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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
時々これって意味あるのかな、なんて考えることあるよね。でもそもそも意味って、元々そこに在るものじゃなく人が後付けするもの。Twitterをする意味だって人それぞれでしょ。転じて、生きる意味は用意されていなくて、自分で決めていいってこと。だからこのTweetに意味があるかどうかも考えないでね。

◯ COVID-19 心理職が危機に晒される時

※ 以下は新型コロナウイルス関連の記事です。心理的に抵抗がある方はすすぐにページを閉じる事をお勧めします。

なおこの記事は医学、感染症専門家によって記述されたものではなく、心理職によって書かれたものです。疑問がある際には各出典原文を当たる事をお勧めします。

さて、本題に入ります。医師てつ太郎さんがツイートしていたのですが、ノルウェーの調査でCOVID-19でPTSD様症状を起こす可能性は心理職でも13パーセントはあるということで、最前線で患者さんへの暴露時間が長い看護師43パーセントということはわかるのですが、同じく最前線で治療している医師10パーセントより心理の方が高いというのはなぜなろうかと思いました。



僕自身はPTSDの精神療法はかなりの数こなしていて、被虐待児童から成人性被害者に至るまで行っているのですが、確かにPTSDや複雑性PTSDのカウンセリングはとてもエネルギーを使いますし、PTSD治療者が耐えられる年数は平均5年と言われています。

DSM-5だと心理職も繰り返してPTSD体験に触れることになるので、基準を満たし、二次受傷は確かに起きそうです。

そしてPTSDは複雑な深いトラウマを負った人ほど通常のカウンセリングでは逆効果で患者さんにとっては侵襲的になります。

漫然と受容傾聴姿勢で聞くのではなく、PTSDだけはエビデンスに基づく精神療法が必要となります。

死に直面して人工呼吸器やECMOを装用してやっと生還した人など心理職が患者さんや関係者をカウンセリングする機会は必ず出てくると思います。そのトラウマに心理職は暴露され続けなければならなくなる、これは「今すぐ」ではなく急性ストレス障害ASDから遅延して起こってくるPTSDに対処しなければならなくなるだろうと思っているのです。

そこで僕が思うのはPTSDの精神療法未経験者やPTSD治療技法を知らない心理職にはかかわって欲しくないということです。

患者さんに対して侵襲性があり自らも二次受傷体験をしてしまう心理職の働きは大変危険で、下手をすると患者さんが自死する可能性すらあります。

厚生労働省専門家会議でもメンタル面のハラスメントの危険性なついては度々指摘されているのですが、医療従事者ハラスメント、感染者ハラスメントは現在進行中です。
(この危険性については新型コロナウイルス感染症対策本部決定「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処法人」R2.5.25でも指摘されています。首相観点HP及び厚生労働省)

ベトナム戦争でもそうでしたが、米国が開戦を決めて自由意志でなく徴兵された18、19の若者が悲惨な戦闘を経験して敗戦、帰国すると時は反戦ブームで国賊扱いされた兵士たちは一様にPTSDを発症、そしてその治療には長い時間がかかりました。

今回医療者も最前線、そして感染者も救命されて命を取り止めた、2週間経ったからウイルスから解放されて他者に感染させる危険性がないと言っても一般人は聞かず、役所に「感染者は誰だ!」と押しかけるわけです。

今回この対処基本方針の決定でほっとしたのは医療機関等情報支援システム(入院病床を有する病院(20床以上)の医療提供状況を毎日確認できる)(G-MIS: Gathering Medical Information System)。が導入されたということです。

もはや病院も保健所も情報処理能力はパンクしています。こういった、保健所職員や事務スタッフのケアも心理職はしなければならないのだと思います。

多くの人が傷ついています。まだ解除が本格的になされていない状況で家族と分断される、今も上記対処方針では医療機関、高齢者施設への面会を禁じていますし外泊も制限すべきだと明記されています。

ライフライン、必須な産業の確保はサイコロジカルファーストエイドの基本ですが、その後にやってくるのが心理的援助ということになります。

心理職にとってはきっと長丁場の戦いになり、そして自らも傷つくことを覚悟しておかなければならないことになると思います。

患者さんのお見取りをすることもなく遺体は火葬場に直行、葬儀社社員も感染の危険に晒されます。

そして衛生物資の欠乏も深刻な状態になっています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000631552.pdf
(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第2版 5.14)29ページから引用します。

N95マスクについては以下考え方に基づき、可能な限り効率的に使用する。
・滅菌器活用等による再利用に努める【解説1】
・複数の患者を診察する際に、同一のN95マスクを継続して使用する【解説2】
・N95マスクには名前を記載し、交換は1日1回とする。
・KNマスクなどの医療用マスクに相当するものとして取り扱い、活用するよう努める【解説3】

解説にはさらに詳細が書いてありますが気持ちのいいものではありません。

緊急事態宣言は全面的に解除されました。ただしそのせいで感染したとしてもセーフティネットワークは脆く、医療者も相当の危険を負います。

同上手引きによれば中等度感染者にはメンタルケアも大切とされていますが、心理職が駆り出される可能性もゼロではありません。

自粛が解けたら行動がどんどん緩くなれば再度感染流行が激しくなるおそれもあります。

心理職は間に立たされ、自らもこの感染症の影響を受けながら不慣れであっめもPTSDカウンセリングをしなければならない局面がありうる、ということを覚えておかなければならないのです。