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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
おつかれTwitter

おそれるべきは失敗じゃなく
それを次に繋げられないことだね ꕥ⋆゚


心理職×ライターという生存戦略
~心理職として生き抜くための精神とお金の話~


心理職のアルバイトというテーマで以前記事を書きましたが、僕のような雨時々ところによりライター、というような生き方ではなく、地に足をつけてきちんとしたライター&心理職という生き方をしている、Twitterffの佐藤セイさんに無理にお願いして寄稿していただにました。

ライターとして某エージェントからプラチナライターの認定も受けている方です。ライティングの仕事も絶賛募集中という事です。この記事を読んだ、目に止まったエージェント、クライアント様はぜひ佐藤セイさんの以下にあるしっかりとした文章表現力をお読みになって仕事をご依頼されてはいかがでしょうか。



はじめまして。臨床心理士&公認心理師ライターの佐藤セイと申します。
このたびは、ひなたあきらさんにTwitter経由で「心理職のアルバイトについて記事を書いてもらえませんか」とお声掛けいただき、こちらのブログにお邪魔させていただいております。

私は非常勤のスクールカウンセラーとして週2日勤務するかたわら、個人事業主としてライターをしております。なので、アルバイトとはちょっと違うかもしれませんが、ご了承ください。

私がライターを始めたのは、以前の職場で「心理職を辞めるかもしれない」と思ったからでした。その経緯をここで詳しく語ることはしませんが、シンプルに言えば「バーンアウトしてしまった」ということです。
そして、心身ともに憔悴した私の脳裏に浮かんだのは、
「心理職のくせに自分の世話もできないなら、心理職を辞めるしかない」
という武士のような潔さへの陶酔と
「心理職を辞めたら、生活できないし、奨学金も返せない」

というきわめて残酷で生々しい現実でした。
そして、「心理職を辞める可能性があるなら、他の稼ぎ口を急いで見つけねばならない」と思ったわけです。

私は小学生の頃から心が疲れてくると文章を書き殴るクセがあります。
小学生時代はわら半紙の裏、中学では大学ノート、高校では文芸部で黒歴史を次々と生産し、大学生以降はmixi、アメブロ、Facebook…と、あらゆる媒体で、その日に起きたこと、自分が感じたこと、空想的な物語など、とにかく何でも書きまくっていました。当然、心理職を辞めるや否やという時期にも、せっせと文章を書き綴っていたわけです。

そんなときに、とある先輩が言いました。
「そんなに文章書くのが好きなら、ライターになればいいのに」と。
「それだ!!」と思った私は、とりあえずライターの仕事を探し始めました。そして、どうやらクラウドソーシングサイトを使えば簡単にライターの仕事を受注できるらしいことが分かってきました。

クラウドソーシングサイトとは、仕事を依頼したい人と仕事がしたい人を仲介するサイトのこと。そこで「こんな記事を書いてください」という依頼に応募し、採用されればすぐにでも仕事が出来るというわけです。
さっそくサイトに登録して、最初に受注したのは「オーボエについての記事2000字700円」だったと思います。高校で吹奏楽部と文芸部を兼部していたのが初めて役に立ちました。

また、大学院でもせっせと論文を書いていましたので、書くことは苦ではありませんでした(あ、論文は苦でしたが…)。むしろ、いつもは一銭にもならない私の文字たちが価値を生んでいることは嬉しく、喜ばしいものでした。

そこから継続してお仕事をくださるクライアントさん(※「クライエント」ではない)とも出会い、なんやかんやでライターを続けるに至っています。

現在の職場には不満はありませんし、「心理職を辞める」という考えは大分薄れています。それでも、心理職とライターを続けているのは、この2つの仕事の違いが歯車のようにかみ合い、お互いを回しあっているからだと思います。

■心理職
【仕事のタイプ】クライエントさんと一緒に長い時間をかけて成し遂げていく「ファーマー型」の仕事。成し遂げた喜びは大きいが、それまでに時間がかかる。そして、成し遂げられないこともある。

【私の意識】生活のための「仕事」として取り組んでいるため、基本的には心理職として得た収入の範囲内で生活している。やりがいはあり、学ぶことは楽しい。ただ、悩んだり、消耗したりことも多い。

■ライター
【仕事のタイプ】書けば比較的短期で報酬(お金や評価)が得られる「ハンター型」の仕事。ちまちまと承認欲求を満たしてくれる。

【私の意識】どちらかと言えば「趣味」に近い。「仕事」にしすぎないため、ライターで得た収入は生活費にせず、投資や急な出費などに回している。心理臨床に疲れたときの避難所としての役割を重視しているので、仕事を選ぶときは自分の心がウキウキするものを選び、「なんか嫌だな」と思ったら撤退することを心掛けている。

どちらが良い、ということではなく、私にとってはどちらも大切なのです。
ありがたいことに心理学に関するテーマでのライティングの仕事をいただくことも多く、私自身も新たな学びを得たり、知識を整理したりする良い機会となっています。また、クライエントさんに伝わる言葉選びにも、ライティングでの経験は生かされているように思います。

さらに、ライティングをする中で、クライエントさんの言いたかったことがふと理解できるようなこともあります。これはなぜかわかりませんが、写経に取り組むときのように、余計なものが取り除かれていった結果、必要なものだけが残るのかなぁ…と考えています。

そういったことからも、今のところは「心理職×ライター」は、かなりしっくり来ています。これから先どうなるかはわかりませんが、私としては当面はこの形でいこうかなぁと思っています。

心理職や公認心理師をしつつ、副業としてライターを目指される方は、とりあえず「クラウドワークス」や「ランサーズ」といったクラウドソーシングサイトを覗いてみてはいかがでしょう?メンタルヘルスや発達障害など、心理の領域の記事を求める依頼も意外と見つかります。

ライターの仕事が自分に合っているなら、個人事業にしてみるのもおすすめ。青色申告控除をはじめ、税金でのおトクがたくさんあります。

心理職・公認心理師などの心理職の待遇はまだまだ厳しいのが現状です。
もちろん、「待遇を改善して!」と声をあげることも大切です。でも、今まさに足元が崩れそうなら、目の前の「ライター」でも「アルバイト」でも、ぱっと掴んで命綱にする方がいいんじゃないのかな。少なくとも私はそう思います。
私たちはクライエントさんたちと、この世界を生き延びねばならないのですから。