ひなたあきらの公認心理師でポン!

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: サイコロジカルファーストエイド

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【コロナウイルスやその他の新興感染症の発生時における患者の心の健康ケア:臨床医向けガイド】

※ 以下新型コロナウイルスCOVID-19に関する多くの情報が多く含まれている記事になります。こういった内容の記載によって精神的にショックを受けそうだと感じた方は読まずにこのページを閉じることをお勧めします。辛い思いや不安を抑え込むことは勇気ではなく、自らを傷つけることにつながります。

先日記事にさせていただいた白川美也子先生が院長を務める「こころとからだ・光の花クリニック」アカウントは国際トラウマティック・ストレス学会に掲載されている【コロナウイルスやその他の新興感染症の発生時における患者の心の健康ケア:臨床医向けガイド】をTwitterで紹介しています。

読ませていただいたところ、心理職にもかなり役立つ内容なので紹介がてら記事にしたいと思います。
以下要約しながら私論を交えて記述します。きちんと読みたい方は上記ツイートリンク先を参照してください。臨床医が行わなければならないのは、米国であれば米国疾病管理予防センター Centers for Disease Control and Prevention (CDC)の情報を確かなものとして信頼すること、正確な情報を入手、患者教育として医療教育、心理教育を行い、誤情報を正すことです。

また、メディアの見聞きについて制限をすることです。

(僕が感じるメディアのあり方は常に煽情的という事です。例えば日本地図を映し出して今まで感染者がいなかった県を1人感染者が出たらその県を赤色で塗り潰す、今まで1人でも感染者が出ていた地域も赤く強調し、人にショックを与える演出をしています。売り切れの空の棚、ひと気がなくなった街を放映することにも悪意すら感じてしまいます。)

ストレス反応から何が起こるか予測、こういった普通時ではないアウトブレイクが起きた時にこういった心配を人と話すのが気分を向上させるという事の大切さも記載されています。医行為として医師が正確な医療情報を伝えた方がいいこともあれば、心理職が行えることもあるのではないかと感じました。

このガイドの監修を行っているのは災害精神医学の専門家で災害救援者メンタルマニュアル発刊に際しても監修を行った重松淳防衛医科大学校教授、翻訳は筑波大学で災害地域精神医学を教えている高橋晶准教授です。

ちなみに原文はCenter for the Study
of Traumatic Stress(CSTS)のものです。PFA、サイコロジカルファーストエイドにかかわった心理職の方なら肌身に感じて知っていると思いますが、あまりにも長時間ストレスを抱えながら患者さんたちの凄まじい体験や不安の物語に暴露されていると<b>自らも精神的に二次受傷することが多々あります。

心理職は医療領域だけでなく、教育、福祉などあらゆる場面で不安をクライエントさんと共有することになります。福祉施設で大量に感染者が発生したニュースがありましたが、対人援助職のみなさんはどのように援助をしながら自らも危険の中に置かれながらどのようにしたらいいのでしょうか?

【コロナウイルスやその他の感染症アウトブレイク中における医療従事者の健康維持】
国際トラウマティックストレス学会のホームページ、日本語版もあるのでご参照ください。

きっとこのCTCSの文献が役立つでしょう。心理職は直接の被災者だけでなく、支援者のPTSDや急性ストレス障害ASD Acute Stress disorderに接することもあります。近年はこうした保安関係者に対するメンタルケアが徐々に整備されてきているとはいえ、十分過ぎるということはありません。

僕ら心理職は治療の最前線現場に出ることはおそらくないわけですが、タイベックスという宇宙服のような防護服を着て治療に当たらなければならない、トイレにも行けない、タイベックスの着用法に少しでもミスがあればウイルスが侵入してくる、そして救援活動を行った後は医療者も隔離される可能性があります。

現在治療に当たっている医療者もそうですが、使命感がある一方で過労に倒れそうになりながらどれほどの恐怖や不安と戦いながら孤立感を味わっているのだろうかと思います。

医療者も人間です。医療者もリラックスして休みを取り、同僚と支え合ってコミュニケーションを取り、可能な限り家族と連絡を取ることが望まれます。これが医療崩壊につながれば医療者もどんどん追い詰められます。だから外出制限が厳しく行われつつあるのです。手洗い励行で医療を守り人命を守るということを一般の方々の義務的な責任となっているということを理解して欲しいと思います。

【コロナウイルスやその他の新たな公衆衛生上の脅威直面時のリーダー用リスクコミュニケーションガイド】は情報の正しい選択の仕方についての知識をコミュニティにおけるリーダーが行うことにとって役立つでしょう。リスクコミュニケーションは通常とは異なる、さまざまなチャンネルを人々に提供していくものだからです。

そして僕がかなりインパクトを受け、心理職の方々に知っておいて欲しいと思ったのは【コロナウイルスやその他の新興感染症発生に対する準備と対応のためのメンタルヘルス・行動マニュアル】です。

1918年のスペイン風邪から始まってSARS、エボラ、ジカウイルスによる教訓を大切にすること。そしてこのパンデミックそのものがPTSD、不安やうつを引き起こす原因となることが示唆されています。

以下私論です。マニュアルの指摘していることは今の日本の現状を示しています。このパンデミックはマニュアルに記載しているとおり、スケープゴートを求めます。日本では厚生労働省や保健所といった行政、そして医療に不満がぶつけられています。最も働いている人々は最も忙しく、そして時間がなくヒューマンリソースは限界に達しています。そして残念ながら本当なのはあまりに人手が足りなくて対応がおざなりになりがちで、COVID-19以外の重症罹患患者たちが危機に晒されているということです。

そして不正確な情報は人々を混乱に陥れます。味覚、嗅覚を感じ辛くなるとコロナの疑いがあるという報道は救急医療機関をパンクさせました。人工呼吸器を量産しろという要求は24時間体制で人工呼吸器や体外肺、エクモ管理をする医療者を膨大な数必要とすることを要求している人々は知りません。

さて、マニュアルに戻ると震災などの被災ではコミュニティの中の被災者同士のコミュニケーション、支援者と被支援者との連携は密になります。しかし感染症はどんどんそれらの関係を疎遠にします。タイベックスを着た異星人の姿をした医療者を見て患者は絶望感を感じるかもしれません。

何もかも隔離するということはメンタルヘルスに悪影響があるとマニュアルは指摘しています。通学や最小限の買い物、礼拝を禁ずると人々は無力感を抱きます。そして指摘のとおり少数者に対する差別、スティグマ、社会的烙印は始まっています。中国人差別は日本に長らく居住している2世、3世には関係がないことです。

悲嘆のプロセスの阻害要因についても指摘がありますが、患者の死に立ち会えない、葬儀には儀式よりも感染症対策が優先されるということは遺族の悲嘆を強めます。

以上です。ここまで調べる機会を与えていただいた、白川美也子先生に感謝いたします。国際トラウマ・ストレス学会ISTSS: International Society for Traumatic Stress StudiesのホームページはCOVID-19のためのあらゆるリソースを提供しています。

アメリカ心理学会American Psychological Association:APA

アメリカ精神医学会 American Psychiatric Association :APA

European Society of Traumatic Stress Studies :ESTSSもCOVID-19がトップの記事になっています。

世界的なメンタルヘルス救援の必要性、こころとからだ・光の花クリニックで行っているような遠隔治療法のようなオンライン支援の必要性は各所で指摘されています。  

マスコミと医療との共同戦線は最も難しいという指摘もあります。そしてマスコミは政府や行政を動かし、現場はとてもその要求に応えることは不可能で、PCR検査を大量に行えば医療はストップします。せめて国民の方が正確な情報を選択できればと思います。

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soraさんの写真のようにみなさんの心に平穏が訪れるよう、祈っています。

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◯ パンデミック宣言WHO・COVID-19新型コロナ最新情報2020.3.13・パニック回避の心理学

1.序

僕は一介の心理職ですが日々新型コロナウィルスCOVID-19条情報を更新することにしています。というのも正に人心とその行動に関連している最大限の関心事はCOVID-19だからです。

これについては多くの人々をパニックにわざと陥れるのではないかという誇張した情報発信をする人たちがいます。アメリカの感染症研究家がアメリカ国内で9600万人が感染、48万人が死亡というシナリオが予想されるというコメントをしていてそれを翻訳してすかさずネットのニュースに流します。

多摩にあるクリニック院長が新型コロナウイルスは変異する、そして一度感染して治った人が変異ウイルスに再感染した場合には死亡率が高くなるという発言をYouTubeで流していました。
これだけの短期間でウイルスに変異株ができるわけがなく、また、ウイルス感染は通常一度感染した人は変異株にかかりにくくなるという常識からも外れています。

実際2009年に流行した新型インフルエンザでもその当時40代ぐらいで子どものころにインフルエンザに罹患したことがある人は、新型インフルエンザのいとこ株ぐらいの感染力だったので感染しにくかったのです。

2.パンデミック宣言

最新の情報では2020.3.11WHO事務局長はパンデミックと宣言しました。(日本経済新聞)

ただし、朝日新聞digitalでは「パンデミックの脅威、現実に」 WHO事務局長が会見という記事を3月10日付けで出していますが、まだパンデミックではないと事務局長が述べていて、さらに「歴史上、管理することができる最初のパンデミックになる」、状況に応じてその感染力を抑制することができるという内容のコメントをしていますし、その基本方針は変わっていません。

要するにパンデミックであろうとなかろうと対策は一緒ということです。この記事では、中韓で感染者数が減り、回復者が増えている、インフルエンザよりも感染力は弱い、など「タイトルと内容が違うんじゃないの?」と思っていました。情勢は日々刻々変わります。何も暗澹たる気持ちに自らなる必要はないのです。

パニック商法は確かに炎上商法と同じで多くの人々の目に触れ、広告収入は上がるかもしれませんが目に触れた広告とパンデミック情報が交錯して、いずれスリーパー効果(印象が薄くてもあとからだんだん思い出す)となった場合には悪印象と結びつくだけではないの?と思ってしまいます。

3.日本の優れた水際作戦

こういう時にあてになるのはやり行政の情報です。厚生労働省が2020.3.9に発表した新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の見解」は、危機的な情報も載せていれば、冷静に情勢分析をしていて、予断を許すわけではないが、感染症対策はしっかりやらなければならないという、大変客観的な記述がなされています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00093.html

国際的に見れば日本は確かに政府の初動は遅れたかもしれませんがウイルス封じ込めや治療は高い評価」を受けています。この「見解」によれば、感染者小集団のクラスターを伝播させない、早期診断と重症者治療医療体制の確立、市民行動の変容の3本柱を戦略としています。

感染者は増加している、これは感染症である以上どこの国でも同じ現象は起こっています。しかし二次感染による新感染者数を計算した実効再生産数(感染力を示す数値)は1平均値です。実効再生産数は感染症学では少し難しい概念なのですが、他の感染症に比べると格段に低い数値で、今後治療や封じ込めが進んで数値1未満になればかなりの確率でこの流行を抑えることができるでしょう。

日本の死亡者数は少ないという指摘もされています。北海道では対人接触を低くする試みをしています。

専門家会議では「今回、国内での流行をいったん抑制できたとしても、しばらくは、いつ再流行してもおかしくない状況が続くと見込まれます。また、世界的な流行が進展していることから、国外から感染が持ち込まれる事例も、今後、繰り返されるものと予想されます。

と危険情報もきちんと書いてあるのですが、日本は一定の水準で現在爆発的な感染は広がっておらず、持ちこたえている状態と評価しています。これは外国からの日本の対策の評価が高いことと一致しています。

北海道隔離施策は3月19日にその結果を公表予定です。実は科学的根拠はないそうですが、密閉空間、多くの人の密集、人と近距離で接しないという方針が出されています。

厚生労働省によればこれまで退院した人の数は427人(クルーズ船含む)です。

それでも人は不安ですので、より悪い情報に飛びつきます。その悪循環スパイラルは買い付け、そしてパニックに陥ってしまいます。

4.心理的支援情報

ここでひとついい情報もあります。確かに遅まきではありますが、日本心理臨床学会ではかなり詳細な新型コロナCOVID-19に対する情報提供やリンク集を掲載しています。
https://www.ajcp.info/heart311/
教員、子ども、保護者向け情報、サイコロジカルファーストエイド、

※ 本記事の内容をそのまま子どもに伝えるのは差し控える方がいいのではないかと思います。

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◯ COVID-19に期待される心理職の役割・学校休校措置・医療体制減弱化・感染症回復へ・支援の現状と課題

臨床心理士も公認心理師も心理職はあらゆる局面で人の不安に今向き合う必要性を感じてこの記事を書いています。以下、まずは知識を得ることが大切と思い、浅学ながら僕が焦点化して考えていることを書いてみます。

1.学校休校による医療体制減弱化

日経メディカルニュースの定期配信を受けているのですが、新型コロナウイルスCOVID-19 CoronaVirus Disease 2019の流行による休校措置は医療体制に危機をもたらすとの記事が掲載されていました。「シリーズ新興感染症 休校要請、6割強の医師が診療への悪影響を危惧しているとのアンケート結果が掲載されています。

考えてみればそれは当然のことで、幼子や小学生を抱えた看護師さんが子どもだけを残して家を空けるわけにも行かず、この記事によると30パーセント看護師さんが出勤不可能となる呼吸器外科もあるということでした。

日本はCOVID-19にメンタルパンデミックを起こしています。初動が遅かったという批判はあるものの、国家・行政は感染症対策はできうる限りのことはしていると思います。

人ごみや密閉空間に相対するのを人々が避けられるようにして休校、そして産官学の医療的措置は実は全て情報公開されているわけではないのですが、相当な対策を国家レベルで行っています。そのうちに情報公開されるかもしれませんし、されないかもしれません。

医療体制は人員が確かに不足するでしょうけれどもその補填計画は進んでいます。

ただ、医療関係者たちは学校の閉鎖措置は良かったと評価をしており、医療従事者も人の親ということでしょう。

2.感染者回復例

COVID-19に罹患したとしても80パーセントは軽症例です。ワクチンが開発されていない、ということであっても水分が不測していれば点滴、隔離、バランスよい食事と休養ということです。2020年3月3日日本の罹患者241人死者6人ということで致死率2.5パーセント弱です。(内閣官房)ちなみに世界中では罹患者89,977人死者31,08人で致死率3.5パーセント弱です。

PCR検査をクルーズ船3,063人に対して行ったところ、陽性者は634人、無症状病原体保有者延べ328人でした。(J-CASTニュース2月25日)

回復例はあると2月24日厚生労働省の基本方針にも述べられています。また、JETROビジネス短信3月3日によれば中国での3月1日の感染者報告は、同日1日で新規感染者202人、回復者2,837人で、同ニュースでは中国におけるCOVID-19感染はピークアウトしたとみなしています。

また、そのニュースによると、中国での3月2日午前0時時点で累計感染者数は8万26人、うち現在の感染者数は3万2,652人、累計回復者数は4万4,462人と内閣官房発表の数字だけ見ると感染者が爆発的に多いように見えますが、実は回復者も多いということです。よって中国では警戒レベル引き下げ(警戒をしないという意味ではないです。)をしました。

今日本では「なぜWHO(世界保健機構)やCDC(アメリカ疾病予防管理センター)でパンデミック(爆発的大流行)レベルを最高度に引き上げないかという世論が大きいのは知っていますが、多分双方ともこういった事情からパンデミック警戒としながらもパンデミック宣言はしていません。

感染症対策は大切だと思います。密閉された空間の中で感染力が高いわけなので今回の出席停止措置や集会等の自粛要請は正しい対策だと思います。

3.不安定な人々の心にどう対処するのか?

日本臨床心理士会、日本公認心理師会がセーブザチルドレンジャパンと急性ストレス障害様症状が子どもに起きた際のパンフレットのようなものを作りましたが、辛口の言い方をすると「もっと早く、そして密度の濃いものを作っておいてもよかったんじゃないの?」と読んでみて思いました。

セーブザチルドレンジャパンは国際的NGOで、2月7日には湖北省に3万6千枚のマスクを送るなどその活動はめざましく、心理団体の呼応に答えただけのような気もします。

国境なき医師団も2月13日発表で物資の寄付や医学的援助活動を行っています。心理団体はお互いに何千万円の寄付をし合って会員から徴収した会費を使うのではなく、社会貢献活動として地域に物資援助をする、あるいは心理的支援の派遣要請を聞いてみるという活動が期待されたのではないでしょうか。

今子どもたちは自宅でゲーム三昧の日々を送っています。臨床心理士は文部科学省認定資格、公認心理師は文部科学省と厚生労働省の共管資格です。
子どもへの学習支援活動をオンラインなどで行うのは本来は文部科学省や各地方教育庁の仕事かもしれませんが、社会的な責任を持つ一般社団法人ですからさまざまな面からの支援活動をする余地はCOVID-19発症からずいぶん経過していたので文書を作りました、やってますよというアピールでなく、もっと実効性がある活動はできたのではないでしょうか。

サイコロジカルファーストエイド専門教育を受けた専門家が電話相談対応をするとか、養成されたSNSカウンセラーが休校になり不安な子どもの相談に乗ったりすることも大切です。休校して給食を食べられなくなった被虐待児や貧困家庭がどうなっているのかも気になります。厚生労働省は感染症対策部局だけでなくさまざまなセクションから人員を集めて対応に当たっています。

心理職は心理が専門だから心理の仕事しかしないということでは自ら地位を貶めるようなものだと思います。大学院卒の教育を受けているのですから、記録を取る、統計的に分析する、関係各所との連絡調整をするなどできることはたくさんあると思うのです。そして実際にやっている人々も多いと思います。心理職が不安定だとその揺らぎはクライエントさんに伝染します。心理職のみなさまにおいても家庭や自分を大切にしながら安定した気持ちで全ての人々への支援を行って欲しいと思う所存です。

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◯ コロナウイルス流行に期待される公認心理師・臨床心理士の役割

結論:心理職ができることは数多くある。ただし派遣要員は公認心理師に限られる可能性が高い。

1.危機への対応

総合病院でも小さな診療所でも病床があればコロナウイルス患者の受け入れが始まっています。ちなみにはみなさんの不安を煽る意図的でこの記事を書いているのではありません。

こういった危機場面というのはまさにサイコロジカルファーストエイド、Psychological First Aid ; PFAで心理職の活躍が期待されるのではないかと思われるからです。

過去感染症についてはHIV研究でも多くの臨床心理研究者が成果を上げています。例えば新潟大学医歯学部病院は関東甲信越のHIV対策最先端拠点病院です。こういった拠点病院は全国にあります。

感染症と臨床心理学については先達の方々が多くの研究結果を著していて、その成果に学ぶことも多いでしょう。こういった場合に精神保健介入を迅速に行うのがDPAT
災害派遣精神医療チーム

(Disaster Psychiatric Assistance Team ; DPAT)

で、そのホームページにはすでにコロナウイルスへの対応がアップされています。新型コロナウイルスへの医療的介入における臨時の診療報酬が請求できることほか、自治体担当者向けの情報提供を行っていて、対応は迅速です。

さて、DPAT先遣派遣隊のチームは精神科医、看護師、事務スタッフの3者で構成されています。臨床心理技術者として過去臨床心理士がチームに参加したこともありますが、ごく少数のケースでした。

臨床心理士よりは精神保健福祉士の方がこういった場合には役立ちます。先遣派遣隊の一員としてケースワーク的な調整業務ができるからです。臨床心理技術者が派遣される場合には国家資格保持の公認心理師が優先されるのは信頼性担保になるでしょう。

さてそれではこうした感染症が起きた場合、心理職としてはどのように対応したらいいでしょうか?

2.事務スタッフとしての役割

インフルエンザ、ノロウイルスなど大量発生した場合には施設で働く心理職は帰宅できない場合があります。緊急の患者さんを除いてはカウンセリングを停止、保健所だけでなく発生源となった学校や企業体、そして企業内部や福祉で働く心理職は多忙です。

医療、他組織内で起こった食中毒の場合には警察から過失の可能性はないか、院内でも他組織でも対応します。

また、保健所への連絡調整、保健所担当者は検体を集め、分析、原因します。その結果をさらに分析します。

時事刻々と患者数は増え、スタッフは泊まり込み関係機関連絡、報道対応もしなければならないこともあります。

クロノロジーという経過記録をきちんと残して書いておく役割、感染症患者数の集計、一人一人の所在確認。ベースラインの糖尿等の基礎疾患があればその患者さんをピックアップしておきます。

後から訂正できるので、まず第一報を流します。本来ならその心理職が所属している上長の役目です。情報がないことが最も不安を煽ります。今回のコロナウイルスも情報不足が混乱の元になっています。

公認心理師試験なら、情報を公開するよう、アドバイスする、が正解ですが自らその役割を取ることもあります。

3.知っている情報を伝え、つなげる。

多くの人々が今回、日本人患者も大量発生したことで怯えています。人々が多く集まる場所でさまざまなイベントが中止されました。この疾患の恐怖がクローズアップされています。

コロナは死亡率2パーセントです。鳥インフルエンザ63パーセント、エボラ出血熱50パーセント、SARS(重症急性呼吸器症候群)9パーセントに比べると低い数値です。SARSは治療法確立の前に収束しました。

朝日新聞デジタルによると感染者は国内で2月18日現在615人です。37.5℃以上の熱が4日間続く、息苦しい、だるい症状が続くなどの場合には受診が勧められています。そのための相談ダイヤルは厚生労働省や地域の各保健所にも設けられています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html

心理職は患者さんが不安がっていたら感染予防に関する情報は伝えてもいいでしょう。不正確な知識を伝達するわけにはいきません。

4.感染対策を自らも取り、患者さんを安心させる。

心理師も患者さんの被服や皮膚に触れる場合は考えられるわけです。傷がなくてもお互いに不安を覚えるので、アルコールでの手指消毒は徹底しましょう。またそれも伝えます。

医療機関における予防としてマスクは必須です。従前、マスクをしての心理面接は表情がわからない。

また患者さんに対して拒否的に取られかねないと消極的な心理職もいました。マスクをせずに面接時、くしゃみや咳をしたら患者さんはどう感じるか医療関係者としては考えるべきです。

医療機関における清潔さの概念は通常より慎重な注意が必要です。医師、看護師は時計、指輪を外しています。長い髪の女性は束ねることも大切です。

そして心理職も十分に休息と栄養を摂り、明るく振る舞い患者さんの安心感につなげたいものです。

5.スティグマ(社会的烙印、偏見)への対応

今回の事態で箱根の旅館が「中国人お断り」の看板を出して大顰蹙を買ったという事案がありました。心理職はダイバーシティの概念から、常にマイノリティの味方であるべきです。

マイノリティの人たちのアボドカシー(権利擁護のための運動)に影響することも十分に考えられます。心理的な支援だけでなく、あらゆる意味でクライエントさんを支援することが大切だと思います。

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◯ サイコロジカルファーストエイド
Pshycological First Aid

ツイッターの某心理職のツイート

「サイコロジカルファーストエイド、私の心がクライシス」

http://www.j-hits.org/psychological/pdf/pfa_text.pdf#zoom=100

サイコロジカルファーストエイド
実施の手引き 第2版から

National Child Traumatic Stress Network

日本語版作成:兵庫県こころのケアセンター

本手引きによる定義: サイコロジカル・ファーストエイド(Psychological First Aid;PFA)は、災害やテロの直後に子ども、思春期の人、 大人、家族に対して行うことのできる効果の知られた 1 心理的支援の方法を、必要な部分だけ取り出して使えるように構成したものです。
(以上手引きから引用)

※ 3.11の未曾有の大災害をへてPFA教育、PFAの考え方は対人援助職の人々にも浸透してきましたが、PFAが困難な作業で、心理の専門家が現場に入ることが侵襲的になってしまう可能性もあります。

僕も某所でPFA教育を受けてきたのですが、その介入のタイミング、ターゲット、留意点は相当な困難を伴います。

まずPFAを行うタイミングについてです。

1.時期

報道等で大災害(戦乱かもしれません)。情報が正確に入って来ていないかもしれません。

ここでDPATのような公的機関の出動に合流していないのに自ら現地入りしてはいけません。

(DPATは精神医療ですが、それに先立って身体医療救援チームDMATがまず組織されます。)

災害派遣精神医療チーム
Disaster Psychiatric Assistance Team(DPAT)

は確かに臨床心理技術者を同行して災害現場に向かうことがあるのですが、ごく少人数の派遣ですし、

チームの陣容が
https://www.dpat.jp/images/dpat_documents/2.pdf

災害派遣精神医療チーム(DPAT)活動要領(厚生労働省策定)

にあるとおり、

「1.2 都道府県等 DPAT における各班の構成」


「 以下の職種を含めた数名(車での移動を考慮した機動性の確保できる人数を検討)で構成すること。

・精神科医師※
・看護師 ・業務調整員(ロジスティクス):連絡調整、運転等の後方支援全般を行う者

※先遣隊を構成する医師は精神保健指定医でなければならない。先遣隊以外の班を構成する医師は精神保健指定医であることが望ましい。

被災地のニーズに合わせて、児童精神科医、薬剤師、保健師、精神保健福祉士や臨床心理技術者等を含めて適宜構成すること。」

(引用終わり)

となっており、全ての被災地で臨床心理技術者は求められていません。

発災後、まずは医学的な救命措置、それから安全な救護所、食料資源確保、トイレの整備、紙おむつ、生理用品の準備など膨大な物的資源のニーズに現場は応えなければなりません。

少なくとも心理学的にきちんと倫理規定、要領のしっかりとした団体が支援を呼びかけるまで、心理職がボランティアでも現場入りをすると自らが救援を必要とする対象になりかねません。

3.11ではまず地元の保健師が人心の安定に大きく寄与しました。

地元のことをよく知り、顔を知っている人の心身両面にわたる援助をすることは机上の心理技術より心強いでしょう。

2.対象

被災のような特殊な状況では弱者、被災で弱者に追い込まれた人々が特に重点的な心理的援助の対象になります。

・子ども
・障害を持つ子ども
・発災で親を失い、事態を理解していない子ども
・老人
・障害のある老人
・身体障害者
・精神障害者
・傷害を負った人
・トラウマティックな風景に出くわした人
・家族、家屋を失った人
・マイノリティ
・何をしたらいいのかわからず困っている人
・アルコール、薬物依存者

(継時的概念から)

・ハネムーン期を過ぎて空虚感を味わっている人(この災害をこの国も自分も乗り越えられる、と援助者が多い時期には思っていたのが、援助者も少なくなり、撤退すると「この事態は良くなる」と思っていたのが、精神的に孤立感を感じるようになる)。

・救援活動を行う災害派遣チーム(警察、消防、自衛隊、海保などへの心理的支援も必要です。ただし彼らは自前で救援者のためのメンタルケアチームを同行していることが多いです)

ちなみにDPATの活動履歴はこれまで熊本震災、御嶽山噴火、東北水害など多岐にわたっています。

3.活動内容とその留意点

・被災した人に被災体験の詳細を微に入り細に入り聞きたださない→二次的トラウマを負わせることになる。

・生活上の不便(医療、食料は整っているか、「被災者が今一番困っていることは何か?」のニーズを聞き出す。

・心理至上主義に陥らない。
大切なのは心理支援よりもライフライン整備であることがほとんど。

・全ての人がトラウマティックな体験をしていると決めつけて話をしない。

(被災者の中でも義務感を持って他の被災者の援助をしている人もいれば、トラウマティックな体験をしてもダメージが僅少な人もいます。トラウマを負っているだろうと決め付けるのはスティグマを負わせることになります。)

・ストレス反応を全て「症状」「疾患」「病気」と呼ぶこともスティグマになります。

以下サイコロジカル・ファーストエイドの 8 つの活動内容(前掲 サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き第2版からの引用)

1. 被災者に近づき、活動を始める Contact and Engagement 目的:被災者の求めに応じる。あるいは、被災者に負担をかけない共感的な態度でこちらから手をさしのべる

2. 安全と安心感 Safety and Comfort 目的:当面の安全を確かなものにし、被災者が心身を休められるようにする

3. 安定化 Stabilization 目的:圧倒されている被災者の混乱を鎮め、見通しがもてるようにする

4. 情報を集める―いま必要なこと、困っていること Information Gathering: Current Needs and Concerns 目的:周辺情報を集め、被災者がいま必要としていること、困っていることを把握する。そのうえで、その人に合った、PFAを組み立てる。

5. 現実的な問題の解決を助ける Practical Assistance 目的:いま必要としていること、困っていることに取り組むために、被災者を現実的に支援する

6. 周囲の人々との関わりを促進する Connection with Social Supports 目的:家族・友人など身近にいて支えてくれる人や、地域の援助機関との関わりを促進し、その関係が長続きするよう援助する

7. 対処に役立つ情報 Information on Coping 目的:苦痛をやわらげ、適応的な機能を高めるために、ストレス反応と対処の方法について知ってもらう

8. 紹介と引き継ぎ Linkage with Collaborative Services 目的:被災者がいま必要としている、あるいは将来必要となるサービスを紹介し、引き継ぎを行なう

(引用終わり)

※ PFAチームの中で心理職が何をするか、ですが、ASD、 PTSDの違いなど心理教育も有効と思われます。

深呼吸をする、現実感を取り戻す働きも有効です。

成人も子どもも精神障害のあるなしにかかわらず怒りとイライラの感情を誰かにぶつけたい、それが心理職かもしれないということを理解しておく必要があります。

3.11の時のように子どもは津波ごっこなどトラウマティックプレイをするようにトラウマや悪夢を語り続けることがありますが、それが悪影響を与えることもあります。

PFAはあくまでもファーストエイドです。

今後どのような支援を受けることが可能か、心理的支援に限らずあらゆる支援内容を保証して欲しいと思っています。

適切に引き継ぎを行うことが良いPFA活動です。

ここで真剣にカウンセリングをして子どもを依存させて別れ際に子どもが泣き出すような心理支援はマイナスになります。

支援者もまた自らの心身の安定化を大切にしながらPFA活動を行うことが大切です。

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