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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
自分が探している答えの鍵は、自分以外の誰かが持っていたりする。


○ 公認心理師試験受験生の強み・弱み

1.序

公認心理師試験が迫ってくるにつれて、新卒受験生から、またGルート参戦組からも焦りと不安の声が聞こえてくるようになりました。新卒の人は今している仕事内容、興味を持って勉強している分野以外の大学院で習わなかった領域、修士論文でも取り上げなかった課題について苦手意識を持っているようです。

新卒受験生は非常勤で心理・福祉関係の仕事をしながら受験勉強を(ちゃんとしてくれ)している場合が多いですが、仕事にのめり込みすぎたり、研究会や、若いからとデートに夢中という人が多いのはわかりますが、この公認心理師試験はそんな甘い試験ではありません。

そして、Gルート他職種参戦組は自分が普段活躍している領域については「大丈夫だ」と思い込んでいますが、実際には正答率が低くなってしまいます。「知っているから大丈夫」と思っていると実は新しい法律や制度改正があり、現場感覚で正答と思う選択をすると、実際には公認心理師試験が求めている回答と異なってしまうからです。働きながら心理大学院レベルの知識を得ることは難しいです。

2. 新卒受験生の強み・弱み

なんといっても彼らの強みは、「基礎心理学を履修している」ということです。難化したと言われる全体合格率 46.4 パーセント第2回試験では全体合格率とは確かに一番合格率が高かったとはいえ、第2回試験における新卒合格率は 58.8パーセント、臨床心理士とほぼほぼ同程度です。基礎心理学から統計、臨床心理学まで学習した、これは強みになりそうです。

弱みとしては全受験者について言えることですが、「法律・行政を学んでいない」ということです。また、受験生の多くが苦手としている脳神経系解剖学もそれほど院では学んでこなかったはずです。そして院で経過措置、移行措置中に院で学ばなければならない、そして学んでいたのはロールシャッハ、精神分析、芸術療法に多く時間を割いていました。現在M1の学生も同じような状態です。(せめて院生が選択式にしなかったのは大学院の責任が大きいと思います。)

公認心理師カリキュラムに準じた教育を今新卒の院生は受けていません。そして心理を学んだ学生はほぼもれなく「文系」です。私立文系は数学を高校から捨ててしまって大学受験に臨んでいます。院によっては事例研究で修論を通し
ます。そうすると数学的素養ないまま卒業してしまうこともできるのです。

これが新卒ルートの「弱み」です。

3. 既卒 D1 ルート受験者

第2回試験合格率は 53.6 パーセント、強みは実務経験があって臨床センスがあることです。臨床心理士として各分野で臨床心理の専門家として活躍していて実務的センスはあるものの、第 1 回受験を経て不合格だった再受験者も含まれていたでしょう。基礎心理は昔のことと覚えなければならないことが多かったと思います。
でしょう。仕事をしながら公認心理師ならではの脳科学分野、法律分野を覚えていくことは困難だったと思います。

4.G ルート他職種参戦者の強み・弱み

(1) 小中高教員

小中高教員は、心理学を「全く知らない」というところが強みかもしれません。

基礎心理学をイチから学ばないとならないので、困難な教員採用試験をくぐりぬけ、地頭がもともと良い教員はアドバンテージがあります。しかしながら、全て独学、模試を受けたとしても指導者がいない。そして教員は何より時間がない。というところがディスアドバンテージです。

僕がスクールカウンセラーをやっていた時、朝10時出勤で構わなかったのですが、片道1時間半運転、朝7時には着く(こういうムダなことをするのは僕が相当な負けず嫌いだから)また、夜は残るまで残っていてやろうと思ったら、不登校の子が夜 8 時ごろこっそり来てそこでカウンセリングをする。結果をまとめたりカンファレンスをしたりおたより発行したりでなんとなく夜10時、それでも多くの先生方が残っていました。

さらに土日に部活を持っていたら絶望的に時間がありません。多分この試験を受けるのは通常科目を持ちながら部活指導をする教員には難しいでしょう。特別支援コーディネーターは英語、数学など各科目担当者が行っているので、まず勉強時間がと思います。

公認心理師の仕事にかなり近いのは、養護教諭と特別支援学級の教員です。以前教員の方が公認心理師資格を取得した「現役教員公認心理師 A さん」 という記事を書きました。(というか寄稿していただきました。)この方の勉強法はかなり理にかなったもので、初心者はこの方の勉強法をぜひ参考にしていただければと思いますが、まず時間がないので、他の人たちに勧めているのは youtube 山崎先生の講義、過去問の徹底的おさらい。
「公認心理師過去問・解答などまとめ」 に過去問は掲載してありますので、まだ解いていない方は必ず解いてください。そして模試受験です。学校には非常勤相談員が在校している場合があり、心理院卒ではないけれど心理相談業務を時給 11、00円ぐらいでやっている人々が自治体によってはいます。受験資格は十分にありま好きなが、バックボーンは様々です。心理学部を卒業した人もいれば高卒でどこかの相談業務に携わってきた人もいるかもしれません。公的資格を得てスクールカウンセラーになりたいと思うのですが、経験、経歴によっては難しいかもしれません。 

(2) 3福祉職等の強み・弱み(精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士)

例えば精神保健福祉士の方は心理学理論、精神疾患、人体の構造、福祉に関する制度が試験問題になっています。ただし、この3福祉士も業務が多忙でしょう。

勉強時間を確保することが難しいのがネックです。学習範囲が似ている資格のようで基礎心理の素養を深めなければならず、関係法も違います。事例にかかわるセンスも違い、心理テストは学んでいないので、苦労するかと思います。作業療法士、言語聴覚士もほぼ同様と思われます。

(3) 精神科看護師

この人たちは医学知識、そして精神疾患に関する知識を十全に持っているということが強みです。保健師になると公衆衛生に関する知識も身につけなければならず、統計や各種検定も得意です。

ただし、やはりネックになるのは基礎心理や心理学史です。産業、労働に関する知識は保健師さんなら聞いたことはあるでしょうけれども、通常の看護師さんならばそれは難しいことです。司法は難しいでしょう。どの領域の人々にとってもネックです。そして看護師さん、保健師さんは半端なく忙しい人が多いです。

(4) 司法(法務技官・心理)家庭裁判所調査官・保護観察官・社会復帰調整官

この人たちの得意分野はとても狭く、少年法、少年院法、成年後見制度、裁判員制度、面会交流、司法面接等ですが、何しろ頭がいいので、受ける気があった人は、家裁調査官法学部卒でも合格していたでしょう。そこで総合職採用ならば第3回試験を受ける人たちは母数が少ないと思われます。

(5) 非心理専攻開業領域

なんとか○○心理研究所などの看板を出している人たちやそこの従業員です。
登記簿謄本や税務署への届け出を行っていて事業所のパンフレットがあって心
の人たちに勧めているのは事業所のパンフレットがあって心理相談業務をしていることが明らかならば受験できますが、受験者のバックグ
ラウンドによってはやはりかなり困難だと思います。

5.総括

いずれにせよ公認心理師試験は甘くないです。新卒だろうが Gルートだろうが、苦手分野を克服して勉強していかないとならないわけです。「あれができない。まだやってない。不得意分野は捨てる。」としてしまったら合格は遠のいていくでしょう。公認心理師試験は競争試験ではありません。138 点、この点数さえ取れれば必ず合格できる資格試験です。ずいぶんと辛口になってしまいましたが、受験生たちを見ていて、どのルートの人たちも気迫や気概をもっと持っていて欲しいと感じているのです。