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◯ 赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア
自分を愛する[心理教育]
白河美也子医師・臨床心理士著
なぜ僕が白川先生のこの著作をブログで取り上げたかということをまず説明します。白川先生は一貫してトラウマ治療に取り組まれていて、現在はトラウマ治療専門の「こころとからだ・光の花クリニック」院長をされていらっしゃいます。白川先生のトラウマケアの書籍をぜひ紹介したかったからです。
光の花クリニックは日本では数少ないトラウマ治療専門のクリニックで、白川(西)先生他3人の医師と1人の臨床心理士が治療面接を行っています。(現在枠がいっぱいのため初診患者は取っていないとのことです。)
最近 トラウマのことがわかる本 生きづらさを軽くするためにできること も著されており、こちらもぜひ参考にしていただきたいのですが、白川先生の「赤ずきんとオオカミ」は寓話の形を取っていますが非常に含蓄のある本です。
「赤ずきんとオオカミ」と言うとオオカミさんが赤ずきんを食い尽くすもので、一方的な悪者だと思われがちですが、食べられそうになった赤ずきんは単回性のトラウマ、そしてオオカミさんもまたトラウマを負った存在として描かれています。
(以下ほとんど白川先生の著書の要約)
トラウマ後にはフラッシュバック(再体験)、回避、麻痺、過覚醒の症状が出ることが説明されています。
トラウマを負った人がトラウマそのものを消すことはでかません。この辺りはトラウマ治療専門家の白川先生は詳しいです。
しかしトラウマを負った、今現在のその被害者の生き方を変えることはできます。
トラウマを負った対象者は、トラウマの再演をすることがあります。その時にまた不幸なシナリオが繰り返されます。そのためにもトラウマにとらわらすぎない、明るい未来を見ることが勧められています。これは僕の私見ですが、今現在が明るいものであれば、トラウマティックな過去はかなり薄まるものでしょう。
助けを求めることと、支配−被支配のパワーゲームに巻き込まれないことが必要です。
オオカミさんは複雑なトラウマを負った存在として描かれています。だからこそオオカミさんは過去の繰り返しを再現してしまうのです。
白川先生の解説には、症状が完全に消失しなくても良いと書かれています。これは僕もPTSDの精神療法をしていてよく感じることなのですが、どんなに長期間力を入れても症状が完全に消失させることは難しいものです。フラッシュバックが起きること、そしてそれがどのようにして生起して、攻撃的な態度になるのかは知っておくことが大切だと本書には書かれています。
トラウマを負った人は「被害者−加害者」という一方的な認識を持ちがちですが、そうやって被害者のポストについてしまうと解離が起こり、解離の間に望まない性的関係を持ってしまうこともあり得ます。被害を深めないための対等な対人関係が必要です。
このトラウマを持った赤ずきん、赤ずきんはカウンセリングをして災害ストレスを癒やすことにしました。災害によるストレスは大きな影響人々の心に与えます。大きな影響をオオカミさんにも与えたのです。
さて、C-PTSDはICD-11で初めて取り上げられる疾患単位ですが、この疾患単位に対する批判もあります。白川先生がC-PTSDに似た概念として取り上げているのはvan der Kolk 他の「トラウマティック・ストレス」のDESNOSの概念の診断基準試案を掲載しています。
僕の書いた白川先生の名著の要約はかなり端折ってあります。トラウマとは何か、そしてそのトラウマの意味を薄めて明るい未来を見るためにはどうすればいいか、ぜひ白川先生の原著に当たっていただきたいと思っています。
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