ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: COVID-19

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○ 公認心理師受験生・心理職に落とすコロナの暗い影

さて、試験は迫って来ましたが受験生のみなさん、ワクチン(特にMワクチン)の副反応は大丈夫でしょうか。今副反応の真っ最中としても試験までには平常に戻っているので平気と思いますが、問題は感染そのものです。

2021.9.1現在で新規感染者全国17,709人、デルタ株のほかにミュー株も確認され、全く予断を許さない状況です。ワクチンを2回接種していたとしても重症化はしなくとも感染の危険性はあるということで大変な状態にあります。

受験資格があっても「コロナが落ち着いてから」と受験そのものを自粛しなければならない人もいたかもしれません。ただし、1年後に絶対に落ち着いているという約束は誰にもできない状態です。

イギリスはワクチン接種がかなり進んでいる国ですが、それでも1日当たり3万人以上の感染者を出しています。

現在受験生の勤務先として考えられるのは医療機関、福祉施設、教育機関等と、どこも患者さん、利用者さんに感染させることは致命的な職場が多いと思います。

したがって、例えば緊急事態宣言からまた別の緊急事態宣言が出ている遠隔地を移動すると一定期間出勤を制限されてその間自宅隔離を余儀なくされてしまう職場もあり、その間は無給扱いされてしまう場合もあると聞きます。

そういった意味で昨年度の受験に引き続いて今年は特殊な状況での受験になるのです。どんな場合も安全策に気を使うに越したことはなく、日本心理研修センターでも感染対策には十分気を付けて体温チェック、ソーシャルディスタンスを保った受験対策を取っているのですがそれとて万全とは言えません。

「感染」はもちろん他者に感染させるという危険だけでなく、受験生の生命心身の状態にも深くかかわってきます。僕なんぞはもう職場と家とスーパーやコンビニの往復のみにするということで心を砕いているのですが(強力な「勧告」も職場からされている。)今回の試験は「例外」です。

また、感染者は行動履歴というものを保健所に出すのですが、本人が自粛していても家族はどうしても人ごみのなかで仕事をしなければならない立場にあるなど、何をしてもしなくても絶対の安全策は確保できないという状態です。

われわれ心理職は(Gルート医療・福祉職・教育職等も)かなりの脅威に晒されていることは間違いないです。心理風情が何をやったところで(コロナ関係の遠隔研究会出まくったのですが)には感染を防止することはできないのですが、とにかく受験生のみなさんには受験の際には飲食店を利用しないことをお勧めします。

極力家から持ってきたお弁当やコンビニを利用する、ホテル宿泊の際も外食は避ける(外食産業で親御さんや自分が働いている方は申し訳ないと思っています。)等対策は万全にして万全過ぎることはありません。

さて、ここで受験生のみなさん、心理職のみなさんにもきちんとアナウンスしておきたいことがあるのですが、各機関では積極的にコロナ対応の電話相談を行っています。

厚生労働省のコロナ相談窓口(メンタル相談には未対応と思われます。)

日本臨床心理士会コロナ相談窓口

期  間:2020年4月20日から2021年12月末日まで(祝日も開設します)
開設時間:毎週月曜~土曜 午前10時~13時
電話番号:050-3628-5672

また、有料ですが医療従事者のためのコロナ相談窓口もあります。

新型コロナウイルス対策にかかわる医療従事者や介護従事者等を対象とした心理カウンセリングサービスを開始します(メディカ出版)

10:00~22:00 3,000円(税別)/45分
22:00~23:00 4,000円(税別)/45分

※ 時間がかなり自由が効くという点では有料でも医療従事者全般の方が利用できるというメリットは大きいでしょう。

さて、こういった事態ですので、受験生、心理職のみなさんにおかれましては不安ながらも試験や患者さん、クライエントさんのためには力を尽くして欲しいと思います。

僕自身もワクチン接種は終えているもののカウンセリング、心理テスト件数は対面ではなるべく減らしています。産業−医療場面で働いていて、コロナ患者さんはその中でも確実に発生しているのです。

photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_

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○ 速習「コロナ禍で急増‼︎」メンタル疾患を正しく理解する」byひなたあきら監修Kin Chu(近代中小企業)

1.序

月間近代中小企業「Kin Chu」という雑誌があり、1年半前ほどからご縁があってこれまでコロナ禍と中小企業経営者の関係について、また、パワハラについての記事を数記事投稿させて掲載させていただき、この度小冊子即週「コロナ禍で急増‼︎メンタル疾患を正しく理解する」監修をさせていただきました。
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月刊近代中小企業「Kin Chu」は僕以外にも心理職の方々の寄稿があり、中小企業とメンタルヘルスとの関係をとても重視しています。

従業員を雇用している中小企業リーダーがこのコロナ禍に巻き込まれて従業員のメンタルに気を配らなければならないというのはとても慧眼と思います。

精神疾患というのはコロナ禍にかかわらず一定の数の罹患者がいるわけです。それでも「コロナ禍で急増」というのは 、たとえ統合失調症や双極性障害のような遺伝性が高いと言われている疾患でも、強いストレスがかかるとそれまで耐えていた人が急激に発症、または増悪するというのはいかにもありそうなことです。

そこで今回本小冊子を出すことで、メンタル疾患に関する理解を一般の方々にも広く知ってもらいたいという高い意識から発行する次第となったわけですが、こういった啓蒙冊子の監修を勤めさせていただいたのは僕としても大変身に余る思いが致します。

そこでこの小冊子の見本をここに紹介させていただく次第ですが、興味のある方や、一般向け広報として活用したい方、またご自身が読みたいという方はぜひ正式版を入手して参考にし、お読みになっていただければ幸いです。

「速習」見本pdf

「近代中小企業」
発行:中小企業経営研究会
https://www.kinchu.jp

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コロナワクチンは打つべき?やめるべき?

1.はじめに

コロナワクチンが日本に輸入された、人数分揃ったぞ、ああそれじゃあ早速予防接種だ、集団免疫を獲得して日本も早くイスラエル(1日感染者10人程度)やアメリカのようにノーマスクの世界に戻りたい、と思う一方でワクチン接種を拒絶する、あるいは「様子見」ということですぐに接種を希望しない層が一定数いることは確かです。

Yahoo!の世論調査によると「すぐ打ちたい」は4割にとどまっているとのこと。「絶対に打ちたくない」という人々にワクチン接種を強制することはできません。

「あなたは病院に行きなさい」「病院に行ってはいけません」と同じようにパワハラや虐待にも当たるし、大きな人権侵害になるからです。

2.流言=デマの影響

さて、ワクチンをめぐる「流言」rumorが世の中を横行していてそれによってワクチン接種に抵抗を持つ人も一定数いるようです。

いわく、「ワクチンはプラスチックと同じ成分だ」「ワクチンは磁石と同じだから接種部位に磁石を当てるとくっつく」「ワクチンを打った人は5年以内にみんな死ぬ」「ワクチンは不妊になる。不妊になるウイルスがばらまかれてそれに感染した人も不妊になる」「遺伝子が組み換えられる」etcです。

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は「妊婦に影響を与えるとか妊娠に支障があるという証拠はないよ」と言っているのですが、上記のデマはほとんど「悪魔の証明」です。

つまり、開発されたばかりのワクチンで「必ず5年以内にみんな死ぬ」かどうかは5年経たないとわからないわけです。

このあたりの流言が広がるということがむしろ人々の不安を投影しているのではないかと思います。

3.社会心理学的的考察

飛語流言はインパクトがあればあるほど人の心に残ります。「んなわけねーだろちょw草生える」と思っていた荒唐無稽な説の方が説得力を持って人々の心に残って後からずしりと気持ちにのしかかるのは「スリーパー効果」と言います。

「デマ」というのはデマゴーグの略称で、ある政治的な意図をもってわざと人を混乱させるような情報を流すわけですが、こういった自然発生的な「流言」は悪意なく広がっていきます。

このあたりを筑波大学で心理学を教えている原田隆之君がドヤ顔でデマと流言を混同してYahooニュースで語っているわけですが、間違いは正さなくてはいけませんので本記事で優しい僕が親切に教えてあげることにします。

北大路書房の「社会心理学辞典」を手元に参照しているのですが、同書によると流言の発生条件は(標題のみ抜粋)

1)主題への興味・関心
2)認知的曖昧さ
3)欲求・感情(特に不安感情)
4)性格要因
5)批判能力


このコロナワクチン流言は見事にこの5つを満たしていると言えます。今ワクチンは最も高い国民の関心事、そして大急ぎで開発されたワクチンの効果は生体内in vivoでも証明されているのですが、それでも情報が足りない足りないというとキリがないです。

そうすると不安は煽られる、性格要因というのは流言に敏感な人と抵抗性が高い人に分かれるということで、どちらがいいのかという価値判断を僕がしているわけではありません。

こういった事態に対して流言への批判ができる人は流言抵抗性はやはり高いわけです。

ここら辺は試験にも出そうですが、同書によればオールポートAllport,G,Wは主題の重要性(i)は事実の曖昧さ(a)は流言の流布量(R)についてi〜×a、つまり事実が曖昧で重要なほど流言の量は多いということが示されています。

この流言の原因としてはさまざまな社会心理学理論が援用されると思います。

レオン・フェスティンガーFestinger,L認知不協和で「ワクチンの効果がわからないからワクチンの悪い噂がどんどん広まっていく」とかSNSの集団性一斉で極端な方に意見がどんどん流れがちになります。

こういったワクチン反対派の人たちの態度変容は自分が正しいということが証明されるだろう、というやはり不協和を避けるためにバンデューラBanduraが提唱しま自己効力感に向かっていくわけです。

4.おわりに

社会は人間によって構成されていますし、人々というのは説得行動ですぐに態度変容をするというわけではありません。ワクチン推進派からすれば接種人口が増えれば増えるほど集団免疫が獲得されて発生数も少なくなるわけですが、その分非接種派もその恩恵をこうむることに頭に来てもおかしくありません。

反面ワクチン批判派は「相当な人数が発症したから、それで集団免疫が獲得された」「自粛が効果あった」と発生が少なくなれば言うかもしれません。

あまり中立派を装って旗色不鮮明なのも何なのできちんと言っておくと僕はワクチン推進派です。もう接種も終えています。カウンセリングという仕事は人に相対する、しかも医療機関内で働いていると自分の職場のクラスターも見ていて、絶対に患者さんに感染させるわけにはいかないと考えています。

ワクチンの効果はエビデンスが出ているわけでそれが生体内で確認されていることから、医療従事者の僕としてはそれが責任だと感じたからです。

絶対に打たないと決めている人は態度変容しにくいかもしれませんが「様子見」の人は流言に踊らされないで常識というものを見て欲しいと思うのです。

photo and poem by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
凛。

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※ 近代中小企業編集部様への投稿記事を掲載していただきました。

「近代中小企業」
発行:中小企業経営研究会
https://www.kinchu.jp

(以下本文)

 日々、コロナ禍に関するニュースが報道されています。「○○でクラスター発生」「今日の感染者数は○○人」など、ネガティブな報道が多く、人々はメンタルが弱くなっています。今、私はメンタルヘルス上大きな影響を与えているコロナ禍における心理学的な影響について、複数の心理カウンセラーと共同研究を進めています。本稿で、その一端を紹介します。


コロナ禍はメンタルを
不安定にさせる

●生物を無力化するダメ状態

「こんなに感染者が出ていると自分もダメかもしれない…」
「ウチの会社の従業員や家族に感染者が出たらどうしよう…」

 クヨクヨしているとメンタルはどんどん不安定になります。
 冒頭で述べたように、私は仲間と新型コロナウイルスの心理学的な影響について研究をしていますが、その途中経過で、

「苦境に陥っているときほど前向きな考え方をして、先に進んだ方がメンタルヘルスにはいい」

という結論が出つつあります。
 アメリカのポジティブ心理学の権威、マーティン・セリグマン博士は「いくら逃げ回っても電撃ショックを与え続けられたネズミは、そのうち丸くうずくまって何もできなくなってしまう」という、無気力感についての研究結果を発表しました。
 つまり「何をやってもダメ」という状態に置かれると、ヒトを含めた生物は無力感に襲われてしまうのです。反対に「何かの対策をすればそれは有効である」とも、セリグマン博士は述べています。
 楽観的に物事を見られるポジティブな心理状態は、人の気持ちを楽にしてくれるのです。

正しい知識と情報を得て
不安を減少させる

●新しい生活様式 
 正しい知識がないと不安が深まります。そして、不完全な情報は人の心を混乱させます。

「どこに行ったら危ないのか?」
「どこが安全なのか?」
「どういう生活方法をした大丈夫なのか?」

 例えば、新しい生活様式の中でスーパーマーケットへ買い物に行き「洗剤を購入するにあたり、手に取り成分をじっくりと見る」という行動はNGです。新しい生活様式では、できる限りモノに触れない、同じ場所に滞在しないようにする必要があります。
 周囲の人や店員は、あなたがウイルスを持っているか分からないので、他者への配慮をしなければなりません。スーパーマーケットへの買い物は、家族の中で一番体力がある人が短時間で行くようにして、帰宅後はすぐにシャワーを浴びてください。
 では、解放空間であれば大丈夫なのか…。例えば公園。遊びの中で子どもたちは三密を避けることは出来ませんし、遊具にもウイルスがついているかもしれません。

●安心感でポジティブ思考に
 新型コロナウイルスに対して最も有効なのは石けんによる手洗いです。正しい方法で手洗いをすれば殺菌力によってウイルスは死滅します。
 そして三密を避けるため、2メートル以上のソーシャルディスタンスを守りマスクをすることで感染の可能性はグンと減ります。クラスターの発生は、多くのケースで三密が守られていないことに起因しているので、以上の安全性の確保を心掛けてください。
 正しい知識を得ることで安全な生活方法を知り、感染リスクを減らして安心感を持つことことができます。それがポジティブな気持ちを保つことにつながります。

コロナストレスと
メンタルマネジメント

●免疫力を高める

「自分がコロナに感染しているのではないか?」
「家族がコロナに感染しているのではないか?」
「会社でクラスターが発生したらどうしよう?」

 これらの心配事はすべてコロナストレスと言えます。特に経営者がこのようなストレスを抱えていると、企業という組織・集団の中に不安が広がることになります。
 だからこそ、コロナストレスにはメンタルマネジメントが必要になるのです。
 メンタルマネジメントのための心得とは、
・リラックスすること
・精神的なタフさを身につけるために充分な休養を取ること
・そのタフさやレジリエンスを鍛えるにはユーモアが大切
 企業のセクション、あるいは全体的なムードが沈滞していると、企業そのものの士気にも影響してきます。
 現在、飲食店や観光業など、コロナ禍のため短期的に損失を被っている企業もあります。この機会に、従業員には将来的な生活も大丈夫であるという保証のためにも、きちんと休暇を消化し、リラックスして心身を休めてもらうことが重要です。
 つまり、リラックスしてよく眠り、食事をきちんと摂る。これを企業リーダーが率先して実行し、従業員もそれに習うことが、ウィズコロナに必要なメンタルマネジメントになります。
 さらに、前述したポジティブ心理学では、
・楽観主義でいる
・気持ちを安定させる
・深呼吸をする
などの何気ない工夫がとても重視されると説いています。このような、落ち着いて安定した雰囲気作りが人々の免疫力を高めます。

企業リーダーが実践する
有効的な危機介入

●カウンセリングマインド
 これだけ新型コロナウイルスの感染が流行していると、いつ・どこで・誰が、感染してもおかしくありません。街中での経路不明感染、そして、よく聞く「夜の街」で感染することもあり得ます。
 夜の街は周知の通り感染確率も高いのですが、自社のコロナから回復した従業員に、どこでどのように感染したか、取り調べのように聞くことは好ましくありません。実際、そういったパワハラに近い対応をしている事業所があるという話も聞いています。
 その結果、何が起こるかというと、コロナの感染源が不明になります。確かに、夜の街に行ったのかもしれません。しかし、会社に対して申し訳ない、また、やましさから医療機関や家族、企業に感染経路を秘密にしてしまうかもしれません。そうすると感染経路は不明になってしまいます。
 感染経路がわからなくなることで、コロナクラスターの発生源もわからなくなります。つまり、公衆衛生的な介入ができなくなってしまうのです。
 仮に、自社から患者が数人出たとして「すべて感染経路不明」だったとしたら、保健・医療機関からいぶかしく思われるでしょう。
 どのような感染ルートでも、それをリーダーは「責めない」「差別をしない」ことです。感染ルートやクラスターを明らかにすることは、企業の社会的な責任でもあります。リーダーは何が起こっても泰然自若とした振る舞いで、事に対処してください。
 心理カウンセリングの世界ではよくあることですが、患者さんの不安をきちんと受け止めていると患者さんは安心して悩みを話してくれます。リーダーも広い心で従業員の不安を把握し、きちんと受け止め、受容するという、カウンセリングマインドで対応して欲しいと、産業・医療現場で働く私は思っています。

感染予防知識を伝えて
意識向上と安心感を与える

●接触確認アプリ「COCOA」
 「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」は、どんな感染症が流行しても基本的な予防法は、
・手指消毒(正しい手洗い方法)
・ソーシャルディスタンス
の厳守であると説いています。
 手洗い方法や感染症対策は、厚生労働省や首相官邸の作成したものが推奨されており、そこに、手洗いやマスクの仕方が掲載されています(図1)。
 また、厚生労働省の接触確認アプリ「COCOA」は、一人ひとりがアプリをインストールすることで予防意識を高めることができます(改善中箇所あり)。リーダーがアプリを自分のスマートフォンにインストールして、従業員にも推進してください(図2)。
 リーダーが、従業員の健康に気を配り、コロナ禍の現状に対応していることをアプリひとつで示すことができます。

今、企業リーダーに
求められていること

●言葉に出してほめる
 多くの企業がコロナ禍で厳しい経営状態が続いています。しかし従業員には、自社の屋台骨は揺らぐことなく雇用確保を示します。
 実際にカウンセリングの現場では、特にコロナ多発地域に居住する人々は自身の感染よりも経済的な不安を口にします。安心感を与える根拠が必要なのです。
 動物は勘や食物の有無で危険を察知します。地球上で人間だけが言語を使いますが、言葉は人間にとって罰にもなれば報酬にもなります。報酬とは、金銭的な報酬だけでなく、言葉による安心を与えるだけでも充分なのです。
 根拠というと数値的なものを想像しますが、様々な心理学的理論では、論理的な根拠だけでなく、暖かい雰囲気やポジティブな声がけ、ほめられることなどが、自信を持たせる根拠となり得ることが示されています。
 「兵站は戦の要」という言葉がありますが、心理的なプラスの資源を持っていることは人を前向きにします。従業員が心の中にプラスのエネルギーを持つことで、ゆとりある気持ちで働くことが可能になります。
 どんなに小さなことでも、注目してほめられると人は嬉しさを感じ、それは充分ポジティブな心理状態を生み出します。

ポジティブ心理学で
ウェルビーイングを

●肉体、精神、生活を満たす
 ポジティブ心理学は、その名の通りポジティブな思考法を推し進める心理学の一分野です。健康的な良い生き方をすることは、単に病気を患っていないということではありません。
 WHOは「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます」と定義しています。
 病んでない生活をするだけではなく「満たされて幸せで充実した生活(ウェルビーイング)」をポジティブ心理学ではとても重視しています。
 コロナ禍で不安な気持ちに追い込まれ、また、そこから抜け出せない生活は「ウェルビーイングからはほど遠い状態」と言わざるを得ません。
 ポジティブ心理学は、経営学でも重要視されており、マイクロソフト社やグーグル社にも導入されています。その中核となる理論を図3に紹介します。
 これらの考え方は、不安の解消やうつ病の予防に役立つことが知られており、実際に脳波測定をして脳の血流量を調べると、ポジティブな考えをする人は脳も活発に動いているという研究結果が出ています。
 常に、積極的で前向きに進んで行くことが人間の心を豊かにします。そして、このポジティブ心理学の牽引役は、企業リーダーが務めなければなりません。

図3 ポジティブ心理学の理論
●嬉しい、楽しい、明るい、面白い、感謝、感動というポジティブさは、人の心を力強くさせます。
●何かに集中、熱中して自分を積極的に課題に関与させる「フロー状態」という概念を実践すれば不安は薄まります。
●よい関係性、援助し合い助け合うことは絆と連帯感を生み出します。
●人生の意味や仕事の意義、及び目的を前向きに追求することは、人生と仕事にプラスに働きます。
●達成感は満足を生み出します。企業リーダーは、実際に体験された方も多いと思いますが、必ずしも結果が伴わなくとも努力をしたというプロセスそのものも満足につながります。


今一度、逆境を乗り越え
自社をパワフルにする

●スモール・ステップ
 仮に、コロナ禍の影響を受けて一時的に業績がダウンしていても、人は前向きでいる限り苦境を乗り切ることは可能です。生活は変わらず、暖かい同僚、上司、経営者がいて、家族に恵まれていれば従業員一人ひとりのモチベーションは高まります。
 コロナ禍は世界的な脅威となっていますが、逆境の中でも一つひとつ目標を達成することができれば自信につながります。
 心理療法の世界では「スモール・ステップ」を重視します。コロナ禍において、自社や自身の現状が劇的に1日ですべてが改善していくことは考えにくいです。一つひとつの課題を積み重ねてゆっくり完成させることは、一見すると歯がゆいように思えますが、着実な小さな変化はやがて大きな変化につながります。
 自社が安定経営の際はあまり意識していなかったかもしれませんが、今一度、原点に立ち戻り全社全員で協働して苦境を克服し成果を挙げた日のことを思い出してください。「大変な状態を乗り切った!」という自信です。
 コロナ禍の影響はすぐに収束するものではありません。しかし、そんな辛い状況でも前向きでポジティブなリーダーがいる企業は成長を続け、日本経済と世の中の雰囲気を明るくしてくれると信じています。

※ いつも記事をPDF(クリックで読み込み可能) にしていただいて素敵なレイアウトにしていただき、非常に感謝しております。今後とも機会があればぜひよろしくお願いします。


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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
おかえりTwitter

色鮮やかなものはいずれ褪せ
形あるものはやがて崩れゆく

だからこそ
今が貴いんだね ༻


◯ 2020.8.6新型コロナからメンタルヘルスを守るには

※ この記事は新型コロナウイルスCOVID-19 による記述があります。心理的に抵抗がある方はそのままこのページを閉じることをお勧めします。また、この記事は心理学ブロガーによって書かれたものであり、感染症専門家によって書かれたものではありません。知識の正確さに疑念がある方は厚生労働省やCDCの原典に当たることをおすすめします。

あちこちのCOVID-19とメンタルヘルスサイトを見ていたら「呼吸法をする」「気持ちを落ち着ける」等、納得はできるのですが、「これ」といった決定的なメンタルヘルス対応策がないのが現状です。それはそうでしょう。

例えばストーカーに遭っている人が相談をしに来る、カウンセリングルームの中ではほっとして落ち着いたとしてもいったん外に出るとまたストーカーがいてクライエントさんをつけ狙っている。こんな状態では精神的に落ち着きようがありません。同じくこれだけコロナが流行っていればクライエントさんは「外に出たら感染の危険」に晒されているわけで、安全なメンタルは保証がありません。にもかかわらず政府はこの状態を軽視しているかのように思えます。

新型コロナウイルス感染者数は8月5日23時20分現在、

現在感染者12,829人前日比+489人
新規感染者1,356人前日比+116人
死者1,029人です。

4月26日最大限最多数とされた数9,577人よりもさらに増えているわけです。

緊急事態宣言は5月25日解除、都道府県境を超える移動を解除したのは6月19日です。

さらに停滞化した経済状態を打破しようと政府はGo Toキャンペーンを実施することになりました。

これについてのYahoo!調査では7月22日、母数26万人対象調査で「都市圏の感染リスク、コントロールできてないと思う」が94パーセント、7月14日には母数33万人の調査で92.8パーセントがGo Toキャンペーンを延期すべきと答えていました。

ただし、経済効果のみを重視しようという動きは当然あるわけで日本総研 が事実関係が怪しい報告書を経済活動のみに目を向けて提出しているわけです。

スウェーデンは死者割合が日本の50倍に達しています。その集団免疫獲得政策によってむしろ経済的に破綻しました。アメリカ合衆国の人口を3億3千万人と見積もると、感染者485万人、死者15.9万人はベトナム戦争での死者5万人の3倍を優に凌駕しています。

アメリカ疾病予防管理センターCDCでは結局ソーシャルディスタンスを取ること、そして手洗いをしっかりと行うことのみが予防になると述べています。CDCリンク先、COVID-NETでは実患者数はもっと大きいということも危惧されています。



結局、何が言いたいかというと、この国のコロナによるメンタルヘルス状況を良くするためには大元となる感染症をなんとかするしかないということです。それなくしては常に感染症の恐怖に狙われている人々のメンタルヘルスを改善することはできないと思うのです。

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