臨床心理士試験と公認心理師試験とどちらが難しいの?
これは「人による」としか言いようがないです。僕は公認心理師法が成立した時、臨床心理士試験過去問を全部解いてみて感触をつかもうとしました。
ところがどれも推定合格圏内にあったので復習しませんでした(バ○?)。
「まあこれなら公認はノー勉で大丈夫だなあ」となめくさって思ったのを覚えています。
僕にとっては臨床心理士試験受験は簡単に感じました。というのも臨床心理士試験に合格できたのは、その当時若さに任せていろんな勉強会に出たり、学生さんたちにボランティアで公務員試験や院試、臨床心理士試験の合格対策講座を行っていたからだと思います。教えるということは最大のアウトプットと感じました。
だから生意気にも(今考えると相当に危なっかしい)リンシは受かる気しかしなかったのを覚えています。
公認心理師試験もそのノリで受験すればきっと簡単だろうと「ノー勉で受ける」と言ったら周囲から「きちんと勉強しとけー」の大合唱。
科目読み替えが出来なかったので実はGルート受験だったのですが、第1回当時の現任者講習はだらだらとして簡単なものに思えました(失礼な発言)。
受ければ受かる簡単な試験のように思えていたのですがブループリントを見て真っ青になりました。「感情の高次機能」「負の相補性」等わからない単語が続々と出ていたではありませんか。昔習った内容と最新の知識とは明らかに違う。
そこで意を決して最低5時間勉強を自分に課したわけですが、なかなかキツかったのを覚えています。
さて、本題ですが令和3年度の臨床心理士試験合格率は65.4パーセント、この前の新卒中心と思える公認心理師試験Eルート合格率は85.5パーセント、これをもってして「公認心理師試験の方が簡単」とは言えません。(比較検討が難しくなるので他ルートは本記事ではほとんど省いてしまいます。ごめんなさい。)
臨床心理士試験の方が難しい、公認心理師試験の方が難しい、と双方の声を聞くことがあります。
ですがこれは「ソシャゲとラーメンとどっちが好き?」という無茶な質問に似ているような気がします。
臨床心理士試験はテスト所見読みが必要、公認心理師試験はより生物学的、ただし基礎心理が重なっていることを考えると、どちらかと言うと「カツ丼と天丼とどっちが好き」程度の違いかもしれません。
臨床と公認の合格率の差にはいろんな要因が考えられます。臨床心理士試験は大学院卒後受験及び経験ある医師と限定されているのですが、合格率が低いのは30年以上の歴史があるこの試験で、複数回受験者がかなり滞留しているのではないか?という仮説も立てられます。
僕の知人でも2回、3回目に合格したという人を聞きますし8回、10回受験者もいると聞きます。
一方で公認心理師試験は完全マークシートで面接なし、院卒者だとフレッシュな知識を生かすことができて、多数回受験の滞留者なしということで新規院卒者には有利な試験となって8割以上の合格率となっているとも考えられます。
そして臨床心理士試験は試験問題と合格点の公表がありません。面接で毎年1割程度が不合格となるのですがこの基準も不明です。
自分でも書いているうちにだんだんわけがわからなくなって来たのですが、あまりにも複数の要因が絡まっていて、どちらがどちらなのか読めないというのが結論めいたものになるのではないかと思います。
大学院新卒者の人にとっては公認はいずれ院卒時とほぼ同時に行われる、修論を書いて院では特に受験勉強を教えないということで短期決戦で公認は難しくなっていくでしょう。
僕が最近出会った、話を聞いた人たちはなぜか臨床心理士単独ホルダーの人が多いです。もう引退の年齢だからいいかな、とか、臨床心理士一本持っていればいいかな、忙しくて勉強できない、等個別の事情があるとは思います。(「公認、落ちちゃったんですかあ?」とはとても怖くて聞けない。)
リンシは投影法や精神分析をビシバシとやっていれば比較的合格に近づける試験だと思います。
聞いてみると事例問題で要求されるセンスも結構違うということで、リンシの方がより心理職としての現場寄りということで、普段から無資格のままでも実習や仕事で心理職をやっていてスーパーヴィジョンを受けている場合には合格に近づいていけるのがわかります。
合格率=難易度、では決してないと思います。どの資格試験でもそうですが受験者の平均点や分散(各得点取得者の散らばり具合)を発表しているものはありません。
したがって公認の合格率が高いといっても合格点すれすれの合格者が多いのかもしれないし、そうでないかもしれません。
リンシも同じです。この辺りはきっとずっとブラックボックスのままだと思います。
ダブル受験生の人たちは負担が重いのと今回勉強のための時間が限られていることから大変だという印象を受けていて、新卒者でも予備校を使っている人も多いようです。
ただひとつ言えるのは、どちらも簡単な試験ではないということです。公認も合格者数を絞っているように思われることから、資格試験かつ競争試験の色彩を呈しています。
ダブル受験生の方もシングル受験生の方にもご健闘をお祈りする次第です。
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