ひなたあきらの公認心理師でポン!

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: 精神医学

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◯ 精神科医療の暗部と医療観察法

「子どもの死を祈る親たち」を読みました。

筆者押川剛氏は精神障害者移送サービスという事業と精神障害者のための私設支援施設を経営しています。

家族が医療保護入院といって、本人の任意入院が不可能な場合には家族の同意で入院がさせられるのです。

ただその家族がどうやって医療機関に本人を連れて行ったらいいのかわからない場合、押川氏のようなごくパーソナルな移送サービスを使うことがあるわけです。

こういったサービスについて聞くと双極性障害者の躁状態や激しい幻覚妄想状態にある統合失調症患者さんのことを思い付く人もいるかもしれません。

こうした人たちは確かに病識には欠けているところはあっても、何か自分と世界との価値観がずれてしまっているという病感のようなものがあり、家族が丁寧に説得するとそれなりの自己決定もできるわけです。

僕が某地域の措置入院を担当している基幹病院で働いていた時も、社会保安上の理由で精神障害者は危険、暴れるからという社会からの要請で措置入院のための精神保健指定医がつねに待機させられていたわけです。

僕も詰めていましたけどヒマでヒマで仕方なくて読書ばかりしていました。

実際に世間が想像しているような「コンビニで半裸になって包丁を持って暴れている」ような精神障害者といった対象者はほぼほぼいないでしょうり

そういったニュースがあると「精神障害者の犯罪が凶悪化している」とマスコミは誤ったイメージを擦り込もうとするのですが、実際にはそういった人のほとんどは薬物使用者が禁断症状で暴れているだけです。

精神疾患患者の犯罪率は一般人よりもきわめて低いという有名な統計があります。

一般人の犯罪率2パーセント、精神疾患患者0.6パーセントです。

当たり前のことですが、自分の症状に苦しんでいる患者さんが他人を傷つけるようなエネルギーはありません。

患者さんたちは日々理性とどこからともなくやってくる症状との葛藤の最中に置かれ続けています。

むしろ自傷のおそれが強い、希死念慮が高い患者さんが措置入院の対象になっていたことが多かったのではないかなあと思います。

精神障害者とその周囲をめぐる事情にはまだまだ世の中の暗部が投影されています。

押川氏が行っているような精神障害者移送サービスは数十万円の金額がかかりますし、本人の同意なしに病院まで連れて行くというのはかなり法的にはダークな領域です。

無理矢理だと監禁、略取誘拐?と取られるかもしれませんし、押川氏は「行くぞ!」という掛け声ひとつで患者さんを押送したことがあると書いています。

どんな精神障害にせよ、家族がきちんと本人に向き合わずにそこまでこじらせてしまった場合が多いのでしょう。

利益主義で患者を食い物にしているとルポルタージュですっぱ抜かれた某病院はその後も措置入院をさせた後に拘束、個室病棟で1ヶ月100万円を請求したと聞いています。

押川氏の行っている事業は確かに精神科医療の裏側の部分です。

親も精神疾患患者を抱えて、どうしたらいいのかわからずにとりあえず引きこもるままにしておく、近所の手前何もしないでおくという放置行為が本人を悪化させているのだと思います。

結果として家族が被害者となって死に至る場合もあります。

現在精神医療保健行政の問題点を抜きにして少数事件が大々的に報道されるわけですが、暴力団同士の抗争で死者が出てもあまりニュースにはなりません。

もっと早期に対処していれば入院に至らなくてもよかっただろう患者さんは多いでしょう。

しかし家族はあまりに精神保健について知らないですし、保健所や役場が相談対応をしてくれることも知らないわけです。

あまりにも放置しておくと凶悪犯罪を起こした場合、刑法上の除伐でなく、検察官の申立てで2ヶ月の鑑定入院を経て心神喪失者等医療観察法の対象となる場合があります。

実際のところ、この医療観察法の対象となるのは治療可能とされる障害者のみ、認知症のように回復がない疾患の場合にはどうするか?

現行法では発達障害、人格障害も対象となっているのが、心神喪失者と鑑定してしてもいいのか?

と課題は山積です。

医療観察法で入院となって、完治したから社会復帰させると再犯者が野に解き放たれる場合もあるわけでしょう。

行政、医療、司法のはざまにあって結局一番割りを食うのは患者さんやその家族だと思うのです。

家族や本人のニーズに対応しない、救急対応受入れが難しい地域基幹病院もあり、ケースワーカーが地域連携室の中でその振り落としをしている場合も多いのということを実感しています。

結局そうすると結果的には押川氏のような民間サービスを利用せざるを得ないように追い込まれてしまうのではないか。

無理に移送、入院した患者さんは必ず退院します。

患者さんと家族との間に生まれてしまったであろう軋轢をどうやって解決してたらいいのでしょうか。

加えて、予見不可能な大量の犠牲者を出す宅間守のようなごく少数者だけが彼らへのスティグマ(烙印)を先行して与えているという事実はきちんと知られておかなければならないでしょう。

もっとも宅間守事件がきっかけで医療観察法ができたのは皮肉ですが、治療
、更生、社会適応のため、患者さんにとっては大きな前進でした。

今回の診療報酬改定について措置入院患者さんの復帰から通院まで公認心理師が関与するという文言は確かに公認心理師の権能拡大です。

ただし、世論を細かく読み取る政策というものは児童虐待、ギャンブル依存防止にも公認心理師を駆り出しているわけです。

さて臨戦状態になっても待機だけ、という事がよくある話なので実業務と政策の乖離はよくあることです。

法と今の精神医療体制の矛盾や限界を本書によって知りました。

子供の死を祈る親たち

新潮文庫/押川学

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◯ てんかん・精神薬理学・副作用

以下、厚生労働省こころのメンタルヘルスから引用しています
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_epilepsy.html

が、要点だけを最初にまとめておきます。

◯ 要点

※ てんかんは脳の神経細胞(ニューロン)が異常な電気信号を発する障害です。

診断は脳波測定では、棘波spikeと徐波waveがあり、てんかんでは左右非対称、棘徐波複合、スパイクアンドウェイブという特徴が見受けられることからわかります。

てんかんには大きく分けて3種類のてんかんがあります。

1.症候性てんかん

脳腫瘍、交通事故などの頭部外傷などが原因のはっきりとしているものです。

2.特発性てんかん

原因不明なものです。

3.難治性てんかん

・てんかんの発作には

全般性発作、意識消失を伴う

大発作/失神

小発作/数十秒程度からのあくびをするような意識消失

複雑部分発作(側頭葉てんかん)は成人に最も多いと言われているもので、意識が部分的にあるので直前まで行っていた行動が無意識的に常道的に続くことがあります。

どのてんかん発作についても、たとえ小発作でも脳細胞に大きなダメージがあります。

したがって、てんかんとわかると子どもはそれを認めたくないので拒薬するなどの行動に出ることもありますが、病状を悪化させないため、てんかんの心理教育、服薬コンプライアンスが大切になります。

手術で病変部を除去して発作を抑えるのが有効な場合もあります。

◯ 以下厚労省資料引用

てんかん

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」をくりかえし起こす病気ですが、その原因や症状は人により様々で、乳幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があり、患者数も1000人に5人~8人(日本全体で60万~100万人)と、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気のひとつです(1)。

「てんかん発作」は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動(電気発射)を起こすことにより生じますが、脳のどの範囲で電気発射が起こるかにより様々な「発作症状」を示します。しかし症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復することが特徴です。原因は様々で、脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は

「症候性てんかん」、原因不明の場合は

「特発性てんかん」と呼ばれます。

治療は適切な抗てんかん薬を服用することで、大部分の患者さんでは発作は抑制され通常の社会生活を支障なくおくれます。一方、抗てんかん薬では発作を抑えることができず、

「難治性てんかん」として複数の抗てんかん薬の調整や外科治療などの専門的なてんかん治療を必要とする場合もあります。

【参考文献】
(1)大塚頌子、赤松直樹、加藤天美、他:日本におけるてんかんの実態 日本のてんかん患者数の推定、てんかん研究27巻3号:408-411、2010

「てんかん」とは

脳の神経細胞(ニューロン)は、その数は数百億ともいわれますが、基本的に電気的活動を行っているため、強い電気刺激により異常で過剰な電気活動(電気発射)を起こす性質があります。

「てんかん発作」は、このニューロンの電気発射が外部からの刺激なしに自発的に起こる現象を指し、また「てんかん」は、この「てんかん発作」をくりかえし起こすことを特徴とする病気です。

てんかんは、原因が不明な「特発性てんかん」と、頭部外傷、脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病など原因が明らかな「症候性てんかん」に分けられ、前者が全体の約6割、後者が残りの約4割を占めるとされます。乳幼児から、小児、学童、思春期、成人、高齢者のいずれの年齢層でも発症しますが、特に小児と高齢者で発症率が高いといわれています。

重症度は千差万別で、小児期に発病し数年に一度程度の発作で成人になれば完治してしまう良性の特発性てんかんがある一方、頻繁に発作をくりかえし様々な脳機能障害が進行する難治の症候性てんかんもあります。

しかし全体としては、2/3から3/4の患者さんは抗てんかん薬の服用で発作は止まり、大半の患者さんは支障なく通常の社会生活をおくることができます(2)。

また薬で発作が抑制されない場合でも、海馬硬化症や良性の脳腫瘍などのはっきりした病変がある場合は、手術で発作の完治を期待することもできます。

【参考文献】
(2)Brodie MJ, et al.: Patterns of treatment response in newly diagnosed epilepsy. Neurology 78(20):1548-

てんかんのサイン・症状

「てんかん発作」の症状は、脳のどの範囲で異常な電気発射が起こるかにより多彩です。たとえば脳の一部で起こる発作(部分発作)では、後頭葉の視覚野で起これば光がチカチカ見える、手の領域の運動野で起これば手がピクピク動く、側頭葉で起これば前胸部不快感や既視感など、患者さん自身が感じられる様々な症状を示します。

一方電気発射が脳全体に広がった場合、意識を消失し動作が止まって応答がなくなる、倒れて全身を痙攣させるなど、患者さん自身は発作の間意識がなくなり周囲の状況がわからない状態となります。

また、体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作や、突然体の力が抜けバタンと倒れる脱力発作、あるいは手足や口をもそもそと動かす自動症といわれる発作などもあります。

てんかんの診断と治療

てんかんは、一旦診断されるとその後長期間服薬を必要とすることが多いため、初期診断で、本当にてんかんなのかどうか、ほかに治療が必要な原因はないのかを見極めたうえで、長期的な治療の見通しを立てることが大切です。小児の良性てんかんでは発作症状などの病歴の聴取だけで診断が可能なこともありますが、てんかん発作をくりかえし起こす場合には、基本的に脳波とMRI検査を行い、てんかんの診断と原因を確認する必要があります。
発作で意識が消失することは、患者さんにとって社会生活上最も大きな障害となる症状で、事故にあう危険はもちろん、就労や就学、あるいは自動車運転などに際し大きなハンディキャップとなります。

従っててんかんの治療は、発作をいかに消失させるか、あるいは意識消失を伴う発作の回数をいかに減らせるかが主要な目標となります。

具体的な治療方法としては、抗てんかん薬の調整が主ですが、自己判断で薬を中断しないことが、発作を防ぐうえで重要です。また、中には先に述べたとおり外科治療で完治を期待できる場合もあり、早期に適切な診断を行うことも大切なことです。

てんかんをもつ人へのケア

てんかんをもつ人にとって、発作が起こっている時間は通常数秒から数分間にすぎないため、発作が起こっていないその他のほとんどの時間は普通の社会生活をおくることが可能です。

従って、病気の特性を周囲の人がよく理解し、過剰に活動を制限せず能力を発揮する機会を摘み取ることのないよう配慮することも、てんかんをもつ人に対するケアを行う上で大切なポイントです。

またてんかんをもつ人は、小児では発達や就学、成人では就労や自動車運転、女性では妊娠と出産など、生活上のさまざまな問題に対する継続的なサポートを必要としています。また発作の止まらない患者さんでは、くりかえすてんかん発作による脳機能障害や心理・社会面の障害に対するケアも重要で、様々な福祉制度を活用することも求められます。

厚労省の研究班(てんかん診療ネットワーク:http://www.ecn-japan.com/)や学会及び患者会組織(日本てんかん学会:http://square.umin.ac.jp/jes/、日本てんかん協会:http://www.jea-net.jp)のウェブサイトからは、てんかんに関する情報を得ることができます。

◯ 向精神薬 抗精神病薬

written byひなた

いわゆる精神科の暗黒時代とも言われていたころは、治療法が確立されてなく、精神病患者をただ社会的隔離のために入院させていました。

現在の無痛ETCでない電気けいれん発作療法が懲罰的に行われていた歴史もありました。

精神病治療法に画期的な転換点が見受けられるようになったのは1951年、抗精神病薬クロルプロマジンの開発によってでしょう。

クロルプロマジン(商品名コントミン、以下カッコ内は商品名)は精神病患者の退院率、社会復帰率を劇的に上げました。

続いてハロペリドール(商品名セレネースなど)が1956年に開発されたことも治療に大きく寄与しました。

これら定型第一世代抗精神病薬は、スルピリド(ドグマチール)やレボメプロルマジン(レボトミン、ヒルナミン)もあります。

スルピリドは胃薬として使用されることもありますが、抗うつ効果も抗精神病効果もあります。

スルピリドは食欲増進作用があるので、それを薬効として利用する場合もあり、太り過ぎとなってしまうこともあります。

抗精神病薬の副作用としては錐体外路症状があります。(静座不能、足がむずむずして突っ張ったようになるアカシジア、ジスキネジア、オーラルジスキネジアでは呂律が回らなくなったようになり、口が不随意運動をするようになります。

ジストニアは全身筋肉の不随意運動で、このような錐体外路症状には抗パーキソン剤アキネトンで対処することがあります。

抗パーキソン剤が効き目があるという患者さん、ないという患者さんがいます。

医学の教科書でも副作用止めを出してまで薬を出していくのは多剤処方につながるのでやめた方がいいという記載があります。

非定型第二世代抗精神病薬は現在統合失調症、双極性障害、うつ病、感情の障害などにも使用されている薬剤です。

リスペリドン(リスパダール、経口投与の他に持続する注射としても使用されています)、ペロスピロン(ルーラン)、パリペリドン(インヴェガ)、オランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セレネース)、アリピプラゾール(エビリファイ)、ブロナンセリン(ロセナン)、アセナピン(シクレスト)、クロザピン(クロザリル、薬剤抵抗性統合失調症に著効)です。

ただし、クロザピンは無顆粒血症が重大な副作用として認められ、白血球中の顆粒球がほとんどなくなってしまう危険性があるので頻回に血液検査をしなければならないというデメリットがあります。

統合失調症陽性症状には第一世代薬が使用されていて、陽性症状と陰性症状双方に対して第二世代薬リスペリドンなどは効果があります。

リスペリドンに続くSDAは、統合失調症に対してドーパミン受容体のみでなく、セロトニン受容体にも働き掛けることで効果を示しています。

いずれの抗精神病も代謝を阻害するので体重のコントロールが難しくなるというリスクがあります。

糖尿病の発症リスク、また、糖尿病患者さんには禁忌の向精神薬は多いです。

第一世代、第二世代とも抗精神病薬には力価があるので、CP換算値でわかりやすく自分が服薬しているメジャートランキライザーの力価がわかります。

あまりに力価が高いと治療効果よりも、副作用の過鎮静が起きて全く動けなくなります。

また、一度増やした抗精神病薬の減薬は時間をかけないと心身への高い危険性があり、横紋筋融解が起こったり、突然死の可能性もあります。

風邪薬でも「副作用のない薬は作用もない」と言われていますが、元々自然に体内で生成される物質外の向精神薬は必ず何かしらの副作用の可能性があります。

それにもかかわらず、治療効果がより大きく期待されていることから使用されているということを理解しておく必要があるでしょう。

なお、向精神薬はベンゾジアゼピン系薬剤は催奇形性が高いと言われています。

妊娠に比較的安全性が高いと言われているのは第二世代非定型精神病薬やSSRI、SNRIですが、臨床上使用していることが多いということと絶対的な安全性が確立されているということとは別です。

妊婦にとって向精神薬使用のリスクは、断薬、減薬して症状を抱えて精神的に不安定なまま妊娠を継続するか、少ないパーセンテージでの催奇形性があっても服薬して安定した状態で妊娠を継続するかのバランスを見て決められます。

◯ 向精神薬 抗うつ剤

三環系抗うつ剤TCA、イミプラミン(トフラニール)、アミトリプチン(トリプタノール)
TCAはモノアミントランスポーターは、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、ヒスタミンに働きかけます。

肝機能負担があり治療有効域の狭さがデメリットです。

MAO阻害薬の抗うつ剤はモノアミン系のドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの取り込みを阻害するという優れた作用がありますが、肝機能障害、高血圧の副作用のコントロールが困難で現在アメリカでは重症うつ病にしか使われなくなっています。

四環系抗うつ剤としてはマプロチリン(ルジオミール)、セチプチリン(テシプール)、ミアンセリン(テトラミド)があります。

SSRIやSNRIはよりセロトニン、ノルアドレナリンにターゲットを絞って再取り込みを阻害、脳内量を一定に保ちます。

脳のセロトニン再吸収体にフタをしてしまうという原理です。

当初は抗うつ剤として開発されたのですが、パニック障害や強迫性障害治療薬としても使用されています。

塩酸パロキセチン(パキシル)が開発された当時は画期的な薬剤で、次々と開発されていきました。SSRIはフルボキサミン(デプロメール、ルボックス)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(レクサプロ)

また、SNRI選択的セロトニン・ノルアドレナリン再吸収阻害薬としてはミルナシプラン(トレドミン)、デュロキセチン(サインバルタ)、ベンラファキシン(イフェクサー)があります。

SSRIやSNRIは脳内シナプス回路でストレス緩和機能が生成されるまでに時間がかかるため、効果が十分に発現させるためには数カ月を要することがあります。

比較的素早く効き目が出ると言われているNaSSA、ミタルザピン(レメロン錠、リフレックスは体重増加作用があります。

SSRI、SNRIの副作用としてはパキシルは当初、衝動性が増加して18歳未満の自殺率を上げる可能性があるということで禁忌になっていました。

以前からうつ病は回復期に突発的に自殺行動に出るとも言われていたので、この危険な自殺衝動が若年層への特有のものなのか、それとも病状のせいなのか、回復期特有の症状なのか大きな論争になりました。

現在ではSSRI、SNRI、NaSSAは若年者に対しては慎重投与です。

パキシルは離脱症状から減薬、断薬にも注意が必要です。

また、男女ともにSSRIやSNRIによる性的能力、性欲減退を訴えることもありますが、QOLを見た上で判断するべきでしょう。

◯ 気分安定薬(ムードスタビライザー)

抗てんかん薬が中心で、双極性障害や不安定な気分状態に使用されます。

世界最古のムードスタビライザーとしては炭酸リチウム(双極うつと抗躁剤、手の振戦や多飲多尿の副作用あり。腎機能障害に注意)

抗てんかん薬としてはバルプロ酸ナトリウム(デパケン)、カルバマゼピン(テグレトール)、ラモトリギン(ラミクタール)が使用されます。

抗てんかん薬も治療有効閾値が狭いので、定期的な血中濃度測定TDMで肝機能検査をしなければなりません。

◯ ベンゾジアゼピン系製剤

抗不安薬としてエチゾラム(デパス)が有名ですが、高い依存性を生じることが知られています。

エチゾラム以外のベンゾジアゼピン系抗不安薬ロラゼパム(ワイパックス)、アルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス)、ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)も連用は好ましくないとされています。

弛緩効果があり、ふらつき、めまい、注意散漫、アルコールとの交差耐性があります。

ベンゾジアゼピン系睡眠導入剤は

・超短時間型 トリアゾラム(ハルシオン、忘却効果が強いので欧米諸国では麻薬扱いする国が多く、日本人がスーツケースに入れて渡航すると逮捕されることもあり得ます)

ゾピクロン(アモバン)
ゾルピテム(マイスリー)

・短時間型 ブロチゾロム(レンドルミン、手術前日の緊張緩和にも使用します)

※ エチゾラムは短時間型ですが、耐性などの問題から睡眠導入剤として使用しない場合があります。

・中間型

フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)

・長時間型

クアゼパム(ドラール)

ベンゾジアゼピン系でない睡眠導入剤としてはラメルテオン(ロゼレム)で概日性リズムを調整、スボレキサント(ベルソラム)が開発されています。

(以上 向精神薬マニュアル 融道男
医学書院参照)

睡眠導入剤は、ベンゾジアゼピン系のみを使用するのではなく、向精神薬で元々は副作用とみなされていた効ヒスタミン作用の眠気が出る効果を狙って使うこともあります。

抗ヒスタミン作用というのは花粉症の薬で眠気が出るのと同じように向精神薬でも眠気が出る場合があります。

ミタルザピン、TCA、四環系抗うつ剤ミアンセリン等には効ヒスタミン作用があります。

向精神薬、抗うつ剤にはうつ状態と似たような副作用を示すものもあり、症状のせいなのか副作用なのかわからなくなる場合があります。

多くの向精神薬が持つ副作用の抗コリン作用は、耐えず口渇感がありますので、口を湿すだけの水を含むぐらいが推奨されています。

水ばかり飲んでいると水中毒になりナトリウムが低下して発作、けいれんから死に至ることもあります。

悪性症候群はパーキソニスム症状が出る、セロトニン症候群では意識障害を起こすこともあります。

多臓器不全、意識障害から死に至ることもあります。

便秘は多く副作用として認められます。抗うつ剤のアモキサピンは便秘が副作用として知られています。

抗コリン効果による麻痺性イレウスで消化管が動かなくなり、単に排便ができないというだけでなく、吐き気、便秘を認めます。

麻痺性イレウスや便失禁は重篤な副作用としてただちに投薬中止しなければなりません。

突然死も向精神薬が持つリスクです。

◯ 薬理遺伝学

薬物に対する反応性には個人差があり、双生児研究によって明らかにされました。

向精神薬以外の薬剤で薬剤代謝に関する研究が行われ、代謝に関係するチクロトローム P450Yに関する研究が発展しました。

向精神薬でも血中濃度に著しい個人差が存在し、CPYの薬理遺伝学研究が盛んに行われるようになりました。

このように薬物を摂取してから血中濃度が保たれていく状態の観察を薬物動態学と言います。(吸収、分布、代謝、排泄)

薬物動態が判明した場合の薬物濃度と作用の関係を薬力学と言います。

(おまけ)在りし日の会話
千美梨:あなたってホントに変態ねえ。
僕:いや、アラピプラゾールの作用機序について書いてないし、レキサルティ(ブレクスピプラゾール)についても書いてないからまだまだ。
千:あなたいったいどこに向かっているの?
僕:陽はまたのぼる。The Sun Also Rises
ち:太陽が眩しかったから。
Gentils parce que le soleil était éblouissant

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◯ 精神疾患総論

精神医療領域に詳しい受験生の方々が多いと思い、簡単な説明にとどめます。不明瞭なところがあれば?学習することをおすすめします。

精神症状群

・抑うつ
抑うつエピソード、うつ病は反応性うつと違って抑うつ気分が長引きます。

経済的、健康問題で反応性の一時的な抑うつ状態に陥ることもありますが、そこで希死念慮から自殺に至る場合があるので注意が必要です。

制止/思考停止

・ 躁
気分高揚、観念奔逸(考えがまとまらない、気分が次々と転動)いくつもの考えが競い合っている。

精神活動亢進し、いくつもの仕事に手を出して完成しない(完成させる能力のある人もいます)、多幸感、万能感、浪費、性的逸脱、イライラ、易怒的。
行為心迫(欲動亢進で次々と何かしたがる)

不眠でも気にしない、躁が長くて続けばいいと思う、病識の欠如も多いです。

・不安
心的のみでなく、身体では頻脈、発汗、口渇、動悸などの自律神経症状。

不安そのものがあるから疾患ではなく、正常人にも不安は起こります。

現実に直面化する現実不安、予期不安があります。

・恐怖
動物恐怖、昆虫恐怖、ピエロ恐怖などの単純恐怖、高所恐怖、閉所恐怖(空間恐怖、広場恐怖)、対人恐怖(対人恐怖)、不潔、疾病、醜形恐怖。

・強迫
こだわりによる強迫観念。
強迫観念、不潔強迫から手が擦り切れるまで手を洗う、長時間行為を繰り返す緩慢、ためこみ、宗教的、性的強迫。性的な考えが頭から全く離れようとしない。優格観念は頭から離れない思考で、正常人にも生じますが、強迫は自動思考化して抑うつ的になることもあります。

かなりの苦痛を伴い自殺念慮が出ることがあります。

・せん妄

不眠、幻覚、睡眠、見当識障害。錯乱、感情障害、イライラ。

身体因が隠されていれば死に至ります。

急性の発症、日内変動(一日内で変わる)、日間変動(日により変わる)意識注意が不穏になる悪性の寝ぼけ。

入院して患者の急変にはせん妄を疑うべきと言います。

過活動、無関心、不活発低活動、混合型。

脳の脆弱性の発現なので、超高齢、認知症で身体不快不安、感覚刺激過剰過少、せん妄は何の因子がなくても出現することがあります。

ベンゾジアゼピン系不安剤や睡眠導入剤はせん妄に限らず解離などの意識記憶障害には悪化させるので使用しません。

・記憶障害

前向性健忘(新規記憶が獲得できない)、逆行性健忘(獲得されたはずの記憶が想起できない)。

記銘障害(覚えておけない)、想起障害。想起障害は再生再認可能な場合と不可能な場合があります。

顕在記憶障害/思い出そうと努力して思い出す。エピソード記憶(昨日の夕食は誰と何をどんな雰囲気でどこで食べた)

潜在記憶障害/自然に覚えていて再生可能、料理、器具の使い方など体で覚えていた体験が想起できなくなる手続き記憶障害(構成失行)。

・幻覚
五感全てのモダリティ(感覚受容器)に真の知覚体験と幻覚との区別がつかなくなります。

幻視、幻聴、幻味、幻臭、幻触

薬物、せん妄、レビー小体症候群。幻聴は不快音、不快な言葉「死ね」など。

自分の内言が考想化声で聞こえます。

対話幻聴は統合失調症、他人同士に噂されているのを感じます。

(幻覚は真実のもの、錯覚に近いものに分かれます。全く外界からの刺激のがないのにはっきりと真実の感覚として発生、例えば現実の声とまったく変わらない知覚を持つ真性幻覚、なんとなく聞こえるようだという偽幻覚です。)

・妄想(修正不可能な場合)

妄想はあらゆる精神疾患でも起こり得ますし、正常人でもストレスなどで発生することがあります。

◯ 直感的気分で確信された一次妄想はなんだかおかしな事が悪意などが満ち溢れているような感じ。
裏付けがありません。

「妄想気分」→世界観の崩壊の不安

「妄想知覚」→妄想的意味付け(テレビで芸能人が笑っている。(真実の刺激)→自分を嘲笑している)

「妄想着想」→突然思い付く、ひらめいた妄想を確信

◯ 二次妄想

主観性で事実を捻じ曲げて理解するので、絶対に了解不可能(Karl Theodor Jaspers)ではない妄想です。

躁状態で、高貴な生まれと思い込む血統妄想、神の予言を受け取っていて神のお告げを特権的に理解できる神の子である宗教妄想、世界的大発明をしたと思い込む発明妄想です。

これらは誇大妄想ですが、うつだとネガティブな妄想が頻出します。

恐ろしい罪を犯してしまった罪悪感を持つ罪業妄想

どんなに大金持ちでも破産寸前と思い込んで(一家心中する場合もあります)貧困妄想

徴候が軽い、徴候がなくても致死的疾患と思い込む、内臓全体が腐っていると不合理に思い込む心気妄想です。

これらは微小妄想、虚無妄想といって自分の価値下げをします。

聴覚障害で迫害、被害妄想が起こる場合があります。

統合失調症的な妄想としては無理やり行為をさせられるさせられ体験、勝手に思考が流入してくる考想封入、

考想奪取、考想伝播、いやらしいことを考えてしまうと通行人に悟られてしまうなどの「サトラレ」

◯ 神経心理症状

失語
Broka失語
運動失語、頭頂野の障害で、考えていても発語できません。
復唱はできます。
知的理解力も清明です。

Welnike失語
感覚性失語。流暢に話しますが、側頭葉障害で錯語多く文意不明、理解力は低下しています。

超皮質性運動失語
自発語が低下、理解、復唱可能

超皮質性感覚
錯語、語義理解障害、喚語障害(言おうとしたことが出てこない)

伝導失語
音韻性失語。記憶や聴覚の障害があり、復唱ができなくなる。理解や言語表出は可能。

(千美梨ちゃんが寝てるのでおまけ省略)

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◯ 精神疾患を持つ人との恋愛

精神疾患患者との恋愛には通常と違った難しさがあります。

まずは対人恐怖、外出に対するおっくうさがある人にどう対応したらいいかという困難があります。

そこで「何で外に出られないんだ」と責めるような言い方をするのは禁物です。

外に出られない、そしてあなたに家の事、買い物をしてもらわなければならないということについて負い目、引け目を感じています。

ですからあなたが簡単に出かけられる範囲でも怖いという気持ちがあればまずは公園にでもコンビニにでも付き合って行ってみましょう。

それも無理なら、強制はいけません。

対人恐怖はそれ自体が病気とは限りません。

他の全ての精神疾患から派生している場合があります。

とても怖い、怖い思いをしたという体験はあなたにも了解可能な恐怖です。

女性だとコンビニで無理やりナンパをされた、道でキャバクラのスカウトをされた、男性だと通りすがりの人に変な目で見られた、これらは外に出ていくのにとても障害になる経験なのです。

まずは外に出る体験を、信頼できるあなたとだったら比較的容易なので、試してみる価値はあります。

家が散らかっている、長い間お風呂に入れない、歯も磨けないことに対して批評批判は禁物です。

場合によってはあなたが一緒に入浴して体や頭を洗うことも必要になります。

目標としては、とりあえず近くに散歩できること、それは外界との接触を久しぶりにすることなのです。

あなたは相手の手を引いて歩きます。

ちょっと外の公園に出るのも困難で怯えるかもしれません。

しかし外に出ることは大きな一歩です。

外に出るのがだんだんと怖くなくなってくる、それを繰り返して学習していくと比較的外出が容易になります。

ここから一歩飛び越えて市区町村役場やワムネットというサイトから施設を探して、就労継続支援施設や自分が昼間いる場所を探す、誰かとかかわることを学べる人もいます。

病院のデイケア、役場の地域包括センターの利用も視野に入れます。

ただ、やはりあまり無理はいけません。

病状、病気や環境のせいで引きこもっていた期間だけ怖さは強いのです。

最初のうちはあなたがいろいろと代行して連絡しないとならない事があるかも知れません。

役所、不動産屋、病院などです。

なるべくゆくゆくは自分でできるようにしましょう。

ここで身の回りのことが何もできない相手に対し、自立を促すため厳しく接する有効な場合もあれば、休み休み少しづつを目指した方がいい場合もあります。

あくまでもあなたは相手に愛情を持って接することが大切なのです。

精神疾患があると感情のコントロールがうまくいかない場合も多いので、あなたに矛先が向かって行き、怒りの感情が向けられることも覚悟しておきましょう。

精神疾患患者はなぜか精神疾患患者と付き合う傾向があります。

出会いの場が限られているからでしょうか。

お互いに協力して助け合えればいきのですが、そういった綺麗事では済まないことが多々あります。

そうするとお互いの弱いところを突いて攻撃し合うことになります。

この人のことを愛している、そしてかけがえのない理解者ということがわかっていくと結びつきは強固なものになるので、精神疾患患者同士の恋愛が絶対にいけないという理由はありません。

それよりもお互いの強みは何か、弱みは何かということを知っておきましょう。

強みはお互いを助けることにつながりますし、弱みを知ることで備えになります。

メンタルの強い人でないと弱い人は支えられない、これは一見真実ですが、強いだけで相手が何でもできると思って追い込んでしまうと厳しい人だと思われてしまうだけです。

そういった意味では自分の弱さを自覚しておくことができたら恋愛には大いに役立ちます。

精神疾患患者は患っていた期間だけ、回復、そして成長は大幅に遅れます。

あなたはじっと待ちましょう。

待ち、そしてできそうなところは手助けをする、できたことについては徹底してほめる。

して欲しくない行動が出た時にはあまりこだわらずに放置しておいても大丈夫です。

そのうちクールダウンして、あなたも怒っていなければ、自然に収まっていくものです。

あなたが相手の最大の支援者です。

あなたが支援する分にはいいのですが、相手に支援を期待すると相当な負担になります。

支援というよりは相補援助と思えるようになるといいです。

つまり支援する側が上の立場というわけではなく、支援する側、される側は同等ということです。

相手がいる、そしてかけがえのないたった1人の恋人としてあなたを認めているということに幸せを感じていけば最高の関係になります。

精神疾患があるから何もできないというわけではありません。

好み、趣味、病む前にしていた事柄は親しみを感じて再開できるかもしれません。

あなたは相手の全てを受け止める、そして必ず回復するかどうかもわからないという事実を受け入れることが大切になります。

わからない可能性が達成できて、あなたと相手との関係性が成立した時に初めて愛情は生まれます。

(おまけ)

千美梨:もっともらしいこと書くこともできるのねえ。

僕:まあ真実だからねえ。

千:おうちとは全然違うけど。

僕:いやあ照れるなあ、僕そんなにちみちゃんに特別に優しいかなあ。

ち:時にはワタシ放置されっぱなし、時にはおうちの事ワタシだけやらさらてね、それからね、アナタ研究会って家空けてばかりでね、

僕:あ、それで思い出した。幹事だからあちこち電話しなきゃ、ありがとね。

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◯ 精神科医をぶっとばせ!

心理職は「カウンセリングはいいもの」「自分が勤めている病院もいいところ」と次第に愛着を持って職場に勤める事も多いです。

それ自体は決して悪いことではありません。

ただ、ティーンエージャー(に限らず)必要性があって精神科に通っている患者さんの本音を聞いて

「いやだよう、いやだよう、また診察だよーあの医者会いたくない、こわいよー」

という言葉を聞いた事は一度や二度ではありません。

「あの医者ぶっとばしてえ」など過激な事を言う患者さんもいます。

医師も3分診療で患者さんの精神科・身体管理、服薬コンプライアンスと次々と矢継ぎ早に聞かなければならないのですが、それを「怖い」と若い患者さんなら自分の心身に土足で踏み込まれると思うことがあるのでしょう。

精神科に通っていて「この人は治療が必要だなあ」と思っていても病院が怖くてドロップアウトして治療から離脱してしまう患者さんも多いです。

以前ドクターショッピングは悪い意味だけではなくとらえられるべきだと書きました。

実際田舎住まいの患者さんだと苦労して長距離を越えて初めて行った病院で「ふん」と冷淡にあしらわれたと感じるとすぐ病院を変えたくなってその場で紹介状を書いてもらうよう依頼することもあります。

また、精神科医が変わると病名も変わる事は多々あります。

うつ病なのかなあと思っていた患者さんが「君は人格障害だね」等と初対面の医師から言われて「えっ、私人格否定されてる」

と病院に行かなくなってしまう例もあります。

そこでいつも問題になるのは公認心理師法第42条2項「主治の医師の指示」です。

「あのお医者さんイジワルだからキライ。もう来ない」という患者さんにどう接しようかなあと迷うわけです。

もう公認心理師の存在はもちろん精神科医も知っているので「君らは医師の指示を絶対に聞かなきゃいけないんだろ?」とすでに言われた心理職の人たちも多いと聞きます。

診察前に医師と会いたくないと言われると迷ったあげく「えっと、◯◯ちゃん、治療アドヒアランスが低いので」と医師に報告しなければならない場面も出てきそうですが

(要は来る気がしない)

と言うのも患者さんの守秘義務を守り切れていないような気がします。

間にはさまれると心理職は苦労します。

他科であれば、最新の技術や知識を学んで手先も器用なバリバリの、溌剌とした20代後半から30代の先生だったら患者さんやその家族も手術や投薬を任せたいと思うかもしれません。

ところがこと精神科に限っては患者さんは医師との相性をとても重視しますので若くて元気があればいいというものでもありません。

医師は医療ヒエラルキーの頂点で、そう振る舞わなければならない、患者さんの管理者でもあるので堂々としていなければならない、だからプライドが高いように見えます。

猛勉強を重ねて医療専門家の頂点に立ったわけですから本当にプライドが高い医師も多いでしょう。

そういった医師の事を患者さんは「いばってる、いつも命令する」

と嫌うことがあります。

患者さんは精神科医療に対して何よりも「理解」や「共感」を求めます。

これは心理職がその思考原理として学部時代から叩き込まれている事ですが、医師は精神生物学や精神薬理学が基本です。

「私が感じていることを(医師の)先生にも同じように感じて欲しい。」

という患者さんの気持ちは時として治療者側からの反発を買うことがあります。

「お風呂で頭を洗うと虫がいっぱい落ちてきて気持ち悪い」

だと「幻覚」と決めつけることもできますが、「そういう気持ち悪さを感じていたら相当に辛いですよね」と実は共感しやすいかもしれません。

むしろ微妙な領域が難しいです。

「姑は私にイジワルばかりしている。旦那と実家行って旦那がトイレに立つと私にだけ『まだ子どもできないのか。お前に魅力ないんだろ』とチクチク言われる。ね、先生、私はちっともおかしくなくて姑がオカシイんですよね?」

ここで医師が「そうですよ」と言うと患者さんは「◯◯先生もお義母様のことオカシイって言ってました。だからワタシおかしくなって病院行ってるんです。」と言われるかもしれません。

「私と一緒の気持ちになって共感してください」

というのは微妙な心理の仕事で、医師の投薬治療を中心とした業務とは異なっているような気がします。

ただ、医師も何らかの形で患者さんに対してポジティブな気持ちを示しておかないと患者さんは治療から離脱してしまいます。

もしくは「精神科医なんかただの薬屋だから気持ちなんかわかってくれなくてもいい」と嫌々通い続ける患者さんが増えると、投薬センス抜群でもどこかに人当たりが良くて話を聞くのが上手という評判のいい病院ができたらそちらに移ってしまいます。

精神科医の先生で尊敬に値する名医は数多くいます。

そういった先生は精神療法にも十分に理解があり、患者さんの病態を正確にとらえ、温和で患者さんへの当たりもいい、心理職と協働してしっかりとした治療方針を示して明確な指示をしてくれます。

こういった先生が出す薬は患者さんも飲み忘れが少なくなり、効果も高いと言われています。

ただ、患者さんが診察を恐れてしまう権威がにじみだして独特のオーラを出している先生もいて、オーナーは部下にも厳しいのでそういった先生が来るだけで空気が張り詰めてしまう先生もいます。

こういった先生はなかなか患者さんが診察を受けたがらない、でもきちんと病院にはかかかり続けて欲しい、心理職は迷います。

結局は治療を受けるか受けないかは患者さん次第です。

管理者administratorと治療者therapistの役割を峻別するA-Tsplitは大切ですがあまりに医師が管理者に徹してしまうと、標題のような気持ちになる患者さんはいるでしょう。

それは患者さんが厳格な父親に育てられた事の投影かもしれませんが、投影も人間の立派な心理です。

心理職ははざまの人です。

医師と患者さんの受け渡しをうまくできて、患者さんが普遍的に持ちがちな「精神科医をぶっとばせ」という気持ちを理解しつつ、より良い医療を受けられるようにするのが心理職の仕事だと思っています。

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