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公認心理師の将来性について考えてみた

1.はじめに

今後公認心理師になろうとする学生さんは学部のころから高い GPA を取って、公認心理師課程に進級、さらに難関試験を経て (僕の持論では私大の偏差値=公認心理師試験合格率程度の難易度はある)、公認心理師になれたとしてその将来性について考えてみます。

2 国家資格になったので待遇や給与は大幅アップか?

これについて残念ながら「あり得ないだろう」としか言えません。精神保健福祉士が国家資格化されたからといって、それ以前と異なって大幅に待遇がアップしたとも聞きません。3福祉士の方々の生の声を聞いているとみなさんそれなりに大変そうです。

ついこの間Twitter のラジオ機能、スペースで社会福祉士の方々の番組を聞いていたのですが「手取り20万円問題」というものがあって、働いていて手取り20万円もらうのがいかに難しいことか、という話をしていました。それを聞いていると、社会福祉士の人たちは生活困窮者の人に接することも多いにもかかわらず、例えば当該社会福祉士の人が一人で働いて家族を養っていくのは、大変生活の不安があるのではないかとも思った次第です。

社会福祉士に限りません。これまでも臨床心理士が大学院卒だからといって福祉職よりも大幅に給料が高いかというとそんなことはなく、某大学病院では事務職員と同じ給与体系、大卒精神保健福祉士+2年間の大学院卒のアドバンテージがあるだけで、全く待遇は変わらないということも聞いたこともあります。

医療職ヒエラルキーは勤務する場所によって全く異なるのですが、どの医療機関でも医師>>>>>薬剤師>>>保健師・看護師(あくまで僕の感覚で特に給与面と業務独占範囲で)>あと放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、理学療法士、作業療法士、精神保健福祉士、社会福祉士、栄養士、臨床心理士→公認心理師など、どの職種の方が上かどうかなど、当の医療機関側にとっては「このセクションにはこの職種がいないとならないから配置しておこう」ということで、特に序列をつけて考えているわけではありません。

したがって「心理の先生」としての尊敬を患者さんから得られるかもしれませんが、他職種より優れていると思って悦に入ったりするときっととんでもないしっぺ返しが来るでしょう。

大学病院等で働く心理職でも「いい待遇だろう」と思うとこれも大きな間違いで、給与体系としては勤務して10年選手でも高卒よりぐんと伸びしろがあるわけでもなく、ただひたすらに同じように給与上昇の階梯を上っていくわけで安定した病院職員ではありますが「定年までに手取り30万円は到底行かないよ」の「30万円問題」が立ちはだかっているわけです。

確かに公認心理師が国家資格となることによって保険点数に組み込まれることは微々たるものですが増えて来るようにはなったのですが、いかんせん他職種に比べて数十年程度の国家資格化の遅れはいかんともしがたく、すでに保険点数化されている領域に新規参入しようとしたら他職種とのパイの奪い合いになるので、縄張り争いよろしくすでに権利があるものをぶん取るのはこの狭い業界の中で心理職種が生き残っていく上であまり、というか全然良策とは思えません。

5領域(+私設開業)関係各職種から見事アカポスゲットして大学教員になる人もいますが、科研費をもらって立派な研究をしてポスドクとして悲しい人生をひたすら歩んで行く人が多いのも事実のこの業界です。

やっと助教になれても教授の秘書、自分の研究、学生指導と三位一体の馬車馬のような活動をしてその後、任期制特任准教授となれてもいつ任期切れになるのかわかりません。やはり退職金等さまざまな待遇を考えると、もし(心理系でなくとも)公務員になれたのならば定年まで勤めあげていくことが賢明そうな気もします。

3 理念

待遇面を述べてから理念というのはけっこう乱暴な気がしますが、なぜこのような記事構成にしたかというと、待遇がなっちゃいないというのに崇高な理念だけを述べても誰もついてこない、というのは某団体が公認心理師の上位資格である「より高い専門性を有し、生涯学習を継続する者」としての認定専門公認心理師やら「専門職の人材育成、指導に貢献する者」としての認定専門指導公認心理師やら、その上のスーパーバイザーやらを創設しても市井の公認心理師のほとんどが賛同をしなかった(少なくとも Twitter を含めたネット上では)ということを考えていくと、心理職としての立派なコンピテンシーをぶち上げるのは勝手ではありますが、非常勤形態が多く、年収のコア層も 300 万円行くか行かないかと高学歴ワープアに「理念」だけを霞を食べるように要求するのも酷という感じがするからです。

もちろんこの仕事には他医療、福祉職同様(こういった業界に携わっている方々全てに共通して)クライエントさん(患者さん等)の人権を尊重し、命を助けたり、生活のクオリティを上げることにつながるというやりがいはあります。

ただし、これも国家資格になったから理念が向上した、ということはなく、というかむしろあってはならないような気がします。人の命や心を紡いでいくこの仕事は、国が認めてくれたから、ということを理由にしてクライエントさんたちへの扱いを変えてはならないものだからと思うのです。

photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_