ひなたあきらの公認心理師でポン!

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: DSM-5

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◯ 抑うつ障害群(ICDではうつ病エピソード、反復性うつ病が含まれています)

小児の気分障害として、DSM-5では重篤気分調節症(かんしゃく)もこの抑うつ障害群の中に入っています。

うつは、ほとんど一日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。心理テストBDI-Ⅱでは2週間以内の気分を測定します。活動、喜びの減退、体重変化、増減双方、不眠やあるいは過眠、精神運動焦燥、制止、無価値観、罪業感(自分は怠け者だ、甘えてる、死んだ方がいい、というのはカウンセリングの現場ではよく聞いている言葉だど思います。)、思考障害、妄想のために自殺志向は一般人の5倍になると言われています。

うつによる妄想の代表的なものは罪業妄想や貧困妄想です。とんでもない罪悪を犯してしまった、もうすぐ破産するだろうと根拠なく思い込みます。既出、心気妄想は体のどこかに変異があるのではないかという根拠に基づかない妄想です。

※ 自殺について触れておくと、統計によると希死念慮を口にするだけでも自殺可能性10倍、リストカットのように致死性がなさそうな自殺類似の自傷行為でも自殺率は70倍の危険性があると言われています。

がんや認知症、身体疾患の存在、ステロイド剤による薬剤性うつにも注意が必要です。休養、薬物療法、心理支援が治療法です。

薬物療法はSSRI、SNRIが主流ですが三環系抗うつ剤などが使われることもあります。再燃性が高いので半年以上の経過観察が必要なのと、症状が2年以上にわたる場合には持続性うつ障害と言われる気分変調症もあります。

抑うつ感情の背景には怒りや不機嫌があります。自他に向かうものです。
臨床上、神経内科、内科、脳神経外科、整形外科、産婦人科を巡った後に精神科を受診する患者さんが多いです。なお、PMS月経前症候群が重篤なPMDD月経前不快症候群もDSM-5では抑うつ群障害に分類されています。症状は気分不安定性、いらただしさ、怒り、対人関係摩擦、抑うつ、絶望、自己批判的思考、不安、緊張、興味減退、集中困難、倦怠感、過食過眠または不眠などです。

産婦人科でもPMDDの治療は行いますが、精神科ではSSRIなどによる抑うつ気分の軽快化が行われることがあります。

◯ 不安症群

DSM-Ⅳ-TRでは

不安障害の分類の中に、全般性不安障害、パニック障害、恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)急性ストレス障害(ASD)が含まれていました。

DSM-5では

⑴強迫性障害

⑵心的外傷後ストレス障害・急性ストレス障害は独立疾患として扱われています。

⑶ 不安症
分離不安、場面緘黙が不安障害に取り込まれています。

不安症の中に分類されているPD panic disorderパニック障害は、反復性のあるパニック発作、広場恐怖症、そのための回避行動を示しています。

従来不安症は純粋に心因から発生すると思われていたのですが、身体医学的要因が強く、大脳辺縁系のうち扁桃体の影響が大きいとされています。(PTSDも)

PD治療はSSRI、抗不安薬、認知行動療法が標準セットとされています。

全般性不安障害、社交不安症は一卵性双生児研究で一致率30〜40パーセントの遺伝的要素が高い疾患です。社交不安尺度LALS心理テスト評価もあります。

強迫性障害の精神療法のスタンダードもSSRIと認知行動療法ですが、暴露反応妨害法は不潔恐怖の人に対して床を着衣のまま転がらせたりかなり過激なもので、脱落例も多いです。

前頭眼窩面、皮質化(線状体・視床)回路の機能以上が想定されています。
強迫観念には様々な類型があり、ほぼ妄想に近いと言えます。

不潔恐怖で家を出られない、感染恐怖、加害恐怖で人に大きな伝染性の病気を伝染させたという恐怖は抑えがたいものです。OCD研究会のホームページが参考になります。

http://ocd-net.jp/column/c_157.html

※ 本人の苦しさが自殺念慮の原因になるという点では、強迫性障害OCDやOCDや強迫スペクトラム障害OCSDの苦しさは相当なもので、自殺未遂、既遂者もいます。

不安症とは異なりますが、自己臭妄想、むずむず足症候群レストレッグスでも自殺者はいます。

精神療法では認知行動療法の1人舞台というわけではなく、不安を低減させる、その状態を持続させるという精神療法が有効ではないかと思います。

◯ PTSD

PTSDは何回かこのブログで取り上げました。しつこいけれど何度も取り上げるのは必出と思っているからです。

DSM-5では反応性愛着障害や脱抑制型対人障害がこのカテゴリーに分類され、大人との安心した情緒的交流を結べない子どもについて記述されています。

さて、PTSDは自他の死に直面した外傷体験(直面とは限らず想像上や二次受傷でも)、性的被害、虐待によって起こる疾患です。

ただ、「部長から酷いこと言われてトラウマになっちゃってさあ」というのは日常用語での「トラウマ」の用法は間違っていないのですが、本来の死に瀕したトラウマの用語とは語法が違います。

それでもパワハラやセクハラが軽視されるべきではなく、適応障害の原因にもなります。

PTSDは

・再体験(フラッシュバック、目の前をさーっと外傷時の体験が流れていく白日夢や、恐怖を引き起こすキーワードや似た出来事に反応して思い起こす、悪夢、幻覚妄想様体験)などの侵入

子どもの場合には3.11の後に「地震ごっこ」と家が壊れて人が死ぬという、ごっこ遊び、トラウマティックプレイをすることがありますが、これは症状の1つで治療にはなっていないということを小児治療者、特に遊戯療法を行う治療者には知っておいて欲しいです。

・回避(同様の状況を避ける)

・陰性の気分変化 (認知と感情の否定的変化)

・解離(記憶が抜けている・外傷の記憶欠如・気づくと遠方にいる。クレジットカードを使ってしまっている。財布からお金がなくなっている。)

自己を過剰に責める、世界への不信感→対人恐怖や引きこもりになることも

自他への過剰な非難/トラウマの原因の誤った帰属(私が夜黒い服を着て外出してきたのが悪い)

持続的感情障害(恐怖・怒り・罪悪感・恥、自己肯定感の著しい低さ)社会活動への関心の減退、孤立感情

・覚醒亢進状態(過覚醒)

トリガーなしでの激しい怒り、アドレナリン過剰放出による不眠、自己破壊的観念、過度の警戒、驚愕、集中困難

これらが特徴的です。

PTSDやC-PTSDは多彩な心身症状を示すので、ほかの疾患との誤診が多いです。実際に多くのストレスに晒されてレジリエンスが弱っていて心身の他の疾患を併発している場合も多いです。

DSM-5は多軸診断ではなく多元的(ディメンション的)診断を行います。とは言えどの疾患がどの疾患や障害と複合していてもおかしくありません。

統合失調症、双極性障害、うつ、神経発達障害、PD、PTSD、境界性パーソナリティ障害、アルコール依存症との併発もあり得ますし、誤診される可能性も十分にあります。

PTSDにはそのためPTSD臨床尺度CAPSという半構造化面接で確認が行われます。工夫して除去しているのですが、それでもこの面接そのものがかなり侵襲性があります。

IES- R(出来事インパクト尺度)やK-10は質問紙ですが侵襲性はあります。

災害派遣後の保安関係者、D-PATスクリーニングツールとしてPDIもあります。

◯ 適応障害

産業場面で働く心理職は比較的多く接するでしょう。

ストレスから苦痛を感じ、それが6カ月以上となると慢性となり、うつと診断されます。職業上の不適応ならば、ストレス因子となっている配置や労働環境の改善で好転することは多いでしょう。

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※ 受験生のみなさんとあらゆる人々に美しい花のような明るさが手に入りますように。

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◯ DSM-5毎回徹底復習・神経発達障害、統合失調症、双極性障害

まず、DSMの多軸診断システムが廃止されたことは神経発達症診断においても大きな変化をもたらしました。
ASDは何パーセントぐらい、ADHDは何パーセントぐらいとディメンション(多元的診断)可能になったということです。

特に神経発達障害において診断基準が変わりました。

・精神遅滞→知的障害と変更されています。
従来のIQのみによる診断でなく、生活能力を診断の中に取り入れています。

DSM-ⅣTRでは広範性発達障害という大きなくくりの中に
・自閉性障害
・アスペルガー障害
・レット障害
・小児期崩壊性障害
・特定不能の広汎性発達障害

という5つの下位分類がありましたが、DSM-5では神経発達障害はレット障害(遺伝因子がレット障害では特定されたため)ASDに全て包括的されることになりました。

診断基準にも変更がありました。DSM-Ⅳ-TRは、社会性、対人関係の交渉、コミュニケーション障害、想像力の障害に基づく興味・関心の限定というWingの3点が基準でした。

DSM-5では、
1.コミュニケーション障害と2.反復的な行動と興味という2つの分類に変更になりました。

この2つを満たさなければASDとは診断されません。

2.のみの場合は、社会的コミュニケーション障害と分類されます。PDDNOS(特定不能の広範性発達障害は社会的コミュニケーション障害の中に包含されていきました。)

DSM-Ⅳ-TRではPDD(広汎性発達障害)なのかASP(アスペルガー障害)なのかPDD-NOS(特定の不能の広汎性発達障害という診断のごみ箱のような概念)なのかという独立した疾患単位として 見ていたのが、支援を要する必要性、社会的なコミュニケーション能力、限定反覆された行動の社会適応度で、グラデーション様のスペクトラム概念を採用することになったのです。

ADHDは実はDSM-Ⅳ-TRでは発達障害の枠組みの中には入っていませんでした。

ADHD=行動障害→神経発達障害に分類し直されたこと、7歳→12歳以前に引き上げられ、17歳以上ならば下位項目基準が6→5に基準緩和され、さらに重症度判定も導入されるようになりました。学習障害が限局性学習障害になりました。

さて、ADHDの診断治療ですが、ストラテラにしてもコンサータにしても中枢神経を刺激するので興奮を与えるわけです。したがってその鑑別診断には双極性障害との峻別がとても難しいでしょう。

双極性障害でも躁がある程度抑えられている人ならば投薬は大丈夫でしょうけれども、中枢神経刺激薬の場合には躁転の可能性も捨てきれない。

ADHDの人が2次障害でうつを併発している場合にはSSRIやSNRIが有効だけれども双極性障害を併発している場合には使えないこともあり得るわけです。

小児期に神経発達障害が発見されていて、それが可能な場合は話し方教室のような通所で言語療法士や心理職による療育が行われることで成長してからの社会適応度がかなり高まる場合もあります。

特別支援学級、特別支援学校で子どもにSSTを行うのは、応用行動分析的手法を援用、困難さも伴いますが必要かつ有効な仕事です。

◯ 統合失調症スペクトラム障害
Scizophrenia Spectrum
統合失調症もDSM-5だと連続体のスペクトラムとして扱われています。

DSM-Ⅳだと統合失調症が独立していて、他の妄想性障害、統合失調症様障害、短期精神病障害のカテゴリーが重なることもあればまったく独立していることもあったという仮定で診断基準を構築していました。

DSM-5の診断基準ではA群パーソナリティ障害の
失調型人格障害、妄想性障害、短期精神病障害、統合失調症様障害、統合失調症とだんだん色濃くなるスペクトラムとなっています。

・有病率は0.8パーセント、10代後半から発症すると言われている遺伝的負荷の高い疾患です。

2014年の患者調査によれば入院患者266,000人のうち16,6000人、外来患者258,000人のうち70,000人です。

陽性症状としての被害的幻聴(「死ね」とか)妄想(見られている、盗撮されている注察妄想)幻視は統合失調症にはあり得ないと従来言われていましたし長い間論文にも書かれていましたが、虫が見えるなどの臨床例は僕も扱ったことがあります。

自我障害
させられ体験、作為体験、自我と世界との間が不分明になると思考もその境界が曖昧になり自生思考となり、自分の思考は漏れ出て、他人の思考が流入してくるように感じられます。

まとまりのない会話、行動、不統合

精神運動貧困、鈍麻、自発性低下
これらは統合失調症の陰性症状でよく出てきます。

病識障害

対人関係、身辺処理、ひきこもりなど(他の疾患でもお風呂に長く入れないことは多いですが)

DSM-Ⅳ- TRでは統合失調症の中の各状態を並べていたのが、DSM-5になって一気に整理されたようです。

統合失調症の中核症状は妄想、幻覚、解体した思考と会話、ひどくまとまりのない言動または緊張病性の行動です。

DSM-5では統合失調症スペクトラムの最初に統合失調症型人格障害
Scizotypal Personality Disorder
を持ってきていますが、DSM-5スタディガイドの症例を見ると超能力的、UFO、世界の終わりを信じ続けている女性の例が掲載されています。

スキゾタイパルパーソナリティ障害も遺伝因子が高く、すでにICDでは統合失調症の中に分類されています。

統合失調症スペクトラムの薬物療法はあらゆる定型抗精神病薬、非定型抗精神病薬が使われてきました。

ヒルナミン、レボトミン、コントミン、ハロペリドール、セネストパチー(身体異常感覚)にはオーラップ

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クエチアピン、エビリファイ、リスパダール(持続型注射が患者さんにはコンプライアンスの点でかなり楽なんだようです)、ジプレキサ、インヴェガ、

薬物反応耐性がある難治性の統合失調症にはクロザピンが奏功を呈するのですが、無顆粒血症の危険から週一回の血液検査が欠かせないのがネックです。

統合失調症スペクトラムにも精神療法は有効です。

エビデンス重視の認知行動療法が有効性を常に喧伝していますが、あらゆる精神療法に反応する可能性があります。

認知行動療法は妄想を持つ患者さんを説得するしようと論争になってしまうと逆効果となって脱落することもあるので、一学派の治療法にこだわらなくてもいいのではないかと思います。

双極性障害及び関連障害群

このブログでは双極性障害は何回か取り上げています。日本の有病率は0.7パーセントです。

入院を必要とするような高いテンションが特徴、時として大騒ぎをして暴れることもある双極Ⅰ型、うつが前面に出て来て、時に躁状態になるⅡ型、II型はラピッドサイクラーやウルトララピッドサイクラーとなることもあります。薬物性の双極性障害をⅢ型と呼ぶことがあります。

DSM-5ではクレッチマー以来、循環気質としてうつ病、躁うつ病として認められていた気分障害が、双極性障害は遺伝的疾患で、うつ病とはかなり違う発生機序として扱われることになりました。特に一卵性双生児研究では双極Ⅰ型は89パーセントの一致率です。

双極性障害はうつ病と同じ気分障害というくくりで扱われていたのが、気分障害という概念そのものがなくなったのです。

DSM-5でも統合失調症の次に双極性障害が記載されています。実際、遺伝子研究、家族研究を行うと一家族の中に双極性障害の父、統合失調症の娘など、非常にお互いの有病性が近似していることが判明しています。

双極性障害は精神療法としては認知行動療法がエビデンスがある精神療法として書かれています。躁やうつの時をどうやって乗り切るか、過ごすかは入院、通院とも本人の自覚や家族の協力が不可欠です。バイポラーワークブックが有名な翻訳書です。

ただし、双極性障害に他の精神療法が無効だというわけではありません。

特に躁の時には心理職と言えども管理的Administrativeなかかわりをしなければならない時があり、主治の医師がいない場合には家族に協力してもらい、医療保護入院にまでこぎつけないと病識のない患者さんが安定しないでしょう。

そういった意味ではかなり指示的diretiveな心理療法、というよりはケースワークを心理職がすることがあります。双極性障害は生活、社会リズム障害です。

社会的リズム療法だけでなく、双極性障害は寛解に近づくほどあらゆる種類の精神療法に反応して好転するというイメージが僕にはあります。

治療同盟が出来てしまえば、カウンセラーがリラックスを目的として病識ある患者さんの緊張を心理療法で緩めることは有意義なことです。ストレス、睡眠不足、激務を避けると落ち着いていくことが多いです。

双極性障害は、統合失調症と同じでまずはバシッと抗精神病薬を服用してもらってから、ムードスタビライザーで再発防止のための維持療法を行い、社会的寛解を促すことが多いです。

薬物療法としてはオランザピン(ジプレキサ)、アリピフラゾール(エビリファイ)、クエチアピン(セロクエル)、ゾテピン(ロドピン)クロルプロマジン(コントミン)、ハロペリドール(ケセラン)などの抗精神病薬、

ムードスタビライザーとしては第1選択肢としてラミクタール(ラモトリギンのジェネリックがやっと出ました)、カルバマゼピン(テグレトール)、バルプロ酸ナトリウム(デパケン)などの抗てんかん薬に加えて、炭酸リチウムが抗躁剤として使用されています。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬としてジアゼパム、ロラゼパム(ワイパックス)、クロナゼパム(リボトリール)が使用されることもあります。

ムードスタビライザーは臨床上、一剤使用か2剤使用が多いですが、3剤併用することもあります。相当症状を抑えるために苦労しているのだと僕は見ます。

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◯ パーソナリティ障害の診断基準・各クラスター・境界性パーソナリティ障害

1.診断

パーソナリティ障害の診断基準は何度も書いています。しつこいので何度も何度も書きます。

A群パーソナリティ障害は奇妙で風変わりなタイプ
妄想性パーソナリティ障害 (広範な不信感や猜疑心が特徴)
統合失調質パーソナリティ障害 (非社交的で他者への関心が乏しいことが特徴)
統合失調型パーソナリティ障害(会話が風変わりで感情の幅が狭く、しばしば適切さを欠くことが特徴)

B群 (感情的で移り気なタイプ)
境界性パーソナリティ障害 (感情や対人関係の不安定さ、衝動行為が特徴)
自己愛性パーソナリティ障害* (傲慢・尊大な態度を見せ自己評価に強くこだわるのが特徴)
反[非]社会性パーソナリティ障害 (反社会的で衝動的、向こうみずの行動が特徴)
演技性パーソナリティ障害 (他者の注目を集める派手な外見や演技的行動が特徴)

C群 (不安で内向的であることが特徴)
依存性パーソナリティ障害 (他者への過度の依存、孤独に耐えられないことが特徴)
強迫性パーソナリティ障害 (融通性がなく、一定の秩序を保つことへの固執(こだわり)が特徴)
回避性[不安性]パーソナリティ障害 (自己にまつわる不安や緊張が生じやすいことが特徴)

※ 厚生労働省「知ることから初めよう みんなのメンタルヘルス」から引用

さて、診断基準はDSM-5が医学書院から出ています。American Psychiatric Association DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引ポケット版は4,950円ですが何度も読み込むことは公認心理師試験を突破するには必要なことです。まだ持っていない方は買いましょう。(医学書院にそう書きます。と電話で話したら喜ばれました。)

著作権の問題があるので診断基準をそのまま掲載することはできませんが、
日本精神神経学会の林医師へのインタビューに境界性パーソナリティ障害の診断基準が掲載されています。(医学書院了解済)
https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=41
また、MSDマニュアルプロフェッショナル版内で検索するとDSM-5各診断基準が明示されています。

こちらは確認中なのでurlは貼りませんが、MSDマニュアル内で「パーソナリティ障害」と検索すると各パーソナリティ障害DSM-5の診断基準が出てきます。

境界性パーソナリティ障害は常に死への欲求が強く、家族や治療者に対しても果てしない理想化して強い愛情表現をして、しばしば治療者はこの人たちと逸脱した性的関係を持つことがあります。(複数の教科書に記載あり。)かと思うと一瞬後には激しいこき下ろしが始まり、何もかも相手を否定する、ありていに言えばジェットコースターに乗せられている、洗濯機の中で高速回転させられているような気持ちになるわけです。

と言ってもこの人たちも同様に家族、他者、治療者に対して同様の感覚を抱いていて「どうして私の目の前の人はこんなに私を激しく混乱させるのだろう」と思っています。したがって境界性人格障害Borderline personality disorder ; BPDの人たちは精神科治療現場でも厄介者扱いされることも多いのですが、本人は生きていることだけで苦痛を感じ、常に死への欲求を抱いていることが特徴です。

慢性的な空虚感を感じていることも多く、したがってOD過服薬やリストカットをすることもしばしばです。医療者は救命のために仕事をしています。

こういった患者さんの治療も行わなければならないのですが、自らを傷つける行為をする患者さんへと治療者が陰性的感情を抱くこともあります。OD、リストカットは内科救急や外科医療者よりも精神科心身管理者の医師が患者さんにより強い陰性的感情を抱くことが多いようです。

「薬は君を守るためにあるので傷つけるために処方しているのではない」「これが続いたら投薬治療はできなくなる」管理的な医師の言葉に攻撃性を感じて治療からドロップアウトしてしまう患者さんもいます。BPDの患者さんはセンシティブで、「人格障害」という言葉も嫌う人がいます。診断名をはっきりと言わない医師も多いです。

DSM-5がディメンション(あたかもグラデーションのような)診断基準システムになったとしてもDSM-Ⅳ-TRの多軸診断システムを捨て去っているわけではないです。

BPDは双極性障害、幼少期に虐待を受けたPTSDやC-PTSD 、不安症、統合失調症、物質・行動依存などあらゆる疾患との併存がありえます。うつ病性感情障害は約50パーセントとも言われています。「境界性パーソナリティの精神療法」成田善弘編

※ C-PTSD 複雑性慢性型心的外傷後ストレス障害Complex post-traumatic stress disorder はICD-11で初めて独立した疾患単位として取り上げられるようになりました。手ひどい(しばしば性的な)虐待や性被害体験はC-PTSDを引き起こします。なおトラウマ研究者Judith Lewis HermanはBPDそのものが被虐待体験があることがほとんどなのでC-PTSDの中に概念化することを提唱しています。

2.歴史的変遷

BPD概念歴史は精神分析の歴史とともに始まります。1906年精神分析家Paul Federnが、神経症のはずなのに精神病状態を示す患者について「潜伏性精神病」と名付けたことにこの中間的な病は始まります。1950年代にはこの境界例が疾患単位なのかそれとも他の病気の亜型なのかについて激しい論争が起こりました。前述書「境界性パーソナリティ障害の精神療法」にも精神分析家がこの境界例に多く関わって来たことが述べられています。

統合失調症ならば精神分析の対象にはならず、神経症圏ならば対象になるからです。Melanie Kleinの対象関係論は部分対象としての「よいおっぱい」「悪いおっぱい」の全体対象として見られず、悪いおっぱいの乳首を思い切り噛むような心性が境界例の人格構造を表しているような気がします。

精神分析学者Otto Friedmann Kernbergは境界例をパーソナリティ構造そのものの特異性に注目、境界パーソナリティ構造Borderline personality organization - BPOを仮定、広くBPO水準の中でsplitting、all-or-nothing thinkingの中で生きる自我同一性の拡散があると指摘しました。

Michael Balint1968年著の「治療論から見た退行」では彼が精神分析学者として、境界例患者には幼少期に築かれていたはずのエディパルな人間関係を他者と結ぶことができない「基底欠損領域」の存在を指摘しました。John G. Gundersonらが怒り、強い抑うつ感情、一時的な妄想様体験、不安定な対人様式について境界例研究を進めました。

境界性パーソナリティ障害がひとつの疾患単位として確立したのは1980年、DSM-Ⅲからです。このパーソナリティ障害概念確立にはそれまでの精神分析学者たちの膨大な研究が影響していたのは言わずもがなです。

BPD概念の理解、そしてこの苦痛を常に抱えている人たちへと共感するためには精神分析学概念の理解は必須と考えます。BPDの人たちは苦しみを常に抱えている。それを無視して虐待なんかなかったでしょう、あなたや他の治療者が作り出した偽の記憶でしょう。こういった侵襲的な 治療家も数多くいます。

3.治療

BPDはクラスターB群の中では最も苦しみを訴えることが多く、治療を求めて医療機関を受診することが多い層です。米国精神医学会治療ガイドラインコンペンディアムAmerican Psychiatric Associdtion Practice Guidelines for the Treatment of Psychiatric Disorders COMPENDIUMでは力動的精神分析療法の有効性がRCT randomized controlled trial無作為割付対象試験によって示されたとの紹介があります。もう一つの効果的治療法は後述する弁証法的行動療法、Dialectical Behavior Therapy, DBTです。

⑴ 薬物療法

薬理的学治療は日本の精神科で行われている第一選択肢です。というのも精神分析や弁証法的行動療法DBTを行う機関は僅少です。さて、コンペンデァアムに戻ると大うつ病症状には抗うつ剤SSRI、そしてその不安のあるBPD患者さんにはベンゾジアベビンBenzodiazepine系抗不安剤の投与が行われます。(ただし、Benzodiazepineは解離を勧める、脱抑制から感情や行動のコントロールが困難になるので使用。控えるべきだという意見も根強いです。)

双極性障害を併発している場合も多いですし、感情の障害の病であることから、Carbamazepine、商品名テグレトール、Sodium Valproateバルプロ酸ナトリウム商品名デパケン、Lithium carbonate炭酸リチウムなどのムードスタビライザー気分安定剤による治療が行われています。

コンペンデァアムには掲載されていませんがLamotrigineラモトリギン、商品名ラミクタール、Topiramate、トピラマート、商品名トピナも使用されています。これもコンペンデァアムには記載されていませんがSSRI無反応な患者さんも多いことから定型、非定型抗精神病薬も使われています。

⑵ 弁証法的行動療法DBT

DBTはMarsha M. Linehanによって編み出されたBPDに特化した精神療法です。Linehan自身が厳格な家庭で育てられ、彼女の両腕は傷だらけ、運転していると思い切り突っ込んでしまいたくなると言います。

日本でも訳書は出ています。金剛出版「弁証法的行動療法」「弁証法行動療法実践マニュアル」等です。心理教育、弁証法的な第三者的な「賢明な心」で物事をとらえるという枠組みです。

病理的行動はしばしばBPD患者さんにとっては当たり前のことだととらえられています。不特定多数の異性との避妊をしない性行為を当たり前ととらえているティーンエージャーには賢い心でそれは常識の範囲外と伝えなければなりません。

マインドフルネスに基づいた日記カード記入します。自ら致死的な行為を行うのをやめることがターゲットになります。スキル訓練として苦悩に耐えるトレーニングをします。苦悩耐性は一時的棚上げ、問題から注意を逸らすことなど。

対人関係効率化、情動制御もターゲットです。DBTについて書くことは多いです。対人関係においては自己主張して断られたからといって自己否定されたとはとらえない、自己主張はいかなるときでも行う権利がある、情動制御について、気をそらすためにコインをテーブルの上に何枚も立ててみる、氷を握りしめたりキャンディを口の中に入れてその味わいに注意するというものです。呼吸法も推奨されます。

DBTは個人カウンセリングと集団でのグループカウンセリングを並行して行います。危機に陥った際には治療者に夜間でも電話をすることができます。DBTにはペナルティもあります。自傷行為を行った際には次のセッションに出られません。

⑶ トラウマをターゲットとした治療

統計ではBPD患者さんのうち被虐待体験を持っているのは9割という説もあります。 PTSDを併発している場合にはEMDRや持続エクスポージャー法PE Prolonged Exposure Therapy(私見ですがトラウマへの暴露は侵襲性が高くPEは苦しいのではないかと思います。)対人関係療法Interpersonal psychotherapy、IPTも効果的と言われています。その他プレインスポッティグ、ソマティックエクスペリエンス、ブレインジム等は公認心理師試験には出ないと思います。

※ ちなみにメンタライゼーションもBPD治療には有効と言われています。

4.総括

この病は漂泊の病とも言われています。自我同一性が確立できず、性別違和に苦しむ人、職業観を獲得できない、学校に行けない、社会に出られない人もいます。反面統計を取ると5年、10年単位では回復率も高く、診断基準を満たさないと完治する人、高い感受性を生かしてサービス、接客、経営、心理カウンセラー、精神科医になる人もいるのです。

心理職にとっては、どの精神疾患でも同じですが、きちんとケースフォーミュレーションを行いゴールを短期的にも長期的にも定めてクライエントさんの状態を安定化させることに心を砕きたいものです。

特にこの疾患は治療者が巻き込まれやすく(BPDの「操作性」と言われていますが、特に操作をしようとしているわけではなくBPDの人の防衛反応です。)治療契約や限界設定limit settingをきちんとしておき、しばしば絶望感に襲われるこの人たちの行く道筋を燭光でもよいので照らして欲しいと思っています。

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◯ DSM-5総論/DSM-Ⅳからの変更点  
素行性障害 ASD 神経発達障害復習

名著、DSM-5虎の巻を参照しています。杉山登志郎先生の名著です。

以前の記事と重なりますが復習に復習を重ねます。

ちなみになぜDSM-5が数字なのかというと、version5.1、version5.2などの改訂を予測しているからだと言われています。

DSM-Ⅳは診断基準が狭かったことから、「特定不能の」(not other specified)という診断が多かったという反省がなされています。

DSM-ⅣまではⅠ軸=精神疾患、Ⅱ軸=人格障害、知的障害、Ⅲ軸=一般的身体疾患という軸を廃止、DSM-5ではディメンション型の診断システムとなったので、精神に影響している身体疾患も含めて記載することになりました。
Ⅳ軸の心理社会的・環境的問題は、それまであまり使われていなかったことから、ICD-CMコードを使用することになりました。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/dl/icdabc_h26.pdf

「ICDのABC 」厚生労働省

また、Ⅴ軸のGAF、機能の全体的評定尺度Global Assessment of Functioning) 概念は、主観性に欠けるものとして廃止になり、
WHODASという、36項目による自己評価によって自己評価尺度が出されています。

認知(Cognition)理解とコミュニケーション

可動性(Mobility)動き、移動して回ること

セルフケア (Self-care)自身の衛生をケアし、着衣し、摂食し、自立すること

人との交わり(Getting along)
他の人々と関わること

生活(Life activities)
家庭の責務を担い、レジャー、職場や学校の場を持つ

参加(participation)
コミュニティ活動に加わり、社会へ参加する

です。

◯ 児童青年期精神疾患

・ AD/HD
DSM-Ⅳでは「AD/HDと破壊的行動障害」と位置付けられていたのが、神経発達障害(neurodevelopmental disorders)として従来の発達障害群の中に組み入れられたということです。

日本では2006年発達障害者支援法施行以来、AD/HDは発達障害のカテゴリーにあったので、認知は広まっていたのですが、DSMでは初めての改定です。

うつ病群に含まれていた重度気分不全障害(Disruptive Mood Dysregulation Disorder:DMDD)、重度のかんしゃく等、はいまだ診断された疾患例も少なく慎重に扱われるべきとされています。

これまでも重症気分調整不全(Severe Mood Disreguration:SMD)子どもの双極性障害に近い概念:筆者注,として検討されてきたグループです。

AD/HDが破壊衝動的な行動障害から除外されたのはDSM-5の大きな変更点です。

反抗挑戦性障害、素行障害、間歇性爆発障害、反社会性人格はひとまとめにされて、DSM-Ⅳでは「どこにも分類されない衝動行動制御衝動障害」も包含するものとなりました。

※ ちなみに従来行為障害として記述されていた概念が現在では素行障害となっています。

素行障害(cunduct disorder)はDSM-5の診断基準を覚えましょう。

※ ここで児童に戻ります。

神経発達障害中で、

知的障害
知能指数での分類ではなく、生活適応能力としての分類になっています。
学力領域(Conceptual domain)
社会性領域(Social domain)
生活自立能力領域
(Practical domain)
の状況から重症度判定をします。

コミュニケーション障害は言語表出と理解双方の区別をなくしました。

会話音声障害(Speech Sound
Disorder)と流暢性障害・吃音症(Childhood-onest F luency
Disorder(Stuttering))は発達初期に発症すると明記されました。

DSM-5で新設されたのが

社会的(語用論的)コミュニケーション障害Social (Pragmatic)Communcation Disorder))です。

社会的コミュニケーション能力は弱いけれども従来の特定されない広範的発達障害(Pervasive Developmental Disorders = PDD、PDD-NOS)
に分類されていたり非定型自閉症と診断されていた子どもが明確なこだわりや感覚異常がなく、ASDの診断基準を満たさない場合にこの診断がつきます。

特異的学習障害(Specific
Learning Disorder)がDSM-ⅣのLDにとって変わっています。

症状記載が詳細になったという点が変更点です。

例えば読みの障害では、単語の読み、読む速度、流暢さ、 文章の理解度合い等を評価します。

書き障害でもスペル、文法、句読点、明確さや構成、算数でも数の感覚、計算の正確さを見ます。

発達段階と支援の必要性の度合いによって診断をするということです。

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◯ 物質関連障害と動機づけ面接MI及び嗜癖障害群・神経認知障害群

・覚せい剤などの精神刺激薬は使用障害(使用・濫用)と誘発性障害があります。

・DSM-5ではアルコール関連障害はアルコール依存症候群からアルコール使用障害に名称変更されていて、こちらも誘発性障害(中毒・離脱・精神病性障害)があります。

また、ウェルニッケ・コルサコフ症候群では作話症状が出ます。

物質関連障害群としてあげられるのは

このほか、抗不安薬過剰服用と鎮静薬、カフェイン、大麻(マリファナと合成カンナビノイド)、幻覚剤(LSD、フェンシクリジン、シロシビン)有機溶剤(塗料用シンナーや接着剤など)オピオイド(フェンタニル、モルヒネ、オキシコドンなど)中枢刺激薬(アンフェタミンやコカインなど)ニコチン

が対象となっています。

アルコールに関してはほぼ毎日飲酒している、飲酒により生活に支障があるか、飲み方に異常があるか、離脱症状があるか、γGTPやGPT、GOT、UA(尿酸値、アルコールで水分が体から足りなくてなると少なくなる)が高いかがポイントです。

アルコール使用障害の診断基準 (DSM-5)

※ 正確な診断基準は原典に当たってください。(著作権上)

アルコールの多量摂取

減らす努力に成功しない。

強い欲求、身体や社会性にに悪影響があっても続ける。

依存のため耐性がつき大量摂取を要する。

やめた際の離脱症状

とDSM-5ではあくまで「使用障害」に力点を置いて診断基準優先となっているので、依存症治療を考えるとアルコール依存症のICDの診断基準がふさわしいという見方もありそうです。

日本には80万人のアルコール使用障害者がいるとされています。

独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター 木村 充

アルコール依存症への理解を深める
肝炎情報センター
http://www.kanen.ncgm.go.jp/study_download/20141205_03.pdf

アルコールスクリーニングテストCAGE、AUDITはアルコール依存症専門治療機関の国立久里浜威力センターのホームページから簡単にアクセスできます。

http://www.kurihama-med.jp/alcohol/

医師による診断と異なり簡単に自己診断やチェックができるというメリットがあります。

シアナマイドやノックビンのような抗酒剤が使われていることもあるのですが、

動機付け面接法
Motivational Interviewing (MI)や
個人・集団心理療法の中でも認知行動療法、コーピングスキルトレーニングが使われます。

今回ブループリントにも記載されていますので動機付け面接法の復習を兼ねて記載します。

MIはアルコール依存症に対する介入で有名で、周囲からいくら止めるように言っても本人の断酒意思がないと止められません。

野球の試合も勝ちたいと思って取り組まないと勝てないでしょう。

このような治療意欲に対する動機付けを高め、「自己動機付け発言」(チェンジトーク)を引き出すのが動機付け面接法です。

DARN-Cが動機付け面接法のポイントとなる頭文字です。

DはDesire(変化への希望)

AはAbility(変化できる能力、自信があるという楽観的な見通し)

RはReason(変化することの利点)で、いい結果がともなってくるという理由をあげているような発言です。

NはNeed(変化しないことへの心配,懸念)です。

このままでいたら困る、このままだと仕事がなくなる、など,ネガティブな理由です。CはCommitment(変化に必要な実際の行動の具体的な計画や考え)に関する発言です。

つまり、変化をしたいという動機のためにはポジティブな側面もネガティブな動機もあるのですが、それをクライエントが自覚して話せるようにならないといけないということです。

そこから続けて変わることができるという自己効力感(セルフエフィカシー)を高めていくわけです。


五つの原則

動機づけ面接には,五つの原則があります。

1.共感
2.矛盾を広げる
3.言い争いを避ける
4.抵抗を手玉に取る
5.セルフエフィカシー(自己効力感)を支持する

です。

1.共感

クライエントが言ったことが不健康なことでもそれを頭ごなしに否定はしません。
決めつけもしません。
相手が間違っているというというような価値判断をしないことです。

2.矛盾を広げる

このようにクライエントが自己中心的な主張をしていたとしてもそれを否定せず、話し続けてもらうことで、クライエント自身が矛盾に気づくということです。

3言い争いを避ける

カウンセラーがエキスパートで専門家なのだからとクライエントに対して一方的な価値観の押し付けや説教をしないようにします。

カウンセリングの主体はあくまでクライエントなのです。

4.抵抗を手玉に取る

変化しようとすると必ず抵抗も出てきます。それをカウンセラーは、でも、けれども、と否定的な構えで話を聞かず、抵抗があっても頑張り続けていることをプラスに評価します。

5.セルフエフィカシー(自己効力感を支持する)

結果としてうまくいっているところを支持します。

動機付け面接にはカウンセラーの具体的話し方がOARSとして示されています。

OARSは,

開かれた質問(Open Ended Question)

是認(Affirm)

聞き返し(Reflective Listening)

要約する(Summarize)

の略語です。

開かれた質問(O)はどんな気持ちですか?どんな考えですか?どんなことがしたいですか?などクライエントがさまざまな答え方ができるような質問です。

答えにくければカウンセラーから具体性を持たせてクライエントが答えやすいようにしてみます。

是認(A)はクライエントの話す内容から、いいと思えるものを抽出、聞き返して確認していくことです。

本人ができる、やりたいということを話しているときに聞き返していくような場合は,是認の手法を使っています。

聞き返し(R)は動機づけ面接で最も使われています。

クライエントが使った言葉をそのまま聞き返したり、気持ちを聞き返す単純な聞き返し,相手の言っていることを増幅して聞き返したりすることがあります。

これらは自己動機づけ発言(チェンジトーク)を引き出すために用いられます。

要約(S)では,相手の話の中で使える部分を拾い上げていきます。

これは,花束をつくるという比喩で表現されることも多いです。

矛盾する発言や行動,それらに付随する態度や感情の中から役立ちそうなポジティブな点を注意深く聞いて、その中から花を選んでいきます。

花をまとめてクライエントに花束という成果物として提示するわけです。

コーピンスキルトレーニングCSTは、アルコールという誘惑に負けそうな時点でストレスにどうやって対処するかというスキルトレーニングのことです。

悶々として誘惑に負けそうになっているよりも、うまくストレスを逃がすスキルを獲得していれば心理的には楽なわけです。

◯ 神経認知障害群 DSM-5

記憶などの認知機能や生活機能が障害され、生活に支障があっても自立生活可能な状態を軽度認知障害MCI、自立生活困難な程度に低下していれば認知症とします。

軽度認知障害の厚労省の定義です。

「物忘れが主たる症状だが、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない状態。

軽度認知障害は正常と認知症の中間ともいえる状態です。その定義は、下記の通りです。

年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
本人または家族による物忘れの訴えがある。
全般的な認知機能は正常範囲である。
日常生活動作は自立している。
認知症ではない。
すなわち、記憶力に障害があって物忘れの自覚があるが、記憶力の低下以外に明らかな認知機能の障害がみられず、日常生活への影響はないかあっても軽度のものである場合です。

しかし、軽度認知障害の人は年間で10~15%が認知症に移行するとされており、認知症の前段階と考えられています。

厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-033.html

軽度ではない認知症について、脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状が記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下など中核症状と呼ばれるものです。(厚労省定義)

中核症状が起きると周囲で起こっている出来事の現実を認識できなくなります。認知症の復習です。

・中核症状

複雑な注意、失行や学習障害、失認、失行(着替え)見当識障害(自分がどこにいるかわからない。

HDS-Rカットオフ値は20/30

服薬コンプライアンスができない、金銭管理ができない。

周辺症状BPSD Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaと呼ばれる「周辺症状」は

幻覚、幻聴、妄想(よく起きるのは物取られ妄想です。焦燥、攻撃性。
抑うつ・アパシー(無為症状)
不安・緊張・易刺激性、睡眠障害といった心理症状のほか、介護への抵抗、徘徊、異食、失禁、暴力などの行動異常も見受けられます。

認知症の薬物対応としては、暴れるのを鎮静化させるためにリスペリドン、不眠には睡眠導入剤、不安に抗不安剤が使われることがあります。

(程度はあくまで目安で、実際の病状とは一致しないことがあります。)

軽度〜中度認知症には認知機能伝達物質を補うアセチルコリン分解酵素アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、アリセプト、中度にはレミニール、イクセロン・リバスパッチ(同じくアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)

重度にはメマリー(PTSDへの治験も行われているメマンチン)があります。

ただし、どの認知症薬も進行を遅らせることはできても根本治療薬はまだ開発されていません。

※うつ病の仮性認知症、薬物惹起性認知症は治ることがあります。

四大認知症はアルツハイマー、レビー小体型、前頭側頭型(ピック病他)、血管性認知症です。

以下厚労省資料です。

認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議資料
「厚生労働省の認知症施策等の概要について」厚生労働省老健局
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000031337.pdf


【アルツハイマー型認知症】
・ 中核症状として記憶障害(もの忘れ)が必ずあり、多くの場合、記憶障害から始まる。
・ 発症及び進行は緩やかで、記憶障害を含む複数の認知機能が持続的に低下し、段取りを立てられない、気候にあった服を選べない、薬の管理ができない等、日常生活において、以前でき ていたことが、できなくなってしまう。
・ 歩行障害は病期が進行しないと出現しない。
・ 行動・心理症状(BPSD)では、妄想、徘徊、せん妄等が多い。

【血管性認知症】
・ 脳血管障害が発生した脳の領域により出現する症状はさまざまだが、記憶障害、言語障害等 が出やすく、階段状に進行することが多い。
・ アルツハイマー型認知症と比べると比較的早期から歩行障害が出やすい。

【レビー小体型認知症】
・ 認知機能の激しい変動
・ なまなましい「幻視」
・ 筋肉のこわばり(パーキンソン症状 )

【前頭側頭型認知症(ピック病他)】
・ わが道を行く行動(会話中に突然立ち去る、万引きなど) ・ 常同行動(同じ行為を繰り返す)
・ 感情・情動変化(多幸・不機嫌・情動鈍麻など)
・ 食行動異常(食欲・嗜好の変化など)

です。

血管性と呼ばれる認知症は脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。

血管性以外は、神経変性が一次的な主たる原因と考えられています。

多くの認知症性疾患では、その原因は不明です。しかし、脳血管性のものは比較的わかりやすく、アルツハイマー病についても、確定したわけではないものの深く研究されています。

脳血管性のうち、わが国に最も多いタイプに広範な梗塞・不全軟化があります。このタイプは、大脳深部の白質線維の連絡機能が断たれることで認知症症状が出現します。大脳の表面付近の梗塞に起因する例では、梗塞巣の容積が100mLを超えると認知症の発現頻度が増加します。

また海馬、視床、尾状核など重要な脳構造に梗塞を生じると、それが限局性であっても高次脳機能障害をきたすことがあります。

アルツハイマー病の病因は不明です。しかし、病理学的な特徴とされる老人斑を構成するアミロイドβ(Aβ)にその原因を求める考えが主流になっています。

つまりAβの切り出し、凝集に始まるプロセスに起因して神経原線維変化を生じ、さらに神経細胞死へと至るという考え方です。これをアミロイドカスケード説といいます。

このAβ中心説に対して、神経原線維変化を構成するリン酸化されたタウ蛋白質に注目する立場も有力です。

レビー小体型認知症と前頭側頭葉変性症については、鍵となる脳内構造物が明らかになりつつあります。

これによって原因解明が期待されています。

なお、スピロヘータ、ウイルス、プリオンなどの感染性因子により、神経細胞が傷害されて起こる認知症があります。たとえば脳梅毒ともいわれる進行麻痺、エイズ脳症です。

高血圧が原因となっているBinswanger病とアミロイドアンギオパチーは血管性ですが、神経変性を伴います。

アミロイドアンギオパチーも微小血管障害が神経変性につながっています。

・ アルツハイマーは海馬周辺が主病変で、大脳新皮質に移っていきます
側頭葉、頭頂葉の障害は記憶障害になりますが、運動機能障害にまではなりにくいです。

・ レビー小体型は幻覚やパーキソニスム、転倒しやすいという後頭葉の障害があります。

・前頭側頭型のpick病は前頭葉の障害のために理性が保てなくなり、犯罪を起こすことがあります。

側頭葉障害の場合は失語につながります。

認知症の基礎~正しい理解のために~厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/20170606_ninchisyotoha.pptx

論文では核磁気共鳴MRI
SPECT検査
単光子放射型断層撮影(single photon emission computed tomography; SPECT)検査
などの脳状態撮影検査が認知症診断に有効なことが示されています。
SPECTは静脈に薬剤を入れて脳血流の状態を撮影します。

PET検査
陽電子放射型断層撮影(positron emission tomography; PET)検査は,消滅放射線を生成する陽電子放出核種を標識した薬剤を使用しますが、正常脳と認知症の鑑別診断に有効です。

また、dat-scan検査では、脳内でドーパミンが異常低下した状態のレビー小体型を検査することができます。

また、社会的理解と援助のため、特定非営利法人地域ケアネットワークによって、全国認知症サポーターキャラバンメイトが組織され、サポーターの育成、認知症患者さんとその家族に対する社会的な支援を行っています。

http://www.caravanmate.com/

絵:千美梨画伯「果物のある2089年の風景」
タイトル:ひなたあきら

千美梨「あなたホンっとにテキトーなんだからこの記事の中のいろんなのに当てはまってるんじゃない?」

(おしまい)

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