ひなたあきらの公認心理師でポン!

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: 精神医学

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おはようTwitter

きょうも
心のさえずりに耳を傾けて ໒꒱⋆゚


◯ タレント精神科医・臨床心理士は要らない

1.自称有識者が専門性の大安売りをしているという事実

大きな事件が起きる度、精神医学・臨床心理学の専門家が自称有識者としてマスコミに登場して当事者の精神状態を分析して勝手に診断名までつけてしまう。これは刑法民法における名誉毀損・侮辱罪にならないの?

といつも思ってしまいます。文春オンラインで《渡部不倫》精神科医が分析「妻を愛していながら、自己愛と性欲はなぜ暴走したのか」という記事内で片田珠美氏がタレント渡部氏のことを「自己愛性パーソナリティ障害」ともちろん会いもしないのに診断し、「Aという事実がある、それに対して私はそれを根拠として診断する」という「安物の精神分析はもうやめませんか?」(片田氏は精神分析が専門)と思うわけです。

そうすると精神医学だけでなく精神分析への冒涜に感じてしまいます。実はこの人はフランス精神分析家ジャック・ラカンの難解な精神分析理論を放送大学でとで平易に説明していたことがあり僕はそれを見て「すごい頭がいい人だなあ」と思っていたので感心していただけにがっかりしました。

また、重大犯罪が起きるとそれに対してやはり識者として精神科医や臨床心理士が引っ張り出されてくるわけです。

その度に会ったこともない被疑者の診断・心理分析を行う専門家たちの専門性はどうなっているのでしょうか?

医師も心理職もそれぞれ厳しい職業倫理と秘密保持義務を背負っているわけです。特に犯罪被疑者はどんな重罪を起こして犯行に及んだのが被疑者だろうと思われたとしても、推定無罪の原則が働くわけです。

そういった意味では何か事が起こると被疑者が犯罪を起こしたに違いないとまず有罪ありきで考えてさらに被疑者の心理分析までしてしまうという事は推定無罪の原則を覆してしまうわけです。日本の刑事裁判は確かにほぼ100パーセント有罪判決が出ますが、冤罪だつたらどうするのでしょうか?

2.マスコミによる印象操作

マスコミは有識者が言うことを報道しただけだから、関係ない、自分たちの 責任ではない、というスタンスを取るのでしょうけれどもそんな理屈は通りません。

また、僕が許しがたいなあと思うのは犯罪がある度に精神障害者は無差別に犯罪を起こす危険な存在として扱われることです。

僕が精神科機関病院でバイトしてた時には土日当直で措置入院患者の判定のために精神科医2人を自宅待機状態にしていたわけですがとにかくもうヒマでヒマでしょうがない。有名なことですが「などと被疑者はわけのわからないことを述べており」というのは99.9%ヤク切れで暴れている人ですが、後からたとえそうだと判明したとしても、マスコミはそれを報じません。

なぜならばそういう事を報じても面白くもなんともないからです。有名な話ですが、統計を取ると精神障害者の犯罪率は一般人に比べてはるかに少ないです。

少年法もこれまで20歳未満だったのを18歳未満に適用を引き下げて検察官送致として少年犯罪を厳罰化しようとしています。

ちなみに少年犯罪は少子化の影響で発生数が劇的に減少しており犯罪発生率も有意に低下しています。

これは立法府による、まあ人気取り施策です。なんだかよくわからないけれども厳罰化厳罰化と言っておけば支持率は上がるだろうという安易な流れができています。

今の少年たちは暴走族で群れるよりは、家の中でゲームをしている方が面白く、古くは棒を振るってヘルメットをかち割るような団塊の世代のような事はしません。

気が短くて荒々しく凶悪犯罪を多発させていたのは団塊の世代で、横断歩道で歩行者にクラクションを鳴らして気ままに前車を煽る運転をするのも団塊世代とコラムに書かれるような事を今どきの若い人はしません。

この少年犯罪の厳罰化にも精神科医や心理学者は深くかかわっていて、自称プロファイラーなどとわけのわからない有識者は述べており、当局は厳しく取り調べを行うべきだと思います。

今回の新型コロナでもそうですがマスコミは専門性がない自称識者の怪しい説を垂れ流しています。

マスコミは第4の権力と呼ばれて久しいのです。SNSという、国民の生の声がさらに厳しくマスコミや政治を批判して検察庁法すら撤回させている今、半値8割引きのバーゲンよろしく専門知識をわけもわからずに振り回している識者たちは自らの価値や拠って立つその専門性も大暴落させているということに気付いて欲しいです。

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あの頃は
幸せはそこにしかないと
思っていたね


◯「精神科は、今日もやりたい放題」なのか?

標題は、精神科治療は薬漬けではないか?という問題点について指摘し続けている医師、内海聡氏の著作のタイトル名です。彼については様々な毀誉褒貶があり、僕も彼の言説に触れていると複雑な思いがするのですが、一面で鋭い指摘もなされています。

1.精神科医療の現状

内海聡氏は1973年生、筑波大学医学部卒業後、勤務医を経たのちに茨城県牛久市で「牛久東洋医学クリニック」を開業、その後現在では東京でTokyo DD Clinicで一切西洋薬を使わない自費診療クリニックを開業しています。

さて、従前から日本の精神医療の問題点として指摘されているのは「過量・複剤処方」で、患者さんが薬漬けになってしまうという危険性です。

処方量の適正さについてのひとつの目安としてcp換算値という単位があり、内海氏もこのcp換算値を重視しています。

※ 地域精神保健福祉機構CHOMHBOのcp換算値が計算できるサイト
https://www.comhbo.net/?page_id=4370
(レキサルティはまだ掲載されていません。)

抗精神病薬の作用機序や相互作用はさまざまなのでcp換算値=絶対、というわけではないのですが、統合失調症薬として使われている定型・非定型精神病薬は、最も古い抗精神病薬として知られているクロルプロマジン(商品名コントミン、昏倒眠とも揶揄される鎮静効果あり)を基準として1000mg以上が1日量として処方されている場合、必ずといっていいほど過鎮静になります。

過鎮静になると全くといっていいほど動けなくなり、食事、水分摂取、トイレに行くのすら一苦労です。

600mg以上でも過鎮静になっている可能性もありますし、300mg以上でもその人の状態によっては副作用症状の方が強めに出て動けなくなることもあります。

内海聡氏は茨城県でクリニックを開業していたころから、こういった過鎮静に陥っていると思われる患者さんやその家族に書籍や講演などで情報発信をしていき、同クリニックは関東中から寝たきり、引きこもりになっている精神疾患患者さんが藁をもすがる思いで集まるようになりました。

内海氏の著作として「精神科セカンドオピニオン2」などがあります。統合失調症と発達障害には見分けがつきにくい場合があり、統合失調症の症状が改善しないので精神科医がどんどん投薬量を増やしていくと副作用のほうが強く出てきた患者さんをよく内海氏が成育史などを聞いていくと発達障害の場合がある、だから抗精神病薬を徐々に抜いて漢方中心の治療に切り替えるとよく体が動くようになって病状が改善するというものです。

実際、僕も色々な医療機関で治療を受けてきた患者さんと話をしてきたことがありますが、過量服薬となっていた患者さんたちは確かに多いです。

内海氏著作標題書にも述べられていますが、医師の人格と投薬センスとは無関係なもので、それは彼の指摘のとおりです。

古いタイプの教育を受けた、または投薬センスがよろしくない医師はまずA薬という薬を処方してみます。そして症状が改善されないようだからとB薬を出します。

そうすると副作用が現れ、副作用止めのC薬を出し、なんだかよくわからないままに病状が悪化しているのでなんらかの副作用止めD薬に加えてまた新しい抗精神病薬E薬を追加、増量してそうこうしているうちに立派な過鎮静患者さんが出来上がってしまうというわけです。

こうなると一向に良くならないどころか全く身動きが取れなくなってしまうのですが、人柄がよくいつもにこにこしていて優しい主治医の言うことは絶対だし、信じていればいつか良くなるだろうと思っていても良くなるわけがないです。そうすると自己流で減薬、断薬を試みたりするのですが、抗精神病薬の減薬断薬を一気に行うと、強い薬のカクテルで抑えられていた症状が再燃して悪化したり、横紋筋融解など身体的有害症状も出て死に至る場合もあります。

ですので過鎮静にまで至っている患者さんの場合には慎重に1年ぐらいかけて減薬を行うのがセオリーです。以前の内海氏は統合失調症と誤診されていた患者さんを発達障害、アダルトチルドレンと診断し直し、西洋薬は最小限処方で、漢方中心の治療法に切り替えるという治療方針を取っていました。

確かに日本の生物学的精神医療は過鎮静を引き起こすような治療を行っているこういった暗部を抱えていています。興奮性症状を示す患者さんを過鎮静にさせてしまえば施設内では楽だからそうしている「薬物ロボトミー」を行っている機関もあるという恐ろしい事実もあります。

欧米では抗精神病薬は基本的に単剤処方しか認めないという流れがあり、日本でも単剤処方主義の大学病院やその流れを汲む医療機関は数多くあります。

ただし、抗精神病薬=悪、減薬断薬=正義、と決め付けてしまうのは危険性も伴うと思うのです。

2.内海氏に対する個人的な疑問

発達障害なのだろうと思い、減薬断薬第一で治療をしていて実際には統合失調症だった場合、症状が増悪すると必要だった薬が投与されていない、その場合に必要な手当てがなされているのだろうかという疑問があります。それとも統合失調症と発達障害を初めからきちんと峻別し、発達障害のみを治療対象としているのでしょうか。

薬害に関するNPO法人を主催している内海氏ですが、代替医療としてのホメオパシーを推奨しています。

ホメオパシー、反ワクチン主義は世界的に科学性に乏しいとして批判されています。過去にホメオパシーを医療行為の代わりに実施したことで死亡例も出ているのです。

内海氏の他にもホメオパシーを推奨している医師はいるのですが、それは西洋薬をきちんと投与した上で総合的な治療行為としての安全性を担保した上で、どちらかというとホメオパシーを精神療法の一種として行っています。

治療行為としてエビデンスが確立されている抗精神病薬など西洋薬を一切使用しないという内海氏の治療方針はいかにも危なげに思えます。

食事療法は精神医療においても大切と思えますが、内海氏の、妊婦の食事状態が悪いから発達障害児や自閉症児が産まれるという見解の表明は、産婦人科医からエビデンスがないと猛烈な反発がありました。こういった子どもを持った親に対してはスティグマを持たせることになったことでしょう。

内海氏の著作や発言の過激さを見ていると、患者やその家族に対し、自らを信奉するように強要していないかという不安を抱いてしまいますが、それとも元々内海信者のみを治療対象としているので、インフォームドコンセントを含めたその辺りの問題はクリアされているということなのでしょうか。僕は「信者」を作るような医療を個人的には好みません。

内海氏は反原発論者でそれに関する著作もあります。政治的思想は誰が持つことも自由でその意見表明も自由です。

ただし、医療においてエビデンスが不足していると、僕のような心理職としては彼の行なっている新しい試みに関してのメンタルケアは大丈夫だろうかと不安になるわけです。(心理職を雇用した方がいいという意味では決してありません。独自の発想に基づく治療には医師自身が患者さんに対するケアを十分に行うべきで、脱落者や増悪例への対応がなされているのかという懸念を含みます。)

もちろん彼の自費診療中心のクリニックには行ったこともなければ診療受付、適応症から治療に至るまでの流れも不明なので、その辺りを知らないと十分に疑問は解明できないかもしれません。

Twitterアカウントをいくつか持っている内海氏ですが「キ◯ガイ医師」というような精神障害者への差別と取られかねないハンドルネームにもその思想的な危惧を抱くのです。

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(@Skylit_Blue)
誰しも後悔はするもの。あの日あの時、たらればたられば…。明日に転用する為の分析ならいいかもしれないけれど、ただのパラレルワールド旅行なら、ちょっと時間がもったいないかもね。その時点での最善と呼べるものを選んでいるならば、それでいいし、それが全てなんだから。回想が好きなら別だけど。


◯ 受験生も公認心理師も知っておきたい精神薬の副作用

「副作用がない薬には主作用もない」と言われています。精神薬の副作用は毎回公認心理師試験にも出ています。「医者が把握して聞いとけばいいんじゃね?」

という説ごもっともですが、3分間の診療で「はい、変化ないです。」と言うだけで公認心理師は服薬指導はやってはいけないということになっていますが、実際にはラモトリギンを服用している患者さんが「最近湿疹ができて痒くてねえ」と言ったら青ざめて医師に報告して、もう一度診察室に入ってもらわないといけません。(前にも書きましたが)

ラモトリギン(ムードスタビライザー、気分安定薬、抗てんかん薬ですがスティーヴンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS、皮膚粘膜眼症候群)といって全身の皮膚が壊死するという難病になり湿疹はその前兆で、死に至ることすらあります。

賦活症候群(ふかつしょうこうぐん、またはアクチベーション・シンドローム、Activation Syndrome)は抗うつ剤SSRIによって起こる不安や焦燥感、躁状態になることもあり、飛び降りたりすることから、未成年に多発していたこの症状から18歳未満の患者に禁忌または慎重投与です。(公認心理師試験既出)

セロトニン症候群がSSRIに起きることもあります。SSRI2種を重ねて投与することが原因の一つとも言われています。てんかんで生じるミオクローヌス発作という筋肉の不随意運動が同時に起きることもあります。発熱、早い呼吸などが特徴で、横紋筋融解といって放置すると死に至ることもあります。ちなみに横紋筋融解は力価が高い抗精神病薬をいきなり抜くと起きることもあるので徐々に1年ぐらいかけて抜くこともあります。
セロトニン症候群については
厚生労働省資料
重篤副作用疾患別対応マニュアル
https://www.pmda.go.jp/files/000144659.pdf

悪性症候群は

抗コリン作用は、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や抗精神病薬、抗うつ剤で起こることがあり、口渇感や便秘、排尿障害や吐気が起こります。口渇感には水を多飲してしまうのでなく、口を湿らせる程度にしておくことが勧められます。  

錐体外路症状(EPS)は、動きが全くなくなったり、多動になったり、震戦、顔をしかめたり首を動かすという不随意運動です。下記アカシジアやジストニアも含まれます。

アカシジア(akathisia)は、錐体外路症状の一種です。静坐不能となり、足がむずむずして耐えられないような苦痛を起こします。ベンゾジアゼピン系の抗不安剤やハロペリドールのような抗精神病薬で起こることがあります。むずむず足症候群とだいたい同じような症状で、これを長期間放置しておくと自死に到ることすらある苦しさがあります。

もむずむず足症候群と同じく「両足を切断して欲しい」という患者さんすらいます。それがいいという教科書もあれば、禁忌だともされている記述もあるのですが、抗パーキンソン剤を処方して症状を緩和させることもあります。

ジスキネジアも不随意運動の一種です。そうしようとは思わないのに口が勝手に動いてしまうオーラルジスキネジアが多いです。手を回内会外といって、勝手にドアノブを動かすような動作、足の不随意運動もあります。遅発性ジスキネジアは、抗精神病薬を長期間連用していて起こることがあります。四肢に起こりやすいです。

ジストニアは不随意に体が動く症状で、全身性と局所性に分かれます。不自然な姿勢を長時間強いられることがあり、これも抗精神病薬の長期連用で起こります。急性の痛みを伴う場合あり。

高プロラクチン血症は男性でも乳汁が出たり、月経不順、男性では性欲減退が起こることがあります。これも抗精神病薬の影響で起きることがあります。Risperidoneリスペリドン(商品名リスパダール等)長期連用は骨粗しょう症や乳がんの原因ともなります。

非定型精神病薬の副作用としてはOlanzapineオランザピン(商品名ジプレキサ)やQuetiapineクエチアピン(商品名セロクエル)Aripiprazoleアリピプラゾール(商品名エビリファイ)Brexpiprazole ブレクスピプラゾール(商品名レキサルティ)による、糖尿病ケトアシドーシスによる死亡もあり得ます。(急なインスリン分泌不足で血糖値が高いままなので昏睡状態に陥ることあり。)このため、これらの非定型精神病薬を服用して口渇感や多飲多尿頻尿の状態になったら投与中止の可能性が高くなります。また高脂血症に陥ることもあります。

定型精神病薬、非定型精神病薬にかかわらず大量投与は過鎮静となって動けなくなります。

体重増加は一部の抗うつ剤や抗精神病薬で認められ、Mirtazapineミルタザピン(商品名リフレックス、レメロン)Sulpirideスルピリド(商品名ドグマチール、ベタマックなど)、Clozapineクロザピン(商品名クロザリル)
Risperidone、Quetiapine、Olanzapineで認められます。

なおClozapineは治療抵抗性の統合失調症薬として画期的な著効がありますが無顆粒球症の(血液中の好中球減少症)可能性が高く、定期的な血液検査が必須です。

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◯ DSM-5毎回徹底復習・神経発達障害、統合失調症、双極性障害

まず、DSMの多軸診断システムが廃止されたことは神経発達症診断においても大きな変化をもたらしました。
ASDは何パーセントぐらい、ADHDは何パーセントぐらいとディメンション(多元的診断)可能になったということです。

特に神経発達障害において診断基準が変わりました。

・精神遅滞→知的障害と変更されています。
従来のIQのみによる診断でなく、生活能力を診断の中に取り入れています。

DSM-ⅣTRでは広範性発達障害という大きなくくりの中に
・自閉性障害
・アスペルガー障害
・レット障害
・小児期崩壊性障害
・特定不能の広汎性発達障害

という5つの下位分類がありましたが、DSM-5では神経発達障害はレット障害(遺伝因子がレット障害では特定されたため)ASDに全て包括的されることになりました。

診断基準にも変更がありました。DSM-Ⅳ-TRは、社会性、対人関係の交渉、コミュニケーション障害、想像力の障害に基づく興味・関心の限定というWingの3点が基準でした。

DSM-5では、
1.コミュニケーション障害と2.反復的な行動と興味という2つの分類に変更になりました。

この2つを満たさなければASDとは診断されません。

2.のみの場合は、社会的コミュニケーション障害と分類されます。PDDNOS(特定不能の広範性発達障害は社会的コミュニケーション障害の中に包含されていきました。)

DSM-Ⅳ-TRではPDD(広汎性発達障害)なのかASP(アスペルガー障害)なのかPDD-NOS(特定の不能の広汎性発達障害という診断のごみ箱のような概念)なのかという独立した疾患単位として 見ていたのが、支援を要する必要性、社会的なコミュニケーション能力、限定反覆された行動の社会適応度で、グラデーション様のスペクトラム概念を採用することになったのです。

ADHDは実はDSM-Ⅳ-TRでは発達障害の枠組みの中には入っていませんでした。

ADHD=行動障害→神経発達障害に分類し直されたこと、7歳→12歳以前に引き上げられ、17歳以上ならば下位項目基準が6→5に基準緩和され、さらに重症度判定も導入されるようになりました。学習障害が限局性学習障害になりました。

さて、ADHDの診断治療ですが、ストラテラにしてもコンサータにしても中枢神経を刺激するので興奮を与えるわけです。したがってその鑑別診断には双極性障害との峻別がとても難しいでしょう。

双極性障害でも躁がある程度抑えられている人ならば投薬は大丈夫でしょうけれども、中枢神経刺激薬の場合には躁転の可能性も捨てきれない。

ADHDの人が2次障害でうつを併発している場合にはSSRIやSNRIが有効だけれども双極性障害を併発している場合には使えないこともあり得るわけです。

小児期に神経発達障害が発見されていて、それが可能な場合は話し方教室のような通所で言語療法士や心理職による療育が行われることで成長してからの社会適応度がかなり高まる場合もあります。

特別支援学級、特別支援学校で子どもにSSTを行うのは、応用行動分析的手法を援用、困難さも伴いますが必要かつ有効な仕事です。

◯ 統合失調症スペクトラム障害
Scizophrenia Spectrum
統合失調症もDSM-5だと連続体のスペクトラムとして扱われています。

DSM-Ⅳだと統合失調症が独立していて、他の妄想性障害、統合失調症様障害、短期精神病障害のカテゴリーが重なることもあればまったく独立していることもあったという仮定で診断基準を構築していました。

DSM-5の診断基準ではA群パーソナリティ障害の
失調型人格障害、妄想性障害、短期精神病障害、統合失調症様障害、統合失調症とだんだん色濃くなるスペクトラムとなっています。

・有病率は0.8パーセント、10代後半から発症すると言われている遺伝的負荷の高い疾患です。

2014年の患者調査によれば入院患者266,000人のうち16,6000人、外来患者258,000人のうち70,000人です。

陽性症状としての被害的幻聴(「死ね」とか)妄想(見られている、盗撮されている注察妄想)幻視は統合失調症にはあり得ないと従来言われていましたし長い間論文にも書かれていましたが、虫が見えるなどの臨床例は僕も扱ったことがあります。

自我障害
させられ体験、作為体験、自我と世界との間が不分明になると思考もその境界が曖昧になり自生思考となり、自分の思考は漏れ出て、他人の思考が流入してくるように感じられます。

まとまりのない会話、行動、不統合

精神運動貧困、鈍麻、自発性低下
これらは統合失調症の陰性症状でよく出てきます。

病識障害

対人関係、身辺処理、ひきこもりなど(他の疾患でもお風呂に長く入れないことは多いですが)

DSM-Ⅳ- TRでは統合失調症の中の各状態を並べていたのが、DSM-5になって一気に整理されたようです。

統合失調症の中核症状は妄想、幻覚、解体した思考と会話、ひどくまとまりのない言動または緊張病性の行動です。

DSM-5では統合失調症スペクトラムの最初に統合失調症型人格障害
Scizotypal Personality Disorder
を持ってきていますが、DSM-5スタディガイドの症例を見ると超能力的、UFO、世界の終わりを信じ続けている女性の例が掲載されています。

スキゾタイパルパーソナリティ障害も遺伝因子が高く、すでにICDでは統合失調症の中に分類されています。

統合失調症スペクトラムの薬物療法はあらゆる定型抗精神病薬、非定型抗精神病薬が使われてきました。

ヒルナミン、レボトミン、コントミン、ハロペリドール、セネストパチー(身体異常感覚)にはオーラップ

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クエチアピン、エビリファイ、リスパダール(持続型注射が患者さんにはコンプライアンスの点でかなり楽なんだようです)、ジプレキサ、インヴェガ、

薬物反応耐性がある難治性の統合失調症にはクロザピンが奏功を呈するのですが、無顆粒血症の危険から週一回の血液検査が欠かせないのがネックです。

統合失調症スペクトラムにも精神療法は有効です。

エビデンス重視の認知行動療法が有効性を常に喧伝していますが、あらゆる精神療法に反応する可能性があります。

認知行動療法は妄想を持つ患者さんを説得するしようと論争になってしまうと逆効果となって脱落することもあるので、一学派の治療法にこだわらなくてもいいのではないかと思います。

双極性障害及び関連障害群

このブログでは双極性障害は何回か取り上げています。日本の有病率は0.7パーセントです。

入院を必要とするような高いテンションが特徴、時として大騒ぎをして暴れることもある双極Ⅰ型、うつが前面に出て来て、時に躁状態になるⅡ型、II型はラピッドサイクラーやウルトララピッドサイクラーとなることもあります。薬物性の双極性障害をⅢ型と呼ぶことがあります。

DSM-5ではクレッチマー以来、循環気質としてうつ病、躁うつ病として認められていた気分障害が、双極性障害は遺伝的疾患で、うつ病とはかなり違う発生機序として扱われることになりました。特に一卵性双生児研究では双極Ⅰ型は89パーセントの一致率です。

双極性障害はうつ病と同じ気分障害というくくりで扱われていたのが、気分障害という概念そのものがなくなったのです。

DSM-5でも統合失調症の次に双極性障害が記載されています。実際、遺伝子研究、家族研究を行うと一家族の中に双極性障害の父、統合失調症の娘など、非常にお互いの有病性が近似していることが判明しています。

双極性障害は精神療法としては認知行動療法がエビデンスがある精神療法として書かれています。躁やうつの時をどうやって乗り切るか、過ごすかは入院、通院とも本人の自覚や家族の協力が不可欠です。バイポラーワークブックが有名な翻訳書です。

ただし、双極性障害に他の精神療法が無効だというわけではありません。

特に躁の時には心理職と言えども管理的Administrativeなかかわりをしなければならない時があり、主治の医師がいない場合には家族に協力してもらい、医療保護入院にまでこぎつけないと病識のない患者さんが安定しないでしょう。

そういった意味ではかなり指示的diretiveな心理療法、というよりはケースワークを心理職がすることがあります。双極性障害は生活、社会リズム障害です。

社会的リズム療法だけでなく、双極性障害は寛解に近づくほどあらゆる種類の精神療法に反応して好転するというイメージが僕にはあります。

治療同盟が出来てしまえば、カウンセラーがリラックスを目的として病識ある患者さんの緊張を心理療法で緩めることは有意義なことです。ストレス、睡眠不足、激務を避けると落ち着いていくことが多いです。

双極性障害は、統合失調症と同じでまずはバシッと抗精神病薬を服用してもらってから、ムードスタビライザーで再発防止のための維持療法を行い、社会的寛解を促すことが多いです。

薬物療法としてはオランザピン(ジプレキサ)、アリピフラゾール(エビリファイ)、クエチアピン(セロクエル)、ゾテピン(ロドピン)クロルプロマジン(コントミン)、ハロペリドール(ケセラン)などの抗精神病薬、

ムードスタビライザーとしては第1選択肢としてラミクタール(ラモトリギンのジェネリックがやっと出ました)、カルバマゼピン(テグレトール)、バルプロ酸ナトリウム(デパケン)などの抗てんかん薬に加えて、炭酸リチウムが抗躁剤として使用されています。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬としてジアゼパム、ロラゼパム(ワイパックス)、クロナゼパム(リボトリール)が使用されることもあります。

ムードスタビライザーは臨床上、一剤使用か2剤使用が多いですが、3剤併用することもあります。相当症状を抑えるために苦労しているのだと僕は見ます。

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◯ 精神科医療の暗部と医療観察法

「子どもの死を祈る親たち」を読みました。

筆者押川剛氏は精神障害者移送サービスという事業と精神障害者のための私設支援施設を経営しています。

家族が医療保護入院といって、本人の任意入院が不可能な場合には家族の同意で入院がさせられるのです。

ただその家族がどうやって医療機関に本人を連れて行ったらいいのかわからない場合、押川氏のようなごくパーソナルな移送サービスを使うことがあるわけです。

こういったサービスについて聞くと双極性障害者の躁状態や激しい幻覚妄想状態にある統合失調症患者さんのことを思い付く人もいるかもしれません。

こうした人たちは確かに病識には欠けているところはあっても、何か自分と世界との価値観がずれてしまっているという病感のようなものがあり、家族が丁寧に説得するとそれなりの自己決定もできるわけです。

僕が某地域の措置入院を担当している基幹病院で働いていた時も、社会保安上の理由で精神障害者は危険、暴れるからという社会からの要請で措置入院のための精神保健指定医がつねに待機させられていたわけです。

僕も詰めていましたけどヒマでヒマで仕方なくて読書ばかりしていました。

実際に世間が想像しているような「コンビニで半裸になって包丁を持って暴れている」ような精神障害者といった対象者はほぼほぼいないでしょうり

そういったニュースがあると「精神障害者の犯罪が凶悪化している」とマスコミは誤ったイメージを擦り込もうとするのですが、実際にはそういった人のほとんどは薬物使用者が禁断症状で暴れているだけです。

精神疾患患者の犯罪率は一般人よりもきわめて低いという有名な統計があります。

一般人の犯罪率2パーセント、精神疾患患者0.6パーセントです。

当たり前のことですが、自分の症状に苦しんでいる患者さんが他人を傷つけるようなエネルギーはありません。

患者さんたちは日々理性とどこからともなくやってくる症状との葛藤の最中に置かれ続けています。

むしろ自傷のおそれが強い、希死念慮が高い患者さんが措置入院の対象になっていたことが多かったのではないかなあと思います。

精神障害者とその周囲をめぐる事情にはまだまだ世の中の暗部が投影されています。

押川氏が行っているような精神障害者移送サービスは数十万円の金額がかかりますし、本人の同意なしに病院まで連れて行くというのはかなり法的にはダークな領域です。

無理矢理だと監禁、略取誘拐?と取られるかもしれませんし、押川氏は「行くぞ!」という掛け声ひとつで患者さんを押送したことがあると書いています。

どんな精神障害にせよ、家族がきちんと本人に向き合わずにそこまでこじらせてしまった場合が多いのでしょう。

利益主義で患者を食い物にしているとルポルタージュですっぱ抜かれた某病院はその後も措置入院をさせた後に拘束、個室病棟で1ヶ月100万円を請求したと聞いています。

押川氏の行っている事業は確かに精神科医療の裏側の部分です。

親も精神疾患患者を抱えて、どうしたらいいのかわからずにとりあえず引きこもるままにしておく、近所の手前何もしないでおくという放置行為が本人を悪化させているのだと思います。

結果として家族が被害者となって死に至る場合もあります。

現在精神医療保健行政の問題点を抜きにして少数事件が大々的に報道されるわけですが、暴力団同士の抗争で死者が出てもあまりニュースにはなりません。

もっと早期に対処していれば入院に至らなくてもよかっただろう患者さんは多いでしょう。

しかし家族はあまりに精神保健について知らないですし、保健所や役場が相談対応をしてくれることも知らないわけです。

あまりにも放置しておくと凶悪犯罪を起こした場合、刑法上の除伐でなく、検察官の申立てで2ヶ月の鑑定入院を経て心神喪失者等医療観察法の対象となる場合があります。

実際のところ、この医療観察法の対象となるのは治療可能とされる障害者のみ、認知症のように回復がない疾患の場合にはどうするか?

現行法では発達障害、人格障害も対象となっているのが、心神喪失者と鑑定してしてもいいのか?

と課題は山積です。

医療観察法で入院となって、完治したから社会復帰させると再犯者が野に解き放たれる場合もあるわけでしょう。

行政、医療、司法のはざまにあって結局一番割りを食うのは患者さんやその家族だと思うのです。

家族や本人のニーズに対応しない、救急対応受入れが難しい地域基幹病院もあり、ケースワーカーが地域連携室の中でその振り落としをしている場合も多いのということを実感しています。

結局そうすると結果的には押川氏のような民間サービスを利用せざるを得ないように追い込まれてしまうのではないか。

無理に移送、入院した患者さんは必ず退院します。

患者さんと家族との間に生まれてしまったであろう軋轢をどうやって解決してたらいいのでしょうか。

加えて、予見不可能な大量の犠牲者を出す宅間守のようなごく少数者だけが彼らへのスティグマ(烙印)を先行して与えているという事実はきちんと知られておかなければならないでしょう。

もっとも宅間守事件がきっかけで医療観察法ができたのは皮肉ですが、治療
、更生、社会適応のため、患者さんにとっては大きな前進でした。

今回の診療報酬改定について措置入院患者さんの復帰から通院まで公認心理師が関与するという文言は確かに公認心理師の権能拡大です。

ただし、世論を細かく読み取る政策というものは児童虐待、ギャンブル依存防止にも公認心理師を駆り出しているわけです。

さて臨戦状態になっても待機だけ、という事がよくある話なので実業務と政策の乖離はよくあることです。

法と今の精神医療体制の矛盾や限界を本書によって知りました。

子供の死を祈る親たち

新潮文庫/押川学

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