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◯ 高坂康雅先生、公認心理師上位資格反対について大いに語る

2021.8.3に公認心理師上位資格構想を公認心理師協会が発表したことについて、かなり多くの反対意見が出ていることについて和光大学の高坂康雅先生も大反対の意をYouTubeで表明しています。

タイトルは「公認心理師協会が専門資格を始動−上位資格は必要か−」というものです。

高坂先生の論点はいくつかあるのですが、整理すると以下のとおりです。

認定専門心理師の目的と目指すところは公認心理師と変わらないのではないか?

これはもっともな論理で認定公認心理師は

「認定専門公認心理師:臨床実務に関する基本的な教養を身に付け、分断横断的な視点を有し、広く国民の心の健康の増進に貢献できる専門性を有した者として認定するものです。」とあります。

しかしこれは公認心理師第二条の

「この法律において『公認心理師』とは第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称をもって、次に掲げる行為をすることを生業とする者をいう。」

※ 注
第二十八条 登録
次に掲げる行為(抄)
一 心理支援を要する者の観察、分析
二 心理相談
三 関係者の相談対応

確かにこれは高坂先生が言うとおりで、公認心理師という国家資格ができたのにそれと全く同様の目的を持つ上位資格を作ることに何か意味があるのか?というもので、これに対して僕は全面的に賛成します。

かなり多くの研修を受けなければこの専門認定公認心理師資格を取得できないことについても高坂先生は問題視しています。

・導入研修(研修時間不明)
・専門研修Ⅰ(研修時間不明)
・テーマ別研修(20単位)
(資格更新時25単位)
・専門研修II

なのですが、この資格は5年ごとの更新性資格です。

公認心理師試験対策講座を主催している高坂先生が問題視しているのはさまざまな観点がありますが、きっとこの研修は無料ではなく、多分多額の金員を支払わなければならないということ、それから5年以上の経験を持つ、ということで認定公認心理師は分野別だと転職に有利になる可能性があると話していました。

また、さらに1段階上の認定専門指導公認心理師になるとエキスパート研修が必要、結局なにがしたいのか?

高坂先生の主張(推測)では自己研鑽を行う(自己研鑽は他のところでもできるだろう)、自慢したい、職場内の評価が上がる?(ワケがないと高坂先生も言ってました。)、転職に便利(…)な訳ないだろう。(僕が採用面接官なら、この資格を持ってるとドヤ顔で志望者が来たら即落とします。)

高坂先生は現段階で実務的なメリットは今のところない。また、「実習演習担当教員」、「実習指導者」になるための厚労・文科大臣の指定する講習会を受講しなければならない事になっている(今は経過措置で認められている)のに
こういった制度とは関係なく「指導者」の資格を創設するのはいかがなものかと話していました。

中央研修だけだと地方の人は交通費もかかるから負担が増える、臨床心理士のダブルホルダーは経済的負担に耐えかねて臨床心理士を捨ててしまうだろうとも述べておられたのですが、なにより「何が何だかわからないから分裂団体に両方入らない」という人が多いだろう。

また

まず先にやるべきなのは分裂職能団体の統一じゃね?

と言われていたことに僕も大いに賛同します。

そして結局こういったわけのわからない制度を作っても要支援者のクライエントさんたちが混乱するだけ(大いに賛成)とも主張していました。

思えば僕自身も臨床心理士をしていて臨床心理士資格に愛着を持っています。心理臨床学会にも所属していますし、日本臨床心理士会にも加入していて、立派な先生方がおられてお世話になったこともあります。

それなのにこれらの団体と縁が深いと思われる日本公認心理師協会の暴挙に対して「ナニソレ?」ということを強く感じている次第、高坂先生の意見に全面的に賛成する次第です。

付記:高坂先生の動画でも紹介されていましたが、さらにスーパーバイザーを指導者の上に作ろうという構想があるようです。公認心理師そのものが国家資格なのにその上に資格を3階建てで作ろうとするのは暴挙としか思えません。


photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_