第4回公認心理師試験合格率に影響する要因(試験後分析)
1.はじめに
さて、もう試験は終わってしまったので、結果は発表を待つしかないのですが、さまざまな要因で合格率はこの試験に影響しているのだと思います。それについて書いてみたいと思います。
2.G ルート合格率
第3回試験では Gルート受験者数は10,406/13,629 人と実に76.4 パーセント弱を占めていました。というわけで G ルート受験者の人たちが全体合格率の鍵ということは間違いないと思われまず。ちなみに前回のGルート合格率は 50.0 パーセントでした。
何度か書いていますが、G ルートの人たちが 5割の合格率を出すというのは素晴らしいヒットで、さまざまな背景の現任者がこの試験に合格するということは実に大したものだと思います。
どうやら現任者講習会を受けた人の割合、そしてこれまで不合格だった人の割合から考えると推計約3分の1程度が受験 or 再受験を諦めている(見送っている)ようなので、この5割の人たちは選ばれた人たちと言えるでしょう。
そしてこれも何度か書いているのですが、1度不合格になった人はまた不合格になりやすいということも事実で、医師国家試験は現役9割→既卒 5割弱になっています。なんらかの不合格要因があってもそれを克服しきれなかったということでしょう。
これはあらゆる試験についてまわっている現象です。時間を作れない、不得意分野がどうしても克服できない(決して頭が悪いというわけではなく)この試験ならではの独特のクセのようなものに慣れることができない、等さまざまな理由があるでしょう。これは G ルートに限ったわけではないのですが。
3.D、E、Fルート
これらをひとくくりにしてしまったわけですが、Gルート受験者数の層の厚さから、むしろ心理学の大学院を卒業した受験者層が「他ルート」と呼べるかもしれません。Dルート、Eルートは心理職としてこれから活動していくとすれば「どうしても資格を取らなければならない」層です。
しかしながらそうは言っても必ず合格できるわけではなく、僕の乱暴な持論ですが、こと私大に限って、臨床心理士試験で合格率の発表をしている院はだいたいその学部の偏差値≒合格率となっているようです。
ただしBF(ボーダーフリー、偏差値が出ない倍率の大学)は合格率もそれ以下になってしまうということを知っています。これまでも数年かけて臨床心理士試験を通ればいいというおっとりとした院もあったので、再受験者が多い心理院卒が必ず合格率を押し上げるというわけではなく、またその逆も言えないということです。
4.受験者層
したがって、この試験を受けた受験者層のレベルに合格率は依存するということが言えるでしょう。第 4 回になって滞留していた不合格者が一気に受験することになっていたら、上記の理由から必然的に合格率は落ちることになると思います。
ただし、滞留していた層がどれだけいるのか、再受験者はどのぐらいの数がいるのか、何パーセントなのかは決して日本心理研修センターから発表されることはないので「わからない」ところが実情です。そして医師国家試験の難易度と公認心理師試験の難易度を一概に比べるわけにももちろん行かないわけですし、他の試験とも比べるわけには行きません。
5.問題の難易度
これに関しては諸説あると思います。第2回、3回試験よりもこの試験は易しかったという意見もあれば、逆の意見もあるでしょう。ただ、今回の試験に関しては過去問から多くの設問が出たということは言われていますし、僕もそうだと思いました。国家試験ですので、あまりにも難問奇問ばかりを出すわけには行かないでしょう。
ただし、かなりの難問はあったと思います。医学問題でも医師すら正答を出しにくかった問題もありました。ただし、この試験の出題範囲はある程度決まっている試験です。限られたスペース(といってもかなり苦戦した人も多かったと思いますが)の中で限られた文字数しか問題作成はできません。ということは、毎回出題していれば、全く的外れの問題ばかりを作るわけにも行きませんし、よく傾向分析をしていたら、今回初回受験組でも前回不合格組でも高得点を取れたのではないでしょうか。
したがって、この問題が易しかったか難しかったかという評価は予備校のようには評価し切れないのですが、ごく当然のことを言うと「よく復習して学んでいた人にとっては有利な試験だった」ということは言えるでしょう。
あとはいわゆる、予備校によって解答が異なっているという「割れ問題」が多かったということは難易度に関係してくるでしょう。各予備校等が出している模範解答を見ると各社で解答が割れている問題がいくつかあります。自己採点をして合否のボーダーライン上にいる人はかなりひやひやしていると聞きます。
6.結語
そういった意味では不安定要素が多々あり、合格発表があるまでは「わからない」というこ
としか言えないのは毎回のこの試験と同様です。ただ、予備校の解答というのは「割れ問題」による変動が多少あったとしてもプロが作成したものであり、ボーダーライン上にいる人以外にはある程度の上下があったとしてもかなり大きな変動はないものと予想されます。
その人たちを完全なサンプリングで調査していかないと本当のところは見えてこないわけですが、それは大変困難なことで、予備校で行っている調査も「調査に答えた」という意味でのサンプリングの偏りがあるわけです。
それは毎回の試験でも指摘されていることです。Gルートにとってはこの後1回のチャンスを残すばかりとなったという意味でも今回の第
4回試験の合格率の行方に注目したいところです。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
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