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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)

あすへの翼に
一縷の希望と
想いを刻んで


Gルートにとっての第3回公認心理師試験

1.序

これまでどっかの団体のようにきれいごとばかりを書いていましたが、ぶっちゃけ他職種Gルートと心理専攻D&Eルートの間には暗くて深い川と確執があります。現在心理系大学院在学者でも他職種Gルートを面白く思っていない学生さんはいます。

すでに資格を取得した心理職の不満はそれど大きくないと思えます。(ような気がします。)現在病院ほか安定した職場で働いている心理職は合格した他職種に対して「お、作業療法士のA君頑張ったな。」と思い、病院内でGルートの勉強会の講師をしていた心理師もいたぐらいです。

こういった公認心理師は、臨床心理スピリットを持った他職種Gルートが増えることは臨床心理的視点で物事を見てくれる他職種が増えてくれることは自分の仕事を理解してくれることにもつながるのでウェルカムと考えているからです。

そういった余裕に比べ、新卒受験生側の不満は大きいかもしれません。今回辛くも合格できなかった新卒組も多かったからです。

Dルートリベンジ組、Gルート心理専攻者も反発を感じているのではないかと思います。

公認心理師を心理専属で取得しようとするには国公立大学院卒業でも500万円弱+6年間の教育期間が要ります。

で、僕が思うのはカリキュラム委員会で指摘されていたように臨床心理士と精神保健福祉士両方の資格を持ってる人は多くいます。心理職にアイデンティティを持っていたら心理職をやっているわけで、特に精神保健福祉士資格が大きなメリットをもたらすわけではありません。

これはGルート他職種が転職する際にも同じことが言えるわけで精神科看護師が公認心理師を取得していたら「ほう、心理師ですか。頑張りましたね。で、これまで看護師業務でとんなことをして来ましたか?」とサクッと次の質問に移りそうです。

2.Gルート他職種にとっての公認心理師資格の意味とは?

公認心理師を取得しているからといって今回試験のように細かくMMSEが取れるわけでもなく、WAIS-Ⅳの経験は乏しいが皆無で(現役特別支援教員はやっていそうですが)ましてや自分でテストバッテリーを組んでその中にロールシャッハを入れることはほぼ不可能です。

ロールシャッハとWAIS-Ⅳ両方、またほかのテストを取ってテストバッテリーを組んで施行したとして、そのあたりの細かい感覚を医師に理解してもらえるように所見を書くのはやはり心理プロパーでないと難しいです。

教員が公認心理師をGルートで取得していい待遇のお給料をもらっているのを心理職に転職するでしょうか?まず教員がそれを選ばないでしょう。

どんなに頑張って大病院で常勤として勤務しても手取り30万円にはなかなか届かないのが心理職の宿命。産業も看護師は夜勤があればかなりハードですが、パートでも心理職千円ぐらいが2500円はもらえます。産業もまあだいたい似たようなものです。

司法はもう公務員として働いている人が多いです。国家総合職矯正職、家庭裁判所調査官、保護観察官、社会復帰調整官、少年院教官です。

福祉領域で働いていて3福祉司のどうか。または医療領域の言語聴覚士や作業療法士、保育士が心理師に転職するわけでもないのにものすごく苦労をして本業の間に家庭サービスを削って、あるいは睡眠時間を削ってでも取得した資格を心理職専任者がどう思うかです。Gルート他職種でも、新卒不合格者に比べると勉強量は圧倒的に多いです。

上記のように親切に他職種に教えて臨床心理マインドを持って欲しいという心理師もいたでしょうし「まあ心理師に転職するわけでもないからキニシナイ」という反応もあったでしょう。

3.結語

今回の試験は新卒者(受験済)や院生が見てもたまげたように難しい試験でした。で、第1回から今回第3回までの中で、苦労してでも、あるいはさっくりと合格してしまった他職種には「勲章やバッジのひとつのようにこの資格を取りやがって」というねたみは当然出てくるわけです。

これが第1回から第3回までのリベンジ組になってしまった心理院卒者ならなおさら他職種Gルートに対してはそういう感情を抱いても無理はないと思います。

特に第1回試験は簡単に思える試験だっただけに(後から思えるだけでとはいえ無勉で受かるのは難しい)そう思った新卒受験生は多かったかもしれません。

試験委員当局としては新卒者にこの資格を取らせたかった、のだとカリキュラム委員会の発言を読んでいるとそう思います。

ただしどのルートの合格率がどうなろうと試験委員会当局は責任を取るわけでもなく、合格率が低かったら「再受験者が多かったからかもね」「院のカリキュラムが試験にまだ対応できてなかったからじゃね?」とエクスキューズ(言い訳)は用意されているので特に試験委員側が責任を追及されることはないような気がします。

各ルートの合格者数、合格率は発表まで正確なところはわかりませんが、カリキュラム検討委員会が目指していた公認心理師試験について、今後試験委員会も考え直さなければならない局面に来ているのではないかと思います。

※ いつも写真と詩をいただいているsoraさんですが、リベンジ組もsoraさんの素敵な詩のように再チャレンジ精神を持ってくれたらいいなと思いつつ。