カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: 児童虐待

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児相批判しながら被虐待児も同時に叩く人たち

連日マスコミでは児相バッシングが止まりません。

芸能人が根拠を持って世間に対するオピニオンを述べるのはアメリカや欧米諸国だと当然のことですが、坂上忍が「この職につく資質を持った人なのかな?」と述べる一方で南青山児童相談所建設問題ではこの問題について「さあ、面白くなってきましたよー」と述べたり、「児相建設はイヤ、でもそんなこと言うのはマズイかなあ」と述べた松嶋尚美に対して「恥じる必要はないですよ」と述べていたり、僕は
恥じろ
と思うのですが、坂上忍といえば炎上発言で有名なタレントブロガー、がん患者さんを生還できたらすごいねえ、と笑いのネタにしたり、あまりの炎上具合に坂上自身が「ネットの意見は受け付けない」と述べています。

なんのエラーが生じていたのかどうか、警察と児童相談所をめぐってきちんと調査の公表も正式に決まっていないこの段階で児童相談所職員は3割増員が決まりました。

まず対応策はきちんとさせようということです。

さて、この事件についてはわからないことが多々ありますし、公表されていないし、今後も決して公表されないであろうことは多々あります。

個人情報保護法では故人の情報は保護対象とはならないとありますが、たとえ加害者とはいえ生きている両親のプライバシーを記者会見で明らかにするわけにもいきません。

だからいつどこで誰が何をしてどうしたという詳細なクロノロジー(時系列)を並べることができないわけで、断片的な情報で児相が何をした、警察がいつ何をしたという情報しか流れてこないわけです。

なぜ坂上忍のような炎上発言タレントの言うことをことさらに取り上げるメディアがあるのか全く理解できません。

そして古くからネットで不良品を発売した炎上企業などにネット住民は「電凸」(でんとつ)をしていたのですが、今回児童相談所に不要な抗議をしている人々が多いと聞いて非常にがっくりとします。

命がかかっている子どもを多数抱えている案件に取り掛かっている児童相談所職員をさらに追い詰めて時間と精神を削ってどうするのかと。

しかも事案のあった札幌児童相談所でなく、インターネット検索をすると出てくる北海道中央児童相談所に電話が集中しているとのことです。

どこの都道府県政令指定都市でも住民の理解や住民の通報がなくては円滑な業務はできません。

児童相談所も市区町村役場も異様な子どもの泣き声やほぼ体罰に近いような立たされんぼでも通報があれば動きます。

警察との連携もどんどんとる時代になってきていて児相がフットワークを軽くすることができる過渡期にあります。

公認心理師を取得した児童福祉司、児童心理司(自治体によっては呼称は児童判定員のまま)も多いです。

多忙な中臨床心理の知見を深めている専門職の人々には頭が下がる思いです。

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札幌児童虐待死・児相に本当に問題はあったのか?

札幌児童虐待死事件で札幌児相自体「児童相談所の対応に問題があった」と答えています。

政府も全国児童相談所所長会議を開催することを決定しました。

果たして札幌児童相談所が謝罪しなければならないほど、児童相談所は本当に悪かったのか?それが正しい認識なのかということについて児童福祉・心理の現状から考えてみたいと思います。

何度もニュースで報じられていますが児童福祉司が1人当たり担当する件数は平均100件以上、ひとつひとつのケースが一時保護が必要なのか、そして社会的養護の対象になるのか(乳児院、養護施設など)吟味しなければいけません。

児童相談所は全国都道府県及び政令指定都市に置かれています。

平成11年には児相への虐待事件相談件数11,631人だったのが平成29年度には133,778件です。

これは虐待件数が増えたからこういう結果になったというわけはないでしょう。

潜在的に埋もれていた、たとえば病院に子どもが怪我をして運ばれてきて、変だと思っていたとしても踏み込めなかったのではないかという事情も推察されます。

「家族内だから」と重傷を負ったとしてもあやふやで看過した領域に社会が注目するようになったことが要因として考えられます。

心理職が仕事をしていて子どもが怪我ばかりしているというケースに出会ったことはなかったでしょうか。

親の体罰が深刻な結果をもたらすことが多々あるということがはっきりとしてきたのは報道がもたらした成果とも言えます。

それまでは暗数となっていた虐待事件は明るみに出ていなかった可能性があります。

通報、相談が増えて来たのは虐待がクローズアップされるようになったからだとも言えます。

一昔前の児相は(今でもそういう自治体はありますが)その自治体の行政職として採用された職員が配置転換の際「児童相談所に行ってみたら?」と何も知らないまま児童相談所に配属されることがありました。

児童福祉司は社会福祉士を持っていることが任用条件ですが、それが満たされていなかった職員が多かったのです。

結果としてそのころ「児相は通報してもあてにならない」という不信感を抱かれるようにもなっていたというのはそのころの地域住人から何度か聞いたことがあります。

心理判定員(現児童心理司)は非常勤採用、所長も行政職で児童福祉の素人という時代は長く続き、徐々に専門家を投入した結果、相談件数が増加したものと思われます。

知り合いの児童福祉司が言っていましたが、100件ほどある案件から、死亡可能性が高いものに処理の優先順位をつけて、そこから着手していくしかないとのことでした。

しかし家庭は予測がつかない有機体です。

ファイルの下の地層にある案件がいつ何が起こって爆弾が破裂するのかわからない状態です。

そして自治体によっては児童心理司の方が児童福祉司よりも事件数を多く抱えています。

今回の事件が医療機関にありそうなヒューマンエラーやインシデント、医療事故ならばあり得ることかもしれません。

しかしどうなのでしょう。

あくまで推測ですが、あまりに多忙で、危険がわかっていても対応が不可能だったのかもしれません。

家庭再統合が可能だったという思慮があったのかもしれません。

今回の件でも児相は何度も家庭との接触を試みていて、報道は児相が何もしなかったかのように報じていますがそうではなかったわけです。

児童行政は常に慢性的な人手不足です。

自治体心理として採用されて社会的養護施設で当直業務を行いながら疲弊している心理職には息つく間もありません。

児相も社会養護施設もその中で里親コーディネートもします。

家庭内再統合は賭けですが、子どもにとって修復した家庭が何よりの居場所であることは間違いありません。

報道は一つこういった事案があると児童相談所をやり玉にあけます。

児童相談所はプライバシーがあるので話せないことも多々ありますのでそれを逆手に取られて児相が槍玉に上がっている可能性もあるのではないでしょうか。

現場で本当に全身全霊をかけて仕事をしている福祉・心理職の人たちを見ていると、世論の向かう先は個別の児童相談所ではなく、社会全体の構造であるべきだと思うのです。




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◯ 片山内閣府特命大臣の公認心理師制度への期待

片山さつき内閣府特命担当大臣が5月21日の記者会見において公認心理師について触れていました。

その後5月31日にも民間シェルターの必要性について記者会見に答えています。

「自らも被害者である」と述べた上でDV対策の重要性について触れています。

片山大臣が強調したかったのは、大民間シェルター検討会を立ち上げたこと、DVに関する問い合わせが
10万件と高止まりをしているままということ、そしてDVと児童虐待の関係が深いことについて触れています。

DVについてはその95パーセントがメンタルの問題を内包している、そのために心理職のかかわりが期待される、公認心理師制度もスタートしたばかりであると述べていました。

大臣がメンタルヘルス問題について積極的に心理職の介入を期待していく、そこで公認心理師の制度についてポジティブに意見を言うということは大きな意味合いがあると考えます。

心理職、と片山大臣は述べているので公認心理師に限定をしているわけではありません。

また

DV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会」による報告書(pdf)

が今年5月に内閣府男女共同参画局から出ており、被害女性のカウンセリングについての心理専門職のかかわりの必要性とともに、DVが起こっている家庭では子どもが暴力を受けていても行き場のない母親がそのまま居残って子どもが虐待を受けている「ファミリー・バイオレンス」の状況についても述べられています。

さらに加害者更生プログラムの必要性についても述べられていて、さまざまな見地から被害者、児童、加害者に対する心理的なかかわりは必要となってくるでしょう。

政治や行政が公認心理師について言及していく、今後ともこういった動きは加速していくものと思われます。

公認心理師-臨床心理士制度は現在過渡期にあって2つの輪のようになっています。

公認心理師制度が今後は時代の流れに乗っていくものと思われます。

ただし、高い専門性を持つ臨床心理士という専門職制度も今後も残っていき、心理職として社会から期待されていくことは心理職全体のためになるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

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プロファイラー・犯罪心理学研究者で科学捜査研究所研究員の経歴がある萩野谷俊平博士の司法面接研究の被験者として参加しました。

※ 実験はPCとスマートフォンを使用して行うので完全に在宅で参加できます。 

萩野谷博士は多くの著作と論文の実績がある先生です。

公認心理師試験の出題領域としてブループリントにも記載されている司法面接は、通常の心理面接とは目的、手法が異なっています。

大人なら、被虐待経験者のクライエントさんに対してそれが過ぎ去ったトラウマケアということでPTSDに対する治療面接を行うことは想像に難くないでしょう。

児童相談所で行う面接もケアが入るので、厳密な司法面接とは異なります。

司法面接というのは、今まさに虐待事件が起きたばかり、まだ進行中であることが疑われる、そういった際に事実はどうだったのか「果たして虐待は存在したのか?」を対象児童から調査するための面接手法です。

児童面接をスクールカウンセラーや児童福祉施設や相談所で経験したことがある心理職も多いと思いますが、事実調査のための面接は通常の児童面接と違っていて特殊です。

さて、実際の司法面接トレーニングですが、児童がされた好ましくない内容を話していきます。

AIで作成された、子どもの顔をしたアバターと話していき、司法面接を行っていきます。

司法面接の難しいところは被害に遭ったショックを十分に言語化できない児童に対して事実をきちんと確認する、児童の心を傷つけてはいけないし、誘導尋問して実際には起こっていない虐待を作り上げてもいけないということです。

実験手法の詳細をここに記してしまうと今後実験に参加する人への先入観を与えてしまうのであえて書きません。

心理職としてはきわめて専門的な面接手法を学べた貴重な機会だったということについて感想を書いておきます。

クラウドソーシングとしてクラウドワーカー、ランサーズで「臨床心理士」と仕事検索するとトップにこのタスクが来るので興味のある臨床心理士の方はぜひ参加して欲しいと思います。

萩野谷先生によるとまだまだこの司法面接トレーニングとその効果測定実験に協力してくれる臨床心理士を求めていて、30人でも40人でも今後参加者を募集しているそうです。

こういった心理面接手法に関するトレーニングは外部で研修を受けても有料ですが、プロが懇切丁寧に指導してくれてしかも財団補助の研究なので実験謝金があり、実に勉強になりました。

興味のある方はぜひコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに萩野谷先生のブログ 「みんなの犯罪心理学」もご参照ください。

それから今回の実験については「Facebookなどを介してAmazonギフト券や口座振込の形で実験にご参加いただいております。」

とのことです。詳しくは
実験参加者募集案内pdfをご参照ください。
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