カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: 公認心理師

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(珍しくちみちゃんに花を買う。ち:「そういう時だけブログに載せるんでしょ。」)

◯ 開業公認心理師・臨床心理士の成功術&親身な心理職の探し方

1.序

以前、個人開業者の成功例?を法人向け個人向けと2種類書いたのですが、
この記事は僕が経験した失敗談を振り返って逆に「どうやったら開業が成功するの?」という心理職の方々や患者さん向けの「いいカウンセラーの探し方」についての考察をしてみました。

2.失敗しやすい開業準備

開業の成否を握るのはは段取り8割だと思います。

僕がフリーでどこからでも仕事を請け負っていた時、あちこちから「一緒に開業しましょう」という声がかかって来ていました。

大体がベンチャー起業家の人たちで、本人はカウンセリングをやらないけれども自分でメンタルダウンしたことがある、だから起業してみようというもので、僕も相談に乗ったりしていたのですが、たいていシステムを作る前に頓挫していました。

予実管理ができていない、カウンセリングに人々が払う、払いたいお金とシステム構築料金やそのための準備時間をなあなあにしていたからです。

カウンセリング一回をいくらの値段設定にして事務所レンタル料他必要経費、従業員給与も漠然としていたら開始はできません。

3.開業してからの勝負どころ

昨今の時代なのでSkype等のシステムを利用したカウンセリングを行うカウンセラーも多いです。

chatwarkのような事業家向けアプリも役立つのですが、あまりにシステムが複雑だと利用者側も面倒になります。

大手事業者に売り込む集客も大切ですがインターネットカウンセリングを目指してのシステム構築はクライエントさんから見やすいデザイン、親身な問合わせに対応できるかどうかにもかかっています。

対面カウンセリングだと「開業しました」という看板だけ出して誰もその事実を知らなければどんなに腕がいいカウンセラーでもきちんとしたシステムを構築して誰もが利用しやすいようにしておかないとならないでしょう。

4.成功例

成功する開業はいろいろなサイトを見たり、心理業界にいると話を聞くのですが、は第一条件です。

それだけでなく、「なんとなくやってみようかなあ」というバイト感覚でふわふわとした感じではなく、かちっとした「カウンセリングをやりたい。そして多くの人の心理支援をするためにそれを仕事にしていく」という決意がある人たちは成功しているようです。

5.これからカウンセリングを受けたい方へ

カウンセリングは開業カウンセラーの先生を選ぶとそれなりにお金がかかります。

開業の先生方は必死でクライエントさんに相対していますし(勤務カウンセラーが手を抜いているという意味ではありません)、クライエントさんは自分に一番フィットしていると思える先生を選べます。

僕は以前からドクターショッピングは必ずしも悪い事ではないと考えているのですが、カウンセラー探しはなおさらクライエントさんとの相性が大切だと思います。

開業カウンセラー、クライエントさん双方に満足のできるカウンセリングができるといいのではないかと思います。

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◯ 公認心理師の新常識/心が弱い≠精神疾患

カウンセリングをしているとクライエントさんが「自分はメンタルが弱いから◯◯って病気になったんですよ」と言われることがあります。

ここで「まあ少しづつ頑張りましょうねえ」等、患者さんのことを励ます言葉がけをする対応をするカウンセラーは多いと思いますが僕はこんな時「いいえ、違います。●●さん、メンタルが弱いのが原因じゃないでしょ?」
と答えてしまいます。

結構なベテラン心理士(師)でもこういった応答をしているのを見聞きします。

例えばパニック障害、脳内物質セロトニン、ノルアドレナリンの乱れで起こるわけで決してその人のメンタルが弱いわけではありません。

ただし、死ぬほど辛くて息苦しいパニック発作を何度も起こしていると「自分はメンタルが弱いからこうなってしまうんだなあ」と思い込んでしまいます。

そうなると気弱になるのは当たり前で「また発作が出たから自分はダメだ」という認知になるわけです。

ネガティブな認知とポジティブな認知についての講義を聞いたことがあるのですが人は内容を何も言われなくても「ダメ、ダメ、ダメ」と繰り返して言われるとやるせなくて嫌な気持ちになります。

反対に「大丈夫、うまくいく、きっとできる」という事を何も中身がなくても人から言われたり自分で言い聞かせることができるとポジティブになれます。

心理職はその人の心的脆弱性の要因を時としてご本人が「自分は弱いから」「いやいやだんだん頑張っていきましょうか」と患者さんか自分で認識している「弱さ」を知らず知らずのうちに肯定してしまうことがありますが、それは患者さんの「弱さ」を強化してしまうことになりかねません。

確かにどんな疾患でも疾患が原因で心的な強さが崩れてしまうことがありますが、あくまでそれは結果論で、元々は遺伝要素や脳内物質の乱れ、生活のリズム障害から起因しているものも多いでしょう。

この人たちは疾患で損なわれた部分が確かにあるかもしれませんが「僕は弱いですから」「だんだん変われるといいかもしれませんね」と言ってしまうと「疾患の原因=自分の弱さ」と誤解してしまう可能性もあります。

統合失調症、双極性障害やAkiskalが提唱した双極スペクトラムうつ病などは遺伝要素が高いわけです。

それに加え、発達障害や依存症の遺伝因子も分析が進んでいて例えばアルコール依存症は遺伝率=.50と大変高い数値を示しています。

公認心理師試験で医学分野が多く出題されるのは決して悪いことだけではありません。

こういった地道な心理教育も広まっていくといいなあと、メンタルダウン=心因論を聞くと思うわけです。

公認心理師の方々や患者さんには正しい知識を持って疾患に取り組んで欲しいとも考えています。

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◯ 公認心理師法第42条2項「主治の医師の指示」再考

公認心理師法では公認心理師は全て「主治の医師の指示」を受けなければならないとありますが、この条文自体が他法律と照らし合わせ、適切性が疑われるのではないかという可能性について指摘します。

法律は憲法=最高法規、そして民法、刑法が上位法としてあり、あくまで公認心理師法はその下位法です。

憲法上で考えると

〔国民たる要件〕
第十条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
〔基本的人権〕
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

カウンセリングを受けたクライエントさんが公認心理師によって勝手に守秘義務違反に当たりそうな秘密を医師に話さなければならないということは、クライエントさんにとって基本的人権の侵害に当たらないか?

第十三条の「幸福追求権」個人としての権利は尊重されるものであるという視点からも問題はありそうです。

第十三条はクライエントさんや患者さんの自己決定権とインフォームドコンセントを定めているものと理解できます。

〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

クライエントさんが主治の医師への報告を拒否した場合、無理に報告すればそれはインフォームドコンセント違反になるでしょう。

そして民法第一条の「信義誠実の原則」に公認心理師が従って秘密を守れるかという点にも疑念があります。

(判例)

東京地方裁判所「カウンセラーが面接により知り得 た相談者の私的事柄等を無断で書籍に記載したことについて、守秘義務違反として債務不履行責任が認めら れた事例」
平成7年 6 月 22 日判決

もあります。

また、民法709条、不法行為「故意または過失によって他人の権利を侵害」は公認心理師にとってどこまでクライエントさんの権利と主治の医師の指示遵守規定と拮抗するわけです。

精神的な損害や病状の悪化が発生した場合、刑法典での傷害罪、民事上の損害賠償義務も当然に発生します。

「主治医に報告したらこのクライエントさんは死んでしまうかもしれない」のに報告して死んでしまったらそれは未必の故意となり違法性阻却事由にはなりません。

公認心理師に求められる注意義務は、一般人が「ま、なんとなく大丈夫だろう」という軽いものではなく、高い専門性を持つ専門家が当然に予見可能だったことについて適用されます。

ここで主治の医師の指示が公認心理師法で定められているので報告、指示をそのまま100パーセント行い、しかも患者さんの不利益にならないようなインフォームドコンセントが必要になるわけです。

主治の医師に報告する前に診断名や心理的・身体的特質がわからない患者さんの全てを把握して質問をしなければならない義務も生じるでしょう。

もし医療過誤事件、カウンセリング事故による患者の死が発生した際、「それは主治医の了解を取ったから」という言い訳は「なんで勝手に秘密を漏らしたの?」という訴訟が起きたら公認心理師が敗訴する確率は濃厚にあります。

原告の患者、その家族が記録開示を求めても事実が明らかになりにくいので
そうすると医療者側が「一応推定」で原告側に有利な裁定や判決が下ります。

平成12年にはエホバの証人判決で輸血を同宗教の教義に反して十分にインフォームドコンセントを行なっていなかったことについて最高裁で医療側が敗訴しました。

厚生労働省のガイドラインでは主治の医師の指示を仰ぐことは、それを行うことについて十分にクライエントさんに説明、ただし患者さんが納得していない場合には懇切丁寧に説明をするとありますが、そこでも患者さんが納得をしていない場合、どうすればいいのかという指針はありません。

こういった矛盾を孕む42条2項の規定が今後どのように運用されていくか、どこからどういった指針が示されるかについては注視しなければならない課題です。

参照、参考文献「精神科医療事故の法律知識」(星和書店 深谷翼著)

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◯ 公認心理師・臨床心理士 心理オフィスk北川清一郎先生 心理師に望むこと、クライエントさんへのメッセージ

北川清一郎先生は横浜で心理オフィスk を構えている臨床心理士、公認心理師の先生です。

以前から北川先生のブログ

https://s-office-k.com/

を読んで「面白いなあ」「わかりやすく説明してあるなあ」と感心していたのですが、ご多忙の中時間を作っていただき電話インタビューをさせていただきました。

北川先生の学会発表にも参加してパンフレットもいただいておりますので、パンフレットも参考にしながらの質問です。

僕「北川先生は精神分析がご専門ということですけど、最近ではHSPの記事を書いたりPTSDやあらゆる相談に対応していらっしゃいます。これらを全部精神分析でカウンセリングしていらっしゃるんですか?」

北川先生「もちろん精神分析がメインなのですが、どんな相談内容の方でもベースとなるのは精神分析的な理解ですね。」

僕「あの、週7回午前10時から22時までというのはすごく利用する方にとっては便利と思うのですが大変なのではないでしょうか」

北川先生「11人のスタッフで手分けしてやっていますね。私は週5回です。」

僕「EMDRのような高度なトラウマ治療もやってらっしゃるんですね」

北川先生「私も含めて3人EMDRができますので対応しています。」

僕「個別カウンセリングだけでなく講座や研修、講義もやっていらっしゃる?」

北川先生「幅広く対応するようにしていますね」

僕「えっと、心理職にとっては開業というのはひとつの将来の『夢』のようなものだと思うのですが、開業には何が必要でしょうか?」

北川先生「ある程度のキャリア、経験、そして覚悟ですね。」

僕「先生のオフィスのカウンセリング料金は世間相場からすると破格値に思います。特に院生・初心者向けのスーパーヴィジョン・個人分析が3,500円というのは安いですね」

北川先生「院生に対しては教育の一環として行ってます。後進の指導は必要です。ボランティアのようなものですね。」

僕「同業者の開業の方々と研究会を行ったりとか?」

北川先生「開業領域とは限りませんね。医療、スクールカウンセラーの方とも一緒に研究会に出ています」

僕「最後に公認心理師の方々やクライエントさんたちにお伝えしたいことはありますか?」

北川先生「新しく公認心理師になった方は心理経験の深さの差が激しいですね。心理療法経験が浅い方にはきちんとトレーニングを受け、個人療法を受けたり研究会などで横のつながりを大事にして欲しいと思います。クライエントさんがカウンセラー選びで困った時には、これから心理療法家を選ぶ上では公認心理師のみの資格ではなく、臨床心理士の資格も持った人がいいと現時点で思います。」

僕「お忙しい中どうもありがとうございました。」

※ 最後の〆の言葉は新公認心理師の中では手厳しいと感じた人もいるかもしれませんが、クライエントさんのことを考えると現状では最善の選択と思いました。

余計な事ですが(以前も書いたのですが)HPを見るとスキンヘッドで「怖い先生なのかな?」と誤解する人もいる(かもしれません)ような気がしますが、心理臨床学会で見た時は大変優しくて笑顔が似合う先生でした。

またインタビューに答えてくれた際にもとても丁寧で物柔らかな声と雰囲気を醸し出していて信頼できる先生だなあと思いました。

さて、開業領域の先生方には機会があればまたお話をお聞きしたいと思うのですが、僕にとっては北川先生のブログをいつも愛読しているので、まずはお電話でお話を伺うことができて大変勉強になりました。

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◯ 京アニ事件から考える公認心理師の役割・加害者臨床

京アニ事件で加害者が医療スタッフに対し「こんなに優しくしてもらったことはない」と感謝の気持ちを述べたそうです。

この事件の動機などの解明は捜査機関や専門家に任せるとして、僕が感じたのは、医療者や臨床家というものはどんな加害者に対しても決して差別せず、全力で対処して行くということです。

どう考えても社会的には許されない犯罪をした人々がいる、犯罪行為はそれ自体が行動嗜癖となっていることが多いです。

そうすると世間からは同情の余地がないサイコパスと思われてなお自尊心を低下させた人が累犯者となることもあります。

心理臨床家にとって、犯罪のトラウマを負った被害者を1人救うのに何十年もかかり、それでも死を遂げてしまう被害者は多いです。

犯罪経済学という学問分野があります。

犯罪者を逮捕、勾留して裁判にかけて刑罰を与える、更生プログラムに参加させる。

あるいは判決に不服があれば二審、三審まで進む。

例えば1人の重大犯罪者に対して裁判を行い、死刑執行が行われるまでには1億円かかるという試算があります。

こういった、犯罪が社会に与えるマイナスのコストを行刑面だけで考えるのではなく、被害者が治療を受け、救われて欲しいわけです。

そう考えると、例えば何百件という犯罪を繰り返すことで知られている小児性愛犯罪者1人を更生させることができたなら、どれだけの被害者が救われたかと思います。

加害者臨床は困難で、相手に共感をしていくことが時として難しい分野です。

「負い目」「引け目」「劣等感」「自尊心の欠如」「他者への共感力の乏しさ」「自己中心性」等々様々なネガティブワードで犯罪者は更生可能性を捜査機関、裁判官、行刑機関に否定されていくことが多々あります。

加害者臨床に携わった心理職ならば、どんな加害者でもその更生したいという気持ちの真実と、そして見えてくる光明に心を打たれたことがあるのではないでしょうか。

犯罪者は一度ラベリングをされてしまうと立ち直るのが困難になっていく一方です。

彼らは犯罪を24時間起こしているわけではありません。

加害者臨床にかかわる心理職には、その動機の陰に隠れているその人の傷ついたプライドの理解、本当はあったはずの自己承認欲求や自己肯定感を強めて更生の道を見つけ出して欲しいと思うのです。

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