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〇 高給優遇、時給3千円以上の臨床心理士・公認心理師の求人

1.序

非常勤心理職の求人はとかく安い、時給千円~1500円がコアの時給というのが心理業界の常識です。朝から晩までカウンセリング、心理テスト漬けで夜は心理テストの所見作成のためにさービス残業で時間を取られるというのが当たり前となっています。しかしながら時給が高い心理職のアルバイトも実際に存在しています。心理職にとっては憧れの年収600万円を非常勤だけで稼ぎ出すことも「可能」なのです。さて、実際そういった、僕が見た求人を書いていきます。

2.実際の求人

(1) 医療領域

たまに時給がえらく高い求人を見かけることがあります。しかしこれはかなりピンポイントでの求人です。例えば数年前に見たのが時給3,800円独立行政法人病院、精神腫瘍科での緩和ケアの求人です。僕が「やってみれ」と焚きつけて知人が応募してみたところ、見事書類選考で落とされました。

実際に100床以上の大病院で精神腫瘍科で働いていた経験者、少なくとも3年以上ぐらいの人がターゲットだったでしょう。少なくとも総合病院でその業務も行っていたのではなければ採用は難しかったのではないでしょうか。彼女は教育領域と小児精神科クリニックでしか働いた経験がない。きっとピンポイント求人だったのでしょう。

(2) 教育領域

何をもって「教育」とするのか難しいのですが、頂点は大学の非常勤講師です。1コマ90分1万円以上もらえることもあります。ただしこれは少なくとも博士号取得者、査読論文をいくつも書いているような常勤大学教員寸前の人たちがやっていることが多いのですが、ポスドク(昔で言うオーバードクターの人たち)が「ま、この生き方でいいや」とやっていることがあります。

時給3千円以上の可能性がある教育領域の仕事としては看護学校講師や専門学校講師、学生相談所相談員もあります。

さて、教育領域では臨床心理士資格創設後に文部科学省から臨床心理士がぶんどってきたスクールカウンセラーも頂点です。以前時給8千円の求人も見たことがあります。もちろんかなり僻地です。だいたい今は都道府県採用で時給5千円~5,500円程度に落ち着いているようです。

(3) 福祉領域

「福祉で時給3千円なんか届くはずがない」と思うかもしれませんが、募集しています。社会福祉法人でかなり困難なコーディネーター役のリーダーをやる仕事で、社会福祉士が主に募集されているのですが、心理職も募集されていることもあります。ただし、「時給1,500円~時給3,000円」となっているので注意が必要かもしれません。放課後デイサービスでも同じ条件の求人を見たこともあります。

(4) 司法領域

これもたまにあります。試される北の大地でやはり時給3.500円程度の刑務所のカウンセラーを見たことがあります。どの非常勤契約でも同じですが次年度の契約はわかりません。丹念にいろんな求人を探していれば今後もあるかもしれません。

(5) 産業領域

これは僕も「バイトでやらない?」とたまに誘われることがありますがさまざまな理由で断っています。完全フリーの人であれば、企業や官公庁従業員支援プログラムの一環として時給3千円から3,500円で募集をしていることもあります。

(6)私設開業領域

産業分野とコラボしていることがありますが、電話相談や24時間相談対応をしているような開業分野だとこのぐらいは貰えることもあります。「新卒者募集」も見たことがありますので、なかなか狙い目かもしれません。

(7) 講演

講演は僕は産業―医療領域で働いているので職務の一環として講演を行っても給与込みですが、これを外部で行なえばなかなかの講演料をもらえることがあります。僕なんぞ無名の心理職でも義理で昔教育関係の講演を行ったことがあるのですが、90分で1万円だったなあと思い出します。PTAに呼ばれたときも同じぐらいだったような気がします。

あと、番外編としてテレビでのコメンテーターがあります。1回5万円から10万円ですね。見たこともない容疑者の診断をするという非常に危ない仕事です。

3.総論

毎日日々地味な仕事をしているのが僕は心理職の本旨だと考えています。上記の中にも地道な仕事は多く含まれているのですが、時給の高い仕事は「自分の経験と技能を売る」ということがかなり重要だということを書いていながら思いました。非常勤で3千円以上もらえてもそれを一日8時間のペースでもらうのは困難、または一週間毎日行うことは難しいことが多いです。

非常勤は時給が高くとも所詮アルバイトですので、例えば月給60万円もらえたとしても、社会保険料もろもろを考えると年収500万円の常勤にはかなわないです。

心理職は大学院卒程度の仕事、しかしながら実際には高卒の公務員や信用金庫職員の方がはるかに生涯賃金も高く、身分保障もしっかりとしていることは悲しいかなこの日本の現状です。

ただし、収入アップを考えている非常勤の人はネットワークを張り巡らして高い時給の仕事を探してみるということを考えることも大切かもしれません。

photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_