カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: 司法

D3D0B834-F41C-4283-9E7D-15F8FD0A7597

◯ 家裁調査官公認心理師さらみちゃんの憂鬱

−たまには小説を書いてみます。−

僕「さらみちゃんだったら家裁に入れると思ってたよ、どう?仕事大変?」

さらみ「かなりヤバみでつらみかなぁ、ほら、裁判所って裁判官のどくだんじょうでしょ?」

僕「それ、どくだんば」

さらみ「それな!でね、事務官は法律の勉強して書記官になって給料上げたいし、書記官も法律の専門家なのね。家裁調査官って人文科学系の総合職だから法律ロクに知らなくても入れて、給料は高いワケよ」

僕「ふんふん」

さらみ「だからうらやみとかねたみとかそねみとか嫉妬とか多いワケなの、法律の世界の中に放り込まれてワケワカメだし。あと私、全然希望してない任地に配属されたのに地元採用組の実家住まい給料全部小遣いの事務官にねたまれるのは割に合わん。」

僕「調査官の宿命だねえ」

さらみ「調査官の先輩とか見ててもね、あちこち異動しないと出世はしないっつーか、出世とも関係ないムダな異動多過ぎ」

僕「うんうん」

さらみ「うちの首席とかさ、これまで11回異動した、もう20年以上単身赴任してるって自慢してるし、定年したら濡れ落ち葉退職金離婚確定っつーの」

僕「うん」

さらみ「あと上からの締め付けが厳しい。事件配てんされてから3カ月未済とか半年未済とか1年未済とか首絞められそうでマジ死ねる」

僕「でも調査や審判は国民には早い方がいいんじゃない?」

さらみ「それな!在試(在宅試験観察)とか、補導委託(民間の篤志家に少年を預けて更正させる)だと、制度的には裁判所が事件持ちっぱじゃない。裁判官も長期未済嫌うのよ。出世にかかわるし」

僕「へえー」

さらみ「うちの主任はいい人だけど隣のシマは主任がビミョーな配てんするから後輩の坂東越吾郎君とか結構苦労してる」

僕「公平じゃないの?」

さらみ「うーん、事件の難易度違うからさ」

僕「忙しいんでしょ?」

さらみ「わかりみ?審判までに調査票書けなかったら卍死ねる。残業残業だけど手当ないよ。」

僕「少年から家事に移りたい?」

さらみ「そうねえ、家事は昔から少年より上の扱いだけど面倒なの多いから」

僕「離婚調停とか?」

さらみ「フツーの離婚調停だったら調査官リッカイ(立会)ない。子の福祉とかね、あと婚費分担だと生活保持義務や扶助義務の計算やるよ」

僕「うーん」

さらみ「失踪宣告とかさ。あれはあれで官補のころにテューター(主任)について事件処理やったけど居場所探しみたいで面白かったけど、遺産分割目的でまだ生きてそうな人の場合は不在管(不在者財産管理人)に変更するし、知ってる?遺産分割とか長引くと数十年モノになるんだよね。相続人180人とか。」

僕「それ、どうするの?」

さらみ「明治生まれの人の戸籍とか全部調べるのよ?180人の生死、住所調べるのムリムリ。うちの次席がやってんだけど」

僕「で?」

さらみ「これがアクロバティックな解決方法があったのよー、次席がね、『長引いてきたから仕切り直しでまっさらにして、もう一度やり直しましょう、いったん取り下げて再申立てしませんか?って」、これで超超長期未済事件一発終わりで新件に変身、次席は今度ご栄転するよ」

僕「ところで勉強して取った公認心理師取って何か役立ってる?」

さらみ「特養(特別養子縁組)とか子の福祉にかかわる事件はエモるしマジ泣ける。ああいう仕事は心理やってて良かったと思うよ。子ども思いのお父さんの面接交渉とか。」

僕「いろんなことやるのね」

さらみ「家事だと履行勧告とか養育費請求したりね。ヤミ金取り立て屋、さらみ君だよね。ま、払わないのが悪いんだけど。養育費って子どものためのお金じゃん?払わない父親が電話口に出るまで『家裁です』って言わないけど受け付けの人に『養育費を払ってない◯◯さんに家裁調査官から請求したいんですけど取り次いでくれます?って言いたくなっちゃう」

僕「ふうん、ひどいね」

さらみ「そういう父親ってひどみんなんだよ!金請求されると仕事辞めてどっか行っちゃうから捕まんないし、強制執行したら費用倒れ、金なし君だし」

僕「少年はどんな仕事?」

さらみ「私、引き上げ(在宅事件の少年を中間審判で鑑別所に送致すること)するのに女子少年だと手錠かけて腰ひも結ぶ係やってる。あと面倒なのは会議。私、若いから中連協の議事録作らされるし」

僕「ちゅうれん教?」

さらみ「うん、中学校との連絡協議会。中学は問題児施設に入れて欲しいって家裁に言うけどそんなに簡単に入れられないから会議っつーかいつも家裁と中学でお互いバトってる」

僕「なんかすごい世界だなあ」

さらみ「あーね、心理かよって仕事はたくさんあるよ。鑑別技官とか法務教官は鍵ガチャガチャさせて鑑別所や少年院の鉄の扉開けてる」

僕「うーん」

さらみ「調査官はとにかく転勤多いのよ。カウンセリング能力より異動能力が大事なの」

僕「裁判所は全国にあるからねえ」

さらみ「あとね、真面目に勉強してる先輩も多いからさ、主任になる前にヒラ調査官でも本書いて論文あちこちに発表して大学の先生になったりとか」

僕「調査官は頭いい人多そうだね」

さらみ「でももう一回採用試験受けたらマジ死ねる。絶対死ねる。あんな試験難し過ぎてもう通らない。院試の方がラクだった。」

僕「ふうん、心理テストとかはやるの?」

さらみ「鑑別所に入ってる子は鑑別技官がテストやるじゃん?在宅とか在試の子にやることはあるけど調査票書きに追われて心理検査とかやるヒマないよ。」

僕「更正プログラムとか裁判員制度とかハーグ条約とか詳しくなった?」

さらみ「ハーグ条約だけはね、あと司法関係は家裁が噛んでないところは自分で勉強するしかなかったよ。さすがに少年事件は落とさなかった。家事でもLGBTは扱うからそっちも勉強になったよ」

僕「矯正専門職のことは知ってる?」

さらみ「たこの足食べたってさ」

僕「えっ?」

さらみ「受刑者と同じ食事したらメインのおかずがたこの足一本だったって矯正の人が泣いてた。とりま家裁は入り口だから行刑は大変だと思う。保護観察官もさ、保護司いっぱい抱えてるけどいろんな保護司いるみたいよ。叙勲目当てとかね」

僕「調停委員も叙勲されるよね」

さらみ「そそ、それな!だからさ、調停委員が『待遇改善!』って言うのは勲章を早くくれとか勲章のグレードをアップさせろとかそういう意味」

僕「なんだか生ぐさいなあ」

さらみ「調停って長引くじゃん、お昼にかかることも度々あるわけよ」

僕「うん」

さらみ「で、女性調停委員が12時ちょうどにおにぎり出してお上品に食べ始めたって伝説がある」

僕「ホント?」

さらみ「調停委員はセンセとか言われてるけど弁護士や裁判官みたいな法曹にはかなわない、名誉職で民間の人ってことで元職(元裁判所職員)だけじゃなくていろんな民間人がやってるでしょ」

僕「離婚調停を経た人が調停委員をめちゃくちゃ悪口言ってたのを何人か知り合いで聞いた」

さらみ「それな!以降自主規制」

※ 司法関係の公認心理師は別に公認心理師資格を取得する必要もないですし、ぶっちゃけ臨床以外の分野の心理学専攻者、大卒、院卒でもいいです。

家裁調査官は伝統的に社会学、社会福祉、法学、教育学の問題を出題していますので学部もそのあたりなら受かりやすいでしょう。

総合職区分矯正専門職も家裁調査官も事務局勤務経験を積む事が優秀な人ほど求められます。

行政手腕を持った人が出世する傾向があります。

臨床の現場だけでやっていきたいのか、司法行政にもかかわりたいのかという選択肢がある特徴は司法心理職だからこそです。

こと司法に関する限り、公認心理師が幅を利かせることがないだろう、というのは臨床心理士31年の歴史でも司法心理職の中で臨床心理士が優遇されて来なかったことからも、最高裁家庭局への電話照会結果からも自明です。(除く社会復帰調整官)

とはいえ、とりま司法分野の心理職の存在意義はとても高いです。

心理警察官や科学捜査研究所プロファイラーの方々にも頑張って欲しいところです。

ところで会話部分は

実在する人物や団体の実態には全く関係のないフィクションです。なぜならば司法関係者は一人残らず高潔な人格の持ち主だからです。嘘だと思ったら知り合いの家裁調査官や法務省職員に確認してみてください。

※ 当サイトは公序良俗に反するサイトを除きリンクフリーです。また、当サイトからのリンク先情報についての真偽は保証しかねますのでご了承ください。
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 心理カウンセラーへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心理学へ

7D426544-EF31-43CC-9B67-47D1C90B3AD3

心理職採用の公平性について最高裁に問い合わせ。

医学部入試では男女合格者に差別的な扱いをしていたということで大問題となりました。

公認心理師、臨床心理士とも相当な割合で女性が占めていて、7割以上が女性です。

それでは国家公務員心理職は?

と思い最高裁に問い合わせ、家庭局に問い合わせて人事局からの回答では全く公平に選考しているとのことでした。

裁判所ホームページにも男女比は掲載されています。

人事院のホームページも見てみましたが、女性の活躍を大いに期待するという内容の記事がクローズアップされていて、このあたりは心配ないのかなと。

ただ、矯正の現場では男性収容者には男性職員、女性収容者には女性職員が多くなるかもしれません。

いつも国や団体の制度に批判的な書き方をしていますが、きちんとしているところも書いておかないとフェアではないなと思い、記事にしました。

※ 当サイトは公序良俗に反するサイトを除きリンクフリーです。また、当サイトからのリンク先情報についての真偽は保証しかねますのでご了承ください。
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 心理カウンセラーへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心理学へ

61fcxLPJnuL._SX348_BO1,204,203,200_

プロファイラー・犯罪心理学研究者で科学捜査研究所研究員の経歴がある萩野谷俊平博士の司法面接研究の被験者として参加しました。

※ 実験はPCとスマートフォンを使用して行うので完全に在宅で参加できます。 

萩野谷博士は多くの著作と論文の実績がある先生です。

公認心理師試験の出題領域としてブループリントにも記載されている司法面接は、通常の心理面接とは目的、手法が異なっています。

大人なら、被虐待経験者のクライエントさんに対してそれが過ぎ去ったトラウマケアということでPTSDに対する治療面接を行うことは想像に難くないでしょう。

児童相談所で行う面接もケアが入るので、厳密な司法面接とは異なります。

司法面接というのは、今まさに虐待事件が起きたばかり、まだ進行中であることが疑われる、そういった際に事実はどうだったのか「果たして虐待は存在したのか?」を対象児童から調査するための面接手法です。

児童面接をスクールカウンセラーや児童福祉施設や相談所で経験したことがある心理職も多いと思いますが、事実調査のための面接は通常の児童面接と違っていて特殊です。

さて、実際の司法面接トレーニングですが、児童がされた好ましくない内容を話していきます。

AIで作成された、子どもの顔をしたアバターと話していき、司法面接を行っていきます。

司法面接の難しいところは被害に遭ったショックを十分に言語化できない児童に対して事実をきちんと確認する、児童の心を傷つけてはいけないし、誘導尋問して実際には起こっていない虐待を作り上げてもいけないということです。

実験手法の詳細をここに記してしまうと今後実験に参加する人への先入観を与えてしまうのであえて書きません。

心理職としてはきわめて専門的な面接手法を学べた貴重な機会だったということについて感想を書いておきます。

クラウドソーシングとしてクラウドワーカー、ランサーズで「臨床心理士」と仕事検索するとトップにこのタスクが来るので興味のある臨床心理士の方はぜひ参加して欲しいと思います。

萩野谷先生によるとまだまだこの司法面接トレーニングとその効果測定実験に協力してくれる臨床心理士を求めていて、30人でも40人でも今後参加者を募集しているそうです。

こういった心理面接手法に関するトレーニングは外部で研修を受けても有料ですが、プロが懇切丁寧に指導してくれてしかも財団補助の研究なので実験謝金があり、実に勉強になりました。

興味のある方はぜひコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに萩野谷先生のブログ 「みんなの犯罪心理学」もご参照ください。

それから今回の実験については「Facebookなどを介してAmazonギフト券や口座振込の形で実験にご参加いただいております。」

とのことです。詳しくは
実験参加者募集案内pdfをご参照ください。
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 心理カウンセラーへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心理学へ

公認心理師はプロファイラーになれるか?

1.序

たまに若い人からの「心理学を専攻したらプロファリングをするプロファイラーになれますか?」という話を聞くことがあります。

プロファリングは未解決事件、連続凶悪事件の犯人像や行動パターンを心理学的に作成し、その特徴から次の犯行日時、場所を特定して犯人逮捕にまで至るというもので、多くのテレビドラマや小説で取り上げられています。

これは確かにスリリングで見ていてときめきますし、会議室で連続事件のポイントにピンを刺して、「次はここだ!」などと推理をしているのは視覚的エフェクトも抜群で興味を抱かせます。

重大犯罪が起きると大学で教鞭を取っている精神医学者や臨床心理士がテレビに出て、犯人の診断名を述べたり、生育史を想像してまだ逮捕前の犯人像をプロファイルしています。

その識者たちの発言「?」と思うこと多数、「犯人にも会っていないし精神鑑定も実際にしていないのにここまで言い切っちゃっていいのかなあ」と思うことがたびたびあります。

精神医学、心理学とは関係のない、犯罪について見識のあるジャーナリストが奈良で起きた小児女子に対する凶悪事件を犯人逮捕前から「フィギュア萌え族」の犯行と言い切って大はずれだったことが思い出されます。

2.日本でプロファリングをしている機関は?どうすればなれるの?

都道府県にある科学捜査研究所ではプロファリングを行っているところもあればやっていないところもあります。

都の科学捜査研究所では心理区分担当者にポリグラフの研究をしてもらっていると書いてありました。

科捜研ではアメリカFBIのように全米を統括して行動科学部門がチームで犯罪捜査に当たるような全国協力捜査をしていることはなさそうです。

科学捜査研究所はおおむね30歳程度の年齢制限もあるので、博士号、臨床心理士、今後は公認心理師ホルダーも採用されていくでしょう。

やはりプロファリングができるかもという魅力からでしょうか。

受験倍率は100倍ぐらいになるらしいです。

自治体によっては心理警察官もいますが、キャリア採用というわけでもなく、加害者の再犯防止のための心理面での支援も重要な業務です。

僕が卒論に使った(嘘)困ったときのウィキペディア先生に科学捜査研究所について聞いてみたら採用条件に「公認心理師」と書いてあって驚きました。

役に立つこともあるwikiですがまあ情報の真偽もそこそのなのでほどほどに。

科学捜査研究所出身の教員がいる大学もあるそうです。

そこを出たからといってプロファリングができるわけではないのですが、生の話が聞けるのは面白いかもしれません。

3.犯罪心理学あれこれ

日本犯罪心理学会は司法にかかわる心理学者、実践家の研究学会です。

行われている研究発表は司法矯正に関するもの、どのようにしたら累犯者に治療的処遇ができるかという、臨床的なものが多いように思われます。

司法の現場で求められている心理職の実践的な仕事は、犯罪に至った家庭や社会的環境、個人の資質と矯正可能性をどう見極めるか(家庭裁判所調査官、法務省矯正局)です。

そしてどのようにして心理学を活用して再犯を防止していくか、どういった処遇プログラムを行えばいいかという、治療的なかかわりです。

これはかなり人間理解を総合的に必要とする仕事でやりがいのあるものでしょう。

司法や犯罪に心理職としてかかわりたいのであれば、加害者を取っ捕まえたいというよりも、加害者臨床を行って更生させる、犯罪被害者の精神療法を行う(これにも相当な困難さを伴います)があります。

4.結語

プロファリングをやりたい、どんな事柄でも犯罪捜査にかかわりたいと
いうのであれば、心理学を学部で学んだことはさておき、いっそのこと警察官になるということが手っ取り早いのではないかと思います。

それもまた、道路に落ちた車の破片から加害車両を特定するという地道な捜査になるかもしれませんが社会における犯罪抑止には役立つ仕事です。

公権力の介入で児童福祉についての強制力が付与されるようになり、長期間児童が出てこない家庭に児相と警察が共同して強制捜査をすることができるようになっています。

警察としての捜査の仕事も人命を守るためにはやりがいがある、立派なものだと思うのです。

それはそれとして、ユーロポール女性心理分析官クローディーンが活躍する、ブライアン・フリーマントルのプロファリングシリーズは面白いので、お時間のある方は手に取って読むのもよろしいかと思います。

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 心理カウンセラーへ
にほんブログ村

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心理学へ
にほんブログ村

051DD961-95F8-4557-B7C2-CD43AA75DC8E

◯ カルロス・ゴーン〜独裁者の心理学

当時経営難に襲われていた日産に1999年、最高経営責任者として就任後したカルロス・ゴーンはコストカッターとして下請けに対するコストダウンを要求、また、売上げ不振車の生産中止を行うなど、さまざまな改革を行いました。

それまで経営難に陥っていた日産のを立て直した功績とともに、彼は年間10億円平均の役員報酬を手にしていました。

今回逮捕されたのは有価証券取引報告書虚偽記載、自らの役員報酬の申告漏れですが、それにとどまらず、役員報酬外でも自宅豪邸にかける経費を多く会社から出させていたという噂もあります。

政治経済の世界において独裁者は多く、全ての権限や利権を自己に集中させようとします。

一体どんな精神構造や心理機制が彼らをそうさせているでしょうか。

そしてこういった事案は全く心理職の業務とは無縁に思われるのですが、実はそうでもなく、何を把握して考えていくことが望ましいのかについても触れておきます。

独裁者について考えていきます。

妄想性パーソナリティ障害のクライエントさんに接したことがある心理職の人も多いと思いますが、クライエントさんの育ち方を考えると了解可能なことがあります。

幼少期から能力を超えた猛勉強を強いられ、努力を怠るとライバルから追い落とされるのではないか、親から怒られるのではないかと思う、職業生活を始めてからも高い地位を手にすると周囲から危害を加えられるという妄想から、根拠なくひどいパワハラをする場合があります。

周囲は自分を追い落そうとしている、財産を狙っているので確実に手元に置くためには違法な手段でも使っておかなければならない、それは真実かもしれません。

ただし、奇矯な妄想着想が伴い、部下がライバル社B社のことについて話している→「こいつはライバル企業からの回し者だ」となってしまい、人事上で部下にきわめて不利益をもたらすことがあるとそれは大きな害悪をもたらします。

財産を奪われるのだという恐怖に怯えていれば溜め込むしかないのです。

また、強迫性障害めいた人もこういった独裁者の中にはいるかもしれません。

自己愛が過度に肥大していて、自分こそはあらゆる賞賛と高額な報酬に値する人間だと思い込んでいるのかもしれません。

自分の中で自己完結していて人に迷惑をかけない強迫性障害の人がほとんどですが、ワンマンになり、「働かない部下は自分を害そうとしているから厳しくしなけれはならない」と思い込むと際限がなくなります。

とある企業のワンマン社長は目標設定前月比160パーセントを常に要求、それにこたえられない社員に失格の烙印を押してプレッシャーをかけていると聞きます。

「小さな権力を与えるとその人の本質がわかる」と言われています。

それまでは常識的で穏やかな人が、役割を与えられると急変して残忍になることがあります。

ジンバルドーの囚人-看守実験で役割が振る舞いに与える影響を調べようとしたところ、看守役があまりにも残忍に支配するようになり、実験を途中で中止せざるを得なかったこと、ミルグラムの電撃的実験では「これが被験者のためだよ」と示唆された人が致死量とされる電撃(フェイクですが)を流した、ということで、役割は人を変えます。

もし産業場面にいる心理職が勤務経験が長くなってしまうとその組織の社風に馴染み過ぎてしまい、世間の常識から乖離してしまうこともよくあることです。

ハードワークをモットーとして、講演会では質問者の近くまで行き、一対一の対話をしていたカルロスゴーンは、才能があり魅力的な人物という印象を与えたでしょう。

パワハラが起きやすい組織風土は厚生労働省で出しているパワハラ6類型にその行為が該当するという指摘を産業医が指摘したとしてもトップや上司は変わりません。

休養を要する診断書が精神科から出ても休ませないという、労働契約法5条違反の安全配慮義務にも注意を払えません。

ブラックと呼ばれる企業では社員の定着率が悪く、小売やサービス業では大卒者の半数が半年で退職していく企業もざらにあります。

1年後に新入社員が退職せずに働けている割合は、大卒、高卒、中卒で7割、5割、3割の七五三と言われています。

ワンマン社長がカウンセラーのところに来ることはありません。

心理職はそういったトップを変えることはできず、押し潰されそうなクライエントさんに会うことは多々あるでしょう。

民間企業なら労働基準監督署に訴えれ、査察が入れば企業は厳しい罰則を適用され、変革が始まるかもしれませんし、パワハラ相談窓口がもうかられている、公益通報を行う窓口もありますが、心理職はそれについて勧めることも制止することもできないわけです。

独裁者に憧れて入社した社員は)こんなはずじゃない、自分の最初にした選択は間違っていないはずだ」という認知不協和理論が働き、ますます洗脳されていきます。

企業によっては薄給のうちに新入社員をどんどん辞めさせてコストダウンを図っている場合もあり、これは悪質です。

クライエントさんにとって、どのようにして自分の人生を選んでもらうか、クライエントさんの心情をカウンセリングで扱うことは大事ですあ。

それに加え、独裁者について心理職も理解して説明できる言語を持てること(対個人・対社会)も大切だと思います。

専門家はあらゆる場面で瞬間的に答えを求められることも多いでしょう。

それに答えるか答えないかは立場上の問題があるので別としても、自己の内面に、時事について心理学的な理解に基づく解答を持っていることは必要だと思います。

心理職は世間から遊離している孤高の人ではないと考えています。

※ イラストはひなた画伯作品です。

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 心理カウンセラーへ
にほんブログ村

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心理学へ
にほんブログ村

07DAC98E-8076-47E9-BAE3-1790DD2090A3

↑このページのトップヘ