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O 公認心理師試験に合格すると役立つのか?

1 はじめに

公認心理師試験までいよいよ3日後となりました。みなさん、問題の解き方のイメージトレーニングは十分にしたと思うのですが、ここでは「公認心理師試験に合格したら何かいいことがあるのか・役立つのか?」ということについて十分に考えてみてその意義を見直して欲しいとも思います。

2 公認心理師になるといいこと

(1) 採用試験に有利になってきた

毎回定期的にハローワークで求人調査をしているのですが、未だ臨床心理士の方が採用に有利なようで、だんだんと公認心理師がそれに迫る勢いです。ただし、今の時期ということもあって、双方とも放課後デイサービスの募集が多いです。

ただし、もちろん病院、クリニックや障害者施設等での募集も多いです。(2021.9.17現在臨床心理士求人763 人(フルタイム 472 人、パート 291 人)、公認心理師求人 579人(フルタイム 208人、パート 371 人))ですので新卒者はダブルライセンスでないと採用されない職場も増えて来たのでそれを念頭に置いておくといいでしょう(スキマ問題は実に残念なことでが)。

ただし、相変わらず初任給給与は安いですし、時給も安いままです。

(2) 心理職は給与が上がる(こともある)

ということを聞いたことがあります。病院、福祉施設や産業場面では保険点数やストレスチェック制度にダイレクトに結びついているからでしょう。というわけで月給が5千円ほど手当てがつく場合があるとツイッターを読むとタイムラインに書いてあることもあります。ちな、僕はそれで給与が上がったということは1円もありません。

(3) G ルート無資格心理職は印籠を手に入れられる

Gルート無資格心理職でも立派に働いていた人はいます。博士号を取得して脳の研究をしている心理職が病院勤務をしていたり、自営で真面目な勉強家(の人が公認心理師資格を取ることに賛成も異論もあるのは認めます。)の人が「公認心理師」と名乗れることです。

(4) Gルート他職種の人々

この人たちは別に公認心理師がなくても構わないです。ただし、公認心理師資格を持っていれば自分は心理相談もできる、心理の知識も十分に持っているという自負が持てるでしょう。保健師、養護教諭、特別支援学校、学級教員などは役立ちそうです。しかしながら本格的に心理相談を担当して受け持つことになると教科教員ならば多重関係に悩むことになると思います。

なので心の中の勲章にしておくしかないかもしれません。医師、看護師、福祉士、言語聴覚士、作業療法士は確かにメンタルにかかわる仕事をしていますが、心理職の仕事がしたいから、とスライディングをして心理職になるのはかなり難しいかも知れません。

福祉士から公認心理師を取得して福祉士兼スクールカウンセラーになったフリーの人を知っていますので、それまで行っていたキャリアによっては不可能ではないでしょう。

心理職への憧れは他の領域でも強いもので、例えば司法関係の公務員が心理テストを取りまくって大病院に勤務したというと羨ましがられるとか、教科教員でも「今から臨床心理の院に行ってスクールカウンセラーになって時給5千円で働けば月給 80 万円になると言っていたので、そんな不安定な生活をするものではないと僕が慌てて止めた覚えもあります。

臨床心理士は院卒で取れたので、内地留学をして臨床心理士を取得した人々もずいぶん多かったと思いますが、そういう人たちのかなりの数は公認心理師も取得したのではないでしょうか。

公認心理師になるのがいくら試験が難しいとは言え、G ルートの人たちのバックグラウンドは百花繚乱で、うがった言い方をすれば玉石混交とも言えます。

3 終わりに

専業の心理職の人だと公認心理師は必須資格とこれからどんどんなっていくのは自明という気がします。

しかしながら何かの仕事をしていて、スライディングして心理職専業になるのはなかなか難しいですし、何の仕事でもその仕事のキャリアが大切なので、元教員→スクールカウンセラー、よりも外部性が重視されるスクールカウンセラーも、スクールカウンセラー歴があって各種調整能力がある人の方が採用されやすそうな気がします。

いいことがあるのか?どうかはその人々によるとしか言えません。カリキュラム検討委員会でも言われていたように「自分はもうすぐ引退するからいいや」と臨床心理大学教員でも公認心理師を取得しない人もいるでしょうし、実際そういう人もいます。

これまで心理職として働いて来た人でも老齢で引退間近なので受験をしないという人の話も直接聞きました。したがって、「いい、悪い」は人が決めてしまうものではなく、その人の属人性や所属する組織、そして社会からの評価にもかかわっているということはみなさんご存じのとおりです。

臨床心理系の学部→院卒者と G ルート他職種の人たちの心理的な対立はなかなか相当根深いものがあり、すぐに解決できるわけではありませんが、いずれ上記の事情等、何よりも公認心理師法が規定している国民が評価していくことになるのだと思います。

photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_