ɴᴇᴀʀ.
探しものは遥か遠くの何処かにある。というのは幻想で。その景色を拓く鍵は自分の最も近くにある目では見えないものの中に在るから。
第4回 公認心理師試験勉強法
1.序
公認心理師試験は1回1回試験内容は変わっていっているような気がしますが、それでも合格者たちの話を聞いているとある一定の法則が見えてきたような気がします。その「法則」とは何か、ここに記してみたいと思います。
2.参考書選び
好みの参考書は人によって千差万別です。僕が合格者から聞いた中で比較的評判が良かったのはファイブアカデミー「一発合格」です。全部買って僕も読んでいるわけではないのですが、よくできた構成のような気がします。他社さんのものもよくできているといえばいますが、「この参考書だけで合格保証」はどの参考書でもできないような気がします。
ただ、合格者から聞いてみるとどの受験者も参考書を「舐めるように読み込んでいた」ことで、きちんと理解しながら参考書を読んでいたことです。新卒臨床心理士ダブル受験のゆめみんは写経して一冊丸々ノートに書いたということですが、これも理解しながらでないと難しいでしょう。公認心理師法については辰巳の「これ一冊で」が役立つというのは僕自身の私見です。
3.心理学検定
公認心理師試験に人気の書です。で、第3回試験と対照しながら見たのですが確かに公認心理師試験作成と非常に近い立場に(心理学分野では)ある日本心理学会が主催しているだけあって、基礎心理学分野は出題傾向とは近いですが絶対、というわけではないです。心理学検定用語から出題されていたとしてもそれだけで解答できるわけではなかったでしょう。たとえ心理学検定を全部やりこんだからといって合格できる保証はない、でも心理学検定用語がわからない、ということではまずいということです。
第3回試験では心理学検定に出てくる用語からも出ていました。辞典がわりに使う人もいたということですが、それでもいいでしょう。どの参考書を使ってもいいのですが、試験当日は「わけのわからない問題ばかりで青ざめた」受験生がほとんどでした。そうなると「正答選択のコツ」というのは「誤答回避のコツ」にほかなりません。そういった意味ではあらゆる心理学用語を網羅したある心理学検定は役立つものと思います。
4.現任者講習テキスト
まったく利用しない人で合格していた人もいましたが、僕は活用した方がいいと思います。毎年数題はこのテキストの中から出題されている上に、公認心理師というものが何を目指しているのかという思想がちりばめられているからです。倫理面、公認心理師のコンピテンシー(職業的発達段階等)そして脳・神経系ではシナプスの記述に詳しく、グリア細胞やGABAなどブループリント用語は網羅されています。少なくとも現任者講習テキストに何が書いてあるかは理解しておけないとまずいと思います。
5.DSM―5
ポケット版でいいですので必ず買い求めて持っておきましょう。参考書には各精神疾患の特徴などは書いてありますが、それでわかった気になっていては公認心理師試験は通りません。DSM―5に記載されている細かな診断基準が出てくるからです。
5.過去問
「あまり役立たなかった」という感想がある一方で、過去問を一回もやらずに試験に臨むのは無謀でしょう。過去問は買わなくても日本心理研修センターのホームページに掲載されています。
第1〜第3回過去問・公認心理師試験結果
過去問から頻出、必出の分野や傾向(精神薬副作用、統合失調症)がわかる上に、何度も出てきている心理テストはこれからもきっと出てくるものと思います。そしてこの試験は純粋な心理の試験とは異なるという認識が必要です。糖尿病や心身症はこれからも頻出だと思います。精神疾患だけを抑えておけばいいというわけではないというのは過去問を見ればわかると思います。
6.動画
プロロゴス、山崎先生のものが一番評価が高いです。これを流しっぱなし、聞きっぱなしに何度もしているだけで役立ったという受験生は何人もいました。
7.最高の参考書は自分
実は僕はここに書いてあるテキストのうち、辰巳と現任者テキスト以外はほとんど使っていません。わからない言葉があるとWikipediaで調べてそれでもわからないと自分で論文を深堀りしたこともありました。実際に第3回試験で「難問」と言われる問題はそこまで深堀りしておかないとわからなかった問題も多かったと思いますが、意欲を持って自分で調べた分野は難問でも正答できると思います。
みなさんが使っている有名な参考書より、僕は以前から辞典のように自分で使っていたわりとマイナーな心理学書で知識を再確認して、そこから問題が出たことがありました。だから「絶対」というものはないのです。
8.心理学を好きになること
基礎、統計分野を含めて心理学がもともと好き、勉強しているうちに心理学が好きになった人にはかなわないと思います。
病院で受診してもらうときに医師が「いや、ワタシ医学が嫌いなんですけどね」と言ったら誰もかかりたくならないでしょう。この試験は心理学の試験で、心理学が好きでそれを生業としていく人たちのための試験です。興味を持って、心理学オタクになれるような人にこの試験は向いていると思います。
9.最後に
いつもキツイことばかり書いているような気がするのですが、僕の私見を含めていろいろなサイトに勉強法や合格記などがたくさんあると思います。
覚えにくい語句などをいつも机の前や部屋中にふせんに書いてペタペタ貼っていた人もいました。
ですがどれもあてになるようで、自分にはできない場合どうしたらいいかについては書いてありません。だからその人の勉強法はその人のものでしかないのです。自分だけの勉強法は自分で開拓していくことを強くお勧めします。
公認心理師試験対策
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コメント
コメント一覧 (1)
第三回の試験問題を見て思ったのは「理系としての心理学」の知識を問われるものへと変わりつつあることです。
私大文系3科目(英語、国語、日本史か世界史)で私大の心理学科や教育学科に入ってそのまま心理職に就いた現任者にはキツかったのではないかと思います。統計や薬理作用は高3で理系にいたわたしには懐かしく、とっつきやすく、正規分布、ベンゼン環など思い浮かんで楽しかった感じがします。
あと2回でGルートの試験は終わり。でもGルートには落ちても生活に困らない人が多いと思いますし、落ちたからといってそれまでの臨床経験や人生経験が無駄にはならない。公認心理師資格がなくても、他の資格があるならそれを生かして生きていく。そろそろ、そういう事態になったら…ということに直面化しないといけないGルートの人は少なからずいると思うのです。公認心理師の資格はあるに越したことはないけれど、あっても使えない公認心理師(特にGルート)はゴマンといますし、無くてもクライアントさんから信頼されているカウンセラーや心理職はたくさんいます。そろそろそんなことも広報しなければならないところが、関係部署の末端にいる者してはつらいところです。