247ADE53-5C30-439B-B9C5-867199A20C35

公認心理師受験をあきらめる人たち 

1.はじめに

現任者講習会の受講者は毎年1万人強、不合格者がだんだん滞留してきて概算で毎年5千人ぐらい、そうすると G ルート受験者は毎年 1万5千人ぐらいいるはずですが、どうも5千人ぐらいずつ足りない。こういう人たちは受験をあきらめてしまったのだと思います。

Dルート、Eルートの人たちはこれからある程度長い間心理職を続けていこうとすると何が何でも受からないとならない、ほとんどが臨床心理士の人たちだと思います。

D ルート、E ルートの人たちは永遠に受験資格があるのである程度滞留しても時間をかければ合格する可能性が高いのですが、G ルートの人は第4回、第5回の試験で受験チャンスは終わってしまいます。だから現任者講習まで受けてもったいないなあと思うわけですが、だいたい約3分の1程度の人たちがあきらめている計算になるわけです。考えられる理由はなんでしょうか。

2.理由

(1) どうにも時間がなくて勉強ができない

Gルートの他職種現任者の人たちは他に仕事を抱えている人たちが多く、しかもそのほとんどが多忙な職種です。教師、看護師、保健師、福祉士など無茶苦茶忙しいわけで、そして育児や介護が重なると勉強どころではありません。受験をしてみたら到底合格点に届かなかった、あるいは過去問をやってみたものの、全く歯が立たなかったということでは合格への道はおぼつかないのであきらめるしかなかったのかもしれません。

(2) 公認心理師資格がなくても困らない

これは他職種の人たちに共通しているものだと思います。他の仕事についていて、特にこの資格がなくても困らないのであれば無理をして取得する必要はありません。今まで持っていた資格で食べていけばいいだけの話です。実際、精神科医師でも公認心理師に不合格だった人たちはたくさんいます。

司法、教育、産業、基礎心理学ナニソレという状態で多忙な医師がいくら頭が良くてもやはりこれらの科目を学習する時間がなければ合格することは困難です。とりあえず受けてみて、不合格だったとしても肝心の医師免許には関係ないので取得しなければならない積極的な理由にはならないわけです。

(3) 心理学を知らない、あるいはモチベーションの問題

これは上にあげた理由とも相通じるのですが、基礎心理や統計から始まって G ルートの人たちは相当に勉強しないと合格点まで届きません。だから合格者、特に難化したと言われている第2回、第3回の G ルートの合格者の人たちはすごいなあと思うわけです。

さて、何点差ならあきらめるのでしょう。惜しくも数点差で不合格だった人でもその後全く勉強の機会がない、あるいはそれほどこの資格を必要としていなければあきらめるかもしれません。また前回 20 点ぐらい足りなかった人でもその後猛勉強して合格した人もいると聞いています。

人によってそれぞれです。さすがに 100点前後でいわゆる国語問題だけしか解けなかった人は再チャレンジしても難しいからとあきらめるかもしれません。

なにしろ心理学プロパーでもテスト用紙を見るとわけがわからない。ましてや心理学をゼロから勉強した人が見たらなおさらわけがわからないわけです。怖気ついてあきらめる人がいても無理はありません。

3.選ばれしGルート合格者たち

上記の理由から G ルートの人たち、概算で3分の1が受験をあきらめたとすると、第3回試験の G ルート合格者は第3回試験でちょうど 50 パーセント、そうすると現任者講習を受講したG ルートの人たちは3分の1だけが合格したわけです。

僕はこの数字を「かなり高い合格率」と評価します。何も知らないのに勉強をしてすれすれの点数でも合格したわけで、新卒Eルートは確かに 81 パーセントと高い数値の合格率だったわけですが、それでも試験が簡単だったという声は聞いていません。こと第3回試験は「雑学クイズ王試験」と揶揄されているほどです。

心理大学院卒レベルの試験をなんとか通ったのはかなりの努力をしたと思います。睡眠時間を削って家事を配偶者に任せて自分の時間を全てこの試験の受験勉強に費やした人もいると聞いています。

考えてみればG ルートの人も「全く何も知らない」わけではなく医療関係者、福祉関係者、教育関係者もいるのでそれなりの知識があり、それに肉付けをしていけばいいのですが、それでもそれだけの努力をしないと合格できない試験だったわけです。

さて、日本心理研修センターからは一度も発表されたことはないのですが、第1回、第2回、第3回の試験の得点分布や分散はどうだったのでしょうか。第1回に比べて第2回、第3回の得点分布が合格点すれすれだったのは間違いないと思います。実際 Gルートの人も7割合格を果たした人はほどんど聞くことがありませんでした。Eルートでもそうです。


そう考えるとたとえすれすれの点数でも合格した G ルートの人は「かなり頑張ったんだなあ」と感心するわけです。

4.おわりに

Gルートの人の人たちがこれから受験をするか、あきらめるかそれは本人の自由です。あまりにも勉強し過ぎて本業がおろそかになったり、健康を壊してしまったりしたら本末転倒になってしまいます。社会学者マックス・ヴェーバーは「自らの仕事に帰れ」と若者たちを喝破したことがあるのですが、それほど自分にとって必要がない資格であればあきらめるというのもひとつの選択です。

Gルートの中にも心理を専業としている人、また、公認心理師を取得したら仕事の幅が大きく広がるという人もいますので、そういう方にはぜひ頑張って欲しいとも思います。

photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_