ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: 境界性人格障害

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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
わかってる
どんなに時を捧げても
欲望の空は満ちないことを


◯ トラウマがないPTSD・境界性パーソナリティ障害

1.序

僕はPTSD精神療法家をいちおう自負したいと思っていて、まあそれっぽいところで働いているのですが、実はPTSDでない人が他院ではPTSD扱いされたというクレームを聞くことがあります。

僕の勤務先は別にPTSD専門というわけでもないので、聞いてみるとPTSD用の心理療法を受けたけど向こうの心理がとてもいい人、あまりに一生懸命なので言い出せなかったけどなんとなく合わなくてドロップアウトしてしまった、とか、トラウマに関するDVDと本を渡されて宿題にされてやっぱりヤだったというものです。

PTSDを診られる機関はとても少ないので、巡り巡ってやっとPTSDという診断を受けることもあるのですがその逆もあります。

弊害で言えばPTSDの人が違う疾患だったと診断されることはかなり多くてトラウマを認めてもらえなかったという方がはるかに多いです。ただ、心理職の立場として、希死念慮が高く自傷行為を繰り返し、常に空虚感と自我同一性の揺らぎを持っている人をトラウマ所持者と思ってしまうのですが、幼少期から親から大事にされて愛されて育ってきて、現在も同じと聞くと、不思議に思うことがあるわけです。その理由について考えてみます。

2.トラウマのないトラウマティックな心情・行動の理由

これはいろいろ考えてみて、もし理由がわかれば、stap細胞はあります!に10分の1ほど追いつけると思っているわけですが、以下列挙してみます。

⑴ 境界性人格構造(BPO)を引き起こすような出来事の存在

境界性人格障害とまで行かなくても行動範囲が逸脱していて自傷的、希死念慮が高いBPOの人がトラウマティックな行動をする事はあります。ただしよく聞いてみると別に親から虐待されていたような対象関係論的な問題や基底欠損領域があるわけでもないです。

要するに「親からの、幼少期の虐待体験」はないのです。

ただしその後を聞いてみると幼少期のてひどいいじめや自己の容姿に関する恐怖が存在している(実際とは関係ない)ことも多いです。

幼少期のトラウマでなくとも成人してからでももちろんトラウマティックな出来事を体験することはあるわけですが、またトラウマティックでなくとも自己イメージをひどく傷つけられたらそれは大きな心理的障害になるでしょう。

⑵ 愛情飢餓

幼少期に愛情喪失体験をしていなくとも思春期や成人期になってからこの果てしない愛情飢餓感覚に襲われることがあります。依存性パーソナリティ障害はありますが、なぜ、どうして、そしてどうやったら治るのかは誰にもわかりません。

心理テストはあくまで現在の状態を示すもので、原因を解明するものではありません。

⑶ 精神病的世界観

これはあまり書きたくなかったのですが、というのは「それ、精神病じゃん?」というスティグマ(烙印)を押したくなかったので、統合失調症で自己の存在感への認知が歪んでいる、双極性障害で自己の行動統制ができなくてそれで自分が苦しむので、空虚感をなおさら感じるというものです。

3.結語

今のところ僕にも「わからない」ところが多すぎてこうやって苦しむ人たちの心理的・理論的な説明ができればいいのですが。薬理学の専門家医師ならば適切な精神薬のチョイスはできるでしょう。ただ、僕ら心理職は原因がわからずに目の前でしくしく泣いているクライエントさんに対して何ができるのだろうと思うわけです。

そしてトラウマがあったとしても解離していたり、意図的に回避しようとしている場合には触らない方がいいのは侵襲性という観点から考えたらその通りだと思います。カウンセリングは一般的には苦行ではないので、苦痛を感じる人やその幻想的を作り出すべきではないと思うのです。

さらに付け加えるなら、心理職も外科的な発想を持つことが多く、「ここが悪い」という病巣を切除してしまえばいいと思いがちですが、病的であってもなくともクライエントさんが痛い痛いと言っている場合に心理的メスを入れる権限はありません。

人の心の動きはまだまだわからないことだらけです。不思議と思うことはあるかもしれませんが必ず突っ込んでいけばいいというわけではないと思っています。

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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
おつかれTwitter

かえる場所があるから
冒険をすることができるんだね ༻


◯ B群パーソナリティ障害・境界性パーソナリティ障害の治療

1.序

以前境界性パーソナリティ障害については何回か書いているのですが、 境界性パーソナリティ障害精神療法に公認心理師が期待される役割 パーソナリティ障害の診断基準・各クラスター・境界性パーソナリティ障害 などですが、また書きます。

なぜならばただ単に好き、すこだからです。

米国精神医学会治療ガイドラインコンペンデァアムAmerican Psychiatric Association編では徹底したevidence主義でBPD治療法を説明しています。

2.精神分析

効果的でないから保険診療点数から外されたという精神分析はRCT無作為割付試験によってそのevidenceが証明されています、ねえ原田隆之君。

精神分析を援用していると言われるメンタライゼーションは愛着理論に基づき、患者にその欠落を自覚させ、自己を観察して育て直すというPeter Fonagyを代表として有名な精神療法です。

元々精神分析がなければ境界例という概念もなかったわけで、Otto Friedmann Kernbergは対象関係論(例えば非合理的な「俺があいつを嫌っているからあいつも俺を嫌いに違いない」という投影同一視や分裂(Splitting)という不健康的な防衛機制や欲動理論、そしてHeinz Kohutが自己心理学にまで発展させ、境界例理論は理解が進みました。

Kernbergは境界例パーソナリティ障害BPDの前に「境界性人格構造」Borderline Personality Organlzatlonを規定しています。これは「境界性人格構造」のため、前述のとおり自分の感情を、相手に投影したり、自分の身近な人と相手を心理的に同一視したりします。

BPOの人はBPDのようにはっきりとした診断基準を満たしておらず、希死念慮が薄いこともありますが、行動統制という意味ではリストカットをしないものの、依存症を持っていたり自傷的行為を起こしたりします(2領域にはわたらない)。

境界性パーソナリティ障害の治療において重要なのは限界設定limit settingをきちんと設けることです。精神分析において使われている転移概念transferenceや恋愛性転移transference loveといった領海侵犯はBPDの人が行いたくて行っているのではありません。この人たちの中にある欠落(Michael Balintの基底欠損領域)と言ってもいいでしょう。

この転移感情の処理を徹底分析していくことがBPD治療の中心になることが多いです。つまりセッションの間に起こる行動化や契約違反を織り込み済みのものとして精神療法を行っていくのです。

3.弁証法的行動療法

対してMarsha M. Linehanが1980年代に多くの発展を遂げさせた弁証法的行動療法Dialectical Behavior Therapy, DBTは現在精神療法の中ではBPDに対する第1選択肢になりつつあります。DBTはグループミーティングを主な治療としているので、日本のクリニックでも良く行われていますがそのエッセンスを取り入れているのでしょう。

DBTにおいてBPD治療の中核となるのは

⑴ Core mindfulness skill

ア mindfulness「把握」スキル

イ mindfulness「対処」スキル

※ mindfulnessによる心身のコントロールです。

⑵ 対人関係保持スキル

⑶ 感情調節スキル

⑷ 苦悩耐性スキル

この辺りがDBTのキモです。


DBTでは患者さんが治療者に夜電話をかけてもいいとしています。

※ ちな、僕は自分の個人携帯番号を死にそうなクライエントさんに対しては教えています。反対派からは非難轟々です。これは僕の知ってる心理職のうち、約半数がそうです。産業だと工期や日程に縛られて内線がない工場からしか電話できないとか、死ぬだろうとかそんな理由です。「これから死ぬ」という電話と「もう死にました」という電話とどっちがいい?という究極の選択です。

⑴ mindfulness「把握」スキル

不快な感情をすぐ終わらせようとしたり快楽の感情を長引かせようとしない。あるがままに自分の感情を観察することです。「嫌われているように感じる」=「嫌われている」と感じがちですが、実態を把握することが必要です。ただ観察する、自分自身に巻き込まれないことを目標とします。

⑵ mindfulness「対処」スキル

人は生きていれば必ず迷うことがあります。その時に必ず正しくなければならないということはないのです。対処するのには実行するか諦めるという二律ではなく、譲歩するという対処を覚えることが必要です。断定をしません。

mindfulnessスキルにおいて必要なのは「賢い心」です。ともするとBPDの人たちはとても感情的になってしまう傾向がありますけれどもそれを理性で押さえ込むのには無理があります。だからこそこの2つの心を止揚する、弁証法的な賢い心が必要になるわけです。

⑵ 対人関係保持スキル

対人関係はBPDにおいて大きな問題になります。オールオアナッシングで考えたらBPDの人は対人関係を断ち切ることを考えてしまうでしょう。自由にノーと言える、そして人から断られたり、自分の要求が断られたからといってそれが人格を拒否されたことにはならないということを学びます。

⑶ 感情調節スキル

感情を調節することはBPD患者にはとても難しいことです。怒り、自殺のそぶりや遂行、自傷行為と大変危険なことです。DBTではこの人たちが抱いているマイナスの普段の感情ばかりでなく、プラスの感情にも着目するように注意を促します。その際に肯定的な感情にも目を向けさせます。どのように感情を感じるかは自由です。他人から認められない感情というものが自分自身の中にあるわけではないのです。

⑷ 苦悩耐性スキル

BPDの人たちは苦悩に耐えることで危機を乗り越える能力を身につけていきます。苦悩に耐えるということは難しいことで、気をそらすために花を見る、好きなテレビ番組を見る、氷をにぎる、手首にゴムバンドを巻き引っ張る(リストカットの代わり)。今ここにだれがいるのか、心配のあまり未来をタイムトラベルしていないだろうか。恥と思うことをセッションの中で積極的に話します。

DBTには日記カードがあり、記録するという認知行動療法もあります。

参考文献:弁証法的行動療法実践マニュアルMarsha M. Linehan、金剛出版
弁証法的行動療法実践トレーニングブック
Matthew McKay,Ph.D.星和書店
弁証法的行動療法 思春期患者のための自殺予防マニュアルMarsha M. Linehan他1人金剛出版
境界性パーソナリティ障害の弁証法的行動療法
DBTにによるBPDの治療Marsha M. Linehan
誠信書房
自傷行為救出ハンドブック−弁証法的行動療法に基づく援助−Micael Hollender 星和書店

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◯ リスカの過去のある彼女。気持ちを落ち着かせる方法

リスカの過去がある彼女、両手首、両腕は傷だらけで初対面で見ると一瞬引いてしまうかもしれません。

リスカがもう過去のことになっていて、自分なりのストレス解決法を見出していればいいのですが、リスカをする人の悩みは奥深く、些細なきっかけでいつまた感情を爆発させて、さらに危険な行動をしようとするかわからないのです。

そんな彼女とは怖いから嫌だ、付き合いたくないというのもひとつの選択ですが、そういうタイプの彼女は、何事にも一生懸命で素直、あなたに対しても一直線の愛情表現をしてきます。

その気持ちは純粋なものでひとかけらの嘘もなく、自分が苦しんでいる経験があるからこそ感受性が豊かです。

どうやって付き合っていけばこのタイプの彼女と上手くやっていけるのでしょうか。

1.彼女にはいったい何が起きているのか

リスカする人はもっと激しく致死的な行為を試みる人と致死率は全く変わらず、一般人の何十倍も既遂率が高いという統計があります。

精神科から出された薬を過服薬して救急車で運び込まれることもあります。

どうして彼女はこういった自傷的な行動に出るのでしょうか。

こういった行動に出る人々は生きていることそのものが苦しく、生きている価値を自分で見出せないでいます。

その感情は激しくジェットコースターのように揺れ動き、常に死と隣り合わせにいながら刹那的な行動に出やすいのです。

リスカは死ぬためというより、自分が生きている実感を痛みによって再確認するために行うものです。

襲いかかる空虚感を埋めるため、リスカという痛みという感覚は強烈です。

2.境界性人格障害という病

こういった彼女は、病院で境界性人格障害と診断されていて治療中のこともあります。

激しく価値観が揺れ動くのは誰に対しても起こりうる現象です。

あなたに対して、いろんな他人や医療機関に対しても同様で、ある時は神様のように崇拝するかと思いきや、次の瞬間には罵倒し始めます。

あなたもこういった神格化とこき下ろしの対象になります。

そうすると彼女の中で何が起こったのかあなたにはわからないことも多いでしょう。

なぜ彼女の心情がそのように動くかというと、彼女の考え方の中には中間がないのです。

白か黒かのどちらかでグレーは存在しません。

おそらく幼少期の育てられ方にも関係があり、完璧さを求められて育った経験、虐待されてきた可能性もあります。

あるいは性的犯罪の被害者となって自らの価値を徹底的に低いものとみなしている可能性もあるのです。

3.彼女に対して効果的な対処とは?

それではこのように感情的に激しく揺れ動く彼女にどのように接したらいいのでしょうか。

まずはあなた自身が彼女に巻き込まれないことが大切です。

いかに彼女が動揺してもあなた自身はしっかりとしていて冷静でいることです。

いったん彼女が感情的になり、かんしゃくを起こすとそれはあなたにとっては耐え難い侮辱に聞こえるかもしれませんが、彼女の罵詈雑言は実は彼女自身を映した鏡に向けられたものです。

あなたは彼女が怒り、泣き出して感情の奔流に巻き込まれたときはぎゅっと抱きしめてキスしてあげましょう。

彼女を鎮めるのにこれほど効果的な方法はありません。

自分を無価値と思っている彼女に対して愛情という最高の価値を与えてあげるのです。

4.もし彼女がまたリスカしたくなった時には

リスカそのもののは他の方法で防ぐことができるかもしれません。

よく使われているのはゴム製のリストバンドを手首につけておいて、発作的にリスカしたくなった時には思い切りゴムを伸ばして手放し、手首に痛みを感じさせるという行為です。

ゴムの痛みで自分自身の感覚を取り戻しても実害はありません。

また、100均で買ったお皿を何枚も綿棒で叩き割ることも感情の発散には効果的です。

飛び散らないように新聞紙でお皿をくるんでさらにスーパーのレジ袋何枚かを重ねて安全性を確保した上で行います。

その間彼女がどんなに泣き叫んでも怒っても構わないのです。

彼女がもしこういった代替手段でリスカ衝動を抑えることができたらほめてあげましょう。

きちんと抱きしめて、リスカしなかったことを評価してあげるのです、

5.あなたの愛情という栄養が何よりの薬

境界性人格障害はその名前から、人格に障害がある不治の病と思われがちですが、実際には薬物療法、カウンセリング、そしてあなたが十分に愛情という栄養を注ぎ込むことで好転していきます。

実際、境界性人格障害の患者さんは3年、5年経つと見違えるようになり、もう疾患を持っていると診断されなくなることが多いのです。

また、予後もよく、境界性人格障害の人は元々人の感情の動きに敏感なので、接客や営業など対人折衝の仕事に向いています。

精神科医、心理カウンセラーになった人も多くいます。

彼女が作ってしまったさまざまなルールは認識を変えることで改めることができます。

彼女には怒る権利も泣く権利もあります。

人から何か否定されてもそれは人格否定ではないのです。

時間をかけてそういった認識を獲得すると治療に向かっていくでしょう。

あなたは彼女のさまざまな過ちや感情を受け入れてあげましょう。

※ キュレーションサイトtiajuから転載(許可済記事)

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多角形・ダイエットのためのイメージワーク・依存症やパーソナリティ障害を克服することにチャレンジをする。

あなたは物事にはさまざまな側面があることを知っています。

同じ刺激が与えられていたとしてもそれについて怒りを感じていたり、あるいは全く何も感じなかったり、それについて楽しい、嬉しいと思う人もいるかもしれません。

でもそれはたった一つの刺激なのです。

たとえばたった一枚の絵は見る人にさまざまな印象を与えます。

お気に入りの一曲がある人にとっては不快、ただ単に好みでないというだけかもしれません。

あなたは人から否定されてもいいのです。

そして提案をして拒否されたからといって、それはあなたの人権がないということではありません。

あなたはイライラする必要もないですし、そのために過食をする、むちゃ食いをする必要もないのです。

「ノー」と言われたら全て終わり?

そんなことはありません。

もし誰かがそう言ったとしましょう。

「私の言うことに『はい』か『イエス』で答えてください。それについてあなたが何も言う必要性はありません。

世の中の人々はあなたも含めてさまざまな物の見方をします。

それは知覚と認識の多角形です。

もしあなたが誰かから黒くて嫌なイメージを受け取ったと感じたとしても、あなたはそれを自分の力でくるっと回転させることができます。

そうすると黒い色は隠れて見えなくなってしまい、あなたは物事を見たいように見て、腹を立てることもなく、ただ光り輝くオレンジ色や青色の組み合わせでできている光源を見ていればいいだけなのです。
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あなたは自分が見たいように向け見ることができる権利があります。

自分が汚されたわけではなく、あなたに対して危害を加えようとした人が汚れている、つまりあなたは無傷でいたり、傷をやがて自分一人の力で、あるいは誰かの力を借りて必ず癒される時がきます。

その時、あなたは自分を罰する必要は全くないのだということに気づくのです。

ジャンクな食物や甘過ぎるスナック、あなたが必要としているよりもはるかに大量の食物で自分を満たさなければならない理由はありません。

あなたは自己主張したいときにできる権利があり、断られることはその相手があなたの人格を否定したり、なにもかもあなたがダメだと言っているわけではありません。

もしワンマンなナルシストや言ったことを自分で次々に忘れてしまうようなパワハラに遭ったとき、あなたはそれを誰かに訴える権利もありますし、多角形の中で受け流したり、ほかの誰かに相談するというのも多角形の一面です。

あなたは自分の感情がどうにもコントロールできないと思ったときにそれをくるりと回転させて、物事の安全な本質や落ち着いた部分を瞬時に見つけられるほど賢いのです。

(今回のイメージワークはマーシャ・リネハンの弁証法的行動療法概念を参考にしました)

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◯ 境界性パーソナリティ障害精神療法への公認心理師が期待される役割

境界性パーソナリティ障害は、古くはAdolf Stern(1938)にまでその概念の発生が遡ると言われています。

精神病なのか?神経症なのか?

じゃあ境界例にしよう、と疾患単位として独立させたはいいのですけれど、Robert Knightは何でもかんでも境界例に診断してしまおうという「ゴミ箱診断」的な扱いに1950年代に異議を唱えます。

1918年、「狼男」として知られるFreud,Sの症例は実は境界性パーソナリティ障害BPDだったのだろうと後世に言われました。

BPD研究は精神分析学者Kernberk,O、Masterson,Gundersonらによって進んでいきます。

Klein,Mの対象関係論で良いおっぱい、悪いおっぱいという母親の乳房の同一性を認められない特徴もBPD特有の思考法として認められるようになりました。

それに先立ってドイツのBalint,M基底欠損領域は、乳幼児のどの時期がBPDの発祥なのかという研究を進めていました。

紆余曲折を経てDSM-Ⅲで独立したパーソナリティ障害のひとつとして境界性パーソナリティ障害が確立したわけです。

他のパーソナリティ障害群の中でも本人が苦しい、希死念慮や空虚感や自我同一性を喪失している、という本人の病識も高いことから自ら来談する治療アドヒアランスは高いパーソナリティ障害です。

ただし薬物療法だけでいいですよ、という精神病よりもBPDは治療が困難です。

激しい感情のたかぶり、ポジティブ、ネガティブな転移感情を医療スタッフにも向ける、OD過服薬や自傷行為というアクティングアウト、行動化を繰り返すということで、医療スタッフも対応に困り果てることが多々あります。

そして面倒だと思われるとBPDは病棟で嫌われる、そうするとますます患者さんが医療スタッフに不満を持つという悪循環スパイラルがそこには生じかねません。

BPDの患者さんはほかの診断名がついている場合が多いです。

双極性障害と併発していれば行動は無軌道になりがちですし、統合失調症と併発していれば、妄想や幻聴の内容が医療スタッフを含む周囲への院性感情を投影したものになりがちです。

自死率10パーセント、不審死も多く、謎めいた生涯の終わり方を遂げたダイアナ妃もBPDだったのではないかと言われています。

BPDそのものは不治の病ではないです。

薬物療法も適応ですし、きちんと治療を受けていれば寛解率も生存率も高いと言われています。

強い感受性を生かして対人折衝の仕事で見事な社会復帰をする人も多いです。

この難しい病に立ち向かい、数々の輝かしい成功を収めたのは1990年代、Linehan,M博士です。

彼女はBPDのための弁証法的行動療法DBTを生み出しました。

Linehan女史は現在70代ですが、両手首は傷だらけ、いまだに運転していて急ハンドルで突っ込みたくなる衝動があるという、彼女自身がおそらくBPDの既往があるのでしょう。

弁証法的行動療法は集団療法と個人療法の双方で行います。

それまでのように治療スタッフ1人でBPD患者さんを抱えることは、患者さんが持っているさまざまな欲求を満たす、または制止する上では困難でした。

医療スタッフ複数がかかわること、そしてBPD患者さんが集団でグループミーティングに参加することが不可欠だったわけです。

よく以前から言われていたのはBPD治療には限界設定Limit Settingが大事だということです。

そのためにDBTでは治療からドロップアウトしそうになって欠席を繰り返す患者さんについて一定の期間グループセッションを受けられなくなるという限界設定をしています。

ミーティングを気ままに休むことは許されません。

心的苦痛をその時に全く別の要因で味わっていたとしても患者さんはグループミーティングに参加することを義務付けられます。

グループは自助団体として危険性を薄めるためのルール、個人的連絡構築の禁止などが決められています。

DBTは治療法でもあり哲学でもあります。

こういった優れた治療法はBPDだけでなく、強迫性障害OCDほかの精神疾患にもエビデンス、効力が認められるという研究結果が出始めています。

DBTは対人関係スキル、感情調節スキルというBPD特有の困難さに焦点を当てます。

そして治療スタッフたちはそこで頑張れた患者さんを応援、チアリーディングをするのです。

BPD患者さんを受け持ったことがある心理職ならわかると思いますが、患者さんはノーと言えない、断られたら絶望しなければならない、果てには死ななければならないと考えてしまう独特な思考回路を持っている人もいます。

挙句に感情を爆発させて周囲との関係に葛藤を引き起こすよりもできないことはできない、「ノー」と言えた方がいいのですし、ノーと言うことで罰せられないという保障が必要です。

安定感を欠く患者さんに対しては、白か黒かで物事を考えない、第三の道を探すという弁証法的行動療法が有効です。

精神の安定をBPD患者さんが保つということは難しいことです。

幼少期虐待を受けて育った患者さんも多いわけで、親からの歪んだ価値観の刷り込みは強烈です。

安定化させるためのマインドフルネス、「賢い心」をDBTでは重視します。

氷を握りしめる、コインを何枚もテーブルの上に真剣に乗せていく、アロマに集中する、キャンディを食べて味を詳細に述べていくという作業は自らを取り戻すのに役立ちます。

しかし重要なのは技法ではありません。

患者さんが自分をセルフ・モニタリングできること、治療者がコミットして結果を出すことが大切です。

医療もチームで行うことが重要です。

境界性パーソナリティ障害の人たちに対し、公認心理師が保険適用されてかかわりを持つことが認められれば、それはDBTという単一の技法でなくても、分析的でもそれは認められるべきだと思うのです。

もともと境界性パーソナリティ障害は精神分析の力がなかったら疾患単位としても認められなかったでしょう。

DBTは行動療法という名ではありますが、治療の随所で治療者は分析的な理解を求められていくからこそと思うのです。

誰もがトレーニングを受けて精神分析家や弁証法的行動を身につけられるわけではありません。

疾病によって国の経済や個人の命が危険に晒されるという不利益と、治療が行われることによって受けられるベネフィットについてよく考え、心理職には十分な研修の機会を官製で行ってもいいと思うのは僕だけでしょうか。

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