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○ 臨床心理士・公認心理師のカウンセリングには意味がない

1. 序

いつもカウンセラー目線でばかり書いているのですが、たまにはクライエントさん視点をまじえて書いてみたいと思います。これはクライエントさんの実際のクレームをそのまま、あるいはある程度改変して書いてあるものです。

2. 具体的に解決しない。

一番多いクレームはこれかもしれません。これは確かにそういうところがあります。カウンセリングに来て会社のパワハラが止まない、借金苦で大変なのが楽にならない。転職したくて仕方ないけれども次の仕事が見つからないので苦しい今の現状に甘んじている。そんなときにカウンセラーは「大変ですねえ」「よく今の状態に耐えていますね」と同調や共感はしてくれるけれども具体的な解決方法は示してくれない。

いたずらにカウンセラーがカウンセリングの回数を重ねていても何の役にも立ちません。

こういう時はカウンセラーは確かに当てになりません。労働基準監督署、弁護士司法書士、転職エージェントへの登録等が助けになると思います。

3. カウンセリングがつらい

(1) 話が長い

これも実はなかなか多いクレームです。さて、カウンセリングを始めます。最初、50 分の予定でカウンセリングを始めて、まあだいたい話せた。あるいは全部は話せなかったけれどもまあ次回でいいか、と思ったら、さっきの話を詳しく話してみてください、続きの話はどうなりましたか?と聞かれます。

これは大変疲れることです。50分の予定で、50分で今日は満足したのに気が付くと 120分、150 分と時間が経っています。「あの、時間が長くなりましたが」と聞くと「今日は時間がたまたま空いているのでサービスで大丈夫ですよ」とにこにこしながらカウンセラーが答えます。

こちらは疲れている、あと今日は買い物や家事があるから早く帰りたいなあと思ってもなかなか帰してもらえないという苦行が待っています。

このカウンセラーがたまたま流行っていないカウンセラーだったとしましょう。確かに親身になって話は聞いてくれる、適切な相槌を打ってくれる。共感性は抜群ですがなかなかの苦行です。

(2) 嫌なことを聞かれる

誰しも過去に嫌な体験をしたことがあるものです。そうすると、「これはトラウマかもしれない」と思ったカウンセラーが次から次へと質問をしてきます。誰だって嫌な過去の話をしていたらいい気持ちはしないものです。

昔交際していた相手とひどい別れ方をした話をしているうちにどんよりとした気持ちになります。原因についても根掘り葉掘り聞かれます。そうすると、交際には一方的に相手が悪かったというだけではないことも多いので、自分の欠点を思い出し、相手への罪悪感が増します。そのうち話はだんだん過去のことにさかのぼります。

子どものころいじめられていたこと、そしてどんないじめられかたをしていたのか、理由はなんだったのか、親からの育てられ方はどんな風だったのかについても聞かれます。

どの親も模範的ないい親ではありません。人間ですから完全ではないのです。それでも聞かれまくっていると「ああ、自分の親は悪い親だったのかもしれないなあ」と思ってそれを話すと今度は「親御さんも大変なところがあったのかもしれませんね」と一転して親のことをかばうような発言が出てきます。

あなたは自分がどっちの方を向いていいのか混乱する上に、嫌なことを話しているとずるずると関係のない嫌なことを思い出してしまいます。その結果として真っ暗な気持ちになってカウンセリングルームを高いお金を払って出ていくことになるわけです。さきほどの長時間カウンセリングと合わせ技で使用されると効果てきめんです。

(3) 決めつけられる

こちらは正直にあったことをそのまま素直に話し、感じたことをそのまま伝えるとカウンセラーに「それは認知のゆがみですね」と言われ、感じ方を変えるように強制されます。認知が変わると感情も変わって行動も変わる、とあげくの果てには行動まで変えるようにと言われます。

あるいは会社や学校でキライな人がいることを話すと「それは投影同一視と言って、あなた自身の嫌な部分をその人に投影しているだけで別にその人がキライなわけではないのです」と言われます。「いや本当に私はその人がキライなだけなんです。だって嫌なヤツですから」と言ってもこちらがそうだと認めるまではカウンセラーは許してくれません。

(4) なかなかやめさせてくれない

さて、あなたがなかなかいいカウンセラーに当たった(と思い込んで)ひととおり話したいことも話して満足したとしましょう。それは 1 回目のカウンセリングでそういう気持ちになるかもしれません。ところがカウンセラーは「それでは次回は幼少期のころのあなたの問題についてお聞きしますね」と言います。

お世話になったカウンセラーの先生ですからなかなか断りにくくなってしまいます。しかもキャンセル料も発生するのであなたは仕事や学校の予定をやりくりしてなんとかまたカウンセリングに行きます。「それでは1カ月後のことについて考えてみましょうか」「3カ月後はどうですか?」「1年後あなたはどういう生活をしているでしょうか?」と次から次へと話題が出てきます。

「なりたい自分」について 100個の自分を書いてくるように言われます。あなたはもうカウンセリングに行きたくないと思ってもカウンセリングに 1 回来たからには全部すっきりさせなければならないのだろうか、でもこんなに苦しい思いをしなくてはならないのだろうかと疑問に思ってもそれを口に出して言うことはできません。

4.結語

さて、このブログを読んでくれている読者には患者さん、これから臨床心理士・公認心理師を目指している中高生も多く、一番読んでくれているのはそれらの資格の受験生や、もうすでにプロとして活躍している心理職の人たちです。

以上、読了してどのように感じたでしょうか。僕も忘れているだけで上と同じカウンセリングをしていた時期もあるかもしれません。プロの心理職として活躍を始めることができた喜びからなかなか終わらない、根掘り葉掘り聞くようなカウンセリングをしていたかもしれないなあと自戒を込めて思う次第です。

また、これはカウンセリングがなかなか続かなくてすぐに終わってしまうことが多いという僕のカウンセリングの言い訳をするために書いているわけではないということを最後にひとこと付け加えておきます。