ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: 依存症

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(一面の芝桜)

◯ ぱちんこ店に公認心理師が配属される時

ギャンブル等依存症対策推進基本計画2019.4.19が本格的に施行される決定が出ました。(pdf資料)

パブリックコメント(政府案に対する意見聴取)(pdf資料)と修正意見を読んで、かなり興味をひかれたので今日はそれについて書きます。

中でも「なるほど」と思ったのは「いっそのことぱちんこ店に依存症対策者を常駐させたらどう?」という意見でした。

確かに、事件は現場で起きているのですし、「ひなたパーラー依存症対策専門官 公認心理師室長」がいてもいいではないですか。

そもそもこの計画の設置部員は
(設置根拠)

一 国家公安委員会委員長
二 内閣府設置法
(平成十一年法律第八十九号)第十
一条の特命担当大臣
三 内閣府設置法第十一条の二の特命
担当大臣
四 総務大臣
五 法務大臣
六 文部科学大臣
七 厚生労働大臣
八 農林水産大臣
九 経済産業大臣
十 国土交通大臣

とそれにまつわる行政担当者の面々で、もうこうなると日本国家がオールスター総出演、肝入りで対策本部を作っているわけです。

金融庁がギャンブル依存症患者には銀行は金を貸すなというガイドラインがあることを僕も記事にしましたが、消費者金融の無人対応機もあるのでテキトーっぽい。

なぜ政府がこの時期にいきなりこういった計画を推進するかというと、巷の噂ではどうもIR実施法(公営カジノ法)が2018年4月18日に成立し、内外から莫大なお金を吸い上げるのに、「ほら、政府はこんなに依存症対策もしてるじゃん、だから公営カジノも安全なんだよね

という実に頭が痛い意図が透けて見えるわけです。

そうすると僕はやっぱり
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(総製作時間10秒)

と思うわけですが、国家予算が枯渇している中で外国人をカジノに誘致できる大型施設は政府にとってはかなり魅力的ですし、日本人も多く利用することになるでしょう。

「健全で/家族連れで楽しめて /上限が来たらやめて/賭け金額をあらかじめ決めておいて/負けても取り戻そうとしないで/最新鋭の射幸心を煽る楽しげな機器に別れをさっと告げ/気持ちのいいゴージャスな空間から抜けられる」

そういったギャンブラーが日本人外国人問わずたくさんたくさん公営カジノ(たぶん2022年以降開始)に来て欲しいわけです。

心理職としての良心から言わせていただきますが、人を依存状態にさせて依存症被害者を出すことは簡単です。

さて、多くの小児性愛加害者は加害者一人当たり数百人以上の被害者を出しています。

なぜなら彼らにとっては日常的な行動の一環で、相手は子どもならだれでもいいからです。

ところが一回の被害を受けた被害者のケアのためにどのぐらいの医療機関関係者がどれほどの努力をして回復させるか、場合によれば数十年がかりです。

行動依存加害者のせいで医療を受けないで自ら命を絶つ人も多いのです。

国家がわざわざ依存症を敷衍していく、犠牲者を多く出す、そのエクスキューズ(言い訳)のためにこの施策を行っているように感じられてなりません。

パブリックコメントの中にギャンブルを廃止しろ、という意見は多々あったと思いますが掲載はされていません。

医療、医師も含めて公認心理師も関係医療従事者も確かにコマの一つでしかありません。

医師をはじめとした医療者も心理職も与えられた環境の中で必死にやります。

GAギャンブル・アノニマス(自助グループ)の参加への情報提供もします。

カウンセリングも必死にやりますが、やはり生きることをやめてしまう人も多い、心理職にとっては依存に対するたたかいは大きな課題です。

なお、このパブリックコメントの中には明らかに心理職団体の意見として、臨床心理士を含む心理職を医療で活用して保険点数化すること、矯正施設、教育場面でも活用することというものがありました。

僕としては作業療法士がこのギャンブル依存症にパブリックコメントを経て関与させることができるようになったのは大きな収穫だと思いました。

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◯ 首相官邸が公認心理師をギャンブル依存症防止対策施策に活用決定

政府は4月19日に第2回ギャンブル等依存症対策推進本部会を開催し、喫緊の課題としてギャンブル等依存症対策推進基本計画案を了承し、同計画を閣議決定しました。(pdf資料)
ギャンブル等依存症対策推進基本計画には、医学部における教育の充実、保健師、助産師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉らを養成していく、この専門職集団の中に公認心理師も併記されていたのをご存知だったでしょうか。
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p103には
「3 保健師、助産師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師及び作業 療法士の養成 【厚生労働省】」

が表題に明記されていて、

本文には

「公認心理師については、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、心理に関する支援を要する者やその関係者に対し、指導や援助を行っている。ギャンブル等依存症からの回復支援には、心理的な側面からのアプローチを可能とする専門職を養成する必要があるため、公認心理師試験出題基準において、「依存症(薬物、アルコール、ギャンブル等)」の項目等を盛り込んでいる。」

とも記されています。

閣議決定されたことで、公認心理師もギャンブル依存症対策に駆り出されることが正式に決まったというところでしょう。

この項に臨床心理士、臨床心理技術者といった文言は一切ありません。

(p109には「○ 矯正研修所(支所を含む。)において、平成33年度までに、集合研修で医師 や心理療法士等の知見を踏まえた研修(スーパービジョン)を開始。」と法務省のかかわりが明記されていますが。)

ちなみに案の段階での概要はこんな感じです。(配布資料1)
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予防プログラムの策定、啓発活動における講演、ギャンブル依存症の研究、またそれに付随する児童虐待への対応や研究などが記載されていて、この辺りは確かに心理師の職務領域と言えそうです。

公営ギャンブルに対するカウンセリング、e-カウンセリングを可能にする、精神科医の関与、回復プログラムの実施など一大国家事業です。

さて、ここでみなさまが思っているだろうことですが、東大法学部卒業者が高給を求めて就職するJRA、中央競馬会は年収平均1千万とも言われています。

また、子どもを蒸し焼きにすることで有名な「ぱちんこ」屋さんはクルマのガラス窓を叩き割ったり託児所を作ったりとイメージを良くすることに心を砕いています。

「ぱちんこ」ひらがなにするとすこしかわいいのでしょうか?

「あいてぃー」確かに少しゆるい印象ですが別に中身が簡単になったわけではありません。これでいいのか?

そして今度は公営カジノ構想です。

「街を全裸の女性がたくさん歩くので行政や医療、心理福祉職は悪いことが起こらないように未然に防ぐこと」と言われているような気持になります。

まず入り口段階から何とかしろと思う人々は多いでしょう。

しかし難しいのは利権が絡むことだけでなく、公的なものを禁止すると非合法的に地下に潜り込むというアメリカ禁酒法時代からの伝統があります。

日本でも大人の事情だけでなく、抑圧すると沈潜化してもっと状況が悪くなることもあると思います。

戻ります。

「僕らはキレイに遊べる大人のたしなみを提供するから、ちょっと(できればたくさん)お金を落として行ってね、ハマるような面白さを追求するけどね」「でも社会問題化したら僕らが悪口言われたらヤダ」

という限りなく恐ろしいダブルバインドかつ間歇強化で「たまに出るから面白い」という、ラットでも証明されている無茶なことをなぜ人体実験をし続けるのかと思うのです。

僕も何人ものギャンブル依存症の人と面接して「新車が買えたほど損した」「新築一戸建てが買えた」と聞いたことがあります。

こういう人たちは平日の仕事はまじめにやっています。

でもなぜ土日の一番クギの締まりがキツイ店で遊ぶ?と普通に聞いちゃっています。

僕はギャンブルはやらないのですが、依存症の人たちは本当は自助グループに行って欲しい、でもなかなか時間が取れない、日常生活では家族や職場から責めに責められてしかも自分をクズだと認識していてもう死にたいと思っています。

だからカウンセラーがここで責めたら逆効果ですが、事実確認もします。

パチで勝とうとしたら平日開店ダッシュで出玉が出る台狙って走っていかないと。

そして1日12時間打って月収30万円行けばすごくラッキーなんだよ。

で、いくら借金したの?

結構お互いにキツイカウンセリングになります。

借金の額でいちばん多い答えは「わからない」です。

借金100万はある、でも考えてみれば数十万かも、え、でもなんだか請求が来ている、開けてない封筒がたくさん、そう言えば電話はコワイから片っ端から切ってる、特別送達とか恐ろしい郵便が来たら困る。

やっぱりもうわけがわからなくなっています。

20代で今の金融情勢では500〜600万円は借りられますのでだいたいそこまで借りている人がほとんどかもしれません。

上場企業社員や公務員は消費者金融もクレカ会社も枠いっぱいまで貸してくれます。

さてそこで僕のところに来るまでに追い詰められている人は「もう死ぬしかない」と精神的に追い詰められています。

「え、死ぬ理由はないですよー。」

特定調停、債務整理、その先の自己破産をしたとしても公務員だろうが失職する理由にはならないのです。

もちろん僕は法律の専門家ではないので関係機関を紹介したのちにまたカウンセリングをします。

僕はギャンブル依存症専門病院にはいないのでできるだけ多く、専門病院や自助グループなどの社会資源を提供します。

「また僕のところに相談したかったらそれでもいいけど、ここの病院は君のことをまるごと面倒見てくれるならね」

と「えいやっ!」と押し出すとそっちの自助グループやプログラムに適応してくれるのでほっとしています。

(リファー先でのフォローも心配なので地元精神保健福祉医療機関とも連携を取ります。会社がかかわっていたら企業から連絡がきます。(いずれにせよ本人の了解を取ります。))

ギャンブル等依存症対策基本法も制定され、あとは入れ物の問題です。

公営カジノはマイナンバー管理にして時間と回数で入場制限をするとか、政策はタバコで言うなら「1日7本だけね?」という中途半端な制限なのです。

政府には申し訳ないのですが、依存症に関しては戦っている患者さんのためにはオールオアナッシングで、全てを失いたくないのならば全てを捨ててくださいとしか言いようがありません。

ギャンブルとうまく付き合ってほどほどに楽しむということは依存症の人には絶対にできないのですから。

付記:このころとは考えが違っています。依存性患者はslipすることを前提として考えていかないとならないものだと思っています。と思いながら上の文章をあえて残しておきます。


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ギャンブル依存症・金融庁マニュアルに公認心理師がかかわる可能性は?

公認心理師の活躍の場は医療、教育、福祉、産業、司法の5領域と大別されていますが金融領域にもかかわる可能性はあるのでしょうか。

この度金融庁から2019.3.30に発表された「ギャンブル等依存症に関連すると考えられる多重債務問題に係る相談への対応に際してのマニュアルについて」がネットニュースで「やり過ぎ」「踏み込み過ぎ」との批判が出ています。

このマニュアルはかなり細かなものです。

お金を借りに来た人がいる。

どうもなんだかこの人はギャンブル依存症のようだ。

どうにかこの人を治療させよう。

→精神保健相談機関へGO!

という流れのマニュアルです。

なかなかこのマニュアルはダイナミックなもので、まず事前に地元保健所、精神保健福祉センターからギャンブル依存自助グループの情報提供をしてもらい、そのグループに通っているメンバーが借金しに来た時に介入しよう、というものです。

自助グループの匿名性はどうなってしまうのだろう、精神保健福祉機関と民間の銀行が情報共有してもいいの?

というところがまず疑問点です。

そして網を張って待っていた相談者が来訪します。

そうするとギャンブルへの依存程度、していない時のイライラ、やめようと思ってもやめられない、コントロールを失った状態にあるか、そのことによって社会的にまずい状態に陥ったことがあるかなど、DSM-5を参照した質問をするように勧奨しています。

銀行は融資の可否を判断する仕事で、担保があるか、金を貸しても貸し倒れがないか審査をする機関です。

そう考えると実はぶっちゃけ、銀行としてはギャンブル依存症で借金癖がある人が資産家の父親を連帯保証人にしてお金を借りてくれたら、1億でも2億でも貸してしまえばいいわけです。

そこで資産価値がある土地を抵当物件にして差し押さえができたら銀行にとってはとてもオイシイいい融資でしょう。

金融庁が厚生労働省と協働してギャンブル依存を食い止めるという理念は理解できます。

でもお金を借りに来た人がいきなりインテークで初回カウンセリングを心理的に踏み込まれちゃってもいいのかな?と思うわけです。

依存症の人が依存行為をすると脳内にドーパミンが放出されて中枢神経が興奮するという依存症のメカニズムまで説明されています。

そして依存症チェックリストまで掲載されていて、点数評価もできるようになっています。

非専門家がアセスメント、査定をするという、いろいろと問題を感じるマニュアルです。

1.銀行の役割

銀行は融資を実行した際に確実に回収できるかどうかを見極める機関です。

さっき述べたとおり、先祖代々受け継がれていても駅前の一等地がギャンブラーのドラ息子のために差し押さえられたら、とても銀行には大きな利益がもたらされます。

そこで「ちょっと待ってください、あなた、ギャンブル依存症ではないですか?このチェックリストの当てはまる項目にマルをつけてください」

「少し話を聞かせてください。どんな時にギャンブルをしたくなりますか?」

というような展開があり得るのでしょうか?

「お前、金借りに来たんだから親父を保証人にするって言ってるだろ!」と言い返されてしまうのではないでしょうか。

2.依存症の人の嘘

依存症の人は内心とても苦しくてもゆったりとした表情で嘘をつける人が多いです。

漠然と事業を始めたいと言い、銀行員に事業計画書を出してくれと言われたら出すかもしれません。

なんらかの見積書も手に入れることは可能です。

その他いろいろ手口はありますがあえて書かないことにします。

アルコール依存病棟でも共有冷蔵庫の牛乳パックにストローを差しておいて、中身は日本酒、という事が昔はよくありました。

依存とは嘘と隠蔽のともなう本人にはどうにもコントロールできない病気であることが多いのです。

3.そもそも金融機関は心理相談機関ではない。

優しくて相談者に言い聞かせて、地元の名士の連帯保証人の父親とよく話もして息子さんのギャンブルをやめさせようとする、地域に根ざした素晴らしい銀行員はいると思います。

このマニュアルだと融資窓口の銀行員全員が有能な心理カウンセラーでなければなりません。

本職の心理カウンセラーでも依存症治療への動機付けは大変難しいものです。

うーん、ならばいっそのこと資格を沢山取らせる銀行に公認心理師を採用してギャンブル依存症対応者にしてしまえばいいと思います。

ギャンブル依存症者への紹介窓口もこのマニュアルにはたくさん掲載されていますが、立ち直ろうとしている人は借金に来ません。

◯ まあ理念はわかります。

ギャンブル依存症の治療は大切です。

ただしなんでもかんでもプライバシーに踏み込むのは筋違いだと思います。

まず国家政策として公営競技で税金を潤わせて破産者を増やしている現状はどうなのよ?

と思います。

某公営競技運営職員は給料の良さと仕事の気楽さにひかれてものすごい志願者倍率でほぼ東大卒しか採用されないとか。

僕が患者さんとして会うのはパチンコやパチスロの人も多いのですが、そのあたりはもっと行政で考えて欲しいかなと。

国家経済の未来を考えると破産者を続出させるよりも特に若年者層の労働意欲を高めて士気を高めることの方がいいと思います。

そのために消費者金融も含めて自動無人機でお金を借りられるとかそのあたりをなんとかするべきでは?と思います。

こういったマニュアルを出してなんとかしたいのならばぜひ金融機関で公認心理師を採用してみてください。

借金の肩代わりする家族を銀行が制止しようかと踏み込んでいけばいくほど銀行は儲からなくなってしまいます。

しっかりした担保があっても本人のことを考えて融資をしないのがいい銀行員と思えるような体制を作れたらマニュアルは生きますが、可能ですかね?
と金融庁にも現場の銀行員にも聞きたいところです。

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公認心理師は依存症の結果にコミット

依存症の精神療法は難しくてそう簡単にかかわれない、という感想や印象を持つ心理の人は多いと思い書いてみます。

日経メディカルのメルマガで東京医療センター尾藤誠司医師がコラムを医師の立場から書いていました。

尾藤医師は依存は分散されていれば健康に近づくという説を紹介したり、ワーカホリックや世論の中の「正義」を声高に叫ぶ人を正義依存症と呼んだり、興味深い記事でした。

対象にコミットし続けることが社会的に有益だとみなされる構造そのものの問題性についても言及していました。

あちこちで依存症について書かれる、ご存知のようにWHOではゲーム依存gaming disorderをICD-11で正式に疾患単位として採用、依存症は今精神療法の対象として熱い注目を浴びていて、はっきりと公認心理師への期待が語られています。

そこで公認心理師の依存症への役割を再考してみたいのですが、アディクション、依存専門の松本俊彦医師の「依存症は心理にはオイシイぞ」というような内容のコラムも以前に本ブログ中で取り上げてみました。

経営学用語では「責任を取って努力をして成果を出すことを約束する」ということを「コミットする」commitmentと言います。

難治性疾患である依存症にこれを求められると医療者や心理職は相当なプレッシャーになるわけです。

さあ全力で治療しますとフルコミットで責任を取る約束をしたらかなりの重圧でしょう。

精神医学の世界では薬理学がなんとかできる疾患は町のクリニックでも割とコミットしやすいのですが、依存症には特効薬は何もありません。

物質依存でも行動嗜癖でもそうです。

強迫行動(これはSSRIが奏功がある場合があると言われていますが)、摂食障害、自傷のような一種の行動依存や対人依存、関係依存になるともうどうしようもない。

依存という厳密な用語の定義に収まるかどうか、その行動や嗜好が多種多様に分散されて、その人がしがみついて離せない社会的にためにならない価値観というものに出会うことは心理職ならばたくさんあります。

さて、尾藤医師が「依存症は果たしてそんなに悪いことなのか?」という命題を出していました。

これはそのとおりで、物質依存の場合だと健康を害しますよ、寿命を縮めますよとどんな専門家が言っても聞かないクライエントさんはいます。

「うるさい、俺は俺の好きなように生きて行くんだ」と治療的接近が困難なクライエントさんを救命するためには、公認心理師試験で出題されていたように強制力を動員、クライエントさんの主体性を無視してでも依存から離脱させることは治療のセオリーかもしれません。

しかしながらこれについてはかつていろんな精神科の先生方が書いていたのですが、依存症の結果として寿命を縮めたり破綻するのも本人が決めるのならばそれもまた一つの選択だと。

治療への不従順、治療アドヒアランスの欠如で服薬コンプライアンスを守る気がないとか、脳梗塞で失行失認失調半側空間無視の状態や認知症になっても運転をしちゃうとか、そうするともうコミットしようがないわけです。

行動嗜癖で死にそうになっていたり、対人関係共依存でDV男性としか付き合えない女性がいたりして「そのままだと破滅しちゃいますよ」と言われて「だって、だって、デモデモ」となっている人の目が覚めるように仕向けるのは難しいです。

犯罪更生プログラムRNRでもリスク、ニード、レスポンスィビリティという、犯罪リスクに処遇密度を合わせ(リスクを読み間違えて間違った密度ではいけない)、犯罪誘発要因に働きかけます。

そして処遇応答性を最大限にするためのプログラムを認知行動療法に基づいて行うというものです。

プログラムでやることははっきりとしていますが、実際には犯罪における加害者臨床、問題意識の薄い依存症へのかかわりはとても困難です。

さて、心理学にもどんどん周辺諸科学の知識が必要になってきていてなにがなにやらという感じですが、「結果にコミット」と某CMで有名になったcommitment概念ですが、この用語はIT技術でも使われています。

データベース処理を全て終わらせるのをcommitmentと言い、うまくいけばいいわけです。

ITは人間よりも比較的結果を出しやすい、もしうまく行かなければ戻ってロールバック処理を行えばいいわけです。

それじゃ、依存症に向かう公認心理師は今後どうやってカウンセリングをすればいいかというと、僕はなんでもいいと思うわけです。

そういうといい加減に聞こえるかもしれませんが、僕のところに来るまで数名のカウンセラーのカウンセリングを経てきたクライエントさんの話を聞くとよくわかります。

クライエントさんは心理職の流派は実は比較的どうでもいいのです。

どれだけ自分のためにきちんと熱心にfull-commitしてカウンセリングをしてくれたかが有効に症状を穏やかに治める力になります。

芸術療法でも精神分析でも認知行動療法でもいいのです。

どんな学派でもそれぞれに立派な先生も素晴らしい治療家もいます。

カウンセリングルームの中という限定された空間の中の切り取られた時間は、カウンセリングの進み方によってはクライエントさんには永遠に気持ちの中に残るものになります。

クライエントさんの治癒力や人格的な長所を信じて真剣にカウンセリングに当たることがクライエントさんを心強くすると思うのです。

クライエントさんが「あのカウンセラーの先生はとても頼りになって良かった」と言う時、精神療法の技法や技術も大切ですが、そのカウンセラーはクライエントさんから、カウンセラーの人間性とそして仕事に対する熱意も評価されているのです。
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◯ アダルトチルドレンと依存をめぐる諸問題

アダルトチルドレンを生み出す機能不全家庭は物質依存だけにその問題はとどまっているわけではありません。

解決がとても難しいのは対人関係にかかわる関係依存、これが子どもをめぐる問題をより複雑にします。

依存症になる親、そしてそれを容認するもう片方の親、両方とも子どもをアダルトチルドレンとして育てることに加担しています。

片方の親がもう片方の親のすることを消極的に容認してしまったのは10歳の心愛ちゃんが亡くなった事案でも同じです。

父のすることを母親は怖くて何も言えないでいました。

母がもっと積極的に「私がいなくちゃこの人はダメになってしまうから」という救世主、メサイアコンプレックスに陥った家庭の中の子どもは悲惨です。

「ごめんよ、俺はなんとか立ち直るよ」という父に対して泣き合って抱きしめあって理解を表面上して解決をする夫婦、この時妻はイネイブラー、依存のエネルギーのガソリンタンクとして機能しています。

さて、この時に子どもはどこに置き去られているのでしょうか。

果てしなく繰り返される恐怖の家庭の中で何も希望も変化もなくなっていく毎日です。

夫婦の共依存状態、不健全な関係性への依存と置き去りにされた子どもです。

PTSDがDSM-5になってその特徴として、不機嫌な感情とその爆発性が特徴として示されるようになりました。

加害者が父親とは限りません。

母親であってもアダルトチルドレンとして育った母親が食卓をひっくり返し、皿を投げつける、そしてその感情をどうすることもできなくて自ら嘆き泣きじゃくることはAC連鎖家庭の中では珍しくありません。

アダルトチルドレンはある意味サバイバルゲームに似ています。

その場から離脱しないと心身の健全さは保てません。

しかし力ない子どもがいったいどうやって抜け出したらいいのでしょうか。

アダルトチルドレンはいつもいい子であり続けようとします。

毒親には満点の成績のテストを持ち帰り、学校では笑顔の仮面を保ち続けなければなりません。

自分を嫌いになったACの子どもは大人になっても自らを罰し続けていないとならなくなってしまいます。

過食で健康を失う、無謀な運転で命を危険に晒す、どれも自分への罰です。

成功を禁じられているので家庭という鎖を離れたら、ある時を境として学校、あるいは仕事からスピンアウトします。

何もできない、何もしないという果てしない気分障害のうつ状態の中で過ごします。

女性であれば彼女はいい結婚もパートナーも選びません。

魅力的な彼女に言い寄ってくる紳士的でいい人に対して「ふさわしくない」と断ってしまいます。

彼女は自分が幸せになることを許すことができません。

いつも笑顔で性格もよく人当たりのいい彼女をとらえるのはストーカーまがいの男性です。

「交際するまでつきまとってやる。酷い目にあわせてやる。居座ってやる」

彼女は「そこまで思いつめて私を必要としてくれるならば」と不幸な対人依存を選びます。

こうやってまたアダルトチルドレンと依存の連鎖は始まっていくのです。

今回に限らず一連の児童をめぐる事案にはアダルトチルドレンの問題が背後にあったとしても決しておかしくはないでしょう。

果てしない孤独感、そしてそれをどうにもできないもどかしさ、過剰な努力、落ち込み、空虚感、苛立ち、これらはアダルトチルドレンの人々に共通した負の感情です。

何が起こっていたのか、そして自分は何なのか、ACの人々はまず自己認識をはっきりとさせておかないと次の癒しのステップに進むことは困難です。
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