人間科学部は理系入試があるし、文系入試しかない文学部よりはまだマシなんでしょうけど。臨床に憧れる人が多いのは分かるけど、基礎心理を知らずに臨床をかじるのは危険だと思っています。


ええ鋭い視点でコメントをいただける方のコメントは何度でも記事にしてしまいますよ。

さて、ここで面白い論文を見つけました。宇部フロンティア大学裙本知子(くぬぎもとのりこ)先生の論文、
大学教育における「臨床心理学」の現状とこれから

です。

ふみさんのコメントと裙本教授の双方に共通しているのは基礎心理学を学ぶことの大切さです。

裙本先生は僕の大好きな丹野義彦さんと下山晴彦さんの文献も引用しています(僕は排他的な姿勢がキライなだけで彼らの研究は素晴らしいと思います)。

ちな、下山晴彦さんのパワーポイント資料も見つけてしまったのでここに貼ります。(S女史談:しもやみんは個人療法家は親の仇か恋人を取られたのか?僕:違うよ。若いころに認知行動療法家と甘い恋をした思い出があるんだよ)

臨床心理専門職になるために何をどのように学んで欲しいか

やはりエビデンスに基づいた「臨床心理学」が強調されています。

さて、統計や基礎心理は公認心理師試験に必要か?ともし僕が問われたらやはり「イエスかはい」で答えると思います。

というのも、ここに、臨床心理士のご家庭ならどこにでもある知能テストキットWAIS-Ⅳがあります。

その理論・解釈マニュアルを見るとWAIS-Ⅳの検証的因子分析、内部相関、測定標準誤差などなどによる詳しい解説が書かれています。

僕に言わせればこれも当たり前のことで、知能テストは「この算数のドリルやってみて?次は国語ね」というような簡単なモデルで差し測れるものではありません。

昨日の
日本臨床心理士会「特報」解読 臨床心理士>公認心理師の構図

の記事についてTwitterフォロー、フォロワーのまりぃ先輩(独学で公臨ダブル合格応援中)とのやり取りが面白かったのでここに掲載します。


最後には箱庭療法と脳血流、神経心理学の関係についての秋本先生の論文を引用しています。

ナラティブ・ベイスド・メソッドの「語りの心理学」も、そして臨床場面で使われているあらゆる心理検査はその信頼性、妥当性を検証するために古典的テスト理論と信頼性、妥当性の検証が行われています。

そしてある時には非科学的と言われかねないロールシャッハ・テストでは僕はエクスナー法を使っているのですが、精神分析的な知見を取り入れながらも僕はこのテストがかなり精密な実験心理学的な試みから解釈が行われているのも知っています。

基礎心理学というのは医学で言えば基礎医学の生化学、解剖学や細胞学に近いものだと思っています。

人間にとって知覚とは何か、がわからなければ脳器質性障害で何がその人に起こっているのかわからないことがあります。

これでもかというぐらい精神分析学が出てくる臨床心理士試験も統計は必出ですし知覚心理学も出ます。

基礎心理学→応用心理学の一部である実験社会学的社会心理学は集団と人の心の動きを探究しています。

以上、つらつらと述べてきたのですがやはり受験生のみなさんには基礎心理学や統計を好きになって欲しいです。応用心理学の一分野である臨床心理学を理解するため、クライエントさんの脳にダイレクトに影響を与える心身症、精神薬理学に関する知見も深めて欲しいと思っています。

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公認心理師試験の隠された狙い

公認心理師法では臨床心理士のようには研究業務は、含まれていません (公認心理師法第1条)。ですので、それをよしとするか?

この問いについては NOです。公認心理師ブループリントには実験法から始まって統計が目白押しに科目に入っています。

「カウンセリングするのに統計はいらないじゃないか」という意見もあるかもしれませんが、科学者一実践家モデルを標榜する公認心理師概念としては、これらは外せない科目です。

さて、そこでまた公認心理師カリキュラム委員会に戻るのですが、第5回委員会で(p1~p19) 子安構成員(認知発達心理)、石隈構成員(臨床心理)、川端構成員(臨床心理)、北村座長(医師)はこぞって実験法、統計の大切さについて語っていました。

子安構成員は日本心理学諸学会連合理事長も務めており、心理学研究法、心理学統計法をそれぞれ別の科目として取り扱い、重点を置くべきだと意見書を提出、日本教育心理学会南風原理事長もいわゆるナカグロ科目(点が中についている科目、例、認知・行動心理学)ではなく、心理学研究法、心理学統計法をそれぞれ独立させて力点を入れるという要望書を提出していました。日本行動軽量学会・日本テスト学会、また心理学統計法担当者らからの要望書も同様の主張をしています。

公認心理師シラバス(科目)、そして試験もこの主張を取り入れた形となっています。心理学における研究、実験(この中に統計も含まれる)は公認心理師試験出題範囲ブループリントでは4パーセントとなっていましたが、実際第3回試験では 4.3 パーセントの出題がありました。

毎回「統計は捨てた」と言いながら合格した受験者がいることも確かですけれども「嫌いだからイヤイヤ統計をやったけれども、統計がなかったら合格していなかっただろう」という受験者もいます。 

さて、私見ですが(というか多分心理研究者の大多数の意見)実験法、統計法は必須の学習科目です。これなしには臨床心理学といえども研究ができない、学会発表ができない、ほぼほぼの修士課程では統計法ができないと修士論文が書けず、またその上の博士論文も書けないわけです。

しかし「統計は捨てた」で合格してしまうこともあり得るこの試験です。そうすると、統計が難しいから捨てた、という受験者をなるべく排除するためには試験全体の難易度を底上げするしかないわけです。

カリキュラム検討委員会等ではさまざまな試験形態について議論されていました。例えば医師国家試験では「これを選んだら終わり」(ほぼ患者が死ぬか大失敗の治療)が出ていて、どんなに他の科目がいい成績でも約 10 問中、4問この選択肢を選ぶと不合格となってしまう(例えばストレスチェックテストの結果を本人の了承なしに人事担当者に話す。双極性障害の患者にインプラミン、パキロセチン(ほぼほぼ躁転する、地面に落ちた挿管ようカニューレを地面から慌てて拾って消毒なしに患者に再び挿入する))など、そういう問題を入れたらどうかという議論もありました。

これから先、この試験がどのような形式になっていくのかわからないのですが、統計問題を解かせるために問題全体を底上げした可能性はあると、カリキュラム委員会の議事録を読んでいると思います。

各問題の正解者の正確な分散値(ばらつき具合)は日本心理研修センターとおそらく厚生労働省しか把握していません。これまで統計問題を平易にして出題していたにもかかわらず(のように第 2 回試験までは現任者講習テキストを読んでいれば解けていたのでそう思いまた。)、解けなかった、それでは統計を難しくしてみよう、将来的には統計の比率を上げてみようという話になってもおかしくはないと思います。

また、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士の3福祉士は、1科目でも0点科目があると合格することができません。将来的には試験がそのように変わる可能性がありますが、それは G ルートが終わった後かもしれません。そうすると統計が苦手な学生たちが「統計は捨てた」とは言っていられないわけです。

実際、今回の試験では新卒Eルートが81.0 パーセントの高成績で合格していました。Eルートは院から途中で入ったのではなく、学部から統計をたたき込まれた筋金入りの受験生たちでした。Gルートで統計を捨てて辛くも合格した人もいましたが、統計を捨てたために合格できなかった人も多いのではないでしょうか。

今後の試験の成り行き、第4回試験がどうなるかはわかりません。しかし1回1回の試験のあり方は各問題の正答率を見て、テスト理論を使用して心理学知識を確実に持っている人を選別するようにしているのだと思います。

そうすると次の第4回試験がどうなるのか確実にはわかりませんが、第2回試験と比較して難易度が上がった、それにもかかわらず合格率が上昇したということで、第 4 回試験は今回と同じ難易度か、ひょっとしたら今回より難化する可能性もあるかもしれないと思うのです。

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○ 第4回公認心理師試験予想難易度

1. 序

これまでの印象から、第1回試験=平易、第2回試験=第1回の2 倍の難易度(少なくとも合格率からは)、第3回=「雑学クイズ王決定戦」という感想を持っています。さて、そうすると「果たしてこの試験は試験としての統一性がある、連続性があるものなのだろうか?」という疑問を持ってしまいます。これは僕だけではないと思います。

では次はどんな種類の試験がどんな難易度で出題されていくか、について考えてみます。ちなみに第3回までの受験者総数 66,861 人合格者、43,740 人、総合計合格率 65.4 パーセントになります。

2.現状

何人合格させて、合格率を何パーセントにさせるかは、試験の難易度に依存しています。カリキュラム委員会での試算で、現在心理職専任で働いている人数は 5~6 万人、ということを考えて MAX 合格者を逆算してみると14,000 人ほどは合格させてもいいわけです。「多分」ですが、次回と次々回の受験者を合わせるとだんだん受験者は減ってくると思うので、第4回、第5回受験は合わせて2万人程度と仮定します。

実は今までこの中に心理専業者ではない他職種 G ルートも相当混ざっているわけですが厚生労働省も日本心理研修センターも誰が心理職専業で誰が専業でないのかはっきりとした数はわからないでしょう。というのも、1回目の試験、2回目の試験、3回目の試験でそれぞれ Gルートの受験者数、Gルートの中でも学部卒や科目読み替え不可能だった心理専業者がいるのですが、その割合がわからないからです。

ちなみにGルート合格者は第1回 12,531 人、第2回 4,728人、第3回 5, 201 人です。3回の試験での総合計は 22,460 人、この中には医師、看護師、教員、福祉士等が含まれているので他職種の人々がどれだけ含まれているのかはわかりません。ただ、2018年4月1日現在での臨床心理士総数が 32,354 人なので、これまでの臨床心理士合格者数がまあだいたい近似値なのかな?臨床心理士でこれから公認心理師を取ろう(含むリベンジ組)、とか臨床心理士だけでやっていけばいいから公認心理師は不要だ、とかいろんな人がいるだとうとは思えるわけです。

3. 予想難易度はどうなる?

(1) 第1回レベル

これはあり得るかあり得ないかというと、多分「ない」だろうと思います。どんな国家試験もたいてい第1回は現任者へのサービスになることは多いわけですが、ただし、全くの無条件ではないわけです。

確かに第1回試験と第2回試験の難易度のあまりの相違に阿鼻叫喚だったのですが、第2回の試験問題が著しく臨床心理学を学んだ者としては不適切だったかどうかということについては、絶対に不適切だったとも言い切れないわけです。実際、僕も解いてみましたし、他の心理専修者にも解いてもらった際、ものすごく点数が落ちたかというと、日本心理研修センターが出している統計ほどには落ちることはなかっただろうというのが率直な感想です。

(2) 第2回試験程度の難易度

割とこれがありそうなシナリオのような気がします。統計は取っていません。ただし、周囲からの話を聞くと、割と高得点(8 割ぐらい)の人もいれば、ギリギリ合格、ギリギリ不合格の人もいて、分散(散らばり具合)を見ても自然界に存在している標準的な正規分布に近いような気がするからです。「それでも 46.4パーセントの数字は低すぎはしないかい?」という反論もありそうですが、第2回試験では新卒 D2 ルートが 58.8パーセントだったことで「適正な試験だった」という評価があります。

(3) 第3回試験程度の難易度

このシナリオは「ない」とは言い切れませんが、望ましくないなあ、という感想は持ちます。きっとこの試験の分散(点数のちらばり具合)は小さかったような気がしています。新卒者が 81 パーセント取れていますが140~150 点程度の合格者は多かったような気がしています。全体の合格者もその程度だったかもしれません。

「解けない問題は徹底的に解けない、誰も正答を出すことができなかった問題」「わかる問題は解きやすくて心理学院卒なら誰もが解ける程度の難易度」ということだと、解ける問題を落とした人は合格できなかった、という気がします。

4.結語

公認心理師試験は第1回~第3回までの間に相当迷走しているような気がします。そうすると「これは同一性を保った同じ試験なのか」と考えるとかなり怪しい気がします。

1回目の試験だけは狙いがわかるのですが、2 回目3 回目となるともうわからなくなってしまいます。どこから不意打ちをされるのかわからない試験、ではなく、努力していれば解ける、という試験にして欲しいと思うのです。

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◯ 第1回公認心理師試験と第3回試験

1.序

第1回試験は平易で誰しも合格できた(総計79.1パーセント合格率)「8割合格なんて簡単じゃね?」と思われています。実際のところ、第1回試験を試しに解いてみて「解ける」と思ったものの、それ以降の試験の困難さに辟易として「第1回試験優しすぎておこ」と思った人たちも多かったでしょう。

ところがこれに関しては各予備校や僕も含めて「実情ちゃうわ」と思っている人たちが多いのも事実です。

まず第1回試験はブループリントがワケワカメなので感情の高次回路とか低次回路とはなんじゃい?「負の相補性negative-complementarity)とは?予防のためのKaplanモデルとはなんじゃい。

Caplan, Gなら知っとるが(明らかな誤植)、進化心理学は全然習ったことない。あ、ロールシャッハの復習しなければ、精神分析もやっとかねば、とわけのわからない勉強をしていたわけです。

結果的にただし仲間のCちゃんは無勉で落ちていました。僕も「ノー勉でいいや、ブループリントどっかで聞いた言葉ばかりだし」とと思っていたら全然違ったわけです。

僕は公認心理師法が施行されることになると聞いてその間臨床心理士の過去問をありったけ解いて「まあこれだけ連続して合格点が取れるんだったら大丈夫だろう」と思って出題基準ブループリントを見たら全然違っていたわけです。

小川俊樹先生が出題委員なのでいちおうロールシャッハエクスナー法は勉強しておいたのですが、その他に精神分析もいちおう「出るかな?」と思っておさらいもしておいたわけです。が、これらはムダでした。

で、辰○の模試も受けてみたわけですが、ブループリント準拠ということで結構難しく感じ「ちょ、こんな難しい問題でるわけねえだろ www草」と思ったらだいたい同じぐらいのレベルのものが出て驚いた覚えがあります。まあ模試も復習しておいてよかったな、というところです。

第 2 回試験が難しくてみなさんショックを受けた、第3回はまた別の意味で難しかったからです。

第3回試験合格者にそれぞれ話を聞いてみると、多分その点数には分散「ばらつき具合」が小さかっただろうことです。(この辺りは日本心理研修センターから毎度毎度発表がないのでわからない。)

第1回試験合格者に話を聞くと、8割合格者もいれば 139 点合格者、140 点合格者、160 点ぐらいの人も多くて、もうばらばらという感じでした。

ところが第3回試験になるととたんにみなさん 150 点代前半がやたらと多かったなあというのが僕の印象です。大きく点数を伸ばしたわけではないけれども取らなければならない問題を死守して取った人が合格していたわけです。その場合も心理学の基礎の基礎を知らない人は点数が取れなかった。

第3回試験は「悪問・奇問」が多かった。確かにその意見は当たっていて、それはそうだと思うわけですが、その問題を除いてろ過したら、まあまあ普通の問題も多かったと思います。

しっかりとした臨床心理学的センスを持っていて、きちんとそれを習い覚えていて、基礎心理学もできていた。医学問題がむちゃくちゃ難しかったのは医療従事者へのサービスという感じもあったのですが、医療従事者は司法や教育はわからず、やはり苦しんだわけです。

今回Eルートの合格者が8割出たわけですが、この合格者の8割が 80パーセントの正答率があったかのように数字のマジックで、見た人は「さすが新卒者だなあ」と思ったのかもしれませんが、実際のところは見た目の罠で、分散が広がっていなかったと思うので新卒者でも 140 点台、150 点台の合格者は多かったのだと思います。

ということを念頭に置いて今回の数値を見るとこの辺りの多分中央値の合格者が話しているとおり「はっきりとわかっているところは一問も落とせなかったし、統計がわかる人は統計も正解しなければならなかったきわどい試験だった」ということを感じるのです。

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