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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
ひとは変化を通して何かを感じるもの。言い換えるなら、そこに変化がなければ、退屈という感情以外生まれ得ないということ。とすると「幸せ」は、そうでなかった時間が必要なわけで、「幸せでい続ける」という言葉は矛盾を生む。「幸せの場所」があるとして、そこに付かず離れずくらいがいいのかもね。


◯ 公認心理師上位資格構想・医師団体の思惑

公認心理師法成立までに医師団体日本精神科病院協会(以下日精協)は大きな役割を果たしています。

まず、日本精神科病院協会とはどんな団体なのかということについてですが、精神科病院の団体ということで、その病院を代表する者が正会員として加入することができる団体です。(つまり院長or理事長の経営者である医師)入会した病院は「会員病院」と言われます。

また、準会員としてはこの正会員になれない者について、医師、医師以外看護師などのコメディカルも入会できる団体です。

なお準会員年会費は医師12,000円、医師以外は8,000円で、日精協が定める認定資格としては、認定精神科医・認知症臨床専門医・認定看護師・認定栄養士があります。

日精病が独自に認定資格を作っていた職種は現在でも多分野にわたっています。

日精病は心理職国家資格化構想が本格化した平成17年、心理職国家資格化二資格一法案の際にも大きな影響力を与えました。日精病がこの法案に反対し、成立しなかったのです。

なおここで上程された案としては医療心理師資格は大卒程度で医療機関で働くことを想定、臨床心理士は大学院卒程度で横断的領域で働くことを前提としていました。

一説には多領域で働く心理職である臨床心理士は、「臨床」という、医療を推察させる文言を禁じ「社会心理士」でなければならないという意見があり、当時臨床心理士会がそれに賛成できなかった経緯があったとも聞きます。

この時の論議で「臨床」という名称を国家資格として冠することに抵抗があったことが「公認」心理師という名称につながっているのかもしれません。

詳しい経緯は割愛しますが七者懇と言われる日精病を含む医師団体の連合と心理団体や日本心理学諸学会連合が何度も話し合いを続けた結果として「医師の指示」を重視する現在の公認心理師制度が法案通過し、正式なものとなりました。

日精協が商標登録とした「日精協認定公認心理師」「日本精神科医学会認定公認心理師」特許情報プラットフォームを見ると商標は平成30年7月11日にはすでに出願されていて、令和2年2月25日には登録認定を受けました。

心理職団体や臨床家の重鎮たちは、心理臨床学会で公認心理師上位資格についてのシンポジウムを行ったり、構想をぶち上げたりしていたのですが、実際のところ、具体的に何かをやっていたわけでもないのです。

心理団体では「もっと十分に議論してから」と思っていたのかもしれません。公認心理師上位資格構想が反発を呼んでいたことに気づいていたのかどうかすらも僕は知りません。

しかしこういった資格は早く作ったモノ勝ちです。つまりトップダウンという医療職内ヒエラルキーがそのままこの資格のあり方にも影響していると言えます。

一度日精病が資格を作りました、これが上位資格です、となれば早いもの勝ち感が半端ないと思えます。心理団体が後発で団体資格、学会資格を作ったとしてもB品に思われる可能性が高いと思います。

さて、日精病認定資格のコメディカルについて他の資格を見てみると、認定看護師は5年の更新となっています。認定看護師になるためにはまず日精病会員(正・準)でなければなりません。そして更新に必要なのは研修に出ることと事例提出です。

精神科の看護師だからといって日精病の認定看護師を取得しなければならないわけではないです。

日本精神科看護協会の精神科認定看護師の方が資格としては有名でしょう。

ただし、公認心理師はどうかというと、日精病は心理職国家資格化構想の当初の段階から関わって来たわけで、認定資格創設による重み付けが他コメディカルとは違うのではないかと思います。

また、日精病は公認心理師現任者講習も第1回試験から主宰しており、日本心理研修センターや公認心理師制度そのものに深くかかわっています。

思えば公認心理師法第42条第2項主治の医師の指示についても日精病に限らず日本精神神経学会もかなり強硬な声明文を出し、厚生労働省の本項運用基準に対し、例えば「公認心理師は、法の趣旨、主治の医師の責任性等を丁寧に説明して、主治の医師が関与 することについて、要支援者の同意を得なければならないと変更すべきである。」と述べています。
ヤダヤダと言っている患者さんにどうやって無理強いしたらいいのか教えて欲しいものですが。

公認心理師試験委員も医師がかなりの割合を占めています。やがてこの国家心理資格がいいように弄ばれて心理職のものではなくなるのではないかという危惧を強く抱いています。

公認心理師資格はいったい誰のものなのでしょうか?僕は一番はクライエントさん、患者さんのためだと思っています。そしてそのためには心理職が安心して働ける環境が大切だと思います。溺れている人は他の人を助けることはできません。そして助けを求めている溺れている人も溺れている人から助けられたいとは決して思わないからです。