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公認心理師第5回試験現任者講習会定員は2万人以上・の意味するもの

厚生労働省から通知されている現任者講習会の定員の概算を合計してみました。定員一杯で申し込めないところも多いようですが、まだキャンセル待ちやこれから追加予約をするところもあり、あくまで概数ですが、現任者講習会の定員は2万人程度です。

2021.7 月末日の公認心理師登録者数 42,555 人(日本心理研修センター発表)、前回第4回受験者推定概数(現任者講習受講者及びこれまでの傾向から) 1万人前後、第5回はGルート現任者による駆け込み最後の受験チャンスになるので受験者数が増える、そこで現任者講習受講者も多かったのかな?と思いました。

次回第 5回はきっと公認心理師の総定員を見込んでの試験になるのではないかとも思います。とは言え(あくまで予測ですが)試験が急にものすごく難化したり、易化したりすることもないと思います。資格としての同一性が保てなくなるからです。

公認心理師試験実施前に行なわれていた公認心理師カリキュラム等検討委員会では、現在なんらかの形で心理職として働いている人員は全国に 5~6 万人いると推計していました。

なんとなくの予想ですが、公認心理師登録者はこの程度の数値にしておきたいのかなと思います。

ただ、これは厚生労働省公認心理師制度推進室も日本心理研修センターもわかっていることですが、G ルート他職種で「資格は取ってみたけれど…心理職に転職するわけでもないし」という人たちが一定数いることは把握しているでしょう。

これも僕の「なんとなく」の感覚ですが、公認心理師の全体数を決めているのもGルート定員を決めているのも、公認心理師制度推進室でも日本心理研修センターではないような気がします。カリキュラム等検討委員会のような、大枠を決める意図を持つ上層部の人々が最終的な方針を打ち出しているのかなあという感触を受けています。

さて、予測の話ばかりになって申し訳ないのですが、結局第5回試験までに「実働公認心理師数」として国家資格を持つ心理職を5~6万人養成したいのではないかと思います。

最近 Twitter の中で他職種 G ルートと臨床心理士のそれぞれの専門性論議が凄い勢いでなされていたのですが、僕の私見としては

(1) 心理職としての専門性を発揮したい人は今までどおり臨床心理士(を中心としたその他周辺資格を含む)+公認心理師としてやっていく、そして国家資格取得者としての専門性を生かす

(2) 他職種の人で資格を取得した人は他職種のままやっていく(心理職に転換したい人はそうしてみる。)

(3) 元々心理職ではなかったけれども公認心理師資格を生かして何かをしたい人はそのための自己研鑽をして(ストレスチェック実施者、福祉関係における心理テスト実施者、スクールカウンセラー等を)やっていく。公認心理師を取得して幅が広がった人はどの知識技能を何かに活用していく。

ということを考えてみれば、僕としては大枠では上記 3 点に収束するので、特にお互い争う必要性があるわけでもなく、棲み分けをしていけばいいだけの話なのだろうと思って見ていました。

(2)の人数がどれだけいるのか、日本心理研修センターや公認心理師制度推進室も正確に確認のしようはないのですが、調査、研究を経てなんとなく概数はつかんでいるでしょう。

ということで、第5 回試験までにこれまで心理職としてやってきていた人たちで国家資格を取りたいという人が試験に合格すればそのままスライディングさせる、(2)、(3)の人たちの存在も否定するのではなく、違った知見をお互いに交換しながら新しい心理的支援のあり方についてさまざまな人々が広く考えていくということではいけないでしょうか。

公認心理師法が規定している、この制度によって心の健康の保持増進が期待されているのは要心理的支援者だけではありません。「国民」全体です(第1条)。「国民」にとって何が望ましいのかということは公認心理師制度全体を考えていくにはとても難しい課題です。

ケースバイケースで判断していくしかないのですが、確かに臨床心理士でも資質的な制限を持っている人は残念ながらいます。特にクライエントさんとしては、相手がどんな資格を持っている人で、大学院を出ていようがいまいが、自分を助けてくれる、共感性を持って接してくれる人を求めていることは事実です。

そして、従来から心理職をしている人で公認心理師を取得した人は高い専門性を持っているということに誇りを感じていて欲しいとも思っています。ほとんどの心理職は公認心理師試験のための受験勉強が勉強の全てではなかったでしょう。学部のころから統計や実験法の習得に苦慮し、課題を次々と提出し、レポートを書いて、卒論、修論を書いて、ケースや検査の SV について、と専門性をかなり深めていたと思います。

要するに、この資格を生かしていく上でとかく国民第一に考えていく、その重要性は、経過移行措置のための現任者に限らず、他ルートで合格、登録をした公認心理師についてもそれは同じことだと考えているのです。それは人数の問題ではないと思いました。

photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_