第4回公認心理師試験もそれ以降も難易度は高いという予測
1. 承前
(1) G ルート創設の経緯
初めに書いておきますが、本記事は G ルート受験者を disる目的で書いているものではなく、あくまで今後の試験難易度に G ルートの在り方が大きく絡むという意図で書いているものです。今さらですが、G ルートの創設はカリキュラム検討委員会が決めたものです。
表向きは例えば相談業務を週1回、主婦などがスクールカウンセラーや精神科クリニックで働いている場合の現任者、あるいは大学教員が教員としての業務を主として行っていて、カウンセリング業務は週1回程度行っている場合を仮定してGルートと認めるというとことになっていました。
これは臨床心理士の現職者を仮定して(正確に言うとまるで仮定していたかのように)述べていたものと思います。ところが実際フタを開けてみると教員、看護師、福祉士など近縁多職種の受験者が多かったわけで、これはカリキュラム検討委員会が予想していたことでしょうか。僕はある程度以上予測していたものと考えています。
2 資格1法案の時は医師団体が医療心理師は大卒を資格要件としていた、または専門学校卒でも可能として、結果臨床心理士団体からの猛反対にあって法案が廃案になったものです。そういった経緯がこれまでにありました。
今回公認心理師制度が成立するに当たっても、各学会や心理関係団体から専門学校卒は要件にしないで欲しいと強力な要請がありましたが、G ルートが認められたことで学歴要件はうやむやになりました。以前書いたのですが、実際、Gルート受験の場合には卒業証明書は不要ということを受験の手引きを見てかなり驚いた覚えがあります。
(2) 医師団体は公認心理師資格の価値を切り下げようとしたのではないか
日本心理研修センターは第 1 回試験の際に受験者が持っている資格として、看護師、教員免状、精神保健福祉士などをアンケートの際に仮定していました。初めから他職種が受験することを想定していたわけです。また、厚生労働省公認心理師制度推進室はある時点で(今はわからないですが)Gルートの専門性に疑問を投げかけたEルート学生向けに「Gルートはいずれなくなるので安心してください」という趣旨の回答をしていました。
公認心理師制度推進室(制度発足後活動)や日本心理研修センター(試験機関)がGルートを創設したわけではなく、カリキュラム検討委員会が決定したものです。結果として G ルートは専門学校卒でも高卒でも受験できる資格となったわけです。
医療心理師よりも受験資格が甘くなったと言えます。カリキュラム検討委員会が当初から上記非常勤心理職や大学教員を想定していたわけではなく、こういった事態、他職種組の多数の参入を考えていたのではないかと思います。
多分、ですが公認心理師資格の価値は医師団体と心理団体の綱引き合戦で「5年間はGルートを認める。その替わり心理団体の主張を受け入れて 2024 年からは学部から公認心理師課程だけを履修した純粋培養組が受験することになります。
2.本論
(1) 第5回、第6回試験難易度
以前から書いていることですが、G ルートの合格者増加を公認心理師制度推進室も日本心理研修センターも快く思っているわけではないと思います。だからこそ試験難易度を上げているのだという仮説が仮説 A です。
そして、他職種を含めて実働心理職、公認心理師数は5万人程度(第1回~第3回合格者合計 43,720 人)、その中で実働者は多分現在臨床心理士と同様の3万2千人程度は必要だろうという目算(カリキュラム委員会)があるからこそ最後に人数の帳尻合わせをするために試験難易度を上げているのだという仮説が仮説 B です。ということで第4回試験、第5回試験は平易になるわけではないと思っています。
第5回試験が終了するのは 2022 年、Gルート受験の最終チャンスです。そして2023 年の第 6回試験(純粋培養組が出てくるまでのつなぎ試験?)純粋培養組が初めて受験する第7回試験が始まります。
しかしその間に D ルート、E ルート、F ルート不合格再チャレンジ組の滞留者がたまって来ているわけですから、いきなりレベルを落として全員合格させるわけでもなく、難易度としては同じだと考えるのです。GPA で学部から選抜されてきた優秀な学生なので、純粋培養組に対する当局の合格率予想は 8割を目指しているのではないかと思っていますが、試験問題そのものは相当にレベルの高いものになるでしょう。
厳しい言い方をすると、前回、前々回と試験に合格できなかった人たちはこれからかなりの覚悟をして勉強に、取り組まないと合格はできないと思うのです。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
Tweet