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◯まだ間に合う、カンと知識を総動員する公認心理師試験対策

1.はじめに

公認心理師試験の解法は多くの参考書でも出ていますが、知識があればカンで解くのも比較的ラクです。試験まで今の段階で知識をなるべく多く頭の中に流し込んでおけば知識も事例も問題はそんなに難しくないと思えるぐらいの学習をしておけばいいのだと思います。

2.例(第3回試験)

問8
「心理学の実験においてXがYに及ぼす影響について」を問う問題です。

心理統計でX=独立変数、Y=従属変数、X でもY でもないその他に影響を与える変数が剰余変数ということを覚えておけばまず①(X=剰余変数)、②(y=独立変数)が違うのはわかります。研究者が従属変数 Y をまず操作してしまったらまともな実験にはならないので③が違うのもわかります。

⑤、結果の分析に X と Y の相関を求めるというのは、独立変数と従属変数だけの関係を見るということでは「心理学の実験」には当てはまらないので誤答、通常 X は複数、治療薬とプラセボ薬で効果を測定するなどが正しいので答えは④でいいわけです。こういった知識を覚えておけば統計も怖くないでしょう。

問 52 は全般性不安障害の症状として正しいものを2つ選択するという問題です。DSM-5の診断基準はとにかくDSM-5 そのものを見て覚えておくしかありません。第3回試験では全般性不安障害が出ましたが、次回は ASD が出るかもしれませんし、素行症が出るかもしれません。過去問を解説したテキストを見ておくだけではこういった診断基準に関する問題は解けません。

問 65、放火をした9歳男児を家裁がどの施設に送致する可能性が高いかについての設問ですが、児童が入所する施設についての知識と、家裁が送致する権限のある施設、年齢を考えたら児童自立支援施設の可能性が最も高いことはすぐわかります。

問 72 では田中ビネーで 69=知的レベル低、Vineland- II の v 評価点から8歳の男児の状態を推認するという問題です。両方のテストの評価点の意味がわかれば簡単です。Vineland-II は実施したことがある人ならば v 評価点のカットオフ値はわかると思います。

問73も心理検査から25 歳会社員 A の状態を判断する問題です。ここで使われている心理検査は BDI-II、AQ-JY-BOCS です。それぞれのカットオフ値と25歳会社員の見立て(というか診断名)の推察についてですが、A の状態や検査数値から推定すれば答えは出てきます。これらの問題は知識が完璧であれば解けます。3つのテストとも頻出と考えておいた方がいいでしょう。

3.正答に至るまでのカンとコツ

知識が完全に近いものであれば近いほど正答は選びやすいです。上記だと「解説」になってしまっていて「カン」の働きどころがないのではないかと思われるかもしれませんが、よく言われているように公認心理師試験は記憶を再生させて自分で論理を組み立てる、という再生 + a の高度な問題(国家総合職や難関大学院)ではなく、「何が正解だったかなあ」という正答(誤答)を選択する「再認」問題です。

ですから少しでも知識があれば「どっちだったかな?」と正答選択ができる「カン」の確率は2分の1に上昇します。しかしやや難易度が高い、あるいは問題で2分の1だと合格点にたどり着くには心もとないので、僕の持論ですが「再認力」を高めるためには大量の知識を流し込む必要があります。

分厚いテキストには多くの項目が記載されています。それらを全てざっと一読して、まず分野全体の特性を理解する。過去問もやってみてどこまで覚えればいいのかを見てみる。それからテキストの復習をする、とやることは多くあります。

第3回試験で「こんなマニアックな問題出しやがって」と思った人も多かったでしょうけれども、心理学部卒業の人でも実験のレポートひとつ書くのに用語がわからなければ文献を読んで、それでもわからなければ英語の論文を読んで、ということをやらされた人も多かったと思います。

ブループリントの小項目を全て調べるだけではこの試験は解ききれません。大事なのは小項目+中項目→大項目です。小項目の中には「バイアス」は書かれていません。しかし実際にはバイアス問題は出ます。

「確証バイアス」(自分の信念を信じるために他の不利な仮説を無視)があります。社会的帰属の誤りや虚偽記憶を作り出すこともある「認知バイアス」(プロスペクト理論=判断に至る時間は早いが正しいとは限らない)、SNSなどで極論に傾きやすいリスキーシフトがあります。

過去の経験や相手の性格の大部分を見て小さい部分を無視してしまう「一貫性バイアス」、自分が知っている知識経験だけに拠って物事を判断してしまう「自己中心性バイアス」、例えば「東北地方の夏は常に関東よりも涼しい」というアンカーを下ろしてしまう「アンカリング」(選択的アクセシビリティ)、自分だけが苦労して成果を手にしたと思う「自己奉仕バイアス」、世の中の人の8割は自分の運転は人より上手いと思っている「自己高揚感バイアス」、予見可能をしていたと思う「後知恵バイアス」、などがあり、バイアスを例として出しましたが、人の認知、社会心理学という大きなくくりの中からは何の問題を出しても構わないというわけです。

バイアスは知っておけばその単語を知っておくほど正答率が高くなります。

「数学は暗記科目」と超難関大学受験で言われていますが、確かにそういった側面はあります。しかしながら公式は暗記してもいいですが、各例題を暗記しただけでは実際の試験はまぐれ当たりの可能性は高くなります。暗記→理解になればなおさら記憶は定着しやすいでしょう。

いかがでしょうか。基礎的な知識を押さえ、多くの用語を覚えて理解していけばまだ時間は間に合うと思います。ぜひ受験生のみなさんに頑張っていただけるよう、期待しています。

photo & by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_

公認心理師試験対策