フラッシュバックもPTSDの主症状で、何もしていない日中に外傷記憶が想起され侵入してきます。
悪夢でうなされることもしばしばで、休むこともできません。
解離が激しく起こるこの疾患では、人格が分裂する多重人格になることも多く、20ぐらいの人格が交代して出現し、人格分裂によってトラウマ記憶を分散させて自殺を免れているようです。
ただし、攻撃的人格や自殺に向かう人格が出現することもあるし、元々の主人格から第2人格への交替が何年も続くことがあります。
EMDRや催眠を併用されます。
仁木医師が入院病棟を作ってこの治療に当たっています。
多重人格の治療目的は全ての人格の統合ではありません。
もしトラウマ記憶を統一してしまったらその患者は死んでしまうかもしれないのです。
余分な人格は統合、それぞれの人格が助け合って生きていくことが治療目標になります。
子どものPTSD研究の権威である杉山登志郎先生は、4セットの簡易EMDRでも徐反応という、発作様のトラウマ想起、暴れるといった症状が再燃するといった研究を発表しています。
僕もPTSDのカウンセリングに当たっていると、泣きながら頭を床や壁に打ち付けながら転げ回るような激しい徐反応に接することがあります。
ただし、徐反応は全て出し切ることが大切で、中途半端にストップすると自殺念慮が出現しかねません。
徐反応が終わったあとの患者さんはけろっとしていて、あれ?と言うが、カタルシス効果のせいか晴れ晴れとしています。
PTSDの人は感情コントロールが難しくなっていて怒りの発作が出やすいが、徐反応を通じて解消することができます。
PTSDの中でもCPTSDと言われている複雑性慢性型PTSDはかなり治療困難で、年単位、それこそ10年以上の治療を覚悟しないとならないことがあります。
CPTSDは幼少期から長年の虐待や犯罪被害で起こります。
虐待によるCPTSDの生育史は悲惨なもので、性的虐待、暴力による制裁、経済的肉体的搾取が何十年も続いた症例もあります。
アメリカのように専門機関が確立していたらもっと日本も救われるのになと思います。
対人関係療法(IPT)はシンプルPTSDには効くかもしれません。
病人は休まなければならないという病者の役割をPTSD患者に付与して、恐怖が汎化してしまい、対人過敏状態になって何もかもに怒りをぶつけることを周囲が理解して対応します。
理屈は簡単ですが、CPTSDにはIPT全16回のセッションは少な過ぎると思います。
EMDRと併用されている自我状態療法はかなりの有効性を認められています。
自己と自己の対話です。
また、身体イメージに注目するソマティック ・エクスペリエンスはPTSDという病が身体へのフラッシュバックも引き起こし、激しい痛みを伴うこともあるので、やはり有効でしょう。
禅やヨガ、瞑想といった療法も価値を認めることができます。
こう書いているとPTSDの治療法は百花繚乱のように思われるかもしれませんが、PTSD症状の多彩さに比してあまりに打つ手が少ないのが現状で、患者数に比べて専門治療機関はあまりにも少ないです。
PTSDはあらゆる他の疾患や障害との誤診の可能性が高いのです。
もちろんPTSDの元となる刺激体験でレジリエンス(打たれ強さ)が弱体化しているので、他の疾病や障害を併発していることも多いでしょう。
あまりにも信じがたい虐待経験を妄想と片付けて、家庭に戻そうとする藪医者や藪臨床心理士に引っかかったら自殺の危険性さえあります。
過覚醒は双極性障害の躁状態で不眠になっているのかと誤診されます。
損なわれたコミュニケーション能力は発達障害と誤解されます。
致死的な思考と激しい情動の揺れ動きは境界性人格障害という誤診もあります。
PTSD患者の抱えている感情は悲壮で、その辛さを思うだに同情を禁じ得ないのが通常の医療者です。
共感ができない治療者は失格だと思います。
PTSD治療で注意しておかなければならないのはその外傷の二次受傷があり得るということです。
トラウマ記憶の話を読む、聞くことが治療者を傷つけ、一説ではPTSD治療専門家は5年間が平均バーンアウト(燃え尽き)期間と言われています。
東日本大震災のとき、テレビが津波の映像を繰り返し流していて、気持ち悪くなった人も多いでしょう。
あれも二次受傷です。
根掘り葉掘りトラウマ記憶を話したくもないのに聞き出そうとするのは危険です。
ただ、患者さんが話したくなったとき、そばに寄り添ってくれる人がいるということはどれほど心強いかとも思うのです。
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悪夢でうなされることもしばしばで、休むこともできません。
解離が激しく起こるこの疾患では、人格が分裂する多重人格になることも多く、20ぐらいの人格が交代して出現し、人格分裂によってトラウマ記憶を分散させて自殺を免れているようです。
ただし、攻撃的人格や自殺に向かう人格が出現することもあるし、元々の主人格から第2人格への交替が何年も続くことがあります。
EMDRや催眠を併用されます。
仁木医師が入院病棟を作ってこの治療に当たっています。
多重人格の治療目的は全ての人格の統合ではありません。
もしトラウマ記憶を統一してしまったらその患者は死んでしまうかもしれないのです。
余分な人格は統合、それぞれの人格が助け合って生きていくことが治療目標になります。
子どものPTSD研究の権威である杉山登志郎先生は、4セットの簡易EMDRでも徐反応という、発作様のトラウマ想起、暴れるといった症状が再燃するといった研究を発表しています。
僕もPTSDのカウンセリングに当たっていると、泣きながら頭を床や壁に打ち付けながら転げ回るような激しい徐反応に接することがあります。
ただし、徐反応は全て出し切ることが大切で、中途半端にストップすると自殺念慮が出現しかねません。
徐反応が終わったあとの患者さんはけろっとしていて、あれ?と言うが、カタルシス効果のせいか晴れ晴れとしています。
PTSDの人は感情コントロールが難しくなっていて怒りの発作が出やすいが、徐反応を通じて解消することができます。
PTSDの中でもCPTSDと言われている複雑性慢性型PTSDはかなり治療困難で、年単位、それこそ10年以上の治療を覚悟しないとならないことがあります。
CPTSDは幼少期から長年の虐待や犯罪被害で起こります。
虐待によるCPTSDの生育史は悲惨なもので、性的虐待、暴力による制裁、経済的肉体的搾取が何十年も続いた症例もあります。
アメリカのように専門機関が確立していたらもっと日本も救われるのになと思います。
対人関係療法(IPT)はシンプルPTSDには効くかもしれません。
病人は休まなければならないという病者の役割をPTSD患者に付与して、恐怖が汎化してしまい、対人過敏状態になって何もかもに怒りをぶつけることを周囲が理解して対応します。
理屈は簡単ですが、CPTSDにはIPT全16回のセッションは少な過ぎると思います。
EMDRと併用されている自我状態療法はかなりの有効性を認められています。
自己と自己の対話です。
また、身体イメージに注目するソマティック ・エクスペリエンスはPTSDという病が身体へのフラッシュバックも引き起こし、激しい痛みを伴うこともあるので、やはり有効でしょう。
禅やヨガ、瞑想といった療法も価値を認めることができます。
こう書いているとPTSDの治療法は百花繚乱のように思われるかもしれませんが、PTSD症状の多彩さに比してあまりに打つ手が少ないのが現状で、患者数に比べて専門治療機関はあまりにも少ないです。
PTSDはあらゆる他の疾患や障害との誤診の可能性が高いのです。
もちろんPTSDの元となる刺激体験でレジリエンス(打たれ強さ)が弱体化しているので、他の疾病や障害を併発していることも多いでしょう。
あまりにも信じがたい虐待経験を妄想と片付けて、家庭に戻そうとする藪医者や藪臨床心理士に引っかかったら自殺の危険性さえあります。
過覚醒は双極性障害の躁状態で不眠になっているのかと誤診されます。
損なわれたコミュニケーション能力は発達障害と誤解されます。
致死的な思考と激しい情動の揺れ動きは境界性人格障害という誤診もあります。
PTSD患者の抱えている感情は悲壮で、その辛さを思うだに同情を禁じ得ないのが通常の医療者です。
共感ができない治療者は失格だと思います。
PTSD治療で注意しておかなければならないのはその外傷の二次受傷があり得るということです。
トラウマ記憶の話を読む、聞くことが治療者を傷つけ、一説ではPTSD治療専門家は5年間が平均バーンアウト(燃え尽き)期間と言われています。
東日本大震災のとき、テレビが津波の映像を繰り返し流していて、気持ち悪くなった人も多いでしょう。
あれも二次受傷です。
根掘り葉掘りトラウマ記憶を話したくもないのに聞き出そうとするのは危険です。
ただ、患者さんが話したくなったとき、そばに寄り添ってくれる人がいるということはどれほど心強いかとも思うのです。
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