ʀᴇғʟᴇᴄᴛ.
写真のよさのひとつ。どんな天気や心模様の日も、それを「美しさ」として映すことができる。
#雨
総合職心理キャリアの悲哀
先般
家庭裁判所調査官補・国家公務員総合職人間科学区分・矯正心理専門職
の記事を書きましたが、読者のふみさんからコメントがありました。
返信を書いていたらあまりにも長くなったので独立記事として取り扱わさせていただきます。
以下ふみさんのコメント
私が言いたくて書きたくて仕方がなかったことを、敢えて文字にしてくださったことに感謝です。法務省(少年鑑別所、保護観察所)は検事、厚労省は医系技官、裁判所は裁判官。鉄板資格たる法曹資格又は医師資格を持っている者がどんなに若くて仕事がダメパーでも強いです。法曹資格又は医師資格のないキャリアの職員がどんなに自分を犠牲にして出世しても出先機関の所長や事務次官止まりです。ただ、法曹資格又は医師資格があるトップより強いのは政治家。国会議員のセンセが最後は何でも決めちゃうから、私達はここに一番翻弄されます😥
以下ふみ様への返信
コメントどうもありがとうございます。
ふみさんの言うとおり、法務省では事務局長は行政・法律キャリア総合職のトップ事務次官は13番目ぐらいのいわば名誉ポスト。上層部は全て法曹がその地位を占めています。
矯正心理職として採用された鑑別技官は判定会議で鑑別所長の決裁が必要な鑑別結果通知書を出しても若い判事補にひっくり返されてしまいます。鑑別所入所中の4週間の間に鑑別技官はとても忙しい思いをして義務官舎に入り、帰宅しても落ち着かない気持ちで鍵を片手に鑑別所の重い鉄のドアを開け閉めして、およそ心理職として考えられないような仕事をしているのです。
心理キャリアは総合職としては技術職のようなもので、昔は国家I種のキャリア組、大卒一般職の国家Ⅱ種、実際には「国家1.5種」ぐらいの扱いを受けているのだと考えています。
ただし、やらされている仕事は本省ではデスマーチ、野党からの国会質問【例えば少年犯罪の凶悪化に対する対策(このような事実は統計上も実際にもない)】があれば徹夜残業で、夕方6時から仕事を始めて翌6時に終わって、9時には国会質問はないよと言われて作った書類はそのままシュレッダーという仕事が毎日の日課です。
裁判所総合職としての家庭裁判所調査官もほぼ同じ待遇です。調査官としての上がりポストである首席調査官になるには全国10カ所以上の転勤をしなければならず、20年以上単身赴任というのはザラですし、ヒラ調査官のまま職業人生を送ろうとすると物凄い圧力で異動を強要されます。
家裁調査官が出世する(聞き分けのいい人は出世を無理にでもさせられてしまう)のは調査能力よりも全国異動能力が重視されます。
また、定年寸前の首席調査官は各種連絡協議会があっても中央上席に座るのは若い判事補、その隣に首席が座るのが当たり前です。
調査官が現場の調査仕事だけをしたいというのは年々困難になっています。書記官が書記官、事務官とジグザグ昇進をしていくのと同様に調査官が家裁事務局長や事務局次長を好きでもないのにやらされて事務官書記官のポストを奪っているわけですから物凄い妬みの目で見られます。
最高裁や高裁にも家裁調査官出身者はいますが、家庭局第1課長、第2課長は30第半ばの将来高裁長官等のトップエリートを目指す飛び石ポストなのに比して家裁調査官出身の第3課長は定年寸前の50代です。
裁判官は定年まで勤め上げれば大手弁護士事務所に高待遇で迎えられるか、年収3000万も可能なハンコを押すだけ仕事の公証人のポストもあります。
それに比して家裁調査官の定年後のポストは指定職東京家裁調査官でも非法曹で法曹よりもずっと取り扱える裁判事務の権限の低い簡易裁判所判事(揶揄を込めて「カンパン」と呼ばれる。)や調停委員、または名誉職としての給与が安い大学教官です。
かように厳しい扱いを受けている家裁調査官は年々人文科学専門家というより、臨床心理学専攻出身者でも裁判所司法行政事務取扱人としての能力が要求されています。
昔は独立していた家裁調査官研修所は裁判所総合研修所として書記官養成のための機関と統合されました。
はるかその昔ですが家裁調査官は内地留学として大学に研修に行くことができましたがそうすると大学にそのまま就職してしまう人が多かったのでその制度は廃止されました。
医療や産業、福祉現場でも心理職の宿命ですが裁判所で家裁調査官が「先生」と呼ばれるとものすごい勢いで睨まれることが多いです。というか確実に
部内で「先生」と公式に呼ばれるのは「何も話をわかってもらえなかった」と悪評を当事者から買う調停委員だけです。(ちゃんとしたいい調停委員会委員もいますし、当事者が思うようにならなかった恨みもあるだろうと付け加えておきます)。
矯正心理専門職にしても裁判所総合職、国家公務員総合職人間科学区分でも恐ろしいほど難しい試験を通過しないとなりません。
特に知能テストのハイパーレベル版、判断推理や数的処理はIQ170ないと解けません。
人事院発表の総合職過去問
が、まずこれに全問正解するぐらいの実力がないと次のステップには進めません。
臨床心理士公認心理師総合職の三つ巴合格はもはや人間技ではないと思います。
責任は一切取りませんが志があり、公認心理師スピリットを国家公務の中で生かしていける人には心理官僚としてぜひ三冠王を目指してこの制度を良くしていって欲しいと思います。
厚生労働省医系技官については心理職の世界とは全く関係ありませんがかなりの愚痴を聞かされることもありますのでまた機会があれば興味本位で別記事として紹介したいと思います。
(Special thanks to my brain Ms.A)
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