カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: 公認心理師試験

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◯ 公認心理師試験は文系?理系?

公認心理師第1回カリキュラム検討委員会では

(以下引用)
○北村座長 ありがとうございます。心理士というのは文系ですか。
○林構成員 文系です。
○北村座長 精神科医は文系ですか。
○林構成員 理系です。
○北村座長 高校段階で文系と理系にきっぱりと分けてしまうのは、非常に問題かなと。今、先生がおっしゃったように、心理士の人にも医学を勉強してもらおうと思ったときに、往々にして生物学の基本を知らなかったりして、びっくりすることがあります。そんなに文系、理系と早い段階で分けなくても、やっていただいたほうがいいと思うのですけれどね。
 公認心理師の人というのは、ほとんど文系出身ですか。理系というのは、余りいないのですか。そうすると、このインタープロフェッショナル・エデュケーション、多職種連携教育と言うのですが、こういうものも会話が合わなかったりすることがあります。そういうことから、やはり教育してほしいかなという気もします。」

(引用終わり)

※ 北村座長は内科医、林構成員は精神科医です。

という質疑がありました。

考えてみれば統計的手法は完全に数学的分野ですし、高校数学の域を超えた出題もされています。

実験法、研究法についても同様です。

さらに言うならこういった統計的手法を用いた分析を利用して効果的な心理療法を行うわけですから、医学における治療と同様にエビデンス・ベイスドの要素も強いわけです。

また、脳科学領域は医学・生物学的分野です。

神経細胞の生理や視床下部に関する出題が過去にありました。

そしてこれは医学の中でもアメリカ診断基準DSM-5やICD10(11)による精神疾患の分類も精神医学分野となります。

抗精神病薬副作用についても薬学、医学的知識ですし、医療制度論については文系とも言い切れない分野です。

身体疾患はALS (筋萎縮性側索硬化症)や女性更年期障害等についての出題がありました。

こういった出題が心理職にとって適切かどうかということについて、研究活動を行うためには統計法、調査法、実験計画法は必須、不要の知識とは思えません。

ただし心理学や関連諸科学専攻者で受験する人々の中には文系の人が多く、手こずる、というか苦手な人は多いかもしれないと思います。

また医学的な知識や薬理学的副作用の知識についてですが「さっきお医者さんの診察では言えなかったんですけどこの薬(ラモトリギン)を飲んでから身体中に湿疹が出ましてね」と言われたら心理職といえども「えっ、なにそれヤバい」

と思って滅多に出ない副作用でも出たら命にかかわりかねないスティーブン・ジョンソン症候群(重度の皮膚の壊死で致死的になりかねない)かもしれないのですぐに医師に報告しなければならないでしょう。

公認心理師試験は臨床心理士試験に比較して基礎心理学分野、科学的、医学的、生物学的分野が多く出題されていることがよく言われていますし実際そのとおりです。

法律や制度、五領域分野が臨床心理士より詳しく出題されることも事実です。

看護師さんや保健師さんのように理系知識が十分にあると思える人たちがこの試験に苦心して挑戦しているのも知っているのですが、文系領域オンリーでは解けない問題はこれからも出てくるでしょう。

解剖学や精神腫瘍学も出題領域として明記されているこの試験で得点率を上げようとしたらそれなりの理系学習も必須ということになります。

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◯ 公認心理師試験不合格者からの怨嗟の声

なんだか物騒なタイトルだな、と思う方々が多いと思います。

SNSなどで自分の合格点数を記述している人たちがいます。

そこでどういった勉強法で合格できたか、人に対して勉強のやり方を勧めるというのは僕は生産的で見ていて良いなあと思うわけですが、人によってはそれをものすごく嫌う人たちがいます。

不合格だった人たちの中でも「よし、次は頑張ろう」とか「◯点足りなかったからここの分野にもう少し力を入れて勉強しよう」

というのはとても前向きな姿勢だと思います。

その一方で「自分の高得点を自慢しやがって、とんでもない、落ちた人間のことを考えて発言しろ」という人たちもいます。

この試験は特に第2回目、深い専門知識がないと解けない知識問題や事例問題でも知識と経験値とセンスを求められます。

したがってこれまで心理専門職をしていた人でも不合格となる人たちが多々出るほどの高い難易度があります。

第2回試験では合格率46.4パーセント、そして心理専門家でない人たちも多々いるだろうGルートの合格率は41.8パーセントと実に低率で、第2回試験で不合格だった人は9084人、中には試験制度そのものに疑念を持つ人たちもいるかなと思います。

特にGルートの受験者の中には心理専業でない人も多く、基礎心理学の出題が多かったこの試験では相当苦戦しただろうと思います。

いろんな人が指摘しているのですが、大学院新卒に当たるD2ルートの人たちの合格率は58.8パーセントとほぼ臨床心理士と同じぐらいで、この第2回試験は適正レベルだったという説もあります。

僕自身は臨床心理士試験をこの公認心理師法案が通った直後に過去20年分ぐらいやってみて試験に備えようとしましたが、ブループリントを見たら「何これ!違うじゃん」と思いました。

公認心理師試験では意外な不合格者も出て、現場で第一線の臨床心理士として活躍していた人が不合格になっていることも聞いています。

とても業務で多忙、深夜まで残業している心理職の人もたくさんいます。

勉強時間はなかなか取れません。

そんな中で割と簡単に(見える)合格者の人が自分の高得点をSNSなどに書いているわけです。

もちろん実際にはこの試験は無勉強で門外漢が合格できるようなものではなく、合格した人は熱心に参考書を読み、わからない単語は検索したり専門書を当たったり、模試を受けて復習、予備校や通信教育を受けていた人も多いです。

また、公認心理師試験に受かりたいと熱望している非心理職の人も多かったですが、力及ばず数点差で不合格だった人たちも多いでしょう。

僕がこの試験を見ていて思うのは受験までに短時間でも要領よく多くの知識を得て、この試験向けのコツをつかむことが必須だろうということです。

例えばなかなか心理学の教科書には掲載されていませんが、ジストニア、セロトニン症候群、賦活症候群、アカシジア、プロラクチン血症、ジスキネジア、抗コリン作用など薬物による副作用は一度覚えてしまえば忘れることもないですし、事例問題なら3点取れます。

現任者はあと3回のチャンスがあります。

知識を積み上げてぜひチャレンジして欲しいと思います。

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◯ 公認心理師Gルート現任合格者への反発

僕のブログへのコメントを含めていろんなところで公認心理師合格者、非心理職Gルート合格者への反発や危惧を聞くことがあります。

「ペーパーテストに合格しただけで心理専門職としての能力があると認めてもいいのか?」

「そもそも受験資格を甘い基準で合格させてしまって心理職として使い物になるの?」

という厳しい意見、

「臨床心理士は大学院で心理テストを取れるトレーニングを受けているけど公認心理師に非心理職から合格してもテスト取れないでしょ?」

などなどです。

公認心理師合格者で非心理専任職として合格している職種としては小中高教員、精神保健福祉士、社会福祉士、作業療法士、介護福祉士、ケアマネジャー、キャリアコンサルタント、看護師などなど多数の職種の人たちがかなりの努力をして心理の勉強をイチからして合格している人たちがいます。

実際に聞いたことがあって?と思ったのは受付事務員、年数が明らかに足りない現任者です。

そしてこういった人々への反発は主に臨床心理士のように心理専門の心理職の人たちが抱くことが多いでしょう。

勉強オンリーだけで合格した、公認心理師施行令に定める施設勤務者が受かっている、ここに危惧が発生しています。

これをどう解釈するかというと、まず試験機関の日本心理研修センターはこれまで約2万8千人の(第1回、第2回合計)現任者の精査をすることは無理なので、最初から審査をしないことに決めて願書を受け付けています。

そして実際のところ、上記の職種の人々が心理相談業務をしていないかというと、少なくとも週1回定期的継続的に相談業務を行っていればOKという基準からすれば実際その資格がある人たちはとても多いわけです。(受験していない人たちでも)

そして結局どういった現象が起こっているかというと、病院など心理専門トレーニングを受けている人材を求めている職場では臨床心理士及び公認心理師双方資格保持者のみ採用という求人が出ています。

また、上記の心理非専門職種の人々でも心理専業職に職種転換するために元の資格職を捨てて心理職になることがあります。

しかし心理職は職種転換してまでなるのにそれほど魅力的なのか?

という問題があります。

何しろ他職種で築いてきたキャリアを全て捨ててしまうわけですから新卒扱いで給料は大幅にダウンします。

実際そういう人がいて心理職をどうしてもやりたいから、という理由で他職種から臨床心理士に進路転換して年収150万以上減った例があります。

公認心理師試験は特殊なクセがある試験で現役の臨床心理士でも落ちることがあります。

一方で非心理専業者がこの資格を取得することへの反発があるわけです。

資格は取ることに意味があるわけではなく、どうやってそれを生かすかに意味があります。

例えば危険物取扱主任者でも玉掛け、クレーンでも取得してその資格と関係ない仕事をしている人は多いです。

ただしさまざまな資格を持っていると自己啓発意欲が高いと周囲から見られる、非心理職でも転職に有利かもしれません。

特に事前審査はない資格です。

心理職は大学院を出てから自己研鑽を積んで各種技能、技法を身につけている人たちがほとんどです。

もし公認心理師資格取得した他職種の人が心理職のやり方に異議を唱える、心理職としての見立てをする、ということになると確かに反発は出そうです。

現任者ルートは公的に認められているのでそこで公認心理師間で軋轢を生じさせるのは詮無いことのように思えます。

非心理職資格取得者と心理専門職がどのように協働協業していくかが今後の課題となると思います。

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◯ 隠された公認心理師試験科目・研究活動

公認心理師法第2条に規定されている公認心理師業務は

(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析

(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助

(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助

(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

となっています。

臨床心理士資格審査規程」第11条には「臨床心理士に求められる固有な専門業務」と定められている中には臨床心理士の研究活動が含まれています。

公認心理師法上では研究活動はその職務の中に含まれていません。

ところが公認心理師カリキュラム委員会では心理統計、心理学実験法は当然の履修科目として論議し、むしろ公認心理師必修科目の中でも大きな位置付けをされるようになりました。

現任者講習でも心理職に求められる当然の役割としてアメリカの「科学者ー実践家モデル」を強調して教えられます。

公認心理師法に定められていないのにもかかわらず、研究活動は公認心理師に必要な知識として試験科目として出題されるわけです。

公認心理師試験の出題範囲を示してあるブループリントでも心理学研究法は必須です。

心理学における研究(含む統計)出題2パーセント、心理学における実験出題2パーセント、4パーセント総得点230点9.2問は合否を大きく分ける境目となります。

純粋な文系受験者にとっては苦手科目となるであろう統計法・調査法は実際に使ったことがあり、体験していないとわからないものもあるんけです。

学者は研究が仕事ですが、心理職も実践と研究が必要だと公認心理師カリキュラム検討委員会ではとらえられ、試験問題が構成されました。

臨床心理士は修士、博士で論文を書き、就職したあとも学会発表や査読論文で研究デザインを組み統計を使って検定をします。

Gルート受験者中、医学関係者、医師看護師、保健師は統計や患者さんに対する治療計画を立てるのが仕事で、公認心理師試験にも比較的馴染みやすいような気がします。

もちろん教育、福祉系の受験者も研究を日常的に行っている人たちは多いわけです。

一人で研究計画を立てて科学的検証に耐えうる研究を実施できるという能力は、臨床心理士心理職にとっても、そのほかの現任者にとってもこの試験で得点をあげるためには必要な能力です。

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◯ 第2回公認心理師ギリギリ合格者に勉強法のコツを聞く

Y先生(以前話を聞いた、産業、開業領域で141点合格の先生 産業カウンセラー、キャリアコンサルタント2級、キャリアコンサルタント技能士)

僕「今日はお時間あるってことで少しお話聞けたらと思いまして」

Y先生「とにかく時間なかったのよ。受験勉強できたの正味2カ月ぐらいでもう寝ないで集中ね。本業忙しいし」

僕「大変でしたね、先生は産業領域は得意分野だったでしょうけど」

Y先生「いや、それがね、産業は長いから大丈夫だろうと思ってなんにも勉強しなかったの。そしたらほぼ全滅よお」

僕「えっ、そうなの?」

Y先生「だから何にも知らない司法領域の出題とかの方がね、テキスト見てわからないとまた調べたりして結構正解取れたりしてね」

僕「ふうん」

Y先生「あとは模試をちゃんと受けた」

僕「ほう」

Y先生「辰◯の模試を受けてね、それがそのまま役立つってワケじゃなかったけどね」

僕「うん」

Y先生「そこで出てきた用語や単語でわからないところは徹底的に深掘りしてね」

僕「へえ」

Y先生「あと参考書はナツメ社ファイブアカデミーのが良かったわね。字が大きくて読みやすくて難しい内容も良く書いてあってね。」

僕「ふんふん」

Y先生「丸暗記するつもりでふせんだらけにして読んだ」

僕「へえー、今度見せてくださいよ。参考にするから」

Y先生「捨てた」

僕「えっ」

Y先生「わたしミニマリストだし」

僕「ええっと」

Y先生「あとブループリントもわからない単語があるともう徹底してネットで検索してね、こっちも深掘り」

僕「あ、それ僕もやった」

Y先生「あとは勘とセンスを総動員」

僕「確かにねえ」

Y先生「あと調べれば調べるほどなんか見覚えある単語が増えていくでしょ?そうすると迷った時に『こっち?』って勘で選んだ」

僕「そうすればその問題は正答率50パーセントにはなりますよねえ」

Y先生「一問捨てるよりは粘った方が勝ちね」

※ Y先生は僕とは7〜8年の付き合いになります。

穏やかな人なのでクライエントさんから人気があり、僕のところに来るクライエントさんについても相性が僕よりも良さそうな人については僕が積極的にY先生のところに流しています。

Y先生は心理学科卒ではなく、心理学の勉強を系統立ててしたことはないとのことでしたが、組織からも厚い信頼を得ています。

時間がない中で最小限の勉強で合格したY先生はギリギリの点数ですが、それでも合格は合格だなあと感心しています。

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