◯ COVID-19に期待される心理職の役割・学校休校措置・医療体制減弱化・感染症回復へ・支援の現状と課題
臨床心理士も公認心理師も心理職はあらゆる局面で人の不安に今向き合う必要性を感じてこの記事を書いています。以下、まずは知識を得ることが大切と思い、浅学ながら僕が焦点化して考えていることを書いてみます。
1.学校休校による医療体制減弱化
日経メディカルニュースの定期配信を受けているのですが、新型コロナウイルスCOVID-19 CoronaVirus Disease 2019の流行による休校措置は医療体制に危機をもたらすとの記事が掲載されていました。「シリーズ新興感染症 休校要請、6割強の医師が診療への悪影響を危惧しているとのアンケート結果が掲載されています。
考えてみればそれは当然のことで、幼子や小学生を抱えた看護師さんが子どもだけを残して家を空けるわけにも行かず、この記事によると30パーセント看護師さんが出勤不可能となる呼吸器外科もあるということでした。
日本はCOVID-19にメンタルパンデミックを起こしています。初動が遅かったという批判はあるものの、国家・行政は感染症対策はできうる限りのことはしていると思います。
人ごみや密閉空間に相対するのを人々が避けられるようにして休校、そして産官学の医療的措置は実は全て情報公開されているわけではないのですが、相当な対策を国家レベルで行っています。そのうちに情報公開されるかもしれませんし、されないかもしれません。
医療体制は人員が確かに不足するでしょうけれどもその補填計画は進んでいます。
ただ、医療関係者たちは学校の閉鎖措置は良かったと評価をしており、医療従事者も人の親ということでしょう。
2.感染者回復例
COVID-19に罹患したとしても80パーセントは軽症例です。ワクチンが開発されていない、ということであっても水分が不測していれば点滴、隔離、バランスよい食事と休養ということです。2020年3月3日日本の罹患者241人死者6人ということで致死率2.5パーセント弱です。(内閣官房)ちなみに世界中では罹患者89,977人死者31,08人で致死率3.5パーセント弱です。
PCR検査をクルーズ船3,063人に対して行ったところ、陽性者は634人、無症状病原体保有者延べ328人でした。(J-CASTニュース2月25日)
回復例はあると2月24日厚生労働省の基本方針にも述べられています。また、JETROビジネス短信3月3日によれば中国での3月1日の感染者報告は、同日1日で新規感染者202人、回復者2,837人で、同ニュースでは中国におけるCOVID-19感染はピークアウトしたとみなしています。
また、そのニュースによると、中国での3月2日午前0時時点で累計感染者数は8万26人、うち現在の感染者数は3万2,652人、累計回復者数は4万4,462人と内閣官房発表の数字だけ見ると感染者が爆発的に多いように見えますが、実は回復者も多いということです。よって中国では警戒レベル引き下げ(警戒をしないという意味ではないです。)をしました。
今日本では「なぜWHO(世界保健機構)やCDC(アメリカ疾病予防管理センター)でパンデミック(爆発的大流行)レベルを最高度に引き上げないかという世論が大きいのは知っていますが、多分双方ともこういった事情からパンデミック警戒としながらもパンデミック宣言はしていません。
感染症対策は大切だと思います。密閉された空間の中で感染力が高いわけなので今回の出席停止措置や集会等の自粛要請は正しい対策だと思います。
3.不安定な人々の心にどう対処するのか?
日本臨床心理士会、日本公認心理師会がセーブザチルドレンジャパンと急性ストレス障害様症状が子どもに起きた際のパンフレットのようなものを作りましたが、辛口の言い方をすると「もっと早く、そして密度の濃いものを作っておいてもよかったんじゃないの?」と読んでみて思いました。
セーブザチルドレンジャパンは国際的NGOで、2月7日には湖北省に3万6千枚のマスクを送るなどその活動はめざましく、心理団体の呼応に答えただけのような気もします。
国境なき医師団も2月13日発表で物資の寄付や医学的援助活動を行っています。心理団体はお互いに何千万円の寄付をし合って会員から徴収した会費を使うのではなく、社会貢献活動として地域に物資援助をする、あるいは心理的支援の派遣要請を聞いてみるという活動が期待されたのではないでしょうか。
今子どもたちは自宅でゲーム三昧の日々を送っています。臨床心理士は文部科学省認定資格、公認心理師は文部科学省と厚生労働省の共管資格です。
子どもへの学習支援活動をオンラインなどで行うのは本来は文部科学省や各地方教育庁の仕事かもしれませんが、社会的な責任を持つ一般社団法人ですからさまざまな面からの支援活動をする余地はCOVID-19発症からずいぶん経過していたので文書を作りました、やってますよというアピールでなく、もっと実効性がある活動はできたのではないでしょうか。
サイコロジカルファーストエイド専門教育を受けた専門家が電話相談対応をするとか、養成されたSNSカウンセラーが休校になり不安な子どもの相談に乗ったりすることも大切です。休校して給食を食べられなくなった被虐待児や貧困家庭がどうなっているのかも気になります。厚生労働省は感染症対策部局だけでなくさまざまなセクションから人員を集めて対応に当たっています。
心理職は心理が専門だから心理の仕事しかしないということでは自ら地位を貶めるようなものだと思います。大学院卒の教育を受けているのですから、記録を取る、統計的に分析する、関係各所との連絡調整をするなどできることはたくさんあると思うのです。そして実際にやっている人々も多いと思います。心理職が不安定だとその揺らぎはクライエントさんに伝染します。心理職のみなさまにおいても家庭や自分を大切にしながら安定した気持ちで全ての人々への支援を行って欲しいと思う所存です。