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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
自分を変えるということは価値観を変えるということ。それって「昨日までは海が好きだったけど、今日から空を好きになる」くらい難しい。だから変わろうとすることよりも「海が好き」という自分の心の舵をどう切り、どう付き合うかを大切にした方がいいのかもしれないね。わたしは空も海も好きだけど。


◯ 心病む臨床心理士・公認心理師・心理職

とあるアメリカの統計を読んでいたら医師の自殺率は一般人と比べて1.3倍、精神科医は5倍という結果が出ていました。

それでは心理職はどうかというと、検索の網にうまく引っかからないのか結果がないだけかもしれませんが、うまく結果が出てきませんでした。それとも世間は心理職の生き死にはどうでもいいのかもしれないと昨日の年収の記事に続いて今日も思ったのですが、実は誰にも知られていない希少種の職業なのかもしれません。

病むことに心当たりのある心理職、心理職を目指す学生の方は多いと思うのですが、自分は悩んでいる、人の心を知りたい、だから心理学部に進んだという人も多いと思います。

心理の仕事を調べてみるとこれは大変そうでいちいち人に共感していたら自分も消耗して引きずられそうだから就職は一般企業にしておこうという考え方は実に理にかなった賢い選択です。

怖いのは自分が病んでいることに気づかずにこの道に進んでしまう人たちです。暴論かもしれませんが、僕は多少病んでいてもそれを自覚して自分の中のバイアスをクライエントさんに示さないで、自分の体験をうまく共感性の部分に引っ張っていける人ならばいいと思っています。スーパーバイザーや先輩など助けてくれる人が多ければ多いほどいいと思っています。

ただし、病んでいる人がそれを十分に気づかないで自分が救世主のように思い込んで、クライエントさんや患者さんに接するとそれは大変危険なことです。一説にはアメリカで精神科医や心理カウンセラーで患者さんと関係を持ったのは10パーセントに上るという記述を読んだことがあります。

心理職も人間なので自我が強固な人もいれば弱い人もいるでしょう。若いから、未熟だから自我が弱いこともあります。その逆もあります。目の前にいる、幼少期から虐待を受けて育った二十歳のクライエントさんはたいていのカウンセラーの数十倍、自分の疾患についての知識があり、そして無限大の精神的な経験値を持っています。

境界性パーソナリティ障害の人について、美しく魅力的で若く華やいだ色香に惑わされる心理カウンセラーはどれだけいるのか、という文も読んだこともあります。これは心理カウンセラー側の誤解で、境界性パーソナリティ障害の人は誰からも拒否されていて承認されたいという欲求は生きるために必要なもので、魅力的でいなければ生きていくことすら難しい世界をなんとかやり過ごしてきた中で、救い主に体すら投げ出してしまうことすらあるかもしれません。

その心理的すがりつきを心理カウンセラーが「自分にしか助けられない」「この人だけは自分が特別扱いしなければ」と思うとそれは心理カウンセラーの病みそのものでしかありません。

いろいろな悲惨な体験をしてきたクライエントさんの話を聞き、二次受傷する人もいます。PTSDを専門にしている精神療法家が「こういう人たちのために頑張ろう」と思っても続けられるのはかなりレジリエントな人です。C-PTSDの人の荒れ狂うような感情の奔流に巻き込まれるとそれを年単位で耐え続けられる人は少ないかもしれません。

病みに話を戻します。統合失調症の人はその人の持つ精神的な力が文化の中で受け入れられていればシャーマンとして治療対象から除外されています。この人たちは一定の文化の中の治療家です。

双極性障害の人はひどく感情の起伏があって患者さんに怒り出したりしたらダメだろうと思うのですが、維持療法で安定していれば表現力豊かで共感性は高そうです。

先ほどの境界性パーソナリティ障害の人ももともと自他の感情の動きに敏感なので診断基準から外れるほどになれば優秀なカウンセラーになる可能性があります。

うつや神経症圏の人が心理職をやっている場合もありますが「ワタシも大変なのよねえ」と昼のファミレスで酒で抗うつ剤を飲んでいる先輩を見た時には「なるほど、これはものすごく自分も周りも大変そうだ」と心から共感できました。

また「病む」というのをネガティブな側面だけでとらえるだけでなく、いち早く自分のメンタルの不調に気付いて休養を取る、アルコールに溺れるのでるはなく、より安全な睡眠導入剤で睡眠時間を確保、不安を低減させる抗不安薬でやり過ごするというのも正しい選択肢と思います。

確かに心理職の仕事は大変、そしてお給料も安いことが多いですが多くの心理職の人が家庭を持ち、家族を大切にして趣味や自分の時間を大切にしながら生活しているのを知っています。

心理の世界もさまざまで、キャリア組や児童関係者、またその他の領域でも天文学的な長時間働いている人々を知っています。無理を重ねて欲しくないと思います。

心理職はクライエントさんに相対して「こうやって生活できるといいですよね」と言うその言葉通りやっていければ健全に生活できるのだろうという期待をいつも持っています。