
○ 僕という臨床心理士・公認心理師は「性格が悪い」のか?
1.はじめに
心理職をしている人ならば自分がクライエントさんの目にどう映っているのか気になるのではないでしょうか。いかに論文や学説を学んでいても「医療倫理の4原則」、無危害原則で相手を決して傷つけないことが守れているのか思い悩む人も多いと思います。
それが自分の技量や経験不足ならば「もっと頑張らなくては」と思うのですが、自分の性格に起因するものならばそれはなかなか直しようがないところに恐れを僕は自分自身で感じているのです。
2.これが「性格が悪い」と思わせているのか?
⑴ 早すぎる解釈・介入
医師は精神科に限って患者さんにはっきりと病名を告げないことがあります。僕も医師が告知していない限り病名を言うことは越権行為と思っているのでしませんが、それが患者さんに不満を抱かせることも知っています。
あるいは…心理職の面接はある程度見立てを基に行っています。昨今の患者さんはとてもよく自分の疾患について勉強していますし、治療方法についても知っているのです。
例えばそれが「人格障害」だったら。僕も境界性パーソナリティ障害と診断されている人にそれなりの面談をすることがあります。
しかし敏感な患者さんはそれを見抜き「自分は人格障害だ」とカウンセラーから指摘されたようなショックを受けるかもしれません。
思えば「人格障害」というのは大変重いスティグマ(烙印)です。それをカウンセラーから匂わせることは、いかに効果的な精神療法であっても受け入れられないことです。
大刀はズバリと患部に切り込むことに成功すれば素晴らしい効果があるかもしれません。しかしながらそれが患者さんを深く傷つけてしまったら、または外れたところに切り込んでしまったら、それは侵襲性のかたまりでしかありません。
そんな時に患者さんは僕のことを「性格が悪いととらえる」ことは容易に想像できます。
⑵ 「短気」「決めつけ」と思われる
僕の勤務する「産業−医療」領域の医療機関には精神科医がいません。そこで希死念慮が高い患者さん、未遂患者さんをどうしても家族の了解の下(医療保護入院を視野に入れて)本院の精神科に受診させるように努力することがあります。
「精神科」というのは通常人にとってはとても敷居が高いものです。カウンセラーは守秘義務を持っていると思ったらいきなり家族に連絡すると言われる、不信感の基になります。
現任者講習で話題になったそうですが大変危険な任務について多くの人命を預かっているクライエントさんが何も考えられないほど不眠でふらふらしていたら…これは通告義務があるのではないでしょうか。
アメリカのタラソフ判決では医師が「タラソフさんの命を奪う」と言い切って、医師が守秘義務を優先したためにタチアナ・タラソフさんは絶命しました。医師は莫大な賠償金を払うことになりました。
守秘義務というカウンセラーの伝家の宝刀が守られない時にもクライエントさんは僕のことを恨んでいるかもしれません。
あとはコンプライアンス、治療アドヒアランスの問題です。全くカウンセリングに来ようともしない、医療機関にかかろうとしない。治療意欲がない。
必死で説得をするカウンセラーの姿勢は患者さんに受け入れられないことも往々にあります。
僕はクライエントさんにはにこにこと笑顔で接するように心がけているのですが「目が笑っていない」とよく言われています。このご時世ですからマスクをして目だけ見ているとさらに眼光鋭く見えるのでしょう。
笑顔でいようとしてもクライエントさんに相対する時には真剣に対峙しているので僕自身も「あちゃー」と思うことがあるのです。
⑶ 論争めいたカウンセリング
これは僕も経験したことがありますし仲間の心理職から聞いたことがあります。このクライエントさんにはこの技法が合っていてどうしてもこの精神療法をやりたいと思ってもクライエントさんが頑なに断ることもあります。
カウンセリングに来なくなってしまうとそれまでなので大人しく引き下がりますが、クライエントさんの目にはどう映っているでしょうか。
3.元々の性格
こんなブログを短時間で日々更新しているのですから僕の性格はせっかちであることは間違いありません。読者の方々は十分ご承知おきと思われますがかなりアグレッシブな内容の記事も多いです。
カウンセリング、心理テストをする時には相手の言うことを十分に聞いて受容傾聴するように心がけているのですが、お互いに人間ですし「どうですか?僕の性格はいいと思いますか?それとも悪いと思いますか?」と聞くわけにもいきませんのでクライエントさんが客観的に僕のことをどう見ているのかは不明です。
4.おわりに
普段きちんと仕事をしているつもりでも「性格が悪い」と思われることがあるだろうなあと思うとこうやって内省的になることがあります。
経験の浅い、駆け出しの心理職でもよっぽど僕よりも親身で性格がいいと思われる人たちはかなりの割合でいるでしょう。
ということをつらつらと思いながら仕事をして本を読んで勉強をして研究会に出ているような毎日を送っているのです。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
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