AB08D806-C05A-42B3-A4FA-C80FD4005170

photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
祖母が身を以て教えてくれた。人生最後の大役は、その生き様を通して後世に人生の貴さを伝えること。きっと誰しも一度は、自分の終幕に想いを馳せたことがあるよね。命の限りは自然の摂理。不安に駆られるくらいなら、そんな「大役」を任せられているんだ、と戻らぬ今を駆け抜けたいもの。胸を張って。


◯ 公認心理師の養成や資質向上に向けた実習に関する調査

厚生労働省令和元年度障害者総合福祉推進事業

国立研究開発法人 国立精神・神経医療開発センター

2020.3月

上記の報告書が出ていたことを全く知らなかったのですが、国立研究開発法人 国立精神・神経医療開発センター臨床心理室室長今井扶美が事業責任者となって日本公認心理師協会、公認心理師の会、日本の精神科病院協会の重鎮などなど錚々たるメンバーが参集している大変格式が高い会です。

https://www.ncnp.go.jp/hospital/news/docs/ec328acccf3db1be68e791f3c9d8c562e710d37e.pdf

さて、表題どおりの議事が開催されたわけですが、公認心理師制度が内包している問題点はほとんど臨床心理士の時と変わっていないという印象を受けました。以下はこの文書を読んだ上での僕の個人的な所感です。(数字はそのまま引用)

国家資格ができたのだから何か変わるか?というと構造的な問題が変わるというわけではありません。

まず心理職を雇うのに一番の問題点は収益性の問題です。心理職を雇っていても特に保険点数上、儲けになるわけではない。それはその通りです。徐々に改善はしていくものの病院やクリニックには利益をもたらすわけではありません。

ただし、これだけカウンセリングという文化が定着してくると、小さなメンタルクリニックに患者さんが行った時でも「カウンセリングを受けたいです。」という患者さんは必ずいます。都心部や大都会はメンタルクリニックがとても多くて個人経営クリニックも多くあります。

そこで「いやうちではやってないので」と言ってしまうと死活問題になりさねません。

大病院や総合病院にも当然心理カウンセラーがいると思って患者さんはやってきます。だから心理職を雇わざるを得ない。

雇ってみるとカウンセリングだけではなくて心理検査もできる。心理カウンセリングも集団精神療法もデイケアも心理職を雇ってそれでペイできるほどの儲けにはならなくても、有用だし医師ができないことができるからやらせてみよう、ということになるわけです。

ただどうしてもお金の出所はないので給料は安くならざるを得なくて、年収400万円未満が常勤勤務者の平均になります。このあたりは精神保健福祉士や社会福祉士と同じような給与体系になるでしょう。

非常勤はもっと悲惨で時給1600円未満が相場です。ここから税金や健康保険を払うので、独り立ちしていこうとするとなかなか生活は苦しいです。

さて、4000の全国の医療機関に対してアンケート調査をしたこの統計ですが、公認心理師に求めるもの、として心理面接や心理検査だけでなく、多職種連携、メンタルヘルス教育、職員のカウンセリングも含まれています。この調査ではインタビューもしていますが、実に61パーセントが多職種連携とコミュニケーション能力の向上を求めています。

「給料安いのにあんまり多くを求めないで」と思う方もいるかもしれませんが、むしろこの能力が高ければ条件のいい職場に勤められる可能性が高まるわけですし、公認心理師全体がこういった力を持ってボトムアップしていけば、必須な職種としてみなされる、これは今までの心理職がカウンセラー室にこもり切りだった人たちが多かったことへの警鐘かもしれません。

もちろん守秘義務は大切ですが、患者さんの了解は取りながらきちんと多職種連携が取れれば公認心理師全体の好評価にもつながります。

結構現場の要求水準は高く、コミュニケーション能力や専門以外への関心や発信力・行動性のある人物と、まるでエリート商社マンのようなことを求められています。

あとこの調査を見て興味を感じたのは、折衷派心理療法を行う心理臨床家がトップ、そして認知行動療法が次いで、精神分析がその次ということです。

なかなかスーパーヴィジョンを受けられない

そして公認心理師養成課程が始まった今、実習生受入れが14.2パーセント、医療機関として最も大学側に力を入れて欲しいのは、実習前の学部、院での教育ということで、医療現場も社会のひとつ、そしてかなり特殊な世界ということを知る必要性があるということです。

医療はサービス業という側面があり、ホスピタリティも大切ですが管理という大切な部分もあります。「薬飲みたくないから半分にして飲んでるの」と患者さんから言われたら実習生でも医師に話さなければならない義務があります。

興味を持って読んだのはp51の資料です。心理職が行っている技法のうち、折衷派、認知行動療法、精神分析の順序だそうです。

さて、ここまで「金がない、貧乏だ」ばかり書いていたのですが、まともにスーパーバイズを受けられている心理職がどれだけいて、その中で「この学派に所属している」と堂々と言える人がどれだけいるのか?は甚だ疑問だと思いました。

毎回臨床心理士会が出している資料ともかなりかぶる部分が多いのですが、公認心理師養成課題なども書いてあり、公認心理師制度の現状と今後について考えさせられる文書でした。