ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

カテゴリ: PTSD

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複雑性PTSD

僕は PTSD についての研究、というか実務家としては相当勉強しているつもりですが、まず手元にあるDSM-5 には外傷性ストレス障害(PTSD)についての記載を見てみます。DSM-5 には複雑性PTSD の記載はありません。

複雑性PTSD については「そういった概念はある」あるいはエビデンスがない、診断基準がはっきりしないということから「複雑性 PTSD というものは疾患単位としては認められない」という立場を取る医師もいます。

日本で保険点数が適用されているのはICDなのですが、ICD-10 から ICD-11 に変わった時に例えば「ゲーム依存」や「複雑性PTSD」についても正式に診断名として認められるようになりました。

複雑性慢性型 PTSD という病名もあります。実際には自立支援(障害者総合支援法に定められた重篤かつ慢性の精神障害で、3 割負担ではなくて医療費が1割で済む。)の中にはある一定の要件を満たせば PTSD が1割負担で済む場合もあります。

複雑性PTSD というのは僕のイメージとしては、幼少期からの度重なる苛烈な虐待、または過酷な性的被害を受けた患者さんがなるものだという理解をしていました。複雑性PTSDの概念が簡単に広がっていくことについての危惧を僕は持っています。DSM-5では「適応障害」も「心的外傷およびストレス因関連障害」の中に含まれていて、急性的なストレス因に反応するというものが適応障害です。

一般の人々が適応障害程度だろうという印象を受けたとしても無理はありません。PTSD という診断名は DSM-5 によればかなり厳しい診断基準が定められており、自分が死にそうな体験に接した、そういった致死的な場面を見た、職務上のそういった(例えば救急隊員や警察等) 人の死に接した、という体験等が必要になるわけですがこれが「複雑性」ということになるとさらに厳しい診断基準を満たすことが必要になります。

さて、PTSD そのもに当てはまるかどうかということが疑問の状態でそういった診断が出ることもあるわけですが、本人を診察したことがないタレント医師は相変わらず「あれはPTSD ではない。」というような「テレビ診断」や「ネット診断」を行っていて、これもどうかといつも思っています。

PTSD の診断基準としては繰り返し近親者が虐待等のひどい体験をしたことを何回も繰り返して聞いたことも含まれるわけでが、果たしてそういう事実が診断された人についてあったのかどうかということについても実際に問診をして診断した医師でないとわからないわけです。

本人の了解を得た上で記者会見等で医師が発表することは構わないのですが、果たして何があったのか、ということについては本人や診断した口から話されない限りわからないでしょう。

その辺りの想像がいろいろ膨らむとあちこちから叩かれることになるわけで、「婚約者のことでマスコミにひどい目に遭わされた」ことが複雑性 PTSD の原因だと言い張っている、それは大変けしからんことだからもっと取材をきちんとして原因を解明して特定しろ、とか「そんなことが複雑性PTSD の原因になるわけないだろうから、これ以上突っ込まれたくないからそんな診断名になったんだろう」と世間やそういったタレント医師が遠隔診断をしたりするわけですが、真相はわからない、というのが事実です。

ただし、いかにもタイミングが悪すぎますし、そういった発表をこの時期にすることが果たして適切なマスコミ対応だったのかどうか、ということについてもこの辺りの事情に素人ながらも僕はいろいろと思うわけですし、世間もそう思っているのだという印象を受けます。

何よりも「複雑性PTSD」というのは上記に書いたとおりかなり過酷な経験をしていないと発症しないものなので、それに当てはまっているのかどうか、いや違うのではないか、という想像は聞いた人がそのように思われても仕方ないのかな?というのが僕の個人的な感想でもあります。

結構僕が危惧しているのは、複雑性PTSD や複雑性慢性型 PTSD というのはPTSDの中でもかなり重い病態で、因果関係がわからないでただ診断名だけをさっくりと発表してしまうと「なんだ、複雑型 PTSD っていうのは結構軽い病気なんだ、じゃあ俺も複雑性PTSDっていうことにして会社休もうかな」等この病気が軽く受け止められることです。マスコミを通じてだけ知っている事実から「複雑性PTSD」という診断名が出て来るとかなりの誤解を招いてしまったという事情があるのは認めざるを得ません。

なぜこのタイミングでかなりの重い病状をマスコミで発表したのか、その辺りの事実は知る由もないわけですが、世間一般には PTSD も、トラウマという言葉も誤解されやすいことは事実です。×「振られてトラウマになっちゃって」×「だからあのデートした場所に行くとトラウマ思い出しちゃって」×「叱られたのがトラウマ」世間一般に誤解されているこういった精神医学的な概念の誤用は時として本当の患者さんが軽く見られてしまうということについても危惧します。

そうなると説明責任というものが自然に発生してしまいますし、説明ができないものについて安易に診断名だけを発表するというのはいかがなものかということについて思いを巡らせるわけです。

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○ 聞き流し・公認心理師試験対策・PTSD

PTSDは公認心理師試験の毎回と言っていいほどの頻出分野です。30分足らず、診断基準、症状、治療法についてなど話してみました。

公認心理師試験対策・PTSD


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わかってる
どんなに時を捧げても
欲望の空は満ちないことを


◯ トラウマがないPTSD・境界性パーソナリティ障害

1.序

僕はPTSD精神療法家をいちおう自負したいと思っていて、まあそれっぽいところで働いているのですが、実はPTSDでない人が他院ではPTSD扱いされたというクレームを聞くことがあります。

僕の勤務先は別にPTSD専門というわけでもないので、聞いてみるとPTSD用の心理療法を受けたけど向こうの心理がとてもいい人、あまりに一生懸命なので言い出せなかったけどなんとなく合わなくてドロップアウトしてしまった、とか、トラウマに関するDVDと本を渡されて宿題にされてやっぱりヤだったというものです。

PTSDを診られる機関はとても少ないので、巡り巡ってやっとPTSDという診断を受けることもあるのですがその逆もあります。

弊害で言えばPTSDの人が違う疾患だったと診断されることはかなり多くてトラウマを認めてもらえなかったという方がはるかに多いです。ただ、心理職の立場として、希死念慮が高く自傷行為を繰り返し、常に空虚感と自我同一性の揺らぎを持っている人をトラウマ所持者と思ってしまうのですが、幼少期から親から大事にされて愛されて育ってきて、現在も同じと聞くと、不思議に思うことがあるわけです。その理由について考えてみます。

2.トラウマのないトラウマティックな心情・行動の理由

これはいろいろ考えてみて、もし理由がわかれば、stap細胞はあります!に10分の1ほど追いつけると思っているわけですが、以下列挙してみます。

⑴ 境界性人格構造(BPO)を引き起こすような出来事の存在

境界性人格障害とまで行かなくても行動範囲が逸脱していて自傷的、希死念慮が高いBPOの人がトラウマティックな行動をする事はあります。ただしよく聞いてみると別に親から虐待されていたような対象関係論的な問題や基底欠損領域があるわけでもないです。

要するに「親からの、幼少期の虐待体験」はないのです。

ただしその後を聞いてみると幼少期のてひどいいじめや自己の容姿に関する恐怖が存在している(実際とは関係ない)ことも多いです。

幼少期のトラウマでなくとも成人してからでももちろんトラウマティックな出来事を体験することはあるわけですが、またトラウマティックでなくとも自己イメージをひどく傷つけられたらそれは大きな心理的障害になるでしょう。

⑵ 愛情飢餓

幼少期に愛情喪失体験をしていなくとも思春期や成人期になってからこの果てしない愛情飢餓感覚に襲われることがあります。依存性パーソナリティ障害はありますが、なぜ、どうして、そしてどうやったら治るのかは誰にもわかりません。

心理テストはあくまで現在の状態を示すもので、原因を解明するものではありません。

⑶ 精神病的世界観

これはあまり書きたくなかったのですが、というのは「それ、精神病じゃん?」というスティグマ(烙印)を押したくなかったので、統合失調症で自己の存在感への認知が歪んでいる、双極性障害で自己の行動統制ができなくてそれで自分が苦しむので、空虚感をなおさら感じるというものです。

3.結語

今のところ僕にも「わからない」ところが多すぎてこうやって苦しむ人たちの心理的・理論的な説明ができればいいのですが。薬理学の専門家医師ならば適切な精神薬のチョイスはできるでしょう。ただ、僕ら心理職は原因がわからずに目の前でしくしく泣いているクライエントさんに対して何ができるのだろうと思うわけです。

そしてトラウマがあったとしても解離していたり、意図的に回避しようとしている場合には触らない方がいいのは侵襲性という観点から考えたらその通りだと思います。カウンセリングは一般的には苦行ではないので、苦痛を感じる人やその幻想的を作り出すべきではないと思うのです。

さらに付け加えるなら、心理職も外科的な発想を持つことが多く、「ここが悪い」という病巣を切除してしまえばいいと思いがちですが、病的であってもなくともクライエントさんが痛い痛いと言っている場合に心理的メスを入れる権限はありません。

人の心の動きはまだまだわからないことだらけです。不思議と思うことはあるかもしれませんが必ず突っ込んでいけばいいというわけではないと思っています。

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限られた時間の中で
何に心を委ねるかが大切なんだね ☪︎⋆


◯ 赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア   
自分を愛する[心理教育]


白河美也子医師・臨床心理士著

なぜ僕が白川先生のこの著作をブログで取り上げたかということをまず説明します。白川先生は一貫してトラウマ治療に取り組まれていて、現在はトラウマ治療専門の「こころとからだ・光の花クリニック」院長をされていらっしゃいます。白川先生のトラウマケアの書籍をぜひ紹介したかったからです。

光の花クリニックは日本では数少ないトラウマ治療専門のクリニックで、白川(西)先生他3人の医師と1人の臨床心理士が治療面接を行っています。(現在枠がいっぱいのため初診患者は取っていないとのことです。)

最近 トラウマのことがわかる本 生きづらさを軽くするためにできること も著されており、こちらもぜひ参考にしていただきたいのですが、白川先生の「赤ずきんとオオカミ」は寓話の形を取っていますが非常に含蓄のある本です。

「赤ずきんとオオカミ」と言うとオオカミさんが赤ずきんを食い尽くすもので、一方的な悪者だと思われがちですが、食べられそうになった赤ずきんは単回性のトラウマ、そしてオオカミさんもまたトラウマを負った存在として描かれています。

(以下ほとんど白川先生の著書の要約)
トラウマ後にはフラッシュバック(再体験)、回避、麻痺、過覚醒の症状が出ることが説明されています。

トラウマを負った人がトラウマそのものを消すことはでかません。この辺りはトラウマ治療専門家の白川先生は詳しいです。

しかしトラウマを負った、今現在のその被害者の生き方を変えることはできます。

トラウマを負った対象者は、トラウマの再演をすることがあります。その時にまた不幸なシナリオが繰り返されます。そのためにもトラウマにとらわらすぎない、明るい未来を見ることが勧められています。これは僕の私見ですが、今現在が明るいものであれば、トラウマティックな過去はかなり薄まるものでしょう。

助けを求めることと、支配−被支配のパワーゲームに巻き込まれないことが必要です。

オオカミさんは複雑なトラウマを負った存在として描かれています。だからこそオオカミさんは過去の繰り返しを再現してしまうのです。

白川先生の解説には、症状が完全に消失しなくても良いと書かれています。これは僕もPTSDの精神療法をしていてよく感じることなのですが、どんなに長期間力を入れても症状が完全に消失させることは難しいものです。フラッシュバックが起きること、そしてそれがどのようにして生起して、攻撃的な態度になるのかは知っておくことが大切だと本書には書かれています。

トラウマを負った人は「被害者−加害者」という一方的な認識を持ちがちですが、そうやって被害者のポストについてしまうと解離が起こり、解離の間に望まない性的関係を持ってしまうこともあり得ます。被害を深めないための対等な対人関係が必要です。

このトラウマを持った赤ずきん、赤ずきんはカウンセリングをして災害ストレスを癒やすことにしました。災害によるストレスは大きな影響人々の心に与えます。大きな影響をオオカミさんにも与えたのです。

さて、C-PTSDはICD-11で初めて取り上げられる疾患単位ですが、この疾患単位に対する批判もあります。白川先生がC-PTSDに似た概念として取り上げているのはvan der Kolk 他の「トラウマティック・ストレス」のDESNOSの概念の診断基準試案を掲載しています。

僕の書いた白川先生の名著の要約はかなり端折ってあります。トラウマとは何か、そしてそのトラウマの意味を薄めて明るい未来を見るためにはどうすればいいか、ぜひ白川先生の原著に当たっていただきたいと思っています。

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◯ PTSDの理解・診断、心理検査、特徴、治療

何度もPTSDについて書いて来ていますが、まずはPTSDの定義です。PTSDとは何か?ということですが、最近は「この前部長に怒鳴られてトラウマになっちゃって」と日常用語で使われますが「トラウマ」というのはほぼ瀕死の体験を自分でする、目前で見る、虐待体験、救命活動や救助活動で人の死に接する、親しい家族などがトラウマについて延々と話すのを聞かされる、といったかなりハードな体験でないと精神医学的にはトラウマとは言えません。

なお、C-PTSD Complex post-traumatic stress disorder複雑性心的外傷後ストレス障害のような長期の虐待は別ですが、simple PTSDは悲惨な体験をしてもPTSDに移行しない人が6割と言われています。

また、4週間以内に症状が収まってしまえば「急性ストレス障害Acute Stress Disorder: ASD」の診断となります。

以下PTSDの特徴です。

1.フラッシュバック

これはさまざまな形態で起こることがあり得ます。悪夢を見てうなされて目が覚める、何もトラウマに関連がないことをしていても思考侵入が起こって白日夢のようにトラウマ体験が想起されます。さーっと目前にその体験の様子が見えて、実際に体験する(再体験)することがあります。

2.解離

トラウマ体験があまりにも耐えがたいものであることから、自分の気持ちを切り離し、フラッシュバックが起きている間、酷い目に遭ってきる自分を意図的に解離させてさらにそれを眺めている自分を作り出す人もいます。また、解離性健忘が起こり、フラッシュバックが起きていた事を忘れます。

またはトラウマ体験があったことそのものを忘れてしまいます。フラッシュバックが何の前触れもなく起こるように、解離も突然起こります。そうするとどんな現象が起こるかというと、知らないうちに元の住所から何百キロも離れた場所に佇んでいたり、いつの間にか財布からお金が消えているといった現象が起こります。(かつての診断基準では解離性遁走)

解離がひどくなると人格そのものが分裂します。DSM-5では解離性同一性障害Dissociative Identity Disorder DIDという疾患単位があります。かつては多重人格障害Multiple Personality Disorder MPDと呼ばれていました。トラウマ記憶がある人格を別人格として、それとは別の人格を作り、慰める、癒す人格や暴れる人格など20人格ぐらいが生じることがあります。主人格が出てこなくなり第二人格がとって代わるこたもあります。

(治療法のひとつですが、人格交代訓練や催眠とEMDRを併用して人格の再統合、ひとつの人格にするのではなく、ある程度の役割を何種類かの人格に集約します。無理にひとつに統合するとトラウマ体験が強烈に主人格を傷つけて自死に至る場合があります。こういった入院治療は日本では仁木啓介医師によるニキハーティーホスピタルが行っています。)

3.回避

トラウマ体験と似たような状況、場面を避けるようになります。トラウマを与えた人と同じような人を避ける。被害に遭った乗り物に乗れない、愛情を持てない、自分の未来を信じられないという症状も出ます。これは回避・麻痺の症状と言えます。麻痺が起こると本来ならプラスの感情を与える出来事にも無感覚になります。人との情緒的な交流を避け、引きこもる人もいます。家にいれば刺激はなく安全です。

4.過覚醒(覚醒亢進状態)

トラウマ体験が強烈だったことから、常に身体中をアドレナリンが駆け巡って交感神経がビンビン興奮した状態になり、心拍数が高まり、消化機能は低くなります。モノを食べている状態ではなく、常に臨戦態勢になります。常にfight or flight (戦うか逃げるか)の状態で、覚醒がひどいと不眠になります。

たいていこういった症状が起きるのですが、それに加えて、公認心理師試験にも事例問題として出ていたようにひどく怒りっぽくなったり感情のコントロールがしにくくなります。対人過敏状態となって、恋人、家族、職場で少しでも攻撃的(ととらえられてしまう)行為で激怒することがあります。コンビニで買い出しを頼むと被虐待体験で親によくコンビニに行かされたことを想起させて「何を買えばいいかわからないのに買い物をさせて私に払わせるの?」と沸点がわからない地雷を抱えているのです。

性被害や性的虐待を受けた人はその加虐体験の陳腐化を図るために次々と異性と付き合ったり、そういった性的産業に身を投じることがあります。また自我像を自ら歪め、性的対象として見られる恐怖から、極端に女性としての美しさを捨てて過剰に太る事もあります。これも過覚醒症状のひとつです。

子どものPTSDではトラウマティック・プレイといって3.11の後には子どもが津波ごっこをひたすら延々とやり続けるという症状が出ました。このトラウマティック・プレイが子どもの心を癒すことはありません。

◯ 心理診断面接・心理検査

PTSDの程度測定にはCAPS (Clinician-Administered PTSD Scale)PTSD臨床診断面接尺度) という1〜2時間ぐらいの面接法が使われることも多いです。臨床心理士でもトレーニングを受けないと行うのは危険性があります。トラウマ体験を聞き出すということが十分侵襲性があるからです。トレーニングを受けた査定者が質問して、それでもCAPSはPTSDの人にとっては辛いことがあります。

どの心理検査も侵襲性はあるのですが、心理検査は質問紙式だからといって舐めてかかって、PTSD以外でもどんなクライエントさんに対してもSCT 文章完成法sentence completion technique やMMPI Minnesota Multiphasic Personality Inventoryミネソタ多面人格目録家でやって来てね、と宿題にすることはいけません。

特にPTSDの人はフラッシュバックを起こしやすいです。心理検査をしている間にフラッシュバックを起こすことも十分ありうるので心理職がそばについていて、ケアできる体制が必要です。

構造化面接法としてはDSM-Ⅳ構造化臨床面接時尺度SCID/Structured Clinical Interview for DSM-Ⅳ

PTSD症状尺度PSSI/PTSD Sympton Scale Interview

M.I.N.I The Mini-International Neuropsychiatric Interview(精神疾患簡易構造化面接法)はPTSDだけでなく様々な精神疾患を検出できる優れものの構造化面接法です。

もあります。

⭐︎ 成人用診断検査

1. PDS:Posttraumatic Diagnostic Scale(外傷後ストレス診断)

2.PTSDチェックリストPCL/PTSD Checklist

3.ダビッドソン・トラウマ尺度DTS/Davidson Trauma scale

⭐︎ 以下子ども用です。

1. CPTSD-RI/Child Post-Traumatic Stress Disorder Reaction Index子ども用PTSD反応指標

2.改訂出来事インパクト尺度Impact of Event Scale - Revised (IES-R)はトラウマ体験がどの程度だったのか測定するための成人と子どもにも可能な鉄板とも言える質問紙式テストです。

以下知っておいて欲しいのは
・子ども用外傷後ストレス症状尺度PTSS-C/Posttraumatic Stress Symptom Scale for Children

・子ども用トラウマ症状チェックリストTSCC/Trauma Symptom Checklist for. Children

・年少児用トラウマ症状チェックリストTSCYC/Trauma Symptom Checklist for Young Children

・子ども用PTSD症状尺度CPSS/Child PTSD Symptom Scale

・就学時前学童用PTSD症状PTSDPAC
/PTSD Symptoms in Preschool-Age Children(養育者評定)

◯ 治療

1.薬物治療

第1選択肢としては選択的セロトニン取り込み阻害薬Selective Serotonin Reuptake Inhibitors, SSRIが選ばれることが多いです。脳内でストレス低減物質セロトニンserotoninが吸収されて欠乏するとうつ症状が出現します。

パロキセチン塩酸塩水和物Paroxetine Hydrochloride Hydrate商品名パキシルやセルトラリンSertraline商品名ジェイゾロフトという抗うつ剤が使用されます。

なお、PTSDはストレスへ暴露されることにより心的脆弱性が発現するためか、うつ、統合失調症、双極性障害、不安症、境界性パーソナリティ障害、物質依存、摂食障害、行動、関係依存などほかの精神疾患や嗜癖と同時に発現する場合が多いので、その場合にはその疾患の治療薬投与もします。発達障害との重奏もあります。PTSDはWHO調査では生涯有病率1.1パーセント〜1.6パーセントです。(厚生労働省 みんなのメンタルヘルス)

あまりにも苛烈な体験が妄想と扱われることもあり、誤診が多いと研究者は述べていますが、ベースライン疾患への治療が効果的な場合もあるので、実際にはあらゆる種類の投薬治療が行われています。

ただし、PTSDの確定診断がついている場合にはベンゾジアゼピン系抗不安材や睡眠導入剤は解離を促進し、依存耐性を生じるので注意が必要と言われています。

2.精神療法

⑴ 持続エクスポージャー法法(Prolonged Exposure Therapy: PE)

認知行動療法の一種ですが、その名の通り、暴露に次ぐ暴露を行います。まるで「悪魔の契約」のような「治るためなら何でもしますね?」「はい」「それではやります」的なところもあるのですが、心理教育、呼吸法はメソッドとして理解できます。

想像的エクスポージャーとして、トラウマ体験があったのと似たような場所に晒された場所、学校や会社や、普段は安全な道路を通ったら、と想像してもらいます。一時的に心理的苦しさの指標SUDs、Subjective Units of Disturbanceは上がりますが、エクスポージャーに慣れると下がるはずです。

現実的エクスポージャーは、安全な場所の学校、会社や道路を歩いたりする経験を実践してもらうことです。

さて、PEのキモとも言えるのは週一回、カウンセリングのワンセッションの録音を1日一回聴くという大変な苦行です。通常のカウンセリングならなんとか最後に丸く収まって忘れておしまい、なのですがPEはそれを許してくれません。クライエントさんは毎日それを次のセッションまで延々と聞き続けるので苦しくなり脱落例も多く、認知行動療法にありがちですが、脱落例の人たちがどうなったかは研究不能です。

2. 認知処理療法(Cognitive Processing Therapy; CPT)

これは認知行動療法の中でも侵襲性を低めた心理療法で、全12回のセッションの中で世界の安全性や、その人が回復から自らを妨げているスタックポイントを見つめ直して正しい認知を獲得するというものです。テーマは「安全、信頼、力とコントロール、価値、親密さ」で、全てを失っているというクライエントさんを正しい認知に導く試みです。

個人療法のみでなく集団療法も行います。認知行動療法の基本であるソクラテス的問答法(動機づけ面接と違って治療者は答えを用意していないのですが、質問をし続けてクライエントさんに答えを発見してもらう)

認知再構成法によって、こちらから答えを用意しないでトラウマ回避行動で何が起こっているか、回避しなかったことで何が得られたか、不安の高まりと低減のシステムを患者さんに発見してもらうのも大切です。

3.EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)

精神分析的な視点も認知行動療法的な視点も取り入れられていると思います(認知行動療法にも精神分析的知見は取り入れられていると思うのですが;「インナーチャイルド概念」)。

EMDRの創始者Francine Shapiroは偶然鳥が右から左に左から右に飛んでいるのを見て自らのがんの不安が低減したことから、英米文学者の地位を捨てて心理学者としてEMDR技法を広めました。

トラウマ体験を想起しながら指を左右に動かし、治療者が認知の編み込みを行いながら50分から90分程度のセッションを行います。

この治療法の仮説原理はトラウマ処理における両側性刺激で右大脳半球と左大脳半球の偏ったトラウマ記憶を処理することです。

3回のセッションでPTSDの70パーセントが軽快する侵襲性が低い心理療法と言われていますが、EMDRが苦痛と訴える患者さんもいます。

PTSD患者さんには侵襲性が生じる可能性があるのかもしれません。

日本EMDR学会のホームページも参照して欲しいのですが、
https://www.emdr.jp/
EMDRをトレーニングを受けないで実施することは不可能です。
トレーニングの受講資格は2年以上の精神科・心理学的医療経験のある医師、臨床心理士、そして新しく公認心理師も加わりました。トラウマ治療に興味がある新公認心理師の方はこの機会にトレーニングを受けてみてはいかがでしょうか。

4.その他

これまでPTSDで苦しんでいた人は生活のクオリティが上がることで劇的に症状が改善することがあります。性被害を受けた人が自助グループに参加して主導的になる、未発見性加害者告発チームにかかわることで自らの存在意義を見出す人もいます。

PTSD治療にはどんな精神療法も効果的と言われています。カウンセリングは受容から始まります。精神分析でも対人関係療法Interpersonal psychotherapy、IPT)でも効果はあります。試験には出ないでしょうけれどもEMDRから派生した自我状態療法、ブレインスポッティング、イメージワーク、ソマティックエクスペリエンス、ブレインジム、ダンスセラピー、ヨガ、太極拳も有効です。PTSDは身体性の病でもあるからです。

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