
◯ 臨床心理士・公認心理師は儲からない
1.はじめに
「この記事は『公認心理師・臨床心理士』=仕事ないという現実を打破する離れ業」記事に対するふみさんの問題提起から始めたものです。
※ お金を取りなさい。ふみは身に付けた専門知識をただで切り売りしている。無理相談なんてしょっちゅう受けない。」と法曹関係者の父。
「お兄さん(姉の夫)だって電話で病気の相談受けたら、次の診察の時に『相談料』を患者さんに請求してるわよ。」と開業医の妻になった姉。
私は公務員だから意識することはないけれど、心理職のいろんな技法って専門知識=本当はお金をもらって然るべきもの。雑談でも専門家から法律、医療、その他諸々の専門知識を得たら、それに対してお金を払う。
この辺の視点が心理職にもっと必要かもしれません。
ということですが、公務員だとカウンセリングは機関によりますが、ほとんど無料で行われていることが多いです。これが私立の病院やクリニックについては50分5千円ぐらいが相場でしょうか。有料のカウンセリングを行う医療機関に勤務していた時は実際に僕もその値段でカウンセリングを行っていたのですが、公務員だとなにしろ幅が広いです。
家裁少年部だと「調査官って何だ。家裁になんか行きたくないよう」と呼び出しても6割~7割しか来庁しません。家事部では子の福祉を最も大切にするのですが、民事と同じで申立人は事件を解決して欲しいので(調査官がかかわるのは一部の事件)まず来ますが、相手方は申立人の言うことは聞き入れたくないのでやはり来ない人が多いです。
少年鑑別所や少年院、刑務所は何しろ身柄を拘束されているので100パーセント面接ができます。児童相談所も親が問題意識を持っていなければ児童福祉司が家庭訪問をするしかないですし、児童心理司が児童福祉司を兼ねている場合もあります。また、社会的養護はカウンセリングというよりは生活をしている子どもの観察を一緒に活動しながら行います。こういう人からお金は取れません。
無料カウンセリングはスクールカウンセラー、幼稚園、市役所、省庁(出先機関含)、都道府県庁の職員、警視庁の被害者への無料カウンセリング、裁判員でショックを受けた人にも提供されています。
きりがないのですが、私立病院では実は千差万別で、地域への社会的貢献として無料でカウンセリングを行っている機関もあれば、医師の診察に付随してカウンセリングが行われれば(入院・通院・回数によって異なる)数百円で済む場合もあります。まあほとんど無料といっていいでしょう。
2.専門知識とカウンセリングの有料・無料
確かにふみさんが言うように心理職は大学院まで進んだ後に自己研鑽を積んで心理面接の技術を自分で高めるために研究会に出たり心理検査の勉強会にも参加します。それでいてカウンセリングが無料なのはどうか?という疑問は当然沸いてくるでしょう。
かなり専門性が高い、例えばPTSDに対するEMDRや強迫性障害に対する認知行動療法や精神分析などは私設開業領域での治療を求めるクライエントさんが多いです。電話カウンセリングやオンラインカウンセリングもほとんどそうです。私設開業領域は「お金を払っただけの見返りがあるか?」という勝負なので、かなり高い専門性を要求されます。僕はこれは間違っていることだとは思いません。
むしろドイツのように心理職はほとんど全て開業していて業務独占という世界も正しいあり方のひとつだと思っています。
病院も無料カウンセリングにしてしまうとドタキャンやドロップアウトは多いでしょう。
ふみさんが言うように法律関係は弁護士に限らず士業は司法書士でもそのほかでも相談→依頼はお金に直結します。
3.無料・有料それぞれの目的
どうやら無料カウンセリングは加害者臨床の場合には社会的防衛の色彩が強いので無料で提供されるのが当然という気はします。そして貧困層に対するカウンセリングや制度を守るためのカウンセリングも無料であってもいい気はしますが、有料は高い専門性だけでなく、ニッチな疾患や質の高いカウンセリングを受けたい、「自分は〇〇療法が受けたい」という場合にはそれを求めている場合も多いようです。
4.心理職の待遇
公務員であってもキャリアやを除いては非常勤で心理職を雇用していて、薄給の場合があります。院卒でも事務員と同じ給与体系の場合もありますし、高卒同待遇の場合も多いです。日本ではカウンセリングというものは安く買いたたかれているという感は否めません。また、心理職でも施設職員だとカウンセリングができない薄給の機関も多いわけです。
5.私設開業領域
私設かカウンセリングでも他分野からすれば「安い」場合が多いのは事実です。かなり経営的なリスクを伴いながらなのでこれはなかなか難しい分野です。自分に付加価値をつけながらでないと難しい、それは博士号を取得したり、大学非常勤講師をしたり、論文を著したり、それで専門性を高めればクライエントさんが増えてカウンセリング料金が高まるわけでもありません。開業はかなり困難な領域で、同い年のサラリーマンよりも稼ぐことも困難です。
6.まとめ
心理職はふみさんが言うとおり、専門職ですが多くの心理職はそれに見合わない待遇を受けています。自ら「売れる」「お金が取れる」付加価値をつけなければならないのですがよほど名が売れているか、大学院では学べないセンスを高めないとならないようで、ここにも心理職の前途多難を感じます。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
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コメント
コメント一覧 (3)
極端な話、友達であっても心理職としての知識を使って何らかのアドバイスをしたらお金を取りなさい、という理屈になるんだと。さすがに私、それはやり過ぎだと思うのですが、心理職は自分が持っている専門知識を安売りしない方がいい。一見単なる会話、世間話に見えるカウンセリングでもほんとうはかなりの勉強を積んでやっとできるもので、傾聴講座を数回程度受ければできる簡単なものとは違うんだよと思うのですよね。