◯ 公認心理師上位資格は誰のためなのか
公認心理師上位資格がすでに完成していて発動していることは先日お伝えしたとおりですが、それではこういった職能団体上位資格は誰のために、何のために役立つのか、について考えてみます。
公認心理師法施行以来、決して多くはないものの、保険点数等で公認心理師が優遇される場面が出てきました。医療領域で言えば小児特定疾患カウンセリング、多職種連携加算、ハイリスク妊婦加算です。
また、ストレスチェック実施者、福祉加算、ギャンブル依存症への対応等、あとは警視庁の
採用について等、細かく見るともっとあるでしょう。
ですが、これらの認定について日本公認心理師協会という分裂職能団体の1つがかかわっているわけでは全くありません。つまり、官側の必要と要請によって作られた資格でもないですし、この資格が将来的に何らかの保険点数として認められる可能性は限りなくゼロに近いゼロということです。
官側と医療領域双方の要請に基づき、必要とされた資格としては代表的なものとして精神保健法指定医がありますが、この指定医制度にはどこか特殊な職能団体や学会が認定機構としてかかわっているわけではありません。
認定、専門医制度が広く認められているものとしては(かなり多くの資格の中のひとつ)として日本内視鏡学会、たとえば消化器領域の技術認定医があります。これは日本内視鏡学会の認定によるものですが、一般にも広く知れ渡っていて、この資格があるとないとでは大違い、患者さんが診療を受けたがるかどうかというところにもかかわってきます。
精神科認定看護師による診療報酬も加算されますし、認知症ケア加算もあります。これは支援対象となる専門看護師によるものです。
かなり細かく資格が認定されている医療専門としては、薬剤師もあります。がん専門薬剤師、精神科薬物療法認定薬剤師もあり、こういった資格を取得しておけば、臨床現場でかなり有用性が認められることになるでしょう。
さて、ここで日本公認心理師協会の「認定専門公認心理師」「認定専門指導公認心理師」について考えてみると、分裂職能団体が勝手に自らの専門性の高さをぶち上げて「こうだったらいいのにな」といういわば「妄念」、もっと言うなら「妄想」が国家の何か保険点数になるわけでもないです。この資格を取得したからどこかで何か優遇されるとはきわめて可能性として考えにくいです。
つまり「誰のための資格か」ということを考えた時、公認心理師は第1章総則 (目的) 第1条「この法律は公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする」とあるのですが、この上位資格は「国民のため」になっているのでしょうか。なる可能性があるのでしょうか。
以前厚労省筋から、またこのブログの読者方々からも、できたばかりのこの資格をきちんと国民に周知してもらい、育てていくのが大切なことであると聞きました。
多くの心理職、ひいては国民も望んでいない上位資格を創設していくのは、ただの我田引水のように感じます。さまざまな団体が公認心理師上位資格を作っていくことには、何ら国民の心の健康の保持増進に役立たず、各団体の自己満足に過ぎないと思っています。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
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